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2021年11月の記事

2021年11月30日 (火曜日)

ヴィーナスの硬派な純ジャズ・5

昔に活躍したジャズマンを起用してスタンダード曲を演奏させる、そんな「昔の名前で出ています」的なアルバムを制作してリリースする。ヴィーナス・レコードの十八番であるが、如何せん、評判が良くない。しかし、この「昔の名前で出ています」的なアルバムの中にも、優れた内容の盤もあるのだから、見逃すわけにはいかない。

Claude Williamson Trio『South of The Border West of The Sun』(写真)。邦題『国境の南・太陽の西』。1992年12月15日、North Hollywoodの「The Bakery ecording Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Claude Williamson (p), Andy Simpkins (b), Al "Tootie" Heath (ds)。

収録曲を見渡すと「スタンダード曲」ばかりが並ぶので、第一印象は「昔の名前で出ています」的なアルバムかあ、と思ってしまう。解説を読むと、村上春樹のベストセラー恋愛小説『国境の南・太陽の西』に登場するスタンダードの名曲を取り上げた企画盤とのこと。なるほど、ちょっと理屈を付けてみたのね、と苦笑いしてしまう。

クロード・ウィリアムソンは、米国西海岸ジャズを代表するピアニストの1人。テクニック優秀、とにかく端正でタッチが歯切れ良く、アクや癖はほぼ無い。ライトで流麗な弾き回しが素敵なピアノである。米国西海岸ジャズにおける「バップなピアノ」として僕は捉えている。
 

South-of-the-border-west-of-the-sun

 
が、ウィリアムソンのリーダー作は「決定打」に欠けていたと思うのだ。ジャズ盤紹介本を紐解いても、ベツレヘム・レーベルからのリリースした『'Round Midnight』か、後続の『Claude Williamson』の2枚しか、代表作としてタイトルが挙がらない。この2枚、確かに内容的には良いのだが、米国西海岸ジャズの特徴である「お洒落なアレンジ」が逆効果なのか、ジャズ・ピアノとしては、何か今1つ足らない感じが残る。

その点、このヴィーナス盤の『国境の南・太陽の西』は、アレンジは「ハードバップど真ん中」の王道アレンジ。そんな旧来のハードバップなアレンジに乗って、クロード・ウィリアムソンは「バップなピアノ」をバリバリ弾きまくる。録音当時66歳なのだが、とにかく、バリバリ弾いている。

「ハードバップど真ん中」の王道アレンジの下でバリバリ弾きまくることで、ウィリアムソンは「総合力」で勝負するタイプのピアニストであることが良く判り、「総合力」で勝負するタイプであるが故に「テクニック優秀、とにかく端正でタッチが歯切れ良く、アクや癖はほぼ無い、ライトで流麗な弾き回し」という個性が、バリバリ弾き回すことによって、良い方向に作用している。

このヴィーナス盤の『国境の南・太陽の西』は、クロード・ウィリアムソンの代表作として良いと思っている。アレンジを気にすること無く、聴き手の「ウケ」を気にすること無く、バリバリと、本来の個性である「バップなピアノ」を弾きまくっている分、1950年代の米国西海岸ジャズでの代表盤より優れていると思う。
 
 
 
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2021年11月29日 (月曜日)

ヴィーナスの硬派な純ジャズ・4

ヴィーナス・レコードのジャズ盤、というだけで、眉をひそめるベテラン・ジャズ者の方々がいたりするんだが、ヴィーナス・レコードには、本来の硬派なジャズ・レーベルの志向もしっかりとあって、1980年代以降に活躍した、欧州ジャズの優れたジャズマンを我が国に紹介してくれた、という功績もある。揶揄される「コマーシャル先行、懐メロ志向のアルバム作り」な面もあるにはあるが、それはカタログ全体のごく一部だろう。

Stefano Bollani Trio『Falando De Amor』(写真左)。邦題『愛の語らい』。ほぼ直訳である(笑)。2003年2月、イタリア・ローマの「Studio Elettra」での録音。ちなみにパーソネルは、Stefano Bollani (p), Ares Tavolazzi (b), Walter Paoli (ds)。純イタリアのピアノ・トリオ編成。イタリア・ジャズの力量を直に感じられる好盤である。

改めて、この盤は、イタリアのジャズ・ピアニスト、ステファノ・ボラーニによる「アントニオ・カルロス・ジョビン曲集」である。しかし、この盤、通常の「聴き心地良く、ポップでお洒落」なボサノヴァ・ジャズの雰囲気では無い。安易にピアノ・トリオのポップで聴き易い「ジョビン集」という先入観で聴き出すと椅子から転げ落ちるかもしれない。
 

Falando-de-amor_1

 
「アントニオ・カルロス・ジョビン曲集」でありながら、ボサノヴァの名曲を、バリバリ硬派なメインストリーム志向の純ジャズで解釈している、ある意味「痛快」な「ジョビン集」である。タッチは力強く、アドリブ・フレーズはストイックなまでに硬質、曲のテンポも速いものが多く、ほぼバップ志向なピアノである。が、そこはかとなく、ロマンティシズム漂うところが、いかにも欧州的、イタリア・ジャズらしいところ。

耽美的でリリカルではあるが「バップな」ピアノなところは、ビル・エヴァンスに通じるところはあるが、エヴァンスのフレーズの「エッジは骨太」だが、ボラーニのフレーズの「エッジは立っている」。ここが違う。ヴィーナス・レコードの独特のエコーと相まって、決して安易に甘きに流れない、とても欧州っぽいピアノの弾き回しがこの盤の大きな個性だと思う。

トリオのインタープレイも全編を通じて緩んだところは無く、この純イタリア・トリオの演奏力の高さが窺い知れる。ジョビンの名曲の数々をストレート・アヘッドなピアノ・トリオ演奏に変身させた「アレンジ」についてもかなり優れたものがある。スイング感も快適、こんな「ジョビン集」、聴いたのは初めて。やはり、ヴィーナス・レコードは隅に置けない。
 
 
 
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2021年11月28日 (日曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・11

ジャズ・ピアニストの中で、一番ユニークな存在が「セロニアス・モンク(Thelonious Monk)」。ジャズ・ピアノを聴き始めて、ジャズ・ピアノ盤の紹介本を見ながら、名盤を聴き進めて行って、まず、ぶち当たる壁が「セロニアス・モンク」である。クラシックやポップスのピアノをイメージして、モンクのピアノを聴くと、まず訳が判らなくなる。

通常のクラシック・ピアノなどのフレーズの流れが「常識」だとすると、モンクのピアノは「非常識」。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方、どれもが唯一無二。協調和音中心という次元から、かなり離れたもので、リズム的にも自然発生的な変則拍子が中心という、おおよそポップス中心の音楽とは正反対の、クラシック音楽とは対極にあるモンクのピアノである。

Thelonious Monk『Thelonious Himself』(写真左)。1957年4月の録音。セロニアス・モンクのソロ・ピアノである。モンクのキャリアの絶頂期でのソロ・ピアノなので、モンクのピアノの真の個性が良く判る。違和感をバリバリに感じる不協和音。決してメロディアスとは言えない、ゴツゴツしたフレーズ。独特のスクエアな、幾何学的なスイング感。外れているようで、しっかりと独特なフレーズが流れている。おおよそ、普通の人達にとっては、今までに聴いたことが無いピアノ。
 

Thelonious-himself_1

 
しかし、僕が思うに、これが「ジャズ」であり、これが「ジャズ・ピアノ」の最右翼なのだ。即興演奏を旨とするジャズ、新しい音を創造するジャズ、そういうジャズが、本来の「ジャズ」とするなら、このモンクのピアノは明らかに「ジャズ」の極みに位置するものだ、と僕は思う。ジャズをとことん好きになるかどうかは、このモンクのピアノを受け入れられるかどうかにある位に思っている。

Original CD reissue (1987) のバージョンがお勧めなのだが、このバージョンのラストに入っている「'Round Midnight (In Progress)」を聴いて欲しい。22分に及ぶ長いトラックの中で、モンクはあれこれ考えながら、何度も慎重に音を選び直しながら、ブツブツと「あーでもないこーでもない」とつぶやきながら、演奏を組み立てていく。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方が、即興演奏を前提として、考え抜かれたもの、選び抜かれたものだということが良く判る。

この究極の即興演奏の様なモンクの音世界は、填まればとことん癖になります。僕がジャズを本格的にジャズを聴き初めて、これはジャズやなあ、と初めて心底感心したのが、このモンクのピアノであり、このモンクのソロ盤『Thelonious Himself』でした。ジャズを聴く、って理屈では無くて、パッと聴いてパッと感じるものだと思いました。その感覚は「ジャズを聴く時の心構え」として、僕の中にあります。いわゆる「モンクのピアノの教え」ですね。
 
 
 
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2021年11月27日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・223

欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫である「SteepleChase」。硬派で素姓確かなメインストリームな純ジャズのアルバムを多数リリースしているが、独自の感覚で、レーベル独特のジャズマンをチョイスした、ユニークなジャズ盤もリリースしていて、これが意外に興味深い内容なのだ。

Hilton Ruiz『Piano Man』(写真左)。1975年7月10日、NYでの録音。SteepleChaseレーベルのSCS 1036番。ちなみにパーソネルは、Hilton Ruiz (p), Buster Williams (b), Billy Higgins (ds)。プエルトリコ系米国人ピアニスト、ヒルトン・ルイスのトリオ盤。ルイスは1952年生まれなので、この盤の録音時は23歳。ルイスの初リーダー作である。

ヒルトン・ルイスというピアニストには全く馴染みが無かった。彼の経歴を紐解いてみると、幼い頃はクラシック・ピアノ、高校時代にジャズ・ピアノに転身し(メアリー・ルー・ウィリアムスに師事している)、1973年、ローランド・カークのサイドマンとして頭角を現し、フランク・フォスター、ジャキー・マクリーンを始めとした、ジャズのトップ・ミュージシャン達のサイドマンを経験している。

スティープルチェイス・レーベルからは、この初リーダー作の「Piano Man」を始め、「Excition」「New York Hilton」「Steppin' Into Beauty」の4枚を、集中して1977年に録音している。生涯を通じては、約20枚程度のリーダー作を世に送り出しているようだ。
 

Piano-man-hilton-ruiz

 
基本的には、アフロキューバン・ジャズの系列のピアノなので、オーセンティックな純ジャズもやるが、個性が最大限に活かされるのは、ラテン・ジャズなナンバーだろう。このアルバム冒頭のルイす作「One for Hakim」を聴けば、それが良く判る。左手の和音の響きが明らかに「ラテン」で、よく回る右手のシングルトーンがこれまた「ラテン」。リズム&ビートもやはり「ラテン」。

オーセンティックな純ジャズもやる、という面は、2曲目のデューク・ジョーダン作の「Misty Thursday」を聴けば明らか。スローなバラードチックな佳曲であるが、「ラテン」など何処へやら、リリカルで耽美的、ファンクネス皆無な欧州的ジャズ・ピアノの音と正統な純ジャズの切り口で、切々と弾き進められる。ここで、特徴的なのは、ルイスのピアノのテクニック。確かで確実な指捌きは素晴らしい。

バックのリズム隊に、バスター・ウィリアムスのベースとビリー・ヒギンスのドラムを配しているところも、この盤の内容をグッと引き締めている。ラテンなジャズにしろ、オーセンティックなジャズにしろ、この2人のリズム隊が堅実にガッチリとリズム&ビートを固めている。

ラテンあり、オーセンティックあり、内容は多様性に富んでいる。いかにも、1970年代の純ジャズらしい、欧州ジャズらしいピアノ・トリオ盤である。
 
 
 
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2021年11月26日 (金曜日)

I Sing The Body Electric 再び

ウェザー・リポートは、当初は「コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが、違和感無く効果的に融合したエレ・ジャズ」を志向していた。ファンクネス、ポップな要素は皆無、ストイックでモーダルなパフォーマンスが爽快感抜群な「コンテンポラリーなジャズの職人集団」だった。

Weather Report『I Sing the Body Electric』(写真)。1971年11月のスタジオ録音と1972年1月13日の「東京・渋谷公会堂」でのライヴ録音。アルバム後半3曲のライブ録音にはこのアルバムに収録するため編集が施されている。ちなみにパーソネルは、Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (sax), Miroslav Vitouš (b), Eric Gravatt (ds), Dom Um Romão (perc)。

この盤は、デビューアルバムで提示した「コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが、違和感無く効果的に融合したエレ・ジャズ」が、ほぼ完璧に成熟している。まず、前半の4曲、LPで言うと「A面」の4曲はスタジオ録音なのだが、いずれの楽曲もその完成度は高い。
 

I-sing-the-body-electric_1

 
そして、この盤の「聴きもの」は、後半の3曲、LPで言うと「B面」の3曲。「Medley: Vertical Invader / T.H. / Dr. Honoris Causa」
「Surucucú」「Directions」。これは、「東京・渋谷公会堂」でのライヴ録音をLPのB面に収める為に編集を施したもの。編集ものでありながら、限りなく自由度の高い「エレクトリックなモード・ジャズ」が凄まじいばかりの迫力で迫ってくる。

限りなくフリー・フォームに近いが、演奏の底で「しっかりとした約束事と規律」をキープしたモード・ジャズは、実にスリリング。そんなスリリングでストイックなジャズを「エレクトリック」でやる。当時として「最先端」のジャズだったと思うし、逆に、これ以上の「エレクトリックなモード・ジャズ」は無いのでは無いか、とも思う。

そういう意味で、この盤は「アーシー+ファンクネス」を導入する前の、ストイックなメインストリーム・ジャズ志向のウェザー・リポートのピークを捉えた盤だと僕は評価している。ウェザー・リポートのアルバムの中で、あまり取り上げられない地味な盤であるが、どうして、その内容は限りなく充実している。もっと評価されて然るべき名盤だと僕は思う。
 
 
 
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2021年11月25日 (木曜日)

『Weather Report』を聴き直す

僕がジャズを聴き始めた頃、お気に入りのバンドは、Weather Report(ウェザー・リポート)。オーストリア出身のJoe Zawinul (key)、米国出身のWayne Shorter (ts)、チェコ出身のMiroslav Vitoušに (b) によって設立された(当初は共同主導)、エレクトリックな純ジャズ・バンドである。クロスオーバー&フュージョンなバンドとする向きもあるが、採用されたリズム&ビート、アドリブ・フレーズ展開の志向から、エレ楽器を活用した、メインストリームな純ジャズと解釈した方が判り易い。

『Weather Report (1971)』(写真)。1971年2-3月の録音、1971年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (key), Wayne Shorter (ss), Miroslav Vitouš (b), Alphonse Mouzon (ds, vo), Airto Moreira (perc)。今から思えば、凄いメンバーが集結したもんだと改めて思う。このメンバーで、いきなりエレ・ファンクに走らなかったのは、ベースのビトウスの存在が大きかったのだろう。

冒頭の「Milky Way」で度肝を抜かれる。シンセのホワイト・ノイズの浮遊感を最大限活かして、天の川のイメージを表現している。途中で、ショーターのソプラノが「プッ」と鳴って、流れ星を表現している様だ。こんな演奏を先進的なエレ・ジャズ盤の先頭に持ってこられるとは。自然(ネイチャー)というか牧歌的というか、ザヴィヌルの「In a Silent Way」の延長線上の音世界。
 

Weather-report-1971_20211125202001  

 
2曲目「Umbrellas」から、疾走感溢れる、コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズが展開される。ファンクネスは皆無。切れ味良い、スピード感溢れるモーダルなフレーズが出てくる出てくる。リズム&ビートはポリリズムックな8ビート。このファンクネスが皆無なところが、マイルスのエレ・ジャズと一線画するところ。チェコ出身のベーシスト、ヴィトウスの存在感が大きい。エレ・マイルス、エレ・チック、エレ・ハービーとは全く異なるエレ・ジャズでのアプローチ。

5曲目「Morning Lake」、6曲目「Waterfall」は、ザヴィヌルが名曲「In a Silent Way」で、ショーターも名盤『Odyssey of Iska』で表現していた、延長線上の自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズの世界。シンセとソプラノ・サックスで、音の広がり、幽玄さを上手く表現していて、とても良い内容の名演に仕上がっている。ショーター単独作の「Tears」「Eurydice」は、ショーターお得意の「コズミック・ジャズ」の音世界。

コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが違和感無く、効果的に融合した、エレクトリック・ジャズの名盤だと思う。マイルス、チック、ハービーのエレ・ジャズとは、完全に一線を画する、今から振り返ると、欧州的な、ECMライクなエレ・ジャズである。この盤にある「エレ・ジャズ」は、今の耳にも唯一無二である。
 
 
 
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2021年11月24日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・222

ブルーノート・レーベルが、他のレーベルと比べて優れているのは、1950年代〜1960年代のジャズ・シーンを俯瞰的に見て、売れ筋で無いにしろ、その時代のジャズのトレンド、ジャズの個性を踏まえた、ジャズマンのチョイスとリーダー作の制作にある。ブルーノート・レーベルの諸作をカタログ順に聴くだけで、1950年代〜1960年代のジャズの歴史が判る、と言われるのは、まさに「言い得て妙」。

その20年間のジャズのトレンド、演奏スタイルの全てが押さえられている。後に有名となるジャズマンがチョイスされていない、という指摘もあるが、それはそのジャズマンが「ジャンキー(麻薬常習者)」だったからだろう。ブルーノート・レーベルは「ジャンキー」を基本的にチョイスしなかった。

Leo Parker『Let Me Tell You 'Bout It』(写真左)。1961年9月9日の録音。ブルーノートの4087番。ちなみにパーソネルは、Leo Parker (bs), John Burks (tp), Bill Swindell (ts), Yusef Salim (p), Stan Conover (b), Purnell Rice (ds)。リーダーのレオ・パーカーのバリトン・サックス(バリサク)とトランペット、テナー・サックスのフロント3管の重厚なセクステット編成。
 

Let-me-tell-you-bout-it

 
セクステットのメンバーを見渡すと、メインストリームなジャズ畑にはいない、通常のジャズ者から見れば「知らない名前」ばかりが並んでいる。リーダーのレオ・パーカーは、バップを始める以前はR&Bバンドに参加してたという。メンバーはR&B系のミュージシャンがメイン。そう、この盤、ビ・バップとR&Bが混在した様な音世界。これが実にユニーク。純ジャズなハードバップとはちょっと雰囲気が異なる、ビートの効いた、どこかダンサフルでソウルフルな「バップ」。

そして、レオ・パーカーの担当楽器のバリサクの音がこれまたユニーク。テナーよりも低い、重低音が鳴り響く大柄なサックスなんだが、この音がこれまた、こってこて「ファンキーでソウルフル」。重低音を担当する楽器なので、速いフレーズが苦手、そして、ピッチが緩みがち。緩みそうで緩まずバリバリ吹きまくる。そんな「スリリングなユルユル感」がたまらない。R&Bなダンサフルなフレーズが織り込まれたバリサクは唯一無二。

こんなR&B系のメンバーが奏でるジャズをしっかり記録しているところが、実にブルーノートらしい。音作りも、R&B系のポップなジャズにも関わらず、実にブルーノートらしい、正統派なガッチリ整った「ジャズの音」に仕上げている。レオ・パーカーのバリサクのテクニックも優秀。バリサクを楽しめる盤としてもこの盤はお勧めである。
 
 
 
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2021年11月23日 (火曜日)

ヴィーナスの硬派な純ジャズ・3

ヴィーナス・レコードについては、コマーシャル先行、懐メロ志向のアルバム作りがメインのような誤解があるみたいだが、カタログ順に、ヴィーナス・レコードのアルバムを聴き進めて行くと、確かに、コマーシャル先行、懐メロ志向のアルバムもあるが、本来の硬派なジャズ・レーベルの志向もしっかりあることが判る。この硬派な部分のアルバムが結構、興味深い内容なのだ。

The Moffett Family Jazz Band『Magic of Love』(写真左)。1993年10月2日、NYの「R.P.M. Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Mondré Moffett (tp), Charles Moffett, Jr. (as, ts), Charnett Moffett (b), Codaryl "Cody" Moffett (ds), Charles Moffett, Sr. (ds, vib), Charisse Moffett (vo)。米国ジャズ界の有名ファミリーである、モフェット・ファミリーの総出演の好盤。

むっちゃ硬派で実直な「ネオ・ハードバップ」な内容である。甘いところ、ポップなところは全く無い。聴き手に迎合するアプローチも一切無い。硬派でストイックな、コンテンポラリーな純ジャズである。アフリカン・ネイティヴな響きもそこかしこに感じられ、単純な懐古趣味なハードバップでは無い、ワールド・ミュージック志向のアフロ・ジャズな雰囲気が心地良いアルバムである。
 

Magic-of-love_1

 
ビートの効いた純ジャズ・ファンクな「Peace On My Mind」、父親のチャールス・モフェットの、乾いたファンクネスを纏ったヴァイブの音が芳しい、エキゾチックな雰囲気漂う「My Shirley Jean」、娘のシャリース・モフェットによる、躍動感溢れるアフロチックな女性ヴォーカルが入った「Magic Of Love」など、アフロな響きを宿したコンテンポラリーな純ジャズ風の演奏に耳を奪われる。

バンド全体をリードし、リズム&ビートを締めているのが、息子のチャーネット・モフェットのベース。ブンブンとソリッドな心地良い重低音を響かせながら、堅実で正確なリズム&ビートを供給、音色の変化でバンド全体にチェンジ・オブ・ペースを促し、しなるような弦の弾きで、フロント2管を鼓舞する。グイグイ引っ張るような、チャーネットの骨太なベースの音がとても印象的。

ネットでもジャズ盤紹介本でも全く話題に上がらない盤ではあるが、内容は濃い。純ジャズ復古後のネオ・ハードバップとして、真摯でストイックな内容のアフロ・ジャズである。モフェット・ファミリーの演奏能力は高く、全編に渡って、安心して聴き込むことが出来る。ヴィーナス・レコード独特の個性溢れる録音も良い感じ。隠れ好盤である。
 
 
 
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2021年11月22日 (月曜日)

ヴィーナスの硬派な純ジャズ・2

昨日のブログの冒頭にも書いたのだが、ヴィーナス・レコードには、しっかりとしたコンテンポラリーな純ジャズ風の、内容の確かな盤も結構ある。米国以外の欧州ジャズ系の、日本ではほとんど知られていなかった優秀なジャズマンにも、リーダー作の機会を作って、なかなかの好内容の盤をリリースしている。確かに、コマーシャル先行、懐メロ志向のアルバム作りの傾向もあるが、反面、本来の硬派なジャズ・レーベルの志向もあるということは理解しておく必要はあるだろう。

The Jacky Terrason Jazz Trio『Lover Man』(写真)。1993年11月18&19日、NYの「Clinton Studio "A"」での録音。ちなみにパーソネルは、Jacky Terrasson (p), Ugonna Okegwo (b), Leon Parker (ds)。1993年の「セロニアス・モンク・コンペティション」で優勝した逸材ピアニストのトリオ演奏。テラソンの初リーダー盤。

冒頭、ダイナミックなアレンジが施された「Donna Lee」の、テラソンのバリバリ弾きまくるバップなピアノに度肝を抜かれる。フレーズのアクセントの置き方が独特で、モンクのアクセントで高速バップなフレーズを弾きまくる、とでも形容したら良いだろうか。縦揺れでスクエアなスイング感が独特な雰囲気を醸し出している。
 

Lover-man_1

 
そんな独特な個性のテラソンのピアノに、次の『Nardis』では、さらに度肝を抜かれる。耽美的でモーダルなバップ・ピアニスト、ビル・エヴァンスの演奏がスタンダードな名曲だが、テラソンは、縦ノリでスクエアなスイング感溢れる「バップなイメージ」で、モーダルなフレーズをガンガンに弾きまくる。これ、当時、むっちゃ新鮮だった。

高速バップなピアノであるが破綻は全く無い。高速バップなピアノで、モーダルなフレーズを弾きまくるので、一方では「弾き過ぎ、アレンジのし過ぎ」なんて評価もあったくらいだ。別にモーダルな演奏は高速フレーズであってはならない、なんてことは無いので、やはり、テラソンの独特な個性をポジティヴに捉えて、この盤に充満する「新しい響き」に耳を傾けるのが正解だろう。

と、僕は感じているのだが、ネット上でもジャズ盤紹介本でも、このテラソンの『Lover Man』について、コメントしているジャズ者の方々が本当に少ないのは意外だった。あまり、皆、聴かないのかなあ。ヴィーナス・レコードからのリリースということで、意外と皆、先入観優先でスルーしているのかも知れない。「高速バップなピアノで、モーダルなフレーズを弾きまくる」って、面白いと思うんだがなあ。
 
 
 
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2021年11月21日 (日曜日)

ヴィーナスの硬派な純ジャズ・1

ヴィーナス・レコードは、硬派なジャズ者の方々から、どうにも評判が悪い。「昔の名前で出ています」的アプローチで、1950年代から1960年代に活躍したベテラン級のジャズマンをスカウトして、当時、絶対しかなったであろうスタンダード曲をハードバップ風に演奏させたりするから、「金の力で、ベテラン級ジャズマンにスタンダード曲を演奏させる」と硬派なジャズ者の方々はカンカン(笑)。

本当のところはそうでは無かった様ですが。それでも、確かに、このジャズマンがどうして今、スタンダード曲でハードバップをやるのか、という盤もあるにはありました。しかし、しっかりとしたコンテンポラリーな純ジャズ風の、内容の確かな盤も結構あるんですよね。そういう面については、ヴィーナス・レコードについても評価してあげないと、と思っています。

Lonnie Smith Trio『Foxy Lady - Tribute To Jimi Hendrix』(写真左)。1994年3月19日、NYの「Sound Designer Studio」での録音。ヴィーナス・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Lonnie Smith (org), John Abercrombie (e-g), Marvin "Smitty" Smith (ds)。早逝の天才ロック・ギタリスト、ジミ・ヘンドリックス(ジミヘンと略)の曲を題材にした「トリビュート盤」。
 

Foxy-lady

 
ロニー・スミス(写真右)のオルガンは「アグレッシヴでプログレッシヴ」。ファンキーでポップな「甘い」要素はほとんど無い。そんなロニーが、ロックギタリストとして最も「アグレッシヴでプログレッシヴ」なジミヘンの楽曲をカヴァーする。誰の発想なのか判りませんが、なかなかの企画だと思うんですね。しかも、相棒となるギタリストが「アグレッシヴでプログレッシヴ」なジャズ・ギタリストのアバークロンビー。ドラムが「アグレッシヴでプログレッシヴ」なドラマー、スミッティースミス。

このトリオ編成を思い立った人って凄いと思う。ジミヘンのカヴァー演奏に最適なトリオ編成。ジミヘンの楽曲が持つ「アグレッシヴでプログレッシヴ」そして「サイケデリック」な響きを上手く、ジャズ演奏の中で表現していて感心することしきり。しかも、しっかりコンテンポラリーなジャズしていて、硬派なエレ・ジャズとしても秀逸な内容。思わず、これって、ヴィーナス・レコードからのリリースなの?、とレーベルを見直してしまう。

興味深いのは、ロニー、アバークロンビー、スミッティースミスのトリオ、そして、ジミヘンのカヴァー、と、とことん「アグレッシヴでプログレッシヴ」なんだが、ヴィーナス・レコードの深いエコーの録音と耽美的な音作りが、この「尖り」を、ちょっとジェントルな「尖り」にしていて、最終的に聴き易いレベルでの「尖ったコンテンポラリーなエレ・ジャズ」に落ち着いているところ。トリオの個性とレーベルの個性のマッチング良好な佳作である。
 
 
 
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2021年11月20日 (土曜日)

丁抹のクロスオーバー・ジャズ

さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫である「SteepleChase」。このレーベル、当初は、米国から欧州に移住してきた、ハードバッパーな一流ジャズマンを中心に、1970年代の上質なハードバップを録音してきたのだが、しばらくして自信を付けたのか、独自の感覚で、レーベル独特のジャズマンをチョイスしてリーダー作を制作させている。

Coronarias Dans『Visitor』(写真左)。1973年7月と11月、コペンハーゲンの「Rosenberg Studio」での録音。Steeplechaseレーベルの SCS1032番。ちなみにパーソネルは、Peter Friis Nielsen (b), Ole Streenberg (ds), Claus Bøhling (g), Kenneth Knudsen (key)。Coronarias Dans(コロナリアス・ダン)とはグループ名である。

コロナリアス・ダンは、デンマークのジャズロック&クロスオーバー・ジャズのバンド。1969年のバンド設立で、もともとは、サイケデリック・ロックに近い音だったらしい。アルバムのリリースは、デビュー盤の『Breathe』と、今回ご紹介する『Visitor』の2枚のみ。音的には、ジャズロックというよりは、創造性を優先するアグレッシヴなアプローチが散見される、クロスオーバー・ジャズに近いテイストである。 
 

Visitor-coronarias-dans_20211120213301
   

 
冒頭の「Se Det」を聴けば、それが良く判る。フェンダー・ローズの使い方は、チックやキースの如く。但し、リズム&ビートにファンクネスは希薄。なるほど、デンマーク出身のバンドの音である。エレベのウォーキング・ベースがとってもスインギー。このバンドの音が「ジャズ」に立脚していることが理解出来る。

2曲目の「Morning」は、浮遊感漂う幽玄なエレピの音と、自由度の高いドラムの疾走。そこに切り裂くように入る、エフェクトをかけたエレピとエレギの旋律、おどろおどろしいベースの音の動き。これはエレクトリックなフリー・ジャズだ。印象的なベース・ソロあり、4曲目「Don't Know」では、攻撃的でクロスオーバーなエレギのソロが迫力をもって迫ってくる。

キーボードの音はチックの様であり、ザヴィヌルの様な響きもあり、エレギの音はマクラフリンの様でもあり、コリエルの様でもあり。先行するエレ・ジャズ、クロスオーバー・ジャズの要素をしっかり踏まえて、独自の音を創り出しつつあった、デンマーク発のジャズロック&クロスオーバー・ジャズがこの盤に詰まっている。個性的であるが故に、この盤でリリースが途絶えたのが残念である。
 
 
 
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2021年11月19日 (金曜日)

今も新鮮なジャズ・オルガンの音

Baby Face Willette(ベイビー・フェイス・ウィレット、以降「ベイビー・フェイス」と略す)というオルガン奏者の存在を知ったのは、ブルーノート・レーベルのRVGリマスターの紙ジャケ・リイシューの時である。それまで、全く知らなかった。初めて知った時は「ふざけた名前やなあ」なんて思ってスルーしていた。

が、オルガン・ジャズの特集本を入手し、オルガン・ジャズを真剣に聴くようになってからは、ベイビー・フェイスの名前は、僕のお気に入りのオルガン奏者になった。ベイビー・フェイスのオルガンは「プログレッシヴでストイック」。オルガン・ジャズと言えば、こってこてのファンクネスを滴らせながら、ソウルフルな黒い音を想起するのだが、ベイビー・フェイスはそうでは無い。

Baby Face Willette『Stop and Listen』(写真左)。1961年5月22日の録音。ちなみにパーソネルは、Baby Face Willette (org), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。ベイビー・フェイスのオルガン(ベースも兼ねる)をメインに、パッキパキなファンキー・ギタリストのグラント・グリーンと、ベイビー・フェイスと「馬が合う」ドラマー、ベン・ディクソンとのトリオ編成。
 

Stop-and-listen

 
収録曲に、ブルージーでマイナー調な有名スタンダード曲「Willow Weep for Me」と、ファンキーでゴスペルチックな、人気のミュージシャンズ・チューンである「Work Song」が入っているのだが、この2曲を聴けば、ベイビー・フェイスのオルガンが、いかに「プログレッシヴでストイック」であるかが判ると思う。

ベイビー・フェイスのオルガンの音は「シンプルでストレート」。レスリー・スピーカーなどで音を拡げたり、ノイジーにしてファンクネス度を高めることは全く無い。ベイビー・フェイスのオルガンのファンクネスは「フレーズ展開の中」でのファンクネス。ファンクネスを増幅することは無いので、オルガンの音は意外とあっさりしている。そして、アドリブ・フレーズは意外と攻撃的。改めて、クールで先進的なオルガンだったと思い知る。

21世紀に入ってからのジャズ・オルガンは「ストイックでシンプルな」オルガンがトレンドになっている。それら21世紀のジャズ・オルガンの音を聴く度に、ベイビー・フェイスを思い出す。ジャズ・オルガンの神様「ジミー・スミス」をフォローすることの無い、唯一無二なベイビー・フェイスのジャズ・オルガン。その先進性とストイック度は癖になる。今の耳で聴いても「新鮮なジャズ・オルガンの音」である。
 
 
 
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2021年11月18日 (木曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・10

ジャズ名盤とは何か。僕が思うに、その盤を聴くことで、ジャズの歴史を感じることが出来、ジャズの個性を感じることが出来る。そして、そのリーダーの個性が手に取るように理解出来、サイドマンの演奏が優秀。加えて、ジャケット・デザインが秀逸であること。いわゆる「ジャズが音楽の総合芸術であること」を実感できる盤が「ジャズ名盤」だと思うのだ。

Sonny Rollins『Saxophone Colossus』(写真左)。1956年6月22日、Prestigeレーベルからのリリースだが、この盤はブルーノートと同じ「Van Gelder Studio」での録音になる。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Tommy Flanagan (p), Doug Watkins (b), Max Roach (ds)。リーダーのソニー・ロリンズのテナー・サックス1管がフロントの「ワン・ホーン・カルテット」編成である。

まず、ジャケットを見て欲しい。青のモノトーンをバックに、テナー・サックスを吹くソニー・ロリンズの上半身のシルエット。そして、ジャケットの下に小粋なタイポグラフィー。ジャズのジャケットやなあ〜、と感心するし、盤の中の音が漏れ聴こえて来る様な秀逸なデザイン。良く見れば、凄くシンプルな、1つ間違えば陳腐に落ちるデザインなんですけどね〜。特にLPサイズは「映える」。やはり、名盤には優秀なジャケットが良く似合う。
 

Saxophone-colossus

 
内容的には申し分無い、非の打ち所の無いハードバップな演奏が詰まっている。出だしが、マックス・ローチのドラムソロ。大先輩にトップバッターをお願いするリーダー・ロリンズの謙譲心。それはともかく、全編に渡って、リーダー・ロリンズのテナーの、イマージネーション溢れるパフォーマンスが群を抜いている。ダンディズム溢れる大らかで創造的なアドリブは聴き応え満点。

サイドマンでは、フラナガンのピアノが素晴らしい。もともとはバップなピアノをバリバリ弾くタイプのピアニストなんだが、ロリンズのテナーの個性を十分に理解して、歌伴の如く、小粋で味のあるバッキングに徹しているところニクい。全編に渡って、ロリンズの「歌伴」に徹したフラナガンのピアノが聴き終えた後、ロリンズのテナーの次に印象にしっかり残っている。

そして、ラストの「Blue 7」に、ジャズのアーティスティックな面を垣間見る。ブルーな雰囲気を持つ、モダンでクールなブルース。ファンクネスは抑制され、観念的、かつ哲学的な響きが不思議な感覚。結構複雑な展開の楽曲だが、それぞれの楽器の即興演奏は見事。即興演奏であるが故、演奏上の小さなハプニングが記録されているが、それまでもがこの演奏の良いスパイスに響くから面白い。このラストの1曲が実にジャズらしいのだ。|
 
 
 
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2021年11月15日 (月曜日)

グリーンのギターに惚れ惚れ

Grant Green(グラント・グリーン)。この人のギターは癖になる。ファンキーなジャズ好きなら絶対に填まる。パッキパキ硬質なピッキング。訥々と流麗なフレーズから溢れ出る「こってこてなファンクネス」。ファンキーでありながら、俗っぽさとは全く無縁のストイックな響き。シンプルな一本弾きでグイグイ出てくる「ノリの良さ」。

ブルージーでアーバンでムーディーな音が主流のジャズ・ギターの中で、グラント・グリーンのギターは個性が際立っている。従来のジャズ・ギターとは明らかに一線を画する、ファンキーでソウルフルなギター。後のクロスオーバー&フュージョン・ジャズのエレギに通じる様な、ポジティヴでアグレッシヴな弾きっぷり。唯一無二の個性派ギタリストである。

Grant Green『Grantstand』(写真左)。1961年8月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Yusef Lateef (ts, fl), Brother Jack McDuff (org), Al Harewood (ds), Ben Tucker (b)。ギターのグラント・グリーンをリーダーに、ユセフ・ラティーフのテナーがフロント1管の、ピアノの代わりにオルガンが入ったクインテット編成。
 

Grantdtand-grant-green

 
ファンキーなギターにはオルガンの音が良く似合う。この盤を聴く度にそう思う。グラント・グリーンのギターはシングルトーンで、ややもすれば、旋律弾きの線が細くなる傾向にあるところを、今回はテナー・サックスを旋律楽器のお供に採用して、きっちりカヴァーしている。が、グラント・グリーンは、そんなテナーの存在など関係無しに、自分の個性的なギターをパッキパキと弾き上げている。グラント・グリーンのギターは、良い意味で「唯我独尊」である。

ただこの盤でのテナーが、当時、新進気鋭のラティーフで、ラティーフ独特の個性的な「こじらせテナー」を吹いているので、グラント・グリーンのギターの個性にフィットしていたかどうかは、ちょっと疑問ではある。ラティーフのテナーが、伝統のジャズからちょっとはみ出した、独特な個性的テナーであるが故、ラティーフのテナーの存在が演奏全体の中で浮き気味なのが惜しい。

「シンプル・イズ・ベスト」という形容がピッタリのグリーンのパフォーマンス。変に装飾を加えず、フレーズの引用も控えて、独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなギターだけを弾きまくる。グリーンとマクダフが、どこか和みながら、楽器を通じて語り合うようなフレーズの交歓を聴いていると、思わず「ジャズってええなあ」と思ってしまう。
 
 
 

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2021年11月14日 (日曜日)

デックスのブルーノート第2弾

ジャズ盤って、実年齢やジャズ鑑賞の経験年数によって、志向がどんどん変わってくる様に感じる。これって僕だけなのかなあ。年齢を重ねることによって、ジャズの演奏スタイルに対する許容量が増え、ジャズ鑑賞の経験年数が増えるに従って、古いスタイルのスイングやビ・バップも「イケる」様になった。

僕がジャズを聴き始めた頃は、フュージョン・ジャズの大ブーム真っ只中。もともと、プログレッシヴ・ロックや米国西海岸ロックを聴いていただけに、アコ楽器のみの旧来の純ジャズはちょっと苦手。アコ楽器のみの純ジャズであれば、モード・ジャズは良いが、1950年代の古いタイプのハードバップはちょっと苦手だったなあ。

Dexter Gordon『Dexter Calling...』(写真)。1961年5月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon (ts), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。テナー・サックスのレジェンド、デクスター・ゴードン(愛称:デックス)がフロント1管の「ワン・ホーン・カルテット」。ピアノに漆黒のファンキー・ピアノのドリュー、リズム隊にポルチェンとフィリージョー。
 

Dexter-calling

 
ジャズを聴き始めた頃、デックスの大らかで、ちょっと茫洋とした、スケールの大きいテナーが苦手だった。掴みどころが無いというか、何か普通のあまり先進的で無い「古いテナー」を聴いているいう感じが、どうにも「イケない」。デックスのテナーが味わい深く、滋味溢れる、味のあるテナーとして聴ける様になったのは、40歳を過ぎてからである。

この『Dexter Calling...』は、デックスのブルーノート第2弾。気合いが入っていて、収録曲の半分が自作曲。まず、この自作曲におけるデックスの吹きっぷりが堂々としていて立派。聴き応え満点のテナー。そして、スタンダード曲に対する解釈とアレンジが抜群で、デックスの「大らかで誠実でどこか哀愁感漂う」テナーの個性が前面に押し出てくる様は、思わずじっくり聴き入ってしまう。

1961年から1964年までのブルーノートのデックスの諸作については、RVG紙ジャケのリイシュー時に一気に聴き直して、デックスのテナーがお気に入りになった。大らかで、ちょっと茫洋とした、スケールの大きいテナーが、味のある、小粋で、ダンディズム溢れるテナーであることに気が付いて、それから、デックスのリーダー作を、折につけて漁るように聴き続けている。
 
 
 
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2021年11月13日 (土曜日)

レイジのブルーノート・デビュー盤

Julian Lage(ジュリアン・レイジ)。数々の有望新人を発掘してきた、ヴァイブのゲイリー・バートンが新たに発掘した天才ギタリスト。僕は、2016年頃から注目し始めたので、レイジのギターに着目してから、かれこれ5年になる。

パット・メセニーの様でもあるが、ジョンスコの様でもある。が、官能的な「くすんだ音色」と「前のめりでアグレッシブなフレーズ」は、ジュリアン・レイジの独特の個性。テクニックはもちろん卓越したもの。

そんなレイジも、1987年生まれなので、今年で34歳。若手を通り越して、立場的には、ジャズ界の「中堅」になる。アタッチメントを駆使したくすんだ伸びのあるフレーズ。音の芯がしっかりしていて、紡ぎ出すフレーズに揺るぎは無い。速弾きなどのテクニックに頼らず、ミッドテンポで、それぞれの収録曲の持つ美しい旋律を浮かび出させるように、ゆったりと堅実に弾き進めていく。僕は、このレイジのエレギの音が大好きだ。

Julian Lage『Squint』(写真左)。2021年8月のリリース。ちなみにパーソネルは、Julian Lage (g), Jorge Roeder (b), Dave King (ds)。ジュリアン・レイジのブルーノート・デビュー作になる。リーダーのレイジのギター1本がフロントの、シンプルでピアノレス、ホーンレスなトリオ編成。レイジのギター一本でフロントを張るとは、全く以て、ポジティヴでアグレッシヴなギタリストである。
 

Squint_julian-lage

 
トリオ編成とは言え、全編に渡ってトリオ演奏するのでは無く、ギターソロのパートあり、ドラムとのデュオあり、三者一体となったトリオ演奏あり、三者三様のインタープレイあり。全編に渡って、変化に富んでいて、あっと言う間に聴き終えてしまうくらいの充実度。ローダーのベース、キングのドラム、共に素姓は確か、堅実かつエモーショナルなリズム&ビートを供給する。

三者一体となった硬派でストイックなモード演奏あり、どこか郷愁を誘う「古き良き米国ルーツ・ミュージック」を踏まえた耽美的な演奏あり、感情移入が好ましい「静的でスピリチュアルな」演奏あり。レイジのエレギの音は「明るくて骨太でポジティヴ」。エレギの音は、従来のロックの音なんだが、出てくるフレーズは、ジャジーであり、ブルージーでなのだから面白い。

ジャズをはじめ、ロック、ブルース、カントリーなど、米国ルーツ・ミュージックの音要素もふんだんに引用し、音楽ジャンルを越え、融合した音世界はこの盤でも健在。そう、この米国ルーツ音楽の引用が良い雰囲気、醸し出しているだよな〜。

ジャズ・ギタリストについては、ギラッド・ヘクセルマン、カート・ローゼンウィンケルらと併せて、人材豊富な時代になった。喜ばしいことである。
 
 
 
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2021年11月12日 (金曜日)

スティープルチェイスのモード盤

知る人ぞ知る、地味な存在だが、「端正」「整然」「穏健」と三拍子揃った個性派テナー奏者であった「クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)」。ブルーノート・レーベルからリーダー作の機会を与えられ、3枚のリーダー作をリリース。ブルーノートを離れて、1960年代は他のレーベルを転々とし、1975年には集中して、Steeplechaseレーベルからリーダー作を5枚リリースしている。

Clifford Jordan and Magic Triangle『Firm Roots』(写真左)。1975年4月18日、西ドイツ(当時)のミュンヘンは「Trixi Ton」スタジオでの録音。Steeplechaseレーベルの SCS1033番。ちなみにパーソネルは、Clifford Jordan (ts, fl), Cedar Walton (p), Sam Jones (b), Billy Higgins (ds)。シダー・ウォルトンのピアノ・トリオをリズム・セクションに、ワンホーン・カルテットの編成。

「Magic Triangle」って何だ、と思ってパーソネルを見たら、シダー・ウォルトン、サム・ジョーンズ、ビリ−・ヒギンスのトリオのことを指すらしい。まあ、どうでも良いことなんだが、クリフォード・ジョーダンのテナーの個性がジックリと楽しめる「ワン・ホーン」カルテット。1975年での、欧州ジャズのレーベルである「Steeplechase」からのリリースだが、ジョーダンのテナーの音は、1957年のデビュー当時と全く変わらないから嬉しい限り。
 

Firm-roots

 
どういう経緯で録音に至ったかは判らないが、リーダーのジョーダン含め、米国東海岸でモーダルなジャズをやりまくっていた4人がわざわざ西ドイツ(当時)まで飛んで録音している。録音の音の雰囲気が十分に「Steeplechase」していて、この盤の内容としては「欧州のモード・ジャズ」という雰囲気で統一されている。1970年代の上質のモード・ジャズな演奏がこの盤に詰まっている。

バキバキ硬派でストイックなモード・ジャズ。コマーシャルな面や、聴き手に迎合するところは全く無い。欧州ジャズとしては、こういう硬派でストイックなモード・ジャズが、まだまだ「ウケた」のだろうか。モーダルなフレーズの中に、しっかりとしたグルーヴ感が備わっていて、純ジャズを聴いているなあ、モード・ジャズを聴いているなあ、という気分になる。これが心地良い。モーダルなジャズは「硬派でストイックなグルーヴ感」がマストである。

1975年と言えば、米国では、純ジャズは「マイナーな音楽」のレッテルを貼られ、クロスオーバー・ジャズがウケていた時代。さすが純ジャズを愛する欧州のジャズ・シーンである。そのお陰で、1970年代の「硬派でストイックなグルーヴ感溢れるモード・ジャズ」の音源が、こうやって確保されたのだから、ありがたいことだ。
 
 
 
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2021年11月11日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・96

Andrew Hill(アンドリュー・ヒル)は、ブルーノート・レーベルの総帥、アルフレッド・ライオンが見出した「最後の才能」。1963年録音の名盤『Black Fire』を皮切りに、1963年から録音から手を引いた1967年まで、4年間で8枚ものリーダー作をリリースした。それでも、ライオンは、アンドリュー・ヒルを第一線に送り出せなかったことを後悔しており、1980年代にブルーノートが復活した時、ライオンがまず始めたことはアンドリュー・ヒルを再び売り出すことだった。

Andrew Hill『Invitation』(写真)。SteepleChaseレーベルの SCS1026番。1974年10月17日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Andrew Hill (p), Chris White (b), Art Lewis (ds)。欧州の老舗レーベルでの録音だが、オール・アメリカンな「ピアノ・トリオ」での、ヒルのリーダー作になる。

ジャズ・ピアニストの個性を確認するには、ピアノ・トリオが最適だろう。ソロ・ピアノが最適、とする向きもあるが、ジャズ演奏の中でのパフォーマンスとして、ジャズ・ピアニストの個性を感じるには、ピアノ・トリオだろう。そういう面では、ヒルのブルーノート時代、ピアノ・トリオ編成のリーダー作は『Smoke Stack』一枚のみ。デビューしたての頃のパフォーマンスなので、まだ初々しさが抜けていない分、個性も少し抑え気味。
 

Invitation-andrew-hill

 
アンドリュー・ヒルのピアノは、一言でいうと「新時代のセロニアス・モンク」。判り易いモンクという感じの、予測可能な範囲で飛んだり跳ねたりするピアノ。「癖の強いピアノ」という表現がまずまずフィットする感じ。加えて、幾何学模様的にスイングするような「捻れ」が個性。この個性が、SteepleChaseでの『Invitation』を聴くと、手に取るように判る。

ホワイトのベース、ルイスのドラムのリズム隊が、ヒルのピアノの個性に上手くついて行っている。これがこの盤の良さで、ヒルは気持ちよさそうに、個性的なピアノを弾きまくる。デビューした頃とは違った、余裕が感じられる「予測可能な範囲で飛んだり跳ねたりするピアノ」。ベースラインはパーカッシヴで、力感溢れる、パッキパキ硬派なモーダルなピアノである。

