ジャズ喫茶で流したい・219
我が国ではどうにも人気が薄い。ピアニストのHorace Parlan(ホレス・パーラン)。ブロック・コード弾きでグイグイ押しまくる。短い連続フレーズを間を取りながら繋げる独特のアドリブ・フレーズ。右手のリズム・タッチのドライヴ感。これら、パーランの個性の全てが、右手が変形したお陰で身につけた、彼ならではの個性。
ブロックコードでグイグイ引っ張ることで「骨太なファンクネス」を醸し出し、右手のシンプルなリズム・タッチで「繊細なファンクネス」を撒き散らす。このパーランのピアノ、フロント楽器として前面にグイグイ出て、魅力的なアドリブ・フレーズを叩き出すのも見事だが、実は、バックのリズム・セクションに回った時に、このパーランのピアノが更に輝く。所謂、フロントが管楽器の場合の「伴奏上手なピアニスト」なのだ。
Horace Parlan『On the Spur of the Moment』(写真左)。1961年3月18日の録音。ブルーノートの4074番。ちなみにパーソネルは、Horace Parlan (p), Tommy Turrentine (tp), Stanley Turrentine (ts), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。パーランのピアノ、当時、相棒的存在だったタッカーのベース、ヘアウッドのドラム。鉄壁のリズム・セクション。フロント2管は、タレンタイン兄弟のトランオペットとテナー・サックス。クインテット編成である。
この盤、フロント2管のタレンタイン兄弟が絶好調で、まず、このフロント2管のパフォーマンスが耳につく。さすが兄弟だけあって、息はピッタリ、ファンクネスを湛えた、芳しいユニゾン&ハーモニーでテーマ部を印象付け、ファンキーで骨太なソロ・パフォーマンスを展開する。しかし、そのフロント2管のパフォーマンスをガッチリと支えているのが、パーラン率いるリズム・セクションである。
パーランは、ブロックコードでグイグイ引っ張る「骨太なファンクネス」で、演奏全体のリズム&ビートをリードし、右手のシンプルなリズム・タッチの「繊細なファンクネス」で、フロント2管のアドリブ・フレーズを鼓舞し引き立てる。パーランのピアノの伴奏が、フロント2管のパフォーマンスを引き立て、演奏全体のダイナミズムを増幅させているのだ。「伴奏上手なピアニスト」の面目躍如である。
パーランの相棒的存在のタッカーのベース、ヘアウッドのドラムは、パーランのピアノに呼応して、リズム・セクションの叩き出すリズム&ビートを多彩なものにし、バリエーション豊かなものにする。この盤は実は、ホレス・パーラン率いるリズム・セクションを愛でる盤。我が国では入手し難い時期が続いたので、人気薄な盤なのだが内容は超一級品。ハードバップ者の方々には是非一聴をお勧めした「隠れ名盤」だと思います。
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