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2021年11月25日 (木曜日)

『Weather Report』を聴き直す

僕がジャズを聴き始めた頃、お気に入りのバンドは、Weather Report(ウェザー・リポート)。オーストリア出身のJoe Zawinul (key)、米国出身のWayne Shorter (ts)、チェコ出身のMiroslav Vitoušに (b) によって設立された(当初は共同主導)、エレクトリックな純ジャズ・バンドである。クロスオーバー&フュージョンなバンドとする向きもあるが、採用されたリズム&ビート、アドリブ・フレーズ展開の志向から、エレ楽器を活用した、メインストリームな純ジャズと解釈した方が判り易い。

『Weather Report (1971)』(写真)。1971年2-3月の録音、1971年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (key), Wayne Shorter (ss), Miroslav Vitouš (b), Alphonse Mouzon (ds, vo), Airto Moreira (perc)。今から思えば、凄いメンバーが集結したもんだと改めて思う。このメンバーで、いきなりエレ・ファンクに走らなかったのは、ベースのビトウスの存在が大きかったのだろう。

冒頭の「Milky Way」で度肝を抜かれる。シンセのホワイト・ノイズの浮遊感を最大限活かして、天の川のイメージを表現している。途中で、ショーターのソプラノが「プッ」と鳴って、流れ星を表現している様だ。こんな演奏を先進的なエレ・ジャズ盤の先頭に持ってこられるとは。自然(ネイチャー)というか牧歌的というか、ザヴィヌルの「In a Silent Way」の延長線上の音世界。
 

Weather-report-1971_20211125202001  

 
2曲目「Umbrellas」から、疾走感溢れる、コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズが展開される。ファンクネスは皆無。切れ味良い、スピード感溢れるモーダルなフレーズが出てくる出てくる。リズム&ビートはポリリズムックな8ビート。このファンクネスが皆無なところが、マイルスのエレ・ジャズと一線画するところ。チェコ出身のベーシスト、ヴィトウスの存在感が大きい。エレ・マイルス、エレ・チック、エレ・ハービーとは全く異なるエレ・ジャズでのアプローチ。

5曲目「Morning Lake」、6曲目「Waterfall」は、ザヴィヌルが名曲「In a Silent Way」で、ショーターも名盤『Odyssey of Iska』で表現していた、延長線上の自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズの世界。シンセとソプラノ・サックスで、音の広がり、幽玄さを上手く表現していて、とても良い内容の名演に仕上がっている。ショーター単独作の「Tears」「Eurydice」は、ショーターお得意の「コズミック・ジャズ」の音世界。

コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが違和感無く、効果的に融合した、エレクトリック・ジャズの名盤だと思う。マイルス、チック、ハービーのエレ・ジャズとは、完全に一線を画する、今から振り返ると、欧州的な、ECMライクなエレ・ジャズである。この盤にある「エレ・ジャズ」は、今の耳にも唯一無二である。
 
 
 
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