ヒルがSteepleChaseレーベルに残したリーダー作は、1970年代の2枚のみ。ヒルがどういう動機で、SteepleChaseレーベルにリーダー作を残したか判らないが、このピアノ・トリオ盤は「良い仕事」である。SteepleChaseレーベルでの録音なので、どこか欧州ジャズの響きと雰囲気が漂うところが、ヒルのピアノの個性を際立たせている。良いピアノ・トリオ盤だ。
 
 
 
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2021年11月10日 (水曜日)

ストリーミング解禁の「恩恵盤」

ジャズにおいて、アルバムのネット経由のストリーミング聴きについては、かなり恩恵があるように思う。LP時代にリリースされたが、CD時代にリイシューされなかった音源や、一度CDでリリースされたがその後、廃盤状態になったままの音源が、一定数ある。

そんな廃盤状態の音源が、気が付けば、ストリーミング聴きの「サブスク・サイト」に、さり気なくアップされていたりする。今まで長らく廃盤状態だった音源が、ストリーミングで気が付いたら、すぐに聴ける。これが実に助かるのだ。

ECMレーベルがストリーミング解禁になって久しいが、ECMレーベルの音源がカタログ順にほぼ漏れなくリイシューされたのにはビックリした。当初、何らかの理由でストリーミング解禁されなかった音源も、現在、気が付けば、ほぼ漏れなくリイシューされている。アップル・ミュージックなどは、音質については「ハイレゾ」対応していて、録音の良いECMの音源が良い音で聴くことが出来るので、まったく有り難いことである

Jack Dejohnette's Directions『New Rags』(写真)。1977年5月、独LudwigsburgのTonstudioでの録音。ECM 1103番。ちなみにパーソネルは、Jack DeJohnette (ds, p), John Abercrombie (el-g, el-mandolin), Alex Foster (ts, ss), Mike Richmond (el-b, ec-b)。リーダーのポリリズミックな職人ドラマー、ジャック・デジョネットがピアノも兼ねた、カルテットな編成。
 

New-rags

 
このアルバム、何を基準にLPで廃盤にしたのか、理由が判らないのだが、LPではリリースされたが、CDリイシューされなかった音源である。21世紀になって、ストリーミング配信されたのにはビックリ。なんせ40年振りくらいの「再会」である。

パーソネルを見渡すと、なんとECMらしい、渋い人選であることか。出てくる音は、やはりECMらしい「ニュー・ジャズ」な音か、と想像したら、なんと、硬派でストイックな、米国モード・ジャズの最先端の、限りなく自由度の高い、創造性豊かな音が出てくるのだから、またビックリ。ただ、音的には、音のエコー含めて、どこまでもECMで、この音源、ECMの音世界の中では、かなり異質な内容だと改めて思う。

キースの「アメリカン・カルテット」の音を想起させる様な内容なのだが、この盤では、ピアノレス・カルテットの演奏が、限りなく自由度が高くて凄まじい。フリー的な展開もところどころあるにはあるが、絶対にフリーには傾かない。あくまで、伝統の範囲内に留まった、限りなく自由度の高いモード・ジャズ・オンリーで疾走する。かなりハイレベルなメインストリーム・ジャズである。

ECMの中の「米国モード・ジャズ」の最先端の演奏。それでいて、音の質、音の雰囲気は「欧州ジャズ」。僕の中で約40年ほど、その存在すら忘れ去られていた盤ではあるが(ECMレーベルのカタログ本に辛うじて、その存在は記されていた)、その内容は、当時のメインストリーム・ジャズの一級品。秀作である。
 
 
 
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2021年11月 9日 (火曜日)

コニッツのソロ・パフォーマンス

ジャズは即興の音楽。ソロ演奏も「アリ」である。が、ソロ演奏には「向き不向き」の楽器がある。まず、ピアノは「向く」。旋律楽器、打楽器の両方の機能を持つピアノは「1人オーケストラ」ですら出来る楽器である。ソロ演奏にはバッチリである。逆に、管楽器は「不向き」。旋律楽器の機能しか無いので、リズム&ビートの供給が出来ない。

管楽器のソロ・パフォーマンスの場合、旋律を吹き上げる時、旋律を吹きながら、旋律の流れの中で、リズム&ビートを感じることが出来る様な吹き方をする必要がある。これが相当に難しい。アドリブ・フレーズを頭の中に思い浮かべつつ、アドリブ・フレーズを実際に吹く。これだけでも大変なのに、リズム&ビートを感じることが出来る様な吹き方を加えるのは至難の業だ。

Lee Konitz『Lone-Lee』(写真左)。1974年8月15日、コペンハーゲンでの録音。Steeplechaseレーベルの SCS1035番。ちなみにパーソネルは、Lee Konitz (as) のみ。リー・コニッツによる、アルト・サックスのソロ演奏である。収録曲は「The Song Is You」(収録時間 : 38:41) と「Cherokee」(収録時間 : 17:47)の2曲のみ。2曲とも長尺のソロ・パフォーマンスである。
 

Lonelee

 
サックスのソロ・パフォーマンスについては、僕は、1985年7月19日、ニューヨーク近代美術館におけるソロ・パフォーマンスを収録したライヴ盤、Sonny Rollins『The Solo Album』しか知らない。そして、このリー・コニッツの『Lone-Lee』は、ロリンズのソロ・ライヴ盤に比肩する、素晴らしい内容のソロ・パフォーマンスである。加えて、コニッツのソロ・パフォーマンスの優れたところは、収録された長尺の2曲は、共にジャズ・スタンダード曲である、ということ。

ロリンズの様に、思うがままに自由に旋律を吹き上げるのでは無い、スタンダード曲の旋律とコード進行をベースに、基となるスタンダード曲につながるアドリブ旋律を頭の中に想起し吹き上げる。そして、聴き手がリズム&ビートを感じることが出来る様に工夫しつつ、アドリブ・フレーズを吹き上げる。この2つの難題をコニッツは見事に解決している。

アルト・サックスのソロ演奏が延々と1時間弱続くので、通常のジャズ者の方々にはお勧めし難い、趣味性の高い優秀盤である。でも、このコニッツのパフォーマンスは素晴らしい。特に、フレーズを紡ぎ出していく、イマージネーションの豊かさについては脱帽である。アルト・サックスを吹く演奏家の方々には一聴をお勧めしたい逸品です。何気に、リー・コニッツって、凄いアルト・サックス奏者やなあ、と改めて思い直しました。
 
 
 
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2021年11月 8日 (月曜日)

スティープルチェイスのフリー盤

ジャキー・マクリーン(Jackie McLean)は、前進するアルト・サックス奏者だった。ハードバップ前期に第一線に躍り出て、人気ジャズマンとして、多くのリーダー作、サイドマンとしての参加作を残した。そして、ジャズの演奏スタイルの深化と多様化の時代に入ると、ハードバップから、モード、フリーと、変化を恐れず、演奏スタイルを自らが変化させていった。

Jackie McLean & Michael Carvin『Antiquity』(写真左)。1974年8月16日、コペンハーゲンでの録音。Steeplechaseレーベルの SCS 1028番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as, p, vo, bamboo-fl, bells, temple block, perc), Michael Carvin (ds, vo, temple block, bells, bamboo-fl, kalimba, perc)。マクリーンとカルヴィンがマルチ奏者として、デュオ演奏に臨んでいる。

マイケル・カルヴィンは、米国ヒューストン出身のジャズ・ドラマー。1970年辺りから頭角を現した「遅れてきた」純ジャズなドラマー。そのパフォーマンスは、当時の先端を行く正統なジャズ・ドラミング。しかし、当時、ジャズは斜陽の「ポップス音楽」となっていて、その優秀なドラミングがほとんど話題にならなかったのは気の毒であった。
 

Antiquity

 
マクリーンとカルヴィンがマルチ奏者して演奏しているので、基本は多重録音。グループでの一発録りの「切れ味とスピード感」に欠けるのは仕方の無いこと。但し、どちらも演奏テクニックは極上の一流ミュージシャンなので、録音されたパフォーマンスは水準点以上。特に、マクリーンの本業のアルト・サックス、カルヴィンの本業のドラムについては、その演奏内容は申し分無い。

この盤に詰まっているジャズは「フリー・ジャズ」そして「スピリチュアル・ジャズ」。1960年代のマクリーンのフリー・ジャズへのチャレンジはお世辞にも成功しているとは思えない演奏もあったが、この盤では、既にフリー・ジャズは一定の成熟を迎えているので、その成功例を基に、マクリーン&カルヴィンはまずまずのフリー・ジャズを展開している。が、どこか「安全運転」風な感じがするのは、多重録音であるが故の弱点かもしれない。

2人のボーカルも入っていて、その雰囲気は「スピリチュアル・ジャズ」。まあ、これはご愛嬌。スティープルチェイスの「スピリチュアル・ジャズ」は、どこか寝ぼけたようなボーカルが入っていることが多くて、これについては、Nils Wintherのプロデュースには疑問符が付くなあ(笑)。欧州ジャズらしいといえば、欧州ジャズらしい安全運転の「フリー・ジャズ」。あまり尖っていない分、どこか物足りなさが残る。
 
 
 
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2021年11月 7日 (日曜日)

スティープルチェイスの珍盤奇盤

「1970年代北欧のブルーノート」と称されたデンマークの名門ジャズレーベルである「スティープルチェイス」。デンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベルで、1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。

