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2021年10月の記事

2021年10月31日 (日曜日)

Jeff Lorber Fusionの好新盤

Jeff Lorber Fusion(ジェフ・ローバー・フュージョン)。フュージョン畑の好キーボティスト 兼 音楽プロデューサー、作曲家の「ジェフ・ローバー」率いるフュージョン・ジャズ・バンド。1977年に自己バンド「ジェフ・ローバー・フュージョン」を結成。1981年に一旦休止した訳だが、僕はこのバンドを21世紀になるまで知らなかった。

ジェフ・ローバー・フュージョンの名前を知ったのは、2010年のリユニオン盤『Now Is the Time』を聴いた時。同時に、フュージョン畑の好キーボティスト、ジェフ・ローバーの名も知った。そして、この『Now Is the Time』を聴いて、このバンドの音に魅了された。テイストは完璧な「フュージョン・ジャズ」。ライトなファンクネス漂う、エレクトリック・グルーヴィーなサウンド。流麗だがパンチの効いたリズム&ビート。

ジェフ・ローバー・フュージョンの音世界は、明快に「フュージョン・ジャズ」。流麗で聴き心地の良い、ソフト&メロウなスムース・ジャズでは無い。キレッキレッでシンプル、ストレートで洗練された、実に格好良いサウンド。往年に、全盛期のフュージョン・ジャズのテイストが、このバンドの音の中にしっかりとある。しかも、21世紀の今の時代に現役のフュージョン・サウンドである。
 

Spacetime-1

 
Jeff Lorber Fusion『Space-Time』(写真左)。2021年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、Jeff Lorber (key), Jimmy Haslip (el-b), Gary Novak (ds)。ゲストとして、Paul Jackson Jr. (g), Michael Landau (g), Robben Ford (g), Bob Mintzer (ts), Hubert Laws (fl) などが参加。要所要所で素敵なパフォーマンスで、ジェフ・ローバー・フュージョンの音世界を更に魅力的なものとしている。

この新盤も、ジェフ・ローバー・フュージョンの音世界が存分に楽しめる。キャッチャーなフレーズ、洗練されたアレンジ、小粋なコード進行、ミドル・テンポをメインとした躍動感溢れる展開、流麗だが切れ味良く説得力のあるアドリブ。21世紀の「今」の時代のフュージョン・ジャズがここにある、って感じ。今回も歌モノが一切無いのが、硬派なフュージョン・ジャズっぽくて好印象。カッチリな硬派なフュージョンと、横ノリのソウルフルなフュージョンが程好くミックスされていて、意外と癖になる新盤である。

打ち込み的な曲も一切無いところが実に良い。ジャズたるもの、リズム&ビートは人間が担うべきで、特に閃きメインのアドリブなどは人間系でないと出来ない技だろう。バンドのアンサンブルの精度も抜群、歌心と流麗なフレーズ満載で、さすが「現代のフュージョン・ジャズ」の代表バンドである。我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』でも、フュージョン・ジャズのジャンルで、現在、ヘビロテなアルバムである。
 
 
 
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2021年10月30日 (土曜日)

ウエストンの好盤に出会った。

ランディ・ウエストン(Randy Weston)は、ニューヨーク出身のピアニスト。1926年生まれ、2018年9月、92歳で鬼籍に入っている。デューク・エリントンやセロニアス・モンクの影響を色濃く感じるタッチの強さと不思議なフレーズの飛び方。そして、作曲の才にもつながる美しいメロディーラインが個性のピアノストだった。

1940年代後半から活動しているので芸歴は70年近くあり、リーダー作だけでも50枚近くがリリースされている。1950年代後半のリヴァーサイドの諸作がよくジャズ盤紹介本に挙がるが、意外と内容はシビアだ。我が国で人気が無いのが良く判る。ウエストンのピアノを感じるのには、1980年代以降のリーダー作を聴いた方が良い。

Randy Weston『Saga』(写真左)。1995年4月14-17日の録音。ちなみにパーソネルは、Randy Weston (p), Alex Blake (b), Billy Higgins (ds), Neil Clarke (perc), Talib Kibwe (fl,as), Benny Powell (tb), Billy Harper (ts)。ランディ・ウエストンのピアノ率いるピアノ・トリオのリズム隊にパーカッションが加わり、フロントが3管のセプテット編成。
 

Saga-randy-weston

 
ランディ・ウエストンのリーダー作。本盤は収録曲は全曲ランディのオリジナル。どの曲もメロディが印象的で流麗で聴き易い。これがこの盤の「ミソ」で、ウエストンのピアノの個性が良く判る。エリントンのピアノの如く「パーッカッシヴ」。モンクの如く幾何学模様の様な「フレーズの音の飛び」。これが、ウエストンの曲の流麗なフレーズに適合されると、強いタッチと癖のあるフレーズが、抵抗なくスッと耳に入ってくる。

そして、そんな正統なストライド・ピアノに乗って、ビリー・ハーパーのテナー・サックスがのびのびの心地良いテンポで、アドリブ・フレーズを紡ぎ上げていく。時にアブストラクトに、時にスピリチュアルに展開するが、基本はモーダルで流麗なフレーズ。音の余裕に、ハーパーのサキソフォニストとしての成熟を感じる。

ランディ・ウェストンは、ジャズ・ピアニストとして実力者であり、実績も十分なのに、これといった「記憶に残る」決定盤が無かったのが残念に思う。しかし、こういう好盤を耳にすると、やっぱり良いピアニストだったなあ、と思うのだ。不思議と1980年代以降のリーダー作が良いことに最近気が付いた。なかなか入手し難いウエストンのリーダー盤だが、順に聴き進めて行こうと思った。
 
 
 
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2021年10月29日 (金曜日)

シルヴァー5の代表的名ライヴ盤

ホレス・シルヴァー(Horace Silver)のファンキーなピアノが好きだ。学生時代にシルヴァーの『Horace Silver and the Jazz Messengers』を大学近くの「秘密の喫茶店」で聴かせて貰って、即、お気に入りのピアニストになった。特に「The Preacher」のファンクネスにはゾッコンである。この曲が好きになって、自分はファンクネス濃厚なジャズがお気に入りなんだ、と認識した。

Horace Silver『Doin' the Thing : The Horace Silver Quintet at The Village Gate』。1961年5月19,20日、NYの「The Village Gate」でのライヴ録音。ブルーノートの4076番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Roy Brooks (ds)。ホレス・シルヴァー・クインテットの最盛期のライヴ録音である。

このライヴ音源でのホレス・シルヴァーのファンキー・ピアノは凄い。左手のブロック・コードはどこまでもジャジーでファンキーな響きを醸し出す。右手は適度なテンションを張りながら、切れ味の良い素晴らしい指捌きで、ファンキーなフレーズをバシッと決めていく。緩んだ所は全く無く、アドリブ・フレーズが破綻することは全く無い。確かにこのライブ盤でのシルヴァーのピアノは鬼気迫る様な迫力で耳に迫ってくる。
 

Doin-the-thing

 
フロント2管は、ミッチェルのトランペットとクックのテナー・サックス。これがまた素晴らしいアドリブ・フレーズを吹き上げる。フロント2管のユニゾン&ハーモニーは、どっぷりファンキーで、とことんジャジー。その運指は流麗で淀みが無い。このライブ盤では、このミッチェル=クックの2管フロントのベスト・パフォーマンスを聴くことが出来る。それほどまでに素晴らしいフロント2管のブロウである。

そして、改めて感心するのが、ホレス・シルヴァー率いる、テイラー+ブルックスのリズム・セクション。シルヴァーの醸し出すファンクネスを増幅する様な、躍動感溢れるオフビートでファンキーな、煽る様なリズム&ビートが凄い。意外と指摘されていないのだが、この時代のシルヴァー・クインテットのリズム・セクションのファンキー度合いは相当に高い。このリズム・セクションがあるからこそ、この時代のシルヴァー・クインテットは限りなくファンキーなのだ。

録音も秀逸でライブ感濃厚。シルヴァー・クインテットの演奏の迫力がビンビンに伝わってくる。演奏がウケにウケた観客の熱気が伝わってくる。こういうライブ音源をしっかり残しているのは、さすがブルーノートと言える。ジャケット・デザインも秀逸。シルヴァーのアップ写真のポジショニングも良い感じで、特にタイポグラフィーは芸術的。シルヴァー・クインテットの代表的名盤である。
 
 
 
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2021年10月28日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・221

1980年代、我が国ではバブル景気の追い風を受けて、お洒落で聴き心地の良いジャズがもてはやされた。そんな流行に乗って、我が国発のジャズ・レーベル、例えば「Electric Birdレーベル」などが、お洒落で聴き心地の良いコンテンポラリーな純ジャズ、フュージョン・ジャズをリリースしていた。

が、意外と内容的には平凡なものが多く、しばらくの間(20年ほどかな)、リイシューされること無く、ほぼ全ての盤が廃盤状態になっていた。探すにも流通在庫を探すほか無かったが、2014年、やっとまとめてCDリイシューがなされた。

Lew Soloff『Yesterdays』(写真左)。1986年9月15 &16日、NYのClinton Studiosでの録音。キングレコードの「Electric Bird」からのリリース。ちなみにパーソネルは、Lew Soloff (tp), Mike Stern (g), Charnett Moffett (b), Elvin Jones (ds) のピアノレスでトランペットがワンホーンのカルテット構成。デヴィッド・マシューズがプロデュース、そして、スーパーヴァイザーとして、ギル・エヴァンスが名を連ねている。

「Electric Bird」のリイシューの一枚。「Electric Bird」なので、フュージョン・ジャズかな、とも思うんだが、パーソネルを見ると、これは、コンテンポラリーな純ジャズ、基本はネオ・ハードバップである。ピアノレスなので、ワンホーンのルー・ソロフのトランペットが心ゆくまで楽しめる。ルー・ソロフはメインストリームなトランペッターなのだが、リーダー作が僅少。この盤は貴重なソロフのリーダー作になる。
 

Yesterdays-lew-soloff

 
ハイノート・ヒッターであり、バイタルなトランペッターであるルー・ソロフ。あまりにダイナミックで切れ味の良い吹きっぷりなので、時に耳に五月蠅く響く時があるが、テクニックは優秀、歌心もあるトランペットで聴き応えは十分。冒頭のタイトル曲であり、有名スタンダード曲「Yesterdays」での吹きっぷりは見事。この盤では抑制もしっかり効いていて、耳に付く瞬間は全く無い。安心して聴き耳を立てることが出来るのが嬉しい。

アレンジがとても雰囲気があって、どこかギル・エヴァンスを想起させるのだが、パーソネルを確認したら、スーパーヴァイザー兼ミュージカル・アドバイザーとして「ギル・エヴァンス」の名があった。恐らく、アレンジにも関与していると思われる音作り。これがまた良い。アルバムに収録されたどの曲にも、しっかりアレンジされた、独特の「ギル節」が底に流れていて、しっかりと演奏がまとまっている。

モフェットのベース、エルヴィンのドラムのリズム隊もガッチリしていて、演奏全体のリズム&ビートが安定していて安心して聴ける。そして、1番ビックリしたのが、マイク・スターンのエレギ。コンテンポラリーな純ジャズ風の弾き回しには、ほとほと感心した。

凡盤が多く、ちょっと辟易するくらいの1980年代の国内レーベルのジャズ盤であるが、この盤は違う。バンドサウンドの充実度合いも高く、ルー・ソロフの代表作の一枚と評価しても良いと思う。隠れ名盤の一枚。
 
 
 
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2021年10月27日 (水曜日)

ステイシー・ケントのデュオ新盤

最近、ジャズ・ボーカルの新盤がなかなか内容があって好調である。男女ともに充実した内容の新盤が相次いでリリースされていて、なかなかに楽しい今日この頃である。特に、内容的には、コンテンポラリーな純ジャズ的雰囲気で、旧来のボーカル盤には無い、現代のアレンジ、現代の唄いっぷりで、新鮮で小粋な出来になっている。

Stacey Kent『Songs From Other Places』(写真左)。2021年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Stacey Kent (vo), Art Hirahara (p)。1997年のレコード・デビュー以来、日本でも高い人気を誇る女性ヴォーカリスト、ステイシー・ケントの新盤になる。

ステイシー・ケント。米ニュージャージー州出身、英ロンドンを拠点に活躍しながら、2007年ブルーノート・レコードと契約、国際レベルで活躍している。そんなステイシー・ケントの新盤は、父親が日系2世、母親が日本人というサンフランシスコ出身の実力派、アート・ヒラハラのピアノ伴奏だけをバックに綴られたデュオ盤になる。
 

Songs-from-other-places_1

 
ピアノとボーカルのみというシンプルな編成だが、実に味わい深いボーカル盤に仕上がっている。ステイシー・ケントの個性である「独特の可憐な歌声とナチュラルな歌心」が、ピアノのみの伴奏という環境から、前面に押し出されている。とにかくキュートでナチュラルでシンプルな歌唱は聴いていて、心に沁みて、しみじみと耳を傾けてしまう。

選曲も良い。とりわけ、Fleetwood Mac『Landslide』、Paul Simon『American Tune』、The Beatles『Blackbird』など、ロック&ポップスの名曲のカヴァーが実に良い。ステイシー・ケントの唄いっぷりがバッチリ決まって、聴いていて心地良いことこの上無し、です。特に『American Tune』には、しみじみしてしまう。

ライヴで伴奏を担当する夫であるジム・トムリンソンは、今回、プロデュースに専念しているが、このプロデュースがバッチリ填まっている。コロナ禍という環境の中、自宅でのレコーディングが主とのこと。ピアノの音も人工っぽいのだけれど、これは録音環境の問題で仕方が無い。が、この盤、そんな音質云々は関係無く、聴き応えのあるコンテンポラリーな純ジャズ・ボーカル盤として仕上がっていて立派だ。
 
 
 
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2021年10月26日 (火曜日)

ラウンジ感覚溢れるボーカル新盤

一気に晩秋の気候になった今年の秋。酷暑の夏には、あまりの暑さで聴く気が起き難かったフリー・ジャズ、そして、ボーカルものについて、やっと聴く意欲が再び湧いてきた。コロナ禍で差し控えられていた新盤の録音も復活の兆しが出てきて、ここ2〜3ヶ月を見てみると、なかなか内容のある新盤がリリースされている。

Jane Monheit『Come What May』(写真左)。2021年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Jane Monheit (vo), Michael Kanan (p), Rick Montalbano (ds), David Robaire (b), Kevin Winard (perc), Miles Okazaki (g)。アメリカの人気女性歌手である、ジェーン・モンハイト(1977年 米国ニューヨーク州オークデール生まれ) の新盤になる。

ジェーン・モンハイトの名前は何となく知っていた。2016年のアルバム『Songbook Sessions : Ella Fitzgerald』を聴いて、激太りと「エラのトリビュート盤」という企画に対する工夫した歌唱が原因だった様だが、ネットリとした旧来のヴォーカル風な歌唱に、ちょっと「引いた」。ちょっと苦手かな、という印象の中、この新盤を恐る恐る聴いてみた。
 

Come-what-may_come-what-may

 
ジャケ写を見ると、容姿も比較的痩せた様で、健康的な姿に戻っていたように感じる。これは期待出来るかな、と思って聴いたら、元々のスマートでスタイリッシュな、溌剌とした歌声に戻っていて安堵した。マイケル・ケイナンのピアノを核にした小コンボ伴奏をベースに、曲によってはストリング・オーケストラも加わった正統派で軽快で爽やかな印象のボーカル盤に仕上がっている。

しなやかな張りと伸びのある、よく通るトーン高めのボーカルが良い感じ。全曲スタンダードで選曲も良いので、聴いていて、適度に楽しめる内容になっている。小規模なライブハウスで唄っているようなラウンジ感覚漂う録音が、これまた良い雰囲気を醸し出していて、モンハイトのハートウォームな爽やかで張りのある歌唱が小粋に響く。

こういう現代風の明朗で爽やかなジャズ・ボーカルで「The Nearness of You」や「My Funny Valentine」「Lush Life」などの大スタンダード曲を唄うと、新鮮な雰囲気の中、新しいジャズ・ボーカルを聴いているような気分になるから不思議だ。そして、バックバンドが醸し出すラウンジ感覚が親しみ易さを付加していて良好。良い女性ボーカル盤です。
 
 
 
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2021年10月25日 (月曜日)

ジミー・スミスのフュージョン盤

ジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミス。そのテクニックは凄まじいものがあり、ダイナミズム、ファンクネス、弾き回し、アドリブ・パフォーマンス、どれもが超一級。未だに、ジミー・スミスの全盛期のジャズ・オルガンを凌駕するオルガニストは現れ出でていない。

ジミー・スミスは、とにかく「目立ちたがり屋」。演奏を始めると、ガンガン前へ出てくる。サイドマンは完全に振り落として、それでも、ダイナミズムに物を言わせて、オルガンのスピーカーのボリューム全開、ぎゅわんぎゅわんと、天才的なアドリブ・フレーズをバンバン弾きまくる。これが「ジミー・スミス」である。逆に、これじゃないと「ジミー・スミス」じゃ無い。

Jimmy Smith『The Cat Strikes Again』(写真左)。1981年の作品。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Ray Brown (ac-b), Chuck Domonico (el-b), Grady Tate (ds), Dennis Budimir, Howard Roberts, Tim May (g), Paulinho Da Costa (perc), Gary Herbig, John Bolivar (sax, fl), Alan Kaplan (tb), Jerry Hey, Oscar Brashear (tp, flh), Ronnie Foster (p), Lalo Schifrin (arr)。

ジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミスも、ジャズの斜陽に飲み込まれ、過去の人になりつつあった1970年代。この盤は1981年の作品。フュージョン・ジャズ全盛後期。この盤のタイトルを訳すと「猫の逆襲」。
 

The-cat-strikes-again_1

 
「猫」といえば「The Cat」。スミスの代表作とされるヴァーヴ盤「The Cat」の逆襲。そう、この盤は、こってこてメインストリームな純ジャズ・オルガンのジミー・スミスが、フュージョン・ジャズに染まって、再起をかけたアルバムである。

フュージョンに染まったとは言え、この盤のアレンジは「ラロ・シフリン」が担当していて、意外と落ち着いた、ファンキーなフュージョン・オルガン盤に仕上がっている。ソフト&メロウな要素もふんだんに詰め込み、オルガン・ジャズの特徴である「こってこてなファンクネス」も趣味良く漂っている。フュージョン盤として評価すれば、違和感の無い好盤である。

ジミー・スミスのオルガンは、全盛期の「目立ちたがり屋」返上、グループ・サウンズにしっかり馴染んで、周りの音を良く聴きながら、なかなかアーバンでファンキーなオルガンを弾き進めている。もともとテクニックは抜群に高いので、その弾きっぷりは前面に出てこなくても、しっかり浮き出ていて印象に残る。

オルガン・ジャズがファンキーだと再評価されたのは1990年代に入ってからのことで、1970年代は、オルガン・ジャズはポップで、そのファンクネスは俗っぽいと散々な扱いだった、と記憶している。そんな中で、この盤のジミー・スミスのオルガンは、ちょっと地味ではあるが、なかなかのもの。さすが、ジャズ・オルガンの神様である。
 
 
 
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2021年10月24日 (日曜日)

デフランセスコのサプライズ

昨年のコロナ禍にて、ジャズの新盤のリリースが滞った時期もあった。が、2021年も後半に入って、コロナ感染予防を踏まえた録音環境を確保して、新盤のリリースのペースが以前の状態に戻ってきている。コロナ感染予防を踏まえた録音環境として、ソロや多重録音、デュオなど、できる限りの少人数での録音が増えたような感じがしている。

Joey DeFrancesco『More Music』(写真左)。2021年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joey DeFrancesco (org, tp, ts, key, p, vo), Michael Ode (ds), Lucas Brown (g, org, key)。現代ジャズ・オルガンの名手、ジョーイ・デフランセスコの新たなリーダー作である。オルガン奏者はベースも自分で演奏するので、ベーシストはいない。

この盤を聴き進めていて、なかなか味のあるテナー・サックスが出てくる。ソニー・ロリンズの様に大らかで余裕のあるブロウ。コルトレーンの様にストレートでシンプルな吹きっぷり。チャールズ・ロイドの様に判り易いシンプルでモーダルなアドリブ・フレーズ。このテクニックに走ることの無い、味のあるテナー・サックスは誰だ、と思ってパーソネルを見たら、なんと、デフランセスコ自身が吹いているのだ。これには驚いた。
 

More-music-joey-defrancesco

 
そして、シンプルでクールな、それでいてジェントルなトランペットに気が付く。これも、なかなか味のあるトランペットで、これ誰かなあ、と思って、パーソネルを見たら、なんとこのトラペットもデフランセスコ自身が吹いているのだ。これにも驚いた。リリカルでクール、そして、ウォーム。マイルス・デイヴィスの影響を受けているらしいが、意外とオリジナリティに溢れていて立派なトランペットだ。

デフランセスコがテナー・サックス、もしくはトランペットを吹く時は、ルーカス・ブラウンがオルガン、キーボードを肩代わりしているらしい。で、これが、なかなか良い。安心してデフランセスコが管楽器を吹くことが出来ている。このマルチ・プレイヤーのルーカス・ブラウンの参加が、デフランセスコの演奏表現の幅を拡げている。この盤ではそれが成功している。

管入りのオルガン・ジャズとして、スマートな内容で聴き応えがある。あまり我が国では馴染みが薄いオルガニスト、ジョーイ・デフランセスコであるが、現代のオルガン・ジャズの担い手として、良い音を出している。この新盤では、まず、本職のオルガンの音がとっても良い。その上で、この新盤のサプライズである、デフレンセスコのテナーとトランペットが良い雰囲気を出している。シンプルでクールな、なかなかの内容の新盤である。
 
 
 
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2021年10月23日 (土曜日)

ファンクネス溢れるパーラン

ブルーノート・レーベルには、一般的に「人気ジャズ・ミュージシャン」として名前が挙がるもの以外に、技術的に内容的に優れたジャズ・ミュージシャンが沢山いる。まあ、我が国での「人気ジャズ・ミュージシャン」って、ジャズ関連雑誌が中心となって、メディアが創り出したものなので、ほとんどが、レコード会社などの為の「売らんがため」の選定。

よって、我が国のメディアが挙がる「人気ジャズ・ミュージシャン」は、技術的に内容的に優れたジャズ・ミュージシャンなのは確かなのだが、他にも、もっと沢山の技術的に内容的に優れたジャズ・ミュージシャンが存在する。その「隠れた」優秀なジャズ・ミュージシャンを手軽に体験するのに、ブルーノート・レーベルの諸盤が最適なのだ。ブルーノート・レーベルのパーソネルに並ぶミュージシャンに外れは無い。

