デフランセスコのサプライズ
昨年のコロナ禍にて、ジャズの新盤のリリースが滞った時期もあった。が、2021年も後半に入って、コロナ感染予防を踏まえた録音環境を確保して、新盤のリリースのペースが以前の状態に戻ってきている。コロナ感染予防を踏まえた録音環境として、ソロや多重録音、デュオなど、できる限りの少人数での録音が増えたような感じがしている。
Joey DeFrancesco『More Music』(写真左)。2021年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joey DeFrancesco (org, tp, ts, key, p, vo), Michael Ode (ds), Lucas Brown (g, org, key)。現代ジャズ・オルガンの名手、ジョーイ・デフランセスコの新たなリーダー作である。オルガン奏者はベースも自分で演奏するので、ベーシストはいない。
この盤を聴き進めていて、なかなか味のあるテナー・サックスが出てくる。ソニー・ロリンズの様に大らかで余裕のあるブロウ。コルトレーンの様にストレートでシンプルな吹きっぷり。チャールズ・ロイドの様に判り易いシンプルでモーダルなアドリブ・フレーズ。このテクニックに走ることの無い、味のあるテナー・サックスは誰だ、と思ってパーソネルを見たら、なんと、デフランセスコ自身が吹いているのだ。これには驚いた。
そして、シンプルでクールな、それでいてジェントルなトランペットに気が付く。これも、なかなか味のあるトランペットで、これ誰かなあ、と思って、パーソネルを見たら、なんとこのトラペットもデフランセスコ自身が吹いているのだ。これにも驚いた。リリカルでクール、そして、ウォーム。マイルス・デイヴィスの影響を受けているらしいが、意外とオリジナリティに溢れていて立派なトランペットだ。
デフランセスコがテナー・サックス、もしくはトランペットを吹く時は、ルーカス・ブラウンがオルガン、キーボードを肩代わりしているらしい。で、これが、なかなか良い。安心してデフランセスコが管楽器を吹くことが出来ている。このマルチ・プレイヤーのルーカス・ブラウンの参加が、デフランセスコの演奏表現の幅を拡げている。この盤ではそれが成功している。
管入りのオルガン・ジャズとして、スマートな内容で聴き応えがある。あまり我が国では馴染みが薄いオルガニスト、ジョーイ・デフランセスコであるが、現代のオルガン・ジャズの担い手として、良い音を出している。この新盤では、まず、本職のオルガンの音がとっても良い。その上で、この新盤のサプライズである、デフレンセスコのテナーとトランペットが良い雰囲気を出している。シンプルでクールな、なかなかの内容の新盤である。
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