カタログを見ていると、さすが「1970年代北欧のブルーノート」と言われるだけあって、正統派なジャズ、いわゆるメインストリームな純ジャズが大半を占めていて、1970年代のハードバップの宝庫と呼ぶべき充実度である。そんな中で、あれっと思うような、内容のジャズも存在する。フリー・ジャズ、スピリチュアル・ジャズ、そして、エレ・ジャズな内容の「珍盤」があるから面白い。

Billy Gault『When Destiny Calls』(写真)。1974年10月29日の録音。Steeplechaseレーベルの SCS1027番。ちなみにパーソネルは、Billy Gault (p), Bill Saxton (ts), Billy Skinner (tp), James 'Fish' Benjamin (b), Michael Carvin (ds), Ellen Deleston, Joe Lee Wilson (vo)。NY出身の黒人ピアニスト、ビリー・ゴールトがリーダーのクインテット編成にボーカルが入る。
 

When-destiny-calls_1

 
冒頭の「The Time Of This World Is At Hand」の出だしから、妖しげで不確かなボーカルが入るから、思わず「オヨヨ」と思う。何だこれ、と思いながら聴き進めて行くと、華奢ではあるがパーッカシヴな、どこかで聴いた様な響きのピアノが入る。これって、この響きって「マッコイ・タイナーか?」と思う。フレーズは明らかにモーダル。冒頭の妖しげなボーカルと併せて、この盤、コルトレーン晩年のスピリチュアル・ジャズのオマージュと理解した。

ビル・サックストンのテナー・サックスが入ってきて、その印象は確信に変わる。確かに、この盤の音世界は「コルトレーン晩年のスピリチュアル・ジャズ」。その「コルトレーン晩年のスピリチュアル・ジャズ」から重量級の迫力を差し引いた、華奢で繊細なモーダルな演奏をベースに、スピリチュアルなジャズを展開している。が、こぢんまりした「コルトレーンのスピリチュアル・ジャズ」な印象に留まって、その音作りは成功しているとは思えない。

せめて、中途半端なボーカルは不要だったなあ。21世紀に入ってから「静的なスピリチュアル・ジャズ」が現れ出でるが、この盤の演奏自体が中途半端でテクニック不足な内容なので、どうにも中途半端な印象に留まってしまう。欧州ジャズがチャレンジした「コルトレーン晩年のスピリチュアル・ジャズ」の、まだまだこれからの貴重な記録として僕は聴いた。
 
 
 
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2021年11月 6日 (土曜日)

オルガン・ジャズの傑作&名盤

昨日のブログで、スタンリー・タレンタインのテナー・サックスはオルガンと相性が良い、と書いて、そう言えば、このジャズ・オルガンのレジェンドの強烈な音とアドリブ展開に負けずに、対等な立場で「タイマン」を張ったテナー・サックスって、タレンタインだったなあ、ということを思い出した。

Jimmy Smith『Midnight Special』(写真左)。1960年4月25日の録音。ブルーノートの4078番。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Stanley Turrentine (ts), Kenny Burrell (g), Donald Bailey (ds)。オルガンのレジェンド中のレジェンド、ジミー・スミスの大ヒット盤。テナーにタレンタイン、ギターにバレルという「漆黒ブルージー」な布陣。

この盤のジミー・スミスのオルガンは、限りなくダンディーで優しい。いつもはプログレッシヴでオフェンシヴなオルガンで、前へ前へ、前のめりに、圧倒的テクニックをもって、凄まじい迫力のアドリブ・フレーズを弾きまくるのだが、この盤は違う。圧倒的テクニックはそのままに、力強くも優しい印象的なフレーズを弾きまくる。とても美しく流麗なフレーズ。

ジミー・スミスのオルガンは、プログレッシヴでオフェンシヴであるが故に、ファンクネスは控えめなのだが、そこに、タレンタインの「こってこてファンキー」で「ドップリ漆黒ブルージー」なテナーが溶け込む様に入ってくる。スミスの切れ味良いオルガンが浮き出てきて、タレンタインのテナーのお陰で、バックのトーンは「アーバンな真夜中なファンクネス」一色に染まる。
 

Midnight-special

 
そんなバックのトーンに、これまた「アーバンでジャジー」なバレルのギターが参入する。スミスのオルガンとはまた違った切れ味の、ギター独特のフレーズが「お洒落で小粋なファンクネス」を付加する。このバレルにギターの参入が、今までのスミス盤に無い、特別なファンクネスの要素を供給する。

そして、ドナルド・ベイリーのドラムが、これまた良い仕事をしている。スミスの長年の相棒ドラマーは、スミスのそれぞれの弾き回し毎に、最適なリズム&ビートを供給する。スミスにとって、安心&安定のドラミング。

オルガン・ジャズを代表する名盤である。オルガン・ジャズを聴きたい、と言った向きにには、まずこの盤を聴いて頂きたい。この盤でのジミー・スミスのオルガンが、ジャズ・オルガンの「第一の基準」だろう。

この盤は売れたらしい。零細企業だったブルーノートの懐を潤したと聞く。それも納得の内容。オルガン・ジャズとして充実した内容を誇り、演奏の心地良さ、聴き易さ、歌心も抜群。これは売れるよな。スミスは、この盤の後、4100番の『Plays Fats Waller』にて、ヴァーヴ・レーベルに移籍する。この盤は、ブルーノートへの「売り上げ」の置き土産となったアルバムでもある。
 
 
 
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2021年11月 5日 (金曜日)

何とも微笑ましいエピソード

当時、カラー写真のジャケットは珍しい。しかも、お洒落なスーツを身を纏い、薔薇の花束を持っている。なんだか、趣味の悪いポップスLP盤のジャケットかな、と思うんだが、タイポグラフィーはしっかり決まっている。タイポグラフィーの決まり方から、まさかこれってブルーノートのアルバムなのと思う。

写真の「主」は、ジャズを聴き始めて4〜5年も経てば、すぐに判るはず。そう「スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine )」である。しかもタイトルが「最愛の人」。は〜ぁ、何だこの盤。とパーソネルを見れば、何となく理由が判ってきた。そう、この盤、当時の新婚ホヤホヤのタレンタイン夫妻に向けての、アルフレッド・ライオンからの「結婚のお祝い」盤なのだな、きっと(笑)。

Stanley Turrentine『Dearly Beloved』。1961年6月8日の録音。ブルーノートの4081番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Shirley Scott as Little Miss Cott (org), Roy Brooks (ds)。オルガンのシャリー・スコットは、契約上の問題で「リトル・ミス・コット」とクレジットされている。
 

Dearly-beloved

 
スタンリー・タレンタインとシャーリー・スコットは1961年に結婚している。1971年に離婚するまで、魅力的な内容の共演盤を多数残しているが、この盤はその最も初期のものだろう。もともと、スタンリー・タレンタインのテナーはオルガンと相性が良いのだが、この盤を聴いて判るのは、当時の細君、シャーリー・スコットのオルガンとの相性が抜群なのだ。息もピッタリ、アドリブ・フレーズの雰囲気も同傾向。はぁ〜、ご馳走様です(笑)。

スタンリー・タレンタインのテナーは、ややもすれば「ファンクネス過多」になりがちなのだが、意外とポップなスコットのオルガンがそれを「中和」している。ストレートなスコットのオルガンの音に、タレンタインが呼応しているようにも感じる。確かにこの盤のタレンタインは意外と「明るい」。ちょっと「ハッピー・スインガー」な要素が見え隠れして、聴き易くなっている。

ちなみに、ジャケットはシャリー・スコットに花を買っている嬉しそうなスタンリー・タレンタインのポートレイトだそうだ。ブルーノート・レーベルって「粋」なことするなあ。当時のスタンリー・タレンタインは、ブルーノートのハウス・ミュージシャンの位置づけ。総帥プロデューサーのライオンからすれば「家族同然」だったのだろう。何とも微笑ましいエピソードではないか。
 
 
 
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2021年11月 4日 (木曜日)

ルーさんとピアニストとの相性

ジャズマンは演奏で組む相手によって、そのパフォーマンスが変わることがある。相性の問題だとは思うんだが、その人と組むとある種の化学反応が起きて、通常よりも優れたパフォーマンスが展開されたりするのだ。だから、アルバムの初聴き時、聴く前にパーソネルを確認して、以前にその組合せによる優れたパフォーマンスの記憶があると、これは、と期待したりする。

Lou Donaldson『Gravy Train』(写真左)。1961年4月27日の録音。ブルーノートの4079番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Herman Foster (p), Ben Tucker (b), Dave Bailey (ds), Alec Dorsey (conga)。ブルーノートのお抱え、ベテランのアルト・サックス奏者ルー・ドナルドソン(愛称:ルーさん)がワン・ホーンのカルテット編成+コンガ。

ピアノ担当のハーマン・フォスター(Herman Foster)は、1928年フィラデルフィア生まれ、1999年に亡くなった盲目のジャズ・ピアニストである。彼の初期のキャリアは、ルーさんと切っても切り離せない。1950年代後半、ルーさんの複数の吹込みに参加し、その名を世に知らしめた。とにかく、ルーさんのアルト・サックスとの相性が抜群のピアニストである。
 

Gravy-train

 
この盤は、1958年12月録音の『Light-Foot』以来の、ルーさんの「ハーマン・フォスター再び」セッション。ハーマン・フォスターのリズム隊との相性は抜群。フォスターのピアノの手癖とルーさんのアルト・サックスの手癖との協調が、ファンクネスを増幅する。アレック・ドーシーのコンガも良いアクセントになっていて、増幅されたファンクネスにポップな雰囲気を付加していて、聴いていて楽しく明るい雰囲気。

ルーさんが気持ち良くアルトを吹き上げる快作である。ピアノをバックにしたルーさんのパフォーマンスとしては、このハーマン・フォスターとホレス・パーランが双璧だろう。それぞれのピアノが持つファンクネスと、アドリブ展開のテンポの波長があるのだろう。どこか旧来のスイング風のファンネスが漂う時はフォスター、どこか新しいモーダルなファンクネスが漂う時はパーラン。

この盤は、ピアノ・トリオをバックとしてのルーさんのアルト・サックス盤の完成形の様な内容。これだけ気分良く、アルト・サックスを吹き上げるルーさんは聴いていて見事。以降、ルーさんのバンド・サウンドの新しい工夫として、前作『Here 'Tis』で試したオルガンの導入に力点を移していく。
 
 
 
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2021年11月 3日 (水曜日)

無名だが粋なブルックマイヤー盤

音楽のサブスク・サイトを彷徨っていて、ボブ・ブルックマイヤー(Bob Brookmeyer)の、とあるリーダー作に出会った。これは今までに聴いたことが無い。しかも、調べてみると、2003年の作品とのこと。確か、ブルックマイヤーって、2011年に亡くなっているので、彼のかなり晩年の、74歳の時点での録音になる。

ボブ・ブルックマイヤーは、トロンボーン & ピアノ奏者。1929年、ミズーリ州カンザスシティ生まれ。西海岸ジャズの重鎮、ジェリー・マリガンのカルテットに在籍して、その名が知られることとなる。1960年代終盤にはスタジオ・ミュージシャンになるが、1979年のサド=メルのジャズ・オケの音楽監督にてジャズ界にカムバック。

彼は生涯で8つのグラミー賞にノミネートされていて、逝去する直前の2011年、 Vanguard Jazz Orchestra『Forever Lasting』が、8回目のグラミー賞ノミネートだった。

Bob Brookmeyer『Stay Out Of The Sun』(写真左)。2003年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、Bob Brookmeyer (valve-tb, p), Larry Koonse (g), Tom Warrington (b), Michael Stephans (ds)。リーダーのブルックマイヤーが、バブル・トロボーンとピアノを兼ねた、ギター入りのカルテット編成、楽器的にはクインテットな編成になっている。
 

 Stay-out-of-the-sun-1

 
ブルックマイヤーが演奏する「バルブ・トロンボーン」は、スライドではなく、トランペットのように3本のピストンを備えたトロンボーン。トロンボーンらしい輝かしくウォームな音色を持ちながら、バルブの操作による切れの良い運動性を得ることが出来るのが特徴なのだが、この特徴がこの盤でも遺憾なく発揮されている。とにかく、トロンボーンの音が柔らかく暖かく優しく、それでいてフレーズが流麗で切れ味が良い。聴いていて、とても心地良い響きに魅了される。

全9曲中、3曲がスタンダード曲、残りの6曲がブルックマイヤー自身、もしくはバンド・メンバーの作曲。スタンダード曲もオリジナル曲も、どちらも演奏の出来は上々。ブルックマイヤーのトロンボーンは柔らかく暖かく優しく、クーンズのギターは硬質で切れ味良く、ブルックマイヤーのトロンボーンとの対比が抜群。

ユニゾン&ハーモニーも心地良く、落ち着いた、味のある「粋」な演奏が盤全体に展開される。ブルックマイヤーのピアノも味わい深く、ワリントン+ステファンのリズム隊はソリッドで堅実。

まず、書籍やネットでのジャズ盤紹介で、取り上げられたところは見たことが無いが、この盤、なかなかジャジーで「粋」で、ジャズ・トロンボーンの音をとことん楽しめる、聴いていて、これはジャズやなあ、と思わず演奏に身を委ねてしまう好盤である。
 
 
 
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2021年11月 2日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・9

マイルス・デイヴィスは僕のジャズの「最大のアイドル」である。マイルスの足跡、イコール、ビ・バップ以降のジャズの歴史でもある。ジャズの演奏スタイルについては、揺るぎない「信念」があった。フリー、スピリチュアル、フュージョンには絶対に手を出さない。マイルスはアコースティックであれ、エレクトリックであれ、いつの時代も、メインストリームな純ジャズだけを追求していた。

Miles Davis Quintet『The Legendary Prestige Quintet Sessions』(写真左)。1955年11月16日(The New Miles Davis Quintet)と1956年5月11日、10月26日(マラソン・セッション)の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane(ts), Red Garland (p), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds) 。

マイルス・デイヴィス・クインテットのマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』と、デビュー盤『The New Miles Davis Quintet』のプレスティッジ・レーベルに残したスタジオ録音の音源を録音順に並べたもの(と思われる)と、NYのBasin Streetでのライヴ音源(1955年10月18日)と フィラデルフィアのライヴ音源(1956年12月8日)を収録。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源が録音順に並んでいる(と思われる)のが、この企画ボックス盤の良いところ。マラソン・セッションの録音の流れとスタジオの雰囲気が追体験出来るようだ。4部作は、プレスティッジお得意の仕業、アルバム毎の収録曲については、曲と演奏の雰囲気だけで、てんでバラバラにLPに詰め込んでいる。アルバムとしては良いのだろうが、録音時期がバラバラなのはちょっと違和感が残る。
 

The-legendary-prestige-quintet-sessions_

 
さて、このマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源は、CBSからリリースされた『'Round About Midnight』と併せて、「マイルスの考えるハードバップ」の完成形である。全てが一発録り、アレンジは既に用意されていたようで、それまでに、ライブ・セッションで演奏し尽くしていた曲ばかりなのだろう。

今の耳で聴いても、相当にレベルの高い演奏である。即興演奏を旨とするジャズとしては、この一発録りが最良。マイルスはそれを十分に理解して、このマラソン・セッションを敢行したと思われる。細かいことは割愛するが、一言で言うと「非の打ち所」の無い、珠玉のハードバップな演奏である。これぞジャズ、という演奏の数々。素晴らしい。

1955年10月から1956年12月に渡って、録音順に並んだ音源集なので、振り返ってみるとたった1年2ヶ月の短期間だが、マイルス・デイヴィス・クインテットのバンドとしての成熟度合いと、コルトレーンの成長度合いが良く判る。

バンド・サウンドとしてはもともとレベルの高いところからスタートしているが、段階的に深化、成熟していくのが良く判る。コルトレーンについては、たった1年2ヶ月であるが、最初と最後では全く別人といって良いほどの「ジャイアント・ステップ」である。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』をアルバム毎に分けて聴くも良し、録音順に追体験風に聴くも良し、これら「マイルスの考えるハードバップ」の完成形は、ジャズとして「欠くべからざる」音源である。ジャズ者としては、絶対に聴いておかなければならない音源である。
 
 
 
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2021年11月 1日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・222

デクスター・ゴードン(Dexter Gordon、愛称「デックス」)は、ジャズ・サックスのレジェンド中のレジェンド。1923年生まれ、1990年、67歳で鬼籍に入っている。1940年代のビ・バップ時代から第一線で活躍、しかしながら、1950年代は麻薬禍のため活動が低迷、1960年代初頭にブルーノートに複数の秀作を残した後、1976年にかけて渡欧し、フランスやデンマークを拠点に活動。1976年以降は米国に戻りカムバックしたが、活動はフェードアウト。

デックスのサックスは「骨太で大らかで、ダンディズム溢れる、悠然とした」サックス。基本はビ・バップ。フリーやスピリチュアルな奏法には目もくれず、ハードバップなブロウを維持し続けた。高速な弾き回しはしないが、テクニックは優秀。加えて、アドリブ・フレーズは歌心満点。鼻歌を唄うが如く、時折、有名曲の引用なども交えて、聴き応えのある吹き回しが素晴らしい。

Dexter Gordon & Orchestra『More Than You Know』。1975年2月, 3月、コペンハーゲンでの録音。スティープルチェイス・レーベルのSCS 1030番。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon (ts, ss, vo), Thomas Clausen (ac-pi, el-p), Kenneth Knudsen (syn), Ole Molin (g), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Alex Riel, Ed Thigpen (ds), Palle Mikkelborg (arr, cond) with Stirings。

デックスの「ウィズ・ストリングス」盤になる。「ウィズ・ストリングス」盤と言えば、ちょっと甘いストリングスをバックに、流麗なフレーズを吹き上げながら、ちょっとイージーリスニング風の内容を想起する。この盤についても、聴く前は「へー、デックスも甘々なウィズ・ストリング盤を出してたんや」と思って、暫く敬遠していた。
 

More-than-you-know

 
が、聴いてみて「あらビックリ」である。デンマークのジャズ・トランペッター兼作曲家、パレ・ミッケルボルグによるによるストリングスの作編曲が、かなりプログレッシヴな内容。このミッケルボルグの作編曲によるストリングスは、スケールが大きく、独特の美しい響きを湛え、それでいて、要所要所でどこか現代音楽や現代クラシック音楽を想起するフレーズが散りばめられている。

デックスは、この現代的でプログレッシヴなストリングスに呼応して、時に豪快に、時に繊細に、情感豊かで歌心溢れるフレーズを吹き分けている。この「吹き分け」が素晴らしくて、ハードバップらしくコードに忠実なブロウもあれば、モーダルなブロウもある。ゆったりと静的なスピリチュアルなフレーズもあれば、ちょっとアブストラクトなフレーズも吹き上げる。

デックスの「骨太で大らかで、ダンディズム溢れる、悠然とした」サックスと、デックスの持つサックス表現&テクニックの優秀さを実感出来る、素晴らしい内容の「ウィズ・ストリングス」盤である。デックスのサックスの全ての表現がこの盤に詰まっている、と言っても良いか、と思う。デックスが、これだけ先進的に現代的にサックスを吹きまくるとは、聴き終えた後、思わず「スタンディング・オベーション」である。

さすが、北欧の「ブルーノート」と称されるスティープルチェイス・レーベル。この盤では、デックスのサックス奏者としての能力の全てを引き出している。そんな要求に臆すること無く、何事も無かったかの様に、自然体で最高のサックスを吹き上げるデックスは、とても格好良い。脱帽である。
 
 
 
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