Horace Parlan『Up and Down』(写真左)。ブルーノートの4082番。1961年6月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Horace Parlan (p), Booker Ervin (ts), Grant Green (g), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。パーランの『Us Three』トリオにアーヴィン、グリーンを加えた秀作。小粋なバッキングに乗って、こってこてブルージーでファンキーなハードバップ盤である。

少年時代にポリオを患い、そのために部分的に右手が変形したお陰で、独特の奏法を身につけた、ということがクローズ・アップされて、我が国ではちょっと「キワモノ」扱いのパーラン。
 

Up-down

 
そんな先入観を抜きにして、パーランのピアノだけに聴き耳を立てれば、コード弾きでグイグイ押しまくる、短い連続フレーズを間を取りながら繋げる独特のアドリブ・フレーズ、そして、右手のリズム・タッチのドライヴ感、シンプルで力感溢れる「ブルージーでファンキー」なピアノであることが良く判る。

そんなパーランのピアノに乗って、こってこてファンキーなパッキパキ・ギターのグラント・グリーンが加わり、ファンキー&モーダルなブッカー・アーヴィンのテナー・サックスが加わって、もともとパーラン・トリオが持っていた「ファンクネスの濃度」に拍車がかかって、洗練された素姓の良い、硬派なファンキー・ジャズがこの盤に溢れている。

この盤のファンクネスは、俗っぽさや商業主義とは全く無縁の「アーティスティック」なファンクネス。特に、アーヴィンのテナー・サックスの持つ「モーダル」な雰囲気が、自由度が高く洗練された雰囲気を醸し出している。タッカー+ヘアウッドのリズム隊のリズム&ビートも、当時として新しい響きを叩き出す工夫を施している様で興味深い。

ホレス・パーランって、我が国のメディアが挙がる「人気ジャズ・ミュージシャン」の中に、その名が挙がっているのは見たことが無いが、パーランのブルーノートにおけるリーダー作って、外れの無い、優れた内容のものばかり。21世紀に入ってからは、ブルーノートにおけるパーランのリーダー作は入手し易くなっているので、まだ聴いたことの無いジャズ者の皆さんは、是非、パーランを体験して頂きたいなあ、と思う。
 
 
 
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2021年10月22日 (金曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・8

ミンガス・ミュージック。雰囲気的になんだか難解な印象で、しかもバリバリ硬派な純ジャズ。時々、フリー・ジャズ的な雰囲気も時々不意を突くように入る。不協和音前提のユニゾン&ハーモニーは十八番中の十八番。振り返れば、実にジャズらしいジャズのひとつだと思うんだが、ジャズを聴き始めた頃は、このミンガス・ミュージックは実に「敷居が高い」。

Charles Mingus『Pithecanthropus Erectus』(写真左)。邦題『直立猿人』。1956年1月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), Jackie McLean (as), J. R. Monterose (ts), Mal Waldron (p), Willie Jones (ds)。マクリーンのアルト・サックスとモンテローズのテナー・サックスが2管フロントのクインテット編成。ミンガス・ミュージックの最初の成果である。

この盤、ジャズ者初心者向けの名盤紹介に必ずと言って良い位、このタイトルが挙がるのだが、内容的には決して易しく無い。基本的に難解。ジャズの基本である即興演奏とジャズ演奏の自由度の高さ、ジャズの表現力の高さ、に着目したミンガス・ミュージックで、ハードバップが基調であるが、ビッグバンド志向の分厚いバンド・サウンドと自由度の高いアドリブ展開が特徴。
 

Pithecanthropus-erectus-mingus

 
アレンジが優れているのだろう、クインテット編成でビッグバンドの様な分厚い音。不安な気持ちを増幅させる様な不協和音の取り扱い。メンバーそれぞれのアドリブ演奏の自由度が高く、演奏スペースが広い。それでいて、テーマ部は整然とした、強烈に統制が取れたユニゾン&ハーモニー。そして、演奏全体の統制は、骨太でソリッドで強靱なミンガスのベースが執り行う。ミンガスのベースがあってこそ成立する「ミンガス・ミュージック」の極意がこの盤に詰まっている。

ジャズの表現力の高さは「A Foggy Day」で確認出来る。この曲はサンフランシスコのフェリー乗り場に向かうまでの霧の深い日の車のクラクション、警報の音、二日酔いの気怠さ等々、自らが感じた霧深き日の雰囲気を演奏で表現している、とミンガスはジャケ裏のライナーノーツで語る。この「表現力の高さ」は、このクインテット編成のメンバーそれぞれの力量に負うところが多い。それぞれが素晴らしいパフォーマンスを発揮している。

ポップな旋律、キャッチャーなメロディーはほぼ皆無。この盤は硬派で取っ付き難くはあるが、内容的には「良質のハードバップ」演奏が詰まっている。ストイックでその高度な内容はアーティスティックですらある。そういう意味でこの盤、初心者は要注意。ジャズを聴き始めて、即興演奏の妙とアドリブの優劣が判ってから、腰を据えて聴くことをお勧めする。
 
 
 

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2021年10月21日 (木曜日)

ベネット=ガガのデュオ第2弾

ジャズは「融合の音楽」ではあるが、異なる音楽ジャンルのミュージシャンがタッグを組んで、新しいジャズを創造する、っていう「異種格闘技ライクな人系の融合」は意外と少ない。1970年代のクロスオーバー&フュージョン・ジャズの流行期にも、ロックのミュージシャンとジャズのミュージシャンがタッグを組んで名盤を生み出した、というケースは、にわかに思い浮かばない。

7年前、Tony Bennett & Lady Gaga『Cheek To Cheek』がリリースされた時はビックリした。レディ・ガガといえば、過激で華やかなダンス・ポップの第一人者の1人。トニー・ベネットは、男性ジャズ・ボーカリストのレジェンド。そんな2人がタッグを組んで、ジャズ・ボーカルのデュエット盤を制作したのだ。売らんが為の「キワモノ」か、と思った。

が、これが実に出来が良かった。ガガのボーカルに本格的なジャズ風の側面があること、そして、レジェンド級のボーカリスト、トニー・ベネットが、異種格闘技風の女性ボーカルとのデュエットに完全適応したということ。異なる音楽ジャンルのクリエイティヴなボーカリストがタッグを組んで、予想もしなかった「化学反応」を引き起こしたのだ。

とにかく、この全く予想だにしなかったデュエットにはビックリ。そして、ダンス・ポップなボーカルが出てきたらどうしよう、と思っていたので、ガガの正統派なジャズ・ボーカルにビックリ。ガガのボーカルのポテンシャルに感心することしきり。
 

Love-for-sale-1

 
Tony Bennett & Lady Gaga『Love For Sale』(写真左)。2021年10月のリリース。前作『チーク・トゥ・チーク』より7年、トニー・ベネットとレディ・ガガが再度タッグを組み、2枚目となる共作ジャズ・アルバムをリリースした。それも、こってこて正統派ジャズ・ボーカルなデュエットである。本作は、コール・ポーターの音楽の世界をベネットとガガがデュエットでクリエイトしている。

ジャズ・ボーカルの曲として、手垢の付いた大スタンダード曲であるコール・ポーターの楽曲をチョイスするとは大胆な、と思ったのだが、聴いてみると、見事なデュエット歌唱で、コール・ポーターの楽曲を唄い上げていく。特にガガの歌唱は素晴らしい。前作よりも、余裕と深みのある唄いっぷりが実に「粋」である。

ベネットって何歳になったんや、と思って確認したら、1926年生まれなので、今年でなんと「95歳」。ガガはと言えば「35歳」。歳の差60歳。しかし、この歳の差60歳のデュエットは端正で正統派、躍動感と歌心に満ちている。どの曲がどう、というレベルでは無い。収録されたどの曲も小粋で素晴らしいデュエットである。

このデュエット盤を聴くと、音楽って年齢じゃないな、と改めて思う。歳の差60歳。音楽の才能とセンスの邂逅。ベネットもガガも音楽家として立派である。
 
 
 
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2021年10月20日 (水曜日)

スタンダーズのフォロワーか?

ピアノ・トリオについては、バド・パウエルのフォロワーが先行し、ビル・エヴァンスのフォロワーがその後を継ぎ、しばらく、大きく分けて、パウエル派とエヴァンス派の2つのスタイルが主流だった。が、21世紀に入って、ブラッド・メルドー、チック・コリアのフォロワーが現れ、今では、メルドー派とコリア派が加わって、ジャズ・ピアノについては、その演奏スタイルについては広がりを見せている。

そんな広がりの中、以前、1970年代辺りから、3大ジャズ・ピアニストなるものが我が国で囁かれ始め、キース・ジャレット、ハービー・ハンコック、チック・コリア、この3人が「3大ジャズ・ピアニスト」として、人気ジャズ・ピアニストとして君臨していた思い出がある。しかし、その中でフォロワーを生んだのはチック・コリアだけで、キース・ジャレットとハービー・ハンコックのフォロワーというのは、今までお目にかかったことが無い。

Kevin Hays, Ben Street, Billy Hart『All Things Are』。2021年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Kevin Hays (p), Ben Street (b), Billy Hart (ds)。オーソドックスなピアノ・トリオ編成。演奏曲は、リーダーのケヴィン・ヘイズのオリジナルが6曲とスタンダード曲「For Heaven’s Sake」で全部で7曲。
 

All-things-are-1

 
テーマが良い意味で抽象的な曲が多く、その抽象的なテーマをイマージネーションよろしく膨らませて、ダイナミックかつリリカルな展開に持ち込み、ピアノ、ベース、ドラムの3者平等のインタープレイを展開する。聴いていて、どこか「キース・ジャレットのスタンダーズ」を彷彿とさせる。そう、このトリオ、Keith Jarrett standardsの正統なフォロワーである。

ヘイズのピアノは、リリカルで耽美的でテクニカル。キースのピアノを更に洗練して端正にした様なピアノ。ビリー・ハートのドラムについても、縦横無尽、硬軟自在なポリリズミックなドラミングは、どこかJack Dejohnetteを想起させるから面白い。ベン・ストリートのベースは、ヘイズのピアノの「ベース・ライン」をしっかり支え、ドラムと流麗にうねるようなスインギーなビートを生み出している。

今年リリースのピアノ・トリオ盤だが、なかなかの内容に次作が早くも期待される。明らかに「キース・ジャレットのスタンダーズ」のフォロワー的音作り(キースの様な「粘着性」は希薄で、スタンダーズより端正でシンプルなのだが)なので、次作はどう出るのだろう。
 
 
 
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2021年10月19日 (火曜日)

三輪の新作『Songs of Joy』

ジャズの本場、米国で活躍する我が国出身のジャズ・ミュージシャンは、思った以上にいる。日本のレコード会社は、新人のジャズマンは、男女ともルックスが良く、若くないと取り扱う機会が少ない。ベテランのジャズマンはネームバリューが無いと取り扱う機会が少ない。ということで、CDの時代はなかなか我が国のジャズ者の目に触れることは無かった。

が、ネットの時代になって、ダイレクトに情報が入って来る様になり、音源がダウンロードで直接聴くことが出来る様になって、米国で活躍する我が国出身のジャズ・ミュージシャンのリーダー作に触れる機会が劇的に増えた。また、サイドマンで参加した演奏に触れることも時々あって、良い時代になったものだ、と思わず感心する。

Yoko Miwa Trio『Songs of Joy』(写真左)。2021年の作品。ちなみにパーソネルは、Miwa Yoko [三輪洋子] (p), Will Slater (b), Scott Goulding (ds)。ボストン在住の実力派ピアニスト三輪洋子の9枚目となるリーダー盤である。ピアノ・トリオの編成。全11曲中、三輪のオリジナルが4曲、他の7曲は、ミュージシャンズ・チューン、若しくはスタンダード曲。
 

Songs-of-joy-1

 
冒頭の「Freedom」を聴いて、ちょっとビックリ。まるで、マッコイ・タイナーばりの左手の低音がガーン・ゴーンと鳴り響き、右手が「シーツ・オブ・サウンド」の様に、高速フレーズを弾きまくる。あれ、三輪のピアノ、志向が変わったのかな、と思って、2曲目「Largo Desolato」を聴くと、ダイナミックで、リリカルでモーダルな三輪のピアノに戻っていて、何だかホッとする。

3曲目のBilly Preston作の「Song of Joy」が絶品。ゴスペル風のフレーズが印象的で、リズム&ビートは実に「アーシー」。アメリカン・ルーツ・ミュージックの要素を織り交ぜながら、三輪の独特の個性を振り撒いている。R&B志向のソウルフルなジャズであるが、決して重くならない。軽快でアーシーなビートは三輪ならでは。これが良い。

6曲目のDuke Jordan作「No Problem」は、アレンジが小粋で聴き応えがある。Thelonious Monk作の「Think of One」も同様で、三輪のセンスの良いアレンジも十分に楽しめる。2001年の初リーダー作『In the Mist of Time』以来、9作目のリーダー作になるが、三輪のピアノの個性、アレンジの志向については、全く「ぶれ」が無い。安心して聴ける、好ピアノ・トリオ盤である。
 
 
 
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2021年10月18日 (月曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・7

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズは、1954年から1990年の36年間、アート・ブレイキーの下、活動し続けた、伝説のジャズ・バンドである。リーダーはブレイキーだが、他のメンバーはそれぞれの時代で入れ替わる。しかも、このジャズ・メッセンジャーズに所属して活躍したジャズマンは、おおよそ、一流のジャズマンとして育っていった。

Art Blakey & The Jazz Messengers『At the Cafe Bohemia, Vol. 1&2』(写真)。1955年11月23日、NYのライヴ・スポット「カフェ・ボヘミア」でのライヴ録音。ブルーノートの1507 & 1508番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Kenny Dorham (tp). Hank Mobley (ts), Horace Silver (p), Doug Watkins (b)。ブレイキーとシルヴァーが共存した時代のザ・ジャズ・メッセンジャーズの傑作ライヴである。

1955年と言えば、ハードバップ初期から中期への移行期。ハードバップについて、その演奏の方法、雰囲気、音楽理論が体験的に整理され、その方法論が確立された時期。この『カフェ・ボヘミア』は、そんな時期にライヴ録音された、奇跡的なハードバップ演奏の記録である。なんせ、このライヴ盤2枚に録音されている内容については「文句の付けようが無い」。
 

At-the-cafe-bohemia

 
演奏の要は「ブレイキーとシルヴァー」。ブレイキーのドラミングは、ハードバップ期の代表的ドラミングの1つ。演奏のリズム&ビートを牽引し、フロント楽器を鼓舞し、フロント楽器の展開をコントロールする。コードがベースのハードバップにおいて、シルヴァーのピアノの演奏スタイルは、ハードバップ期の流行スタイルの1つ。後のファンキー・ピアノの先駆。ワトキンスのベースは、ブレイキーとシルヴァーとの「ビート」の橋渡し役。このバンド演奏の「ビート」の方向性を示し続けている。

フロント楽器に目を転じると、このライヴ盤でのハンク・モブレーは何時になく絶好調。というか、モブレーのサックス奏者としての生涯最高のブロウかもしれない。それほどまでに内容が素晴らしい。ケニー・ドーハムのトランペットも同様。そのパフォーマンスがバラツキがちなドーハムが、優れたテクニックでバリバリ吹きまくっている。このフロント2管のパフォーマンスは、ハードバップ期を代表するものの1つだろう。

このライヴ盤のハードバピッシュ度は相当に高い。ハードバップ演奏の良好なサンプルであり、ショーケースでもある。ハードバップとは何か、に迷ったら、僕はこの盤を聴く。この盤にある演奏の好要素を記憶に留めて、他のハードバップの演奏を聴く。ハードバップ演奏の基準となる演奏がこのライヴ盤に詰まっている。
 
 
 
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2021年10月17日 (日曜日)

フュージョン・ジャズの完成形

米国シカゴ出身のピアニストのレジェンド、ラムゼイ・ルイス(Ramsey Lewis)。2018年、音楽界からの引退を表明した。う〜ん、惜しいなあ。でも、引退の記事を読むと、83歳となった今「移動が前に比べて困難になってしまった」とのこと。寄る年波には勝てない、ということだが、ジャズ者初心者の頃からお世話になったレジェンドの1人なので、この引退の報には万感の想いがあった。

ラムゼイ・ルイスと言えば、1965年の『The 'In' Crowd』。このファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズの究極形ライヴ盤は、ジャズ者初心者の頃、良く聴いた。そして、フュージョン・ファンク、R&B系フュージョンに転身して、アース・ウインド & ファイアーのモーリス・ホワイトとともに制作『Sun Goddess(太陽の女神)』や『Salongo』『Tequila Mockingbird』は学生時代に良く聴いた盤である。

Ramsey Lewis『Ivory Pyramid』(写真左)。1992年の作品。GRPレーベル移籍第一弾。ちなみにパーソネルは、Ramsey Lewis (ac-p). Mike Logan (el-p), Charles Webb (b), Steve Cobb (ds, perc), Henry Johnson (g)。フュージョン・ジャズの完成形を思わせる、演奏良し、曲良し、録音良し、の3拍子揃った好盤である。
 

Ivory-pyramid_1

 
まず、とにかく音が抜群に良い。オーディオのリファレンス盤として、活用している方々がかなりいるという話も頷ける。まず、重低音で腹を揺さぶる様なベースの音が生々しい。ピアノの音の鮮度の良さと響きの豊かさが極上で、ドラムの臨場感が半端ない。ギターのサスティーンの伸びとボーカル・コーラスの倍音の響きが心地良い。

当然、それぞれの曲の演奏も素晴らしい。1992年の作品なので、一聴した時点での演奏のテイストは、深いエコーのかかり方と併せて「スムース・ジャズ」かな、と思うのだが、聴き進めて行くうちに、リズム&ビートのファンクネス、エレギのアドリブ・フレーズの作り方、ラムゼイ・ルイスのアコピのテイスト、どれもがしっかり「フュージョン・ジャズ」していることに気が付いて、何だか嬉しくなる。

心地良さを前面に押し出したスムース・ジャズでは無い、楽器それぞれの演奏テクニックと「音」、そして、アドリブ・パートの展開の「妙」が聴きどころの「フュージョン・ジャズ」の完成形がこの盤に詰まっている。ラムゼイ・ルイスの音の基本である「ファンクネス&ソウルフル」な要素もしっかりと織り込まれていて、なかなか聴き応えのある、1990年代のフュージョン好盤である。
 
 
 
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2021年10月16日 (土曜日)

最近の日本のフュージョン事情

1970年半ば以降、日本のフュージョン・ジャズは充実してきた。我が国のフュージョン・ジャズは、ファンクネスがかなり希薄で、テクニックはかなり優秀、演奏内容に破綻は無く、アドリブ・フレーズの展開は流麗。米国本場のフュージョン・ジャズに十分対抗できる、グローバル・レベルで見て、遜色の無い、高度で内容のあるフュージョン・ジャズ。                   

ADAM at『Silent Hill Re-Record』(写真)。日本発のピアノがメインのインスト・バンド「ADAM at」が、2014年に発表した幻のインディーズ作品『Silent Hill』の収録曲5曲をそのままリイシュー。加えて、その『Silent Hill』の収録曲5曲を、2021年ヴァージョンとして新録音した新装盤。

ASIAN KUNG-FU GENERATION / PHONO TONESの伊地知潔や、UKミクスチャー・バンド=SKINDREDのBenji Webbeなどが参加したピアノ・メインのインスト・バンドで、ダイナミック・レンジの広い、音の切れ味の良いフュージョン・ジャズである。ストレートなエレ・ジャズで、変に捻ったり、コマーシャルに走ったりしない、質実剛健なピアノ中心のインストルメンタルがとても潔い。
 

Silent-hill-rerecord-adam-at

 
どの曲もキャッチャーなフレーズが溢れていて、インスト曲として、とても聴き易い。レンジが広くダイナミズムも十分、リズム&ビートをバッチリ決まっていて、演奏テクニックも非常に高くて、どの曲も聴いていて疲れない。ピアノがメインのフュージョン・ジャズや、1970年代のプログレッシヴ・ロックが好きな方々には、全く違和感無く聴き通すことが出来る内容。

ほとんど「スタジオ・ライヴ」の様な、一発勝負のかっとび演奏が良い。グイグイとアップテンポで押しまくるが、強引では無く、切れ味の良い疾走感が実に良い。というか、音の重ね方とか、アドリブ展開の節回しは、ADAM at ならではの「音」があるようで、他のインストバンドの音とは一線を画する。とにかく、聴いていて感じる爽快感は半端ないレベルだ。

日本のフュージョン・ジャズは1970年代から、高いレベルにあると認識しているが、このADAM at のピアノがメインのインスト・フュージョンの演奏レベルは、21世紀の日本のフュージョン・ジャズのレベルの高さを維持している証に他ならない。このADAM at や TRI4TH など、我が国のフュージョン・ジャズの明日は明るいなあ、と感じる今日この頃である。
 
 
 
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2021年10月15日 (金曜日)

WRトリビュートのアルバムです

昔、ウエザー・リポート(以降、WRと略)の『ヘビー・ウエザー』を聴いて、これが最新のジャズなのかと、とてつもなく驚いたのが、1978年の5月の終わりだった。それから、『ブラック・マーケット』『幻祭夜話』とアルバムを遡りつつ、リリースされる新作を発売日と同時にゲットするという、WRにぞっこんの状態に陥った。あれから、43年が経過して、未だにWRは僕のお気に入りバンドとして君臨している。

『Celebrating The Music Of Weather Report』(写真)。2000年の作品。WRトリビュートのアルバム。マイルス・デイヴィスの『TUTU』『Amandla』への参加やトップ・アーティストの作品でファースト・コール・シンセイストとして活躍。またコンポーザー、アレンジャー、プロデューサーとしてもその才能を発揮している、ジェイソン・マイルスがプロデュース&アレンジを担当。このジェイソン・マイルスが中心となってサウンドを作っている。

ちなみにパーソネルは、曲毎に、メンバーはぼぼ全面的に曲毎に入れ替えしているので、結構の大人数になる。独断でピックアップすると、Jason Miles (key,arr,produce), Victor Bailey, Marcus Miller (b), Jay Beckenstein (ss), Michael Brecker (ts), David Sanborn (as), Randy Brecker (tp), Dean Brown, Chuck Loeb (g), Dennis Chambers, Steve Gadd, Vinnie Colaita, Omar Hakim (ds), John Pattitucci, Wil Lee (b), Tom Schuman (key), Aandy Narrell (p) etc.
 

Celebrating-the-music-of-weather-report

 
WRのカヴァー集だが、WRの演奏を完コピしている訳では無い。それぞれの曲をそれぞれのメンバーで、しっかり解釈し、しっかりアレンジを自分のものとし、それぞれの「即興演奏の個性と技」を駆使して、WRの楽曲に新しい息吹を与えている。特に、WRオリジナルの完璧なアレンジに対して、新しい解釈を乗せた新しいアレンジを施しているところが凄い。しかも、それがおおよそ成功しているのだから立派だ。

しかし、WRの楽曲って、ほんと良い曲が多い。しかも緻密な難曲が多い。当然、高度な演奏技術を要求されるが故、気楽にカヴァーされる楽曲では無い。この盤に収録されている曲はとにかく「名曲中の名曲」だろう。加えて難曲揃い。それをフュージョン・ジャズ畑の名うての名手達が、ガンガンに演奏しまくるのだから圧巻である。「捨て演奏」無し。どの曲も素晴らしく個性的なカヴァーである。

いや〜素晴らしいWRトリビュート盤ですね。このトリビュート盤を聴いていて、今の耳でWRの全アルバムを聴き直して、感想をまとめてみたくなりました。きっと昔とは違った聴き方が出来るのでは、と期待しています。よし、WRの全アルバムの聴き直しを始めよう。高ご期待、である。
 
 
 
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2021年10月14日 (木曜日)

フュージョンの歴史の記録

フュージョン・ジャズの始まりはどこか、なんて議論が昔あった。クロスオーバー・ジャズは判り易かった。基本的に、ジャズにロックの要素を取り込む、ジャズにクラシックの要素を取り込むのが、クロスオーバー・ジャズ。大多数、ジャズにロックの要素を取り込み、8ビートな演奏を展開するのが主流。楽器はエレギ、エレベ、エレピ、シンセなどの電気楽器がメインだった。

そこに「ソフト&メロウ」な要素を強調したクロスオーバー・ジャズを「フュージョン・ジャズ」と呼ぶようになった、という記憶がある。実は、このフュージョン・ジャズの大ブームは、リアルタイムで体験していて、実感としては1970年代半ば辺りから、フュージョン・ジャズが台頭しだした感覚がある。FMでもフュージョン・ジャズが率先してオンエアされていた。

Mike Mainieri And Friends『White Elephant』(写真)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Mike Mainieri(key,vo,per,arr), Joe Beck(g), Warren Bernhardt(key), Michael Brecker(ts), Randy Brecker(tp), Sam Brown(g), Ronnie Cuber(bs), Jon Faddis(tp), Steve Gadd(ds), Tony Levin(b), Donald MacDonald(ds), ,Lew Soloff(tp), David Spinozza(el-g,ac-g), Ann E. Sutton(vo), Frank Vicari(ts), George Young(as)等々、後のフュージョン・ジャズの中で活躍するメンバーばかりがズラリ。

フュージョン・ジャズの「最大の幻の名盤」といわれたアルバム。もともとは自主制作のような形でリリースされたオリジナルLPで、1000枚程度しかプレスされなかった。マスターテープが発見され、1994年に未発表曲入りでCDにてリイシューされた時は、フュージョン・ジャズの起点ともいえる歴史的な問題作という触れ込みで、大きな話題を呼んだ。
 

White-elephant-1

 
内容はといえば、ジャム・セッション風の演奏のオンパレード。マイク・マイニエリいわく「く自然発生的に、全く実験的に作られたもの」。1972年という時代に立ち戻って、この盤の音を聴くと、こういうサウンド・アプローチをしたバンドやジャンルは無かったと思う。具体的には、ソウル・ジャズの電気化、R&Bのジャズ・ロック化、ジャズとロックの融合、ジャズのダンス・ミュージック化、など、当時としては、かなり先進的なアプローチである。

演奏レベルは荒削りなものが多い。かなり時代を感じさせるものもあって、この「洗練されていない」がネックだった。電気楽器はまだまだ発展途上だったし、電気楽器の録音技術もまだまだだった。当然、フュージョン・ジャズ全盛期の音を知る人がこの盤の音を聴くと、そっぽを向くだろう。しかし、サウンド・アプローチは先進的でセンスが良くて「粋」。当時としては「早過ぎた」のかもしれない。

後のフュージョン・ジャズにおいて、多用されるコーラス・アレンジや、ブラス・アレンジのサンプルがこの盤に散りばめられており、電気楽器の有効活用の「志向」についても、後のフュージョン・ジャズの諸作で、当たり前の様に応用されている。ただ、売れるようになるには、電気楽器と録音技術の劇的な進歩が必要だった。その劇的な進歩の成果を日常で活用するようになったのが、1970年代半ばなのだ。

この『White Elephant』は、フュージョン・ジャズの貴重な歴史の記録である。通常のジャズ者の方々にはあまりお勧めしない。フュージョン・ジャズのマニア、いわゆる「フュージョン者」の方々は、どこかでこの盤は一度は聴いて欲しい。フュージョン・ジャズは「時代の徒花」「商業主義ジャズの代表格」と散々揶揄されてきたが、この盤を聴くとその感覚も変わるかと。当時の若手ジャズマンが知恵を絞り、一生懸命考えた、新しいサウンド・アプローチのジャズのプロトタイプがこの盤に詰まっている。
 
 
 
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2021年10月13日 (水曜日)

完全フュージョンなワシントンJr.

グローヴァー・ワシントン Jr. (以降、ワシントンJr. と略す)って、1980年の大ヒット作『Winelight』まで、全くマイナーな存在だった思い出がある。なんせ『Winelight』がヒットした時、僕は ワシントンJr. って新人だと思ってた。

いや〜凄い新人が出てきたもんだ、と感心して、ADLIB誌でワシントンJr. の経歴を見て、1972年に初リーダー作と知ってビックリした。それまで、レコード屋で ワシントンJr. のアルバムを見たことが無かったのだから無理も無い。Kuduレーベル時代のアルバムは、普通のレコード屋には置いてなかったのでは、と思っている。

Grover Washington, Jr.『A Secret Place』(写真左)。1976年10月、NYのVan Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr. (ss, ts), Dave Grusin (ac-p, Rhodes), Eric Gale (g), Steve Khan (g), Anthony Jackson, George Mraz (b), Harvey Mason (ds), Ralph MacDonald (perc), Gerry Niewood (as), John Gatchell (tp)。ホーン・アレンジに David Matthews。プロデュースは Creed Taylor。

この盤もKuduレーベル時代の好盤である。メンバーも前作とガラリと変え、基本編成が「西海岸フュージョン仕様」になった。特に、ディヴ・グルーシンのキーボードと、ハーヴィー・メイソンのドラムが効いている。ホーン・アレンジもマシューズの器用なアレンジで「西海岸フュージョン仕様」。西海岸フュージョンのライトでアーバンでちょっとラフなバックの演奏が、意外とワシントンJr. のソプラノ・サックスと相性が良い。
 

A-secret-place

 
全曲、通して聴くと、完全にイージーリスニングなエレ・ジャズから、フュージョン・ジャズへの移行が完了した、フュージョン・ジャズなられはの音作りがなかなか小粋である。冒頭のタイトル曲「A Secret Place」は、ソフト&メロウなジャズ・ファンク。マクドナルドのパーカッションやソウルフルなコーラスも上手く填まって、ワシントンJr. のソプラノ・サックスが映える。ソフト&メロウなフュージョン色満載である。

続くハービー・ハンコックの名曲「Dolphin Dance」が面白い。グルーシンの印象的なローズの前奏から始まるところから「ソフト&メロウ」。このグルーシンのローズを伴奏に、ワシントンJr. はソプラノ・サックスのソロを吹き続けて行く。ベースは純ジャズ志向のムラーツが担当。基本、ワシントンJr. のソプラノ、グルーシンのローズ、ムラーツのベースの変則トリオの演奏で、フュージョンでは無い、メインストリームな純ジャズ志向のパフォーマンスがとても良い。

3曲目「Not Yet」、ラスト「Love Makes It Better」などは、ソウル・ジャズの影が見えるものの、完全にフュージョン・ジャズなテイスト。こってこて「ソフト&メロウ」な演奏をバックに、ここではワシントンJr. はテナー・サックスを吹いていて、これがちょっと無骨な印象与えているのが面白い。後にアルト・サックスを追加したのも理解出来る。

この盤『A Secret Place』は、ワシントンJr. が「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズに完全移行を完了した好盤ですね。
 
 
 
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2021年10月12日 (火曜日)

kudu時代のワシントンJr. 再評価

10月に入って、季節外れの暑い日が続いているが、朝夜は涼しくなった。涼しくなると、決まってクロスオーバー&フュージョン・ジャズが聴きたくなる。これだけ涼しくなると、電気楽器の熱い音を、ホットな8ビートなリズム&ビートを汗をかきかき聴くこともない。夏の間、お休みしていたクロスオーバー&フュージョン・ジャズを再び聴き始めた。

Grover Washington, Jr.『Feels So Good』(写真)。1975年5月, 7月、Van Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、メイン・メンバーとして、Grover Washington Jr. (ss, ts), Bob James (key, arr), Eric Gale (g), Gary King, Louis Johnson (b), Steve Gadd, Jimmy Madison, Kenneth "Spider Webb" Rice (ds), Ralph MacDonald (perc), Sid Weinberg (oboe, English horn)。オーボエ&イングリッシュ・ホルンが入って、ベース、ドラムは曲によって使い分ける、セプテット編成(7人編成)。

そこに加わるブラス・セクションが、Alan Raph, Dave Taylor, Barry Rogers (tb), Randy Brecker, Jon Faddis, John Frosk and Bob Millikan (tp, flh)。これがなかなかのメンバーで編成されている。そして、スリングスが加わる、大掛かりな編成のフュージョン・ジャズ。

リーダーはサックス奏者のグローヴァー・ワシントン・ジュニア(以降、ワシントンJr. と略す)。1980年の大ヒット作『Winelight』が突出していて、他のリーダー作はあまり顧みられていない。しかし、初リーダー作『Inner City Blues』以降、なかなかの秀作をリリースし続けている。基本的に「駄盤」は無いのが、フュージョン・ジャズの寵児、ワシントンJr. の真骨頂。
 

Feels-so-good

 
この盤は、ボブ・ジェームスが全面的にバックアップしている。プロデュースこそ、クリード・テイラーが担当しているが、アレンジ、そして、キーボード全般はボブ・ジェームスが担当。しかも、アレンジ、キーボード、共に、ボブ・ジェームスの最高のパフォーマンスがこの盤に詰まっている。

ワシントンJr. のサックスは、ボブ・ジェームスのアレンジとの相性が良い。ワシントンJr. の流麗で「ソフト&メロウ」なサックスをしっかり引き立てる、ボブ・ジェームスの「クールでパンチの効いた」アレンジ。リズム隊は、フュージョン・ジャズ系の独特な縦ノリ8ビートを叩きだして、演奏全体の「ソフト&メロウ」な雰囲気をグッと引き締めて、甘きに流れず、意外とダンディズム溢れるフュージョン・ジャズを展開している。

この盤では、これまでのリーダー作で、必ず数曲入っていたソウル、ポップスのカヴァー演奏が無くなって、メンバーのオリジナル曲で占められていること。リズム&ビートや音作りが、硬派ではあるが「ソフト&メロウ」にシフトしていること。ワシントンJr.にとって、イージーリスニングなエレ・ジャズから、フュージョン・ジャズへの移行期の秀作である。

kudu時代のワシントンJr. は、以前は入手し難い状態が続いたので、あまり話題にもならなかったし、注目もされなかった。が、今では、リイシューも完了し、気軽に聴くことが出来る環境にある。フュージョン・ジャズ者の方々は、このkudu時代のワシントンJr. の一聴をお勧めしたい。フュージョン・ジャズ時代前期の、なかなかの内容のパフォーマンスを聴くことが出来ます。
 
 
 
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2021年10月11日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・221

1970年代に、メインストリームな純ジャズのアルバムをリリースした人気の「パブロ・レーベル」。ベテラン・ジャズマンを中心に起用していたので、口の悪いジャズ者の方々からは「昔の名前で出ています的な、懐メロ・ジャズ」と揶揄されていたが、どうもそれは「偏った」評価だったようである。

Count Basie & Big Joe Turner『The Bosses』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Big Joe Turner (vo), Count Basie (p, org), Ray Brown (b), Louie Bellson (ds), Irving Ashby (g), Eddie "Lockjaw" Davis, Zoot Sims (ts), J.J. Johnson (tb), Harry "Sweets" Edison (tp)。

フロントが4管にギター入り、老舗ビッグバンドの総帥、カウント・ベイシーのリズム・セクションのセプテット編成。この渋くて豪華なセプテットをバックに、米国カンサスシティ出身のブルース・シンガー、ビッグ・ジョー・ターナー(写真右)が、とことんブルージーな歌唱を披露する。カウント・ベイシーとビッグ・ジョー・ターナーがカンサスシティ出身繋がりでのこのセッションだと思うが、この組合せ、パブロ・レーベルならでは、である。
 

The-bosses-basie-turner

 
ビッグ・ジョー・ターナーは1911年生まれだから、この盤の録音時は62歳、カウント・ベイシーは1904年生まれなので、この盤の録音時は69歳。両者とも豊富な実績を誇るレジェンド級の大ベテラン。この盤でも、余裕と個性が溢れんばかりのセッションを繰り広げている。ブルースとジャズのコラボは「ありそうで余り無い」。ブルース好きのジャズ者には堪らない雰囲気であり、音世界である。

ビッグ・ジョー・ターナーのパワフルなシャウトスタイルは「ボス・オブ・ブルース」とと呼ばれるだけあって、堂々とした、風格あるブルースを聴かせてくれる。カウント・ベイシーのピアノはシンプル。シンプルだが間の取り方とフレーズの流し方が絶妙で、聴いていて「なんて伴奏上手なピアノなんだ」と感心してしまう。フロント4管はハードバップ期からのベテラン名手ばかりで、良い感じのユニゾン&ハーモニーを聴かせてくれる。

ブルースとジャズのコラボなので、そのアーバンなブルース感とジャジーなスイング感は半端無い。リズム・セクションが「ジャズ」で、ボーカルが「ブルース」なので、ブルース感覚が限りなく濃厚なメインストリーム・ジャズという趣きがとても良い。聴いていて、ブルース好きにとって、とても楽しい雰囲気が満ちてくる。ほとんど紹介されることの無い盤であるが、この盤、ブルースとジャズの「融合盤」として、十分に評価出来る内容である。
 
 
 
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2021年10月10日 (日曜日)

橋本一子のソロ・ピアノ『View』

日本人ジャズは1950年代の終盤から現在まで、ずっと進化している。ビ・バップの模倣から始まり、ハードバップの模倣からオリジナリティーを発揮し始め、1970年代に入ると、フリー・ジャズも得意ジャンルとし、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズは独自の進化を確立した。純ジャズ復古以降、ハードバップは自家薬籠中のものとなり、コンテンポラリーなジャズは様々な形式、パターンで深化している。

橋本一子『View』(写真左)。2021年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、橋本一子 (p), 菊地成孔(as), 類家心平(tp), 藤本敦夫(ds, b)。コンテンポラリー・ジャズ、および、ニューエイジなど、ボーダーレスなジャンルで、魅力的なリーダー作をリリースしてきた、橋本一子の、なんと12年振りのソロ・リーダー作となる。しばらく、リーダー作が途絶えて「どうしているのか」と思っていた矢先の嬉しい新作である。

橋本一子の名は、YMOのサポート・メンバーの時に知った。矢野顕子の後任だったと記憶するが、キーボードの演奏スタイルは、基本的に矢野顕子に準ずる。しかし、矢野よりも耽美的でリリカルで流麗。しかし、格好良さを追求する演奏スタイルは共通で、これは凄い女性ピアニストが出現した、とビックリしたことを記憶している。それから、橋本一子のリーダー作は漏れなく追いかけてきた。
 

View-ichiko-hashimoto

 
今回の新作、基本は橋本のソロ・ピアノ。橋本の耽美的でリリカルで流麗なピアノは健在。音の広がりが素晴らしく、流麗でユッタリとしたテンポの演奏などは「静的なスピリチュアル」な要素が溢れんばかり。そんな魅惑的なソロ・ピアノに、橋本本人のボーカル、そして、ゲストのアルト・サックス、トランペット、ドラム、ベースが絡む。橋本のボーカルとゲストの楽器はあくまで、橋本のソロ・ピアノを引き立たせ役。この盤は橋本のソロ・ピアノをとことん愛でることができるのだ。

収録曲は、ブラジリアン・ミュージックとジャズ・スタンダード曲のカヴァー6曲とオリジナル楽曲が5曲。特に、ブラジリアン・ミュージックとジャズ・スタンダード曲のカヴァー6曲の出来が秀逸。アレンジに一癖二癖あり、一筋縄ではいかないパフォーマンスで、思わずスピーカーに対峙して聴き込んでしまう。自作曲の演奏が優れているのは言うまでも無い。

この橋本のソロ盤、その静謐で耽美的なピアノは、アンビエント・ミュージックとコンテンポラリー・ジャズの融合。そのスタイリッシュでリリカルで流麗なピアノは、静的なスピリチュアル・ジャズ。日本人ジャズの中でも、唯一無二、橋本一子独特の「ジャズ」がこの盤に詰まっている。ジャズにおいても「精魂込めた美しい音」は無敵である。
 
 
 

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2021年10月 9日 (土曜日)

エレ・マイルスを進化させる者

高校1年生の頃だったか、マイルス・ディヴィスが来日、とてつもないエレ・ファンクをかましていった、その大阪フェスティバル・ホールの実況ライブ録音をFMで聴いて「スゲぇー」。まず「エレ・マイルス」のファンになった。その4年後、本格的にジャズを聴き初めてから、まず、エレ・マイルスのアルバムを買い漁ることとなる。

このエレ・マイルスのバンドのメンバーって、殆どがマイルスが目に留めた無名の新人を選んでいることを知る。そして、マイルスに鍛えられた新人が、マイルスの下を離れ、後に一国一城の主として、リーダーを張れる一流ジャズマンに育っていく。その「マイルス・スクール」出身の一流ジャズマンのリーダー作を聴くのが楽しみになる。

Kenny Garrett『Sounds from the Ancestors』(写真)。ちなみにパーソネルは、以下の通り。Kenny Garrett (as, vo, el-p), Vernell Brown, Jr. (p), Corcoran Holt (b), Ronald Bruner (ds), Rudy Bird (per) が、メインのメンバー。

ここに以下のメンバーがゲスト参加する。Jean Baylor, Linny Smith, Chris Ashley Anthony, Sheherazade Holman, Dwight Trible (vo), Dreiser Durruthy (bata, vo), Maurice Brown (tp), Johnny Mercier (p, org, Rhodes), Lenny White (snare), Pedrito Martinez (vo, congas)。
 

Sounds-from-the-ancestors_kenny-garrett

 
リーダーのケニー・ギャレットは、1986年から1991年にかけて帝王マイルス・デイヴィスのバンドに在籍。その後、自身のグループを中心に活動する中で、マイルスの遺伝子を受け継ぐ、エキサイティングでスピリチュアルな、エレ・ファンクな音世界をメインに展開している。ストレート・アヘッドなギャレットも素晴らしいが、やはり、マイルスの遺伝子を継ぐ、エレ・ファンクなギャレットが一番だと僕は思う。

今回のこの『Sounds from the Ancestors(先祖からの音)』には、マイルス譲りのエレ・ファンクの音世界が濃厚。そのエレ・ファンクの中に、ヒップホップ、ゴスペル、アフリカ音楽、デトロイトのモータウン・サウンド等を融合して、今までの音世界を一気に拡げ、ポップでスピリチュアルな要素も加え、よりステップアップした「ケニー・ギャレットのエレ・ファンク」を聴かせてくれる。

これが聴いていてとても心地良い。バックバンドのクールでファンキーなリズム&ビートに乗った、スピリチュアルなエレ・ファンクは聴き応えがある。アメリカン・ルーツ・ミュージックの響きが郷愁をそそり、ヒップホップなビートは、ジャズの「今」を感じさせてくれる。ビートはシンプル&クールで、意外とさりげない雰囲気のエレ・ファンクだが、内容はかなり充実している。

どこか、マイルス・ミュージックの「肝」の部分が見え隠れしてる雰囲気が凄く魅力的。ギャレットはマイルス門下生として、ジャズの得意技である「融合」をキーワードに、マイルス・ミュージックを進化させているようだ。上質のエレ・ファンク、上質のコンテンポラリーな純ジャズである。
 
 
 
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2021年10月 8日 (金曜日)

ジャズと米国ルーツ音楽の融合

コロナ禍は、ジャズの在り方、ジャズの音作り、ジャズの楽しみ方を大きく変えた。引きこもり需要の中、「鑑賞音楽としてのジャズ」が再評価された。決して、音楽は「不要・不急」では無い。引きこもりの中、リラックスして聴くことの出来る音楽。そんな音楽は、コロナ禍の中では重要なアイテムだ。

そして、ソロ、デュオという少人数での録音が増え(いわゆる「密」を避ける為)、引きこもり時の「自宅でのセルフレコーディング」も目にするようになった。2020年後半から、ジャズはコロナ禍によって、色々な切り口で「変化・進化」している。

Harry Connick, Jr.『Alone With My Faith』(写真左)。2021年3月のリリース。現在の米国のジャズ・シーンにおいて、最も優れた男性ボーカリストの1人、ハリー・コニックJr. がコロナ渦のロックダウンの間、自宅のスタジオに引きこもり、たった一人で制作した新作である。

全編に渡って、アメリカン・ルーツ・ミュージックをベースとした、コンテンポラリーなジャズ・ボーカル集である。冒頭の「Alone With My Faith」は、ファンクネス控えめのソウル・ミュージックな雰囲気。2曲目の「Because He Lives」は、フォーキーで郷愁漂う音世界に、後半ゴスペルが加わる。3曲目「Be Not Afraid」は賛美歌風。
 

Alone-with-my-faith-1

 
かの有名な「Amazing Grace」が収録され、続く「The Old Rugged Cross」のオルガンの響きは「郷愁」を誘う。古き良きアメリカを彷彿とさせる「愁感と寂寞感」。ハリー・コニックJr. の流麗で切々とした歌唱は、そんなアメリカン・ルーツ・ミュージックの響きを増幅させる。見事な歌唱に思わずしんみり聴き入ってしまう。

単なるアメリカン・ルーツ・ミュージックのカヴァーでは無い、ましてや「懐メロ」でも無い。ジャズ、フォーク、カントリー、ゴスペル、ソウル、ブルース、デキシーランド・ジャズ 等々、そんなアメリカン・ルーツ・ミュージックの音の要素を効果的に融合させて、静的でスピリチュアルなジャズ・ボーカルにまで昇華させている。

僕はこの「アメリカン・ルーツ・ミュージック」の音が大好きで、この盤については「居抜き」で、我がバーチャル音楽喫茶の「ヘビロテ盤」になっている。最後に、ハリー・コニックJr. が本作に込めた思いのコメントを引用しておきます。

「お馴染みの伝統的な曲に加えて、ロックダウン中の私の経験を語る新しい曲を書き、レコーディングしました。私は、私たちの多くと同じように、喜び、悲しみ、疑い、確信、憂鬱、インスピレーションなど、信仰や信仰の欠如が引き出すことのできるすべての感情を感じました。多くの曲がキリスト教の曲であるにもかかわらず、私が願っているのは、これらの曲があらゆる信仰を持つ人々の心に響くことです」。
 
 
 
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2021年10月 7日 (木曜日)

大江千里の新作『Letter to NY』

コロナ禍になってから、ジャズの新作の録音環境も厳しい状況になった。録音スタジオ内の環境は基本的に「密」だし、管楽器は息を強く吹き出すので、ツバなどの飛沫が飛びやすい。コロナ禍の初期、音楽の新作の録音作業は全面的にストップした。当然、ライヴ活動も全面的に停止。それでも、昨年の10月以降、徐々に新作が録音されるようになってきたことは喜ばしいことである。

大江千里(おおえせんり)。1960年9月生まれ。1983年にシンガーソングライターとしてデビュー、2007年末までに45枚のシングルと18枚のオリジナルアルバムを発表。我が国を代表するJポップ・ミュージシャンの1人だったが、2008年以降、国内での音楽活動を休止し、ニューヨークに在住。2012年にジャズ・ピアニストに転身。そして今年、ジャズ・ピアニストに転身後の7枚目のリーダー作をリリースした。

大江千里『Letter to N.Y.』(写真左)。2021年7月のリリース。全曲ニューヨークの自宅でのセルフレコーディング。コロナ禍の中での新作の制作について、大江は自宅での巣籠レコーディングを敢行。全て大江一人の演奏と録音により完成させたトラックを日本に持ち込んでミックス&マスタリング作業を行い、アルバムを完成させている。
 

Letter-to-ny

 
収録曲は全10曲。エレ楽器を織り交ぜた、コンテンポラリーなフュージョン・ジャズな雰囲気を色濃く宿した楽曲ばかり。どの曲もキャッチャーで印象的な主題を持っていて、こういうところに、元シンガーソングライターの才能が活かされている様に感じる。音の重ね方、リズムの割り振り方にも、ただならぬ「センス」感じる。肩肘張らずにリラックスして聴き進めることが出来る魅力盤である。

セルフ・インストルメンタルな打ち込みの音楽であり、サンプリング志向の作品ではあるが、リズム&ビートと音の展開はしっかりとジャズしている。ユッタリとしたスインギーな曲あり、静的なスピリチュアルな曲あり、ライトでエレ・ファンクな曲あり、日本人の「大江千里」ならではのコンテンポラリーなフュージョン・ジャズが、なかなかに「格好良い」。

大江千里のジャズの「新境地」となるか、という強い期待感を持たせてくれる、なかなかにユニークな新盤である。「大江千里の考えるフュージョン・ジャズ」のサンプルがこの盤に詰まっている様に感じている。次作は、現代フュージョン系のミュージシャンを集めて、この「新境地」の延長線上にある新作を聴かせて欲しい。僕はこの「大江千里の考えるフュージョン・ジャズ」の音世界、お気に入りです。
 
 
 
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2021年10月 6日 (水曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・6

僕なりのジャズ超名盤研究の6回目。超名盤の類は、僕の場合、基本的にジャズを聴き初めて4〜5年以内に聴いている。ジャズ盤紹介本に絶対にその名が出る、いわゆる「エヴァーグリーン」な盤ばかり。演奏内容、演奏メンバー、そして、ジャケット、どれもが「ジャズ」を強烈に感じさせてくれる優れた盤ばかりである。

Miles Davis『'Round About Midnight』(写真左)。1955年10月26日、1956年9月10日の2セッションの記録。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。マイルス・デイヴィス、1950年代「黄金のクインテット」である。

マイルス・デイヴィスは、ジャズを本格的に聴き始めるまでに、既に大のお気に入り。特に、この盤はジャズを本格的に聴き始めて、2ヶ月目くらいに手に入れた。まず、ジャケットが格好良い。スタイリストなマイルスの面目躍如。いまにも、冒頭の名曲「'Round About Midnight」のイントロ、マイルスのクールでアーバンなミュート・トランペットが聴こえてきそうなジャケット。

内容的には、1955年というハードバップの初期から中期に差し掛かる時期に、既に完成された、当時の最先端を行くハードバップな演奏がギッシリ詰まっている。クールで限りなくシンプルなハードバップ。それでいて、演奏内容はかなり高度なテクニックと小粋なアドリブが満載。聴き易くクールでダンディズム溢れる、マイルス・ミュージックがこの盤に展開されている。
 

Round-about-midnight

 
マイルスのトランペットは申し分無い。というか、当時のベスト・プレイだろう。マイルスのトランペットはクール、そして色気タップリである。「マイルスは下手だ」なんていう評論家がいたが、とんでもない。即興を旨とするジャズにおけるトランペットとしては「ハイ・テクニシャン」の部類だ。

そもそもクラシックのトランペットと比べること自体がナンセンス。そもそも吹き方、表現方法が全く異なる。ジャズに限定すると、マイルスのトランペットは優秀だ。特にミュート・トランペットは絶品。その絶品もミュート・トランペットが、冒頭の1曲目、タイトル曲の「'Round About Midnight」で堪能出来る。

この時期のコルトレーンは「下手くそ」なんて言われていたが、とんでもない。荒削りではあるが、音の存在感、ストレートな吹き味、オリジナリティー溢れるアドリブ展開は、既に他のサックス奏者と比べて突出している。そして、ガーランド+チェンバース+フィリージョーのリズム隊の安定度の高さと伴奏上手なテクニックは特筆もの。マイルスのトランペットを更に引き立たせる「マスト・アイテム」。

収録された全ての演奏が「超優秀」。この『'Round About Midnight』という盤は、マイルスが「超一流」なトランペッターとして、ジャズのイノベーターとしての第一歩を記した、歴史に永遠に残る超名盤だろう。いわゆるハードバップ・ジャズの「基準」であり「試金石」的なアルバム。聴く度に「脱帽」である。
 
 
 

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2021年10月 5日 (火曜日)

バップ・ドラミングの伸びしろ

Joe Farnsworth(ジョー・ファンズワース)。1968年、米国マサチューセッツ州生まれのジャズ・ドラマーである。10歳の頃からドラムを習い始め、大学在学時に出会ったエリック・アレキサンダーとは頻繁に共演している。それから、ベニー・ゴルソン、ファラオ・サンダース、ハロルド・メイバーンのリーダー作に参加しているのを聴いている。

僕は、このアレキサンダーのリーダー作で、ファンズワースの名前を知った。明らかに伝統的なバップ・ドラミングだが、変幻自在、硬軟自在、緩急自在な、新しい響きのするドラミングで、伝統的なバップ・ドラミングの可能性について、認識を改めた思い出がある。

堅実でシンプルなドラミングである。ファンズワースのドラム・セットを写真で見たことがあるが、至ってシンプルな構成。数多くのシンバル類やタムタムを使用するドラマーも多々いて、音の変化やスピード感を、セット数の多さでカヴァーしている。しかし、ファンズワースはこのシンプルなセットで、変幻自在、硬軟自在、緩急自在なドラミングを披露する。相当高度なテクニックの持ち主である。

Joe Farnsworth『Time to Swing』(写真左)。2019年12月17日の録音。ちなみにパーソネルは、Joe Farnsworth (ds), Kenny Barron (p), Peter Washington (b), Wynton Marsalis (tp)。ファンズワースのトリオに、トランペットの巨匠、ウィントン・マルサリスが冒頭の「The Good Shepherd」から、4曲目の「Down by the Riverside」までの4曲にのみに客演する編成。
 

Time-to-swing-joe-farnsworth

 
ファンズワースのトラミングは伝統的なバップ・ドラミング。伝統的な響きで実に味のあるドラミング。伝統的なドラミングであるが、その変幻自在、硬軟自在、緩急自在なドラミングは見事の一言。こうやってファンズワースのドラミングを聴くと、モダン・ジャズのドラミングは「かくあるべし」という気分になる。このドラミングをバックにすると、フロント楽器もさぞ吹きやすいだろうと強く思うのだ。

そういう観点で聴き耳を立てると、まず、ウィントンのトランペットが実に良い感じで吹きまくっている。もともとサイドマンに回ったウィントンは素晴らしいパフォーマンスを披露する傾向にあるのだが、このファンズワース+バロン+ワシントンのリズム・セクションのバッキングが素晴らしい分、フロント1管のウィントンが実に気持ちよさそうに、トランペットを吹き上げている。この盤でのウィントンは「文句無し」。

で、このバックのリズム・セクションのみとなった5曲以降の演奏を聴くと、これまた、ピアノのバロンとベースのワシントンが気持ちよさそうに弾きまくる。ファンズワースのドラミングがとても伴奏上手であり、「鼓舞」上手なのだ。叩き出すリズム&ビートが、決して他の楽器の邪魔をしない。

このピアノ・トリオの演奏も実に味わい深いものがある。そんな中、やはり、ファンズワースのドラミングに耳がいく。何の変哲も無い「伝統的な」バップ・ドラミングだが、その高い表現力が故、実に新しい響きに感じる。まだまだ可能性のあるバップ・ドラミングの「伸びしろ」。こういう盤の存在、実に頼もしく感じる。
 
 
 
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2021年10月 4日 (月曜日)

Full Moonってバンド知ってる?

10月に入って、さすがに朝夜は涼しくなった。涼しくなると聴き始めるのが「クロスオーバー&フュージョン・ジャズ盤」。何故だか判らないが、恐らく、フュージョン・ジャズ独特の「ハイテクニックでポップでキャッチャーな」音世界が、真夏の蒸し暑い酷暑の中で聴くにはハード過ぎるのだろう。汗をギトギト流しながら音楽を聴く、なんて、全くスマートやないよね。

ということで、今日、選んだアルバムは『Full Moon』(写真)。1972年のリリース。「Full Moon」とは、1970年、NYにて結成された5人組の「クロスオーバー・ジャズ」なバンドである。ジャズ、ロック、ソウル、R&Bな音楽要素がごった煮に融合された、良い意味で「摩訶不思議な音世界」を現出している。1972年のリリースだが、クロスオーバー・ジャズの後に来る「フュージョン・ジャズ」の先駆け的内容でもある。

Paul Butterfield Blues Band に在籍した、Fred Beckmeier (b), Buzz Feiten (g), Brother Gene Dinwiddie (sax) に、キーボード担当のスタジオ・ミュージシャンとして活躍していた Neil Larsen (key) とセッション・ドラマーの Phillip Wilson (ds) が加わった5人組。
 

Full-moon-original

 
いずれのメンバーも担当楽器に関して専門性が高く、とにかくハイテクニック。出てくる音は相当にハイベルな演奏である。このハイレベルな演奏が1972年に実現されていたなんて、今でもビックリ。この5人のメンバーによる「Full Moon」は俗に「オリジナル Full Moon」と呼ばれていて、本作はその唯一のアルバムになる。

本作の収録曲は7曲。インスト曲が2曲、3曲目「Malibu」と 5曲目「Midnight Pass」。このインスト曲はクロスオーバー・ジャズ志向で、ハイテクニック、そして、ジャズとロックの融合の色合いが濃い。5人が5人ともに、テクニックの粋を尽くし、構築美溢れるインストを展開する。リズム&ビートの扱いが複雑かつジャジーなので、このインスト曲は「ロック」では無い。あくまで、クロスオーバー・ジャズの範疇の魅力ある演奏と言って良い。

残りはヴォーカル曲という構成であるが、このヴォーカル曲が住み置けなくて、ブルースやロックをベースにしながら、ジャズやソウル、ポップといった要素を取り入れており、後のフュージョン・ジャズの先駆け的演奏と評価して良い。ソフト&メロウな要素が少なく、まだまだ発展途上のパフォーマンスではあるが、ソウルフルでR&Bな演奏とボーカルは雰囲気があって良い。
 
 
 
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2021年10月 3日 (日曜日)

将来のピアノ・トリオ名盤候補

これは最近の「ジャケ買い」の一枚。年齢の入った大ベテラン・ジャズマンの風情。それも「まだまだ現役」風に気合いの入った目。タイポグラフィーがシンプル過ぎてイマイチだが、実にインパクトのあるジャケット写真。しかし、これ誰だったけ。ジャケットの表面にはリーダー名が無い。でも、どっかで見た顔なんだよな〜。

Albert "Tootie" Heath Trio『Philadelphia Beat』(写真)。2014年10月5&7日、フィラデルフィアの「Turtle Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Albert "Tootie" Heath(ds), Ethan Iverson(p), Ben Street(b)。ベテラン・レジェンド級のドラマー、アルバート・ヒースがリーダーのピアノ・トリオ盤。ヒースは1935年生まれなので、この盤、79歳でのリーダー作になる。ジャケ写の主はこの「アルバート・ヒース」でした。

冒頭のスタンダード曲「Bag’s Groove」の曲名を見て、いやはや、懐メロ・ハードバップな演奏集か、と思いきや、静かなパーカッションのソロから入って、テーマ部の主旋律をベースに弾かせて、やっとピアノが出てくるという、一癖も二癖もあるアレンジに、この盤は只者では無い雰囲気が色濃く漂う。さすが、ドラマーがリーダーの盤だけあって、随所にドラミングの妙が聴き応え十分。
 

Philadelphia-beat-1

 
で、これまた、音を選び、間を活かした流麗なセロニアス・モンクの様な癖のあるピアノは誰あろう、イーサン・アイバーソンは、バッド・プラスの中心人物。このアイバーソンのピアノが実にユニーク。今までに無い個性のピアノで、どの曲でも、彼のピアノは、聴いていて実にユニーク。いや〜、このピアノ、癖になるなあ。

3曲目の有名ディスコ曲「I Will Survive(恋のサバイバル)」のカヴァーでのアイバーソンのピアノを聴けば、そのユニークさが良く判る。そんなユニークなピアノに、ほど良く絡んで、間を埋めるベン・ストリートのベースも見事。当然、リーダーのレジェンド、ヒースのドラミングは変幻自在、硬軟自在、緩急自在にアイバーソンのピアノを支え、時に、技を繰り出して前面に踊り出る。

結構、有名スタンダード曲を選んでいるのだが、曲毎のアレンジがユニークなのと、アイバーソンのピアノがユニークなのとで、「手垢の付いた」感や「またか」感が全く無い。どころか、あまりのユニークさに、気が付けばスピーカーに対峙して、じっくり聴き入っている自分がいる。ポップ感や懐メロ感も全く無く、内容的には実に新しいネオ・ハードバップな盤である。これって、将来、ピアノ・トリオの名盤扱いになるんじゃなかろうか、と思ってます。
 
 
 
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2021年10月 2日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・220

やっと涼しくなってきた。日中、気温が高くなることはあるが、朝夕、そして夜は涼しくなって、秋らしくなった。涼しくなると、日頃聴くジャズのジャンルの幅も増える。我がバーチャル音楽喫茶『松和』の場合、まず、電気楽器中心のエレ・ジャズ、クロスオーバー&フュージョン・ジャズのアルバムを聴く機会が増える。

『The Gadd Gang』(写真左)。1986年のリリース。ちなみにパーソネルは、Steve Gadd (ds,perc,vo), Richard Tee (key, vo), Eddie Gomez (b), Cornell Dupree (g)。グループ名は「The Gadd Gang」。ここに、Ronnie Cuber (bs), Jon Faddis, Lew Soloff (tp), Barry Rogers, David Taylor (tb), Michael Brecker, George Young (ts) が、ゲストで参加している。(Ronnie Cuber (bs)は、後にThe Gadd Gangに参加)。

「The Gadd Gang」の面子を見渡すと、あの伝説のフュージョン・グループ「スタッフ」から3人が参加、そこにベースのゴメスが加わった4人組であることが判る。音の志向としては、フュージョンな「ジャズ・ファンク」であろうことは想像がつくのだが、聴いてみると、ソウルフルでR&B志向が色濃く出た「ジャズ・ファンク」であることが判る。

しかし、収録曲を見渡すと、ソウル・ミュージックやR&Bの名曲を安易にカヴァーした訳ではないことが判る。ガッド・ギャングのメンバーの曲が4曲、あとはボブ・ディランの名曲、ウィルトン・フェルダー作のフュージョン・ファンクな曲、そして、こってこてソウル・ミュージックのカヴァーはラストのメドレーのみ。それでも、この盤はソウルフルでR&B志向が色濃く出た「ジャズ・ファンク」で溢れている。

① Watching The River Flow (Bob Dylan)
② Strength (S.Gadd, R.McDonald, W.Salter)
③ Way Back Home (Wilton Felder)
④ Morning Love (Eddie Gomez)
⑤ Duke's Lullaby (Steve Gadd)
⑥ Everything You (Richard Tee)
⑦ Honky Tonk (B.Doggett, S.Shepard, C.Scott, B.Butler)
  ~I Can't Stop Loving You (D.Gibson)
 

The-gadd-gang

 
まず、ガッドの叩き出すドラムのリズム&ビートが、ソリッドでしなりのある「縦ノリ」で、ファンクネスが溢れている。そこに、こってこてファンキーなティーのキーボードが絡む。更に、デュプリーのソウルフルなエレギがファンクネスを増幅させる。そして、タイトでブンブン唸るゴメスのベースがファンキーなベースラインを浮き立たせる。

特に、この盤のティーのキーボードは、こってこてファンキー。アコ・ピアノの幅広なスケールを活かした弾きっぷり、フェンダー・ローズの音の「伸びと揺らぎ」の特性を最大限に活かした「溢れんばかりのファンクネス」。特に、この盤でのティーのフェンダー・ローズのパフォーマンスは絶品。こってこてファンキーで流麗なフェンダー・ローズを堪能出来る盤としても、この盤はお勧めだ。

デュプリーの唄う様なソウル・エレギもファンクネス満タン、ゴメスのアコベが弾き出すファンキーなベースラインは耳新しく、違和感無くファンクネスを上乗せする。そうそう、ところどころで出てくる、ティーとガッドのボーカルもソウルフルで良い味を出している。特にティーの歌唱については、R&Bなボーカリストとして十分評価出来る優れものである。

冒頭のボブ・ディランの「Watching The River Flow」ですら、ソウルフルでR&Bな曲に変身していて、ガッド+ティー+デュプリーの「スタッフからのスピンアウト組」の、フュージョンにおける音の志向が、ソウルフルでR&B志向が色濃く出た「ジャズ・ファンク」であることが本当によく判る。スタッフのソウルフルでR&B志向は、この3人によるところが大きかったのですね。

音楽音源のサブスク・サイトにはアップされていないみたいで、中古CDを探すしか無いアルバムですが、フュージョン・ジャズ者の方々には是非一聴をお勧めしたい名盤だと思います。
 
 
 

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2021年10月 1日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・77

エディ・ヘンダーソン(Eddie Henderson)。米国のトランペッター。1970年代初頭、ハービー・ハンコックのワンディシバンドのメンバーとして有名になり、その後、約10年間ほど、ハード・バップ〜クロス・オーバー、ファンクなエレ・ジャズを展開したエディ・ヘンダーソン。そう言えば、僕がジャズを聴き始めた頃、結構、メジャーな存在だった。

エレ・ジャズを展開した後、1990年代までには、メインストリームな純ジャズへ転身。ヘンダーソンのユニークなキャリアは「医学の学位を取得し、精神科医とミュージシャンとして並行してキャリアを積んだ」こと。かなり異色なジャズマンである。そう言えば、ピアニストのデニー・ザイトリンが同じ様なキャリアをしていたなあ。ジャズと精神科医。何か因果関係でもあるのだろうか?

さて、エディ・ヘンダーソンのトランペットは「軽快で流麗」である。音色はアコーステッィクなマイルスに似ている、というか、アコ・マイルスの忠実なフォロワーという印象。テクニック的には、高速フレーズやエモーショナルなハイノートとは全く無縁。ミッドテンポで1音1音をしっかり踏まえて、判り易く聴き取り易いフレーズを吹き上げていく。

Eddie Henderson『Shuffle and Deal』(写真左)。2019年12月5日の録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Henderson (tp,flh), Donald Harrison (as), Kenny Barron (p), Gerald Cannon (b), Mike Clark (ds)。リーダーのヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンと、ドナルド・ハリソンのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。
 

Shuffle-and-deal_eddie-henderson

 
ヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンの個性である「軽快で流麗」が十分に活かされた佳作である。とにかく、ヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンの音色が心地良く、ミッドテンポでフレーズの1音1音をしっかり聴かせる個性が、特にスタンダード曲で威力を発揮している。スタンダード曲の持つキャッチャーで美しい旋律をしっかりくっきり聴かせてくれる。

ハリソンのアルト・サックスも、ヘンダーソンの「個性」を踏まえて「軽快で流麗」なフレーズで寄り添う。ヘンダーソンとのユニゾン&ハーモニーはとても心地良い響き。活き活きしたハリソンのアルト・サックスは明るくて確実で判り易い。ヘンダーソンとのフロント・コンビ、この盤の聴きどころである。

そして、この「軽快で流麗」なフロント2管を支えているのが、ケニー・バロンのピアノが率いるリズム隊。さすが「伴奏上手」なピアニストのバロンである。小粋に軽快にフロント2管を支える。決してフロントの邪魔をしない。それでいて、しっかりとフロントを鼓舞する。そして、このバロンのピアノに呼応して、「軽快で流麗」なリズム&ビートを供給するキャノンのベース、クラークのドラムも素敵だ。

内容的にはライトでポジティヴ、軽快で流麗。聴き易く、聴き心地の良い、聴き応えのあるメインストリームな純ジャズ。肩肘張らず、リラックスして、それぞれの演奏を楽しみながら聴ける、ネオ・ハードバップな好盤です。ジャズ喫茶の昼下がりに流すと、何だか素敵に響くネオ・ハードバップだと思います。

ちなみに、ジャケットの表紙に写っている真っ赤なフェラーリは、ヘンダーソンが45年間、同じ車種を乗換ながら、所有している車。1968年からスタートしたエディのフェラーリ、このジャケットにあるフェラーリはなんと6台目とのこと。お後がよろしいようで(笑)。
 
 
 
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