« スタンリー・カウエルのピアノ | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・220 »

2021年10月 1日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・77

エディ・ヘンダーソン(Eddie Henderson)。米国のトランペッター。1970年代初頭、ハービー・ハンコックのワンディシバンドのメンバーとして有名になり、その後、約10年間ほど、ハード・バップ〜クロス・オーバー、ファンクなエレ・ジャズを展開したエディ・ヘンダーソン。そう言えば、僕がジャズを聴き始めた頃、結構、メジャーな存在だった。

エレ・ジャズを展開した後、1990年代までには、メインストリームな純ジャズへ転身。ヘンダーソンのユニークなキャリアは「医学の学位を取得し、精神科医とミュージシャンとして並行してキャリアを積んだ」こと。かなり異色なジャズマンである。そう言えば、ピアニストのデニー・ザイトリンが同じ様なキャリアをしていたなあ。ジャズと精神科医。何か因果関係でもあるのだろうか?

さて、エディ・ヘンダーソンのトランペットは「軽快で流麗」である。音色はアコーステッィクなマイルスに似ている、というか、アコ・マイルスの忠実なフォロワーという印象。テクニック的には、高速フレーズやエモーショナルなハイノートとは全く無縁。ミッドテンポで1音1音をしっかり踏まえて、判り易く聴き取り易いフレーズを吹き上げていく。

Eddie Henderson『Shuffle and Deal』(写真左)。2019年12月5日の録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Henderson (tp,flh), Donald Harrison (as), Kenny Barron (p), Gerald Cannon (b), Mike Clark (ds)。リーダーのヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンと、ドナルド・ハリソンのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。
 

Shuffle-and-deal_eddie-henderson

 
ヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンの個性である「軽快で流麗」が十分に活かされた佳作である。とにかく、ヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンの音色が心地良く、ミッドテンポでフレーズの1音1音をしっかり聴かせる個性が、特にスタンダード曲で威力を発揮している。スタンダード曲の持つキャッチャーで美しい旋律をしっかりくっきり聴かせてくれる。

ハリソンのアルト・サックスも、ヘンダーソンの「個性」を踏まえて「軽快で流麗」なフレーズで寄り添う。ヘンダーソンとのユニゾン&ハーモニーはとても心地良い響き。活き活きしたハリソンのアルト・サックスは明るくて確実で判り易い。ヘンダーソンとのフロント・コンビ、この盤の聴きどころである。

そして、この「軽快で流麗」なフロント2管を支えているのが、ケニー・バロンのピアノが率いるリズム隊。さすが「伴奏上手」なピアニストのバロンである。小粋に軽快にフロント2管を支える。決してフロントの邪魔をしない。それでいて、しっかりとフロントを鼓舞する。そして、このバロンのピアノに呼応して、「軽快で流麗」なリズム&ビートを供給するキャノンのベース、クラークのドラムも素敵だ。

内容的にはライトでポジティヴ、軽快で流麗。聴き易く、聴き心地の良い、聴き応えのあるメインストリームな純ジャズ。肩肘張らず、リラックスして、それぞれの演奏を楽しみながら聴ける、ネオ・ハードバップな好盤です。ジャズ喫茶の昼下がりに流すと、何だか素敵に響くネオ・ハードバップだと思います。

ちなみに、ジャケットの表紙に写っている真っ赤なフェラーリは、ヘンダーソンが45年間、同じ車種を乗換ながら、所有している車。1968年からスタートしたエディのフェラーリ、このジャケットにあるフェラーリはなんと6台目とのこと。お後がよろしいようで(笑)。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

« スタンリー・カウエルのピアノ | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・220 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« スタンリー・カウエルのピアノ | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・220 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年5月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー