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2021年9月11日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・218

純ジャズ系のジャズ・ギタリストについては、意外と数が少ないと思っている。それも、自己のスタイルを確立して、優れたリーダー作を残した一流のジャズ・ギタリストは数十人のレベルだろう。例えば、ブルーノート・レーベルについては、お抱えのジャズ・ギタリストとして、ケニー・バレル、グラント・グリーンの2人だけが、一流ギタリストとして名を残しているのみ。

Grant Green『Green Street』(写真左)。1961年4月1日の録音。ブルーノートの4071番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Ben Tucker (b), Dave Bailey (ds)。ブルーノートのお抱えギタリスト、グラント・グリーンのリーダー作第2弾である。ブルーノートには珍しく、グラント・グリーンのギターをメインとした、シンプルなトリオ編成である。

このシンプルなトリオ編成について、グラント・グリーンのギターの様子がとても良く判る。まず、リズム隊を務めるベン・タッカーのベースとディヴ・ベイリーのドラムとの相性が抜群に良い。グラント・グリーンのギターの最大の個性である「シングル・トーン」。そのシングル・トーンを弾き進める時、タッカーのベースが演奏のベースラインをしっかり押さえ、ベイリーのドラムがリズム&ビートをしっかりキープする。
 

Green-street

 
この盤、もともと音の良いブルーノート・レーベルの盤の中でも特別に音が良い。グラント・グリーンの「パッキパキのシングルトーンが個性のブルージーでファンキーなギター」が手に取るように判る。グリーンはシングルトーンの旋律をとても気持ちよさそうに弾き進めている。流麗と言うよりは無骨でスクエア。切れ味はほどほどに、意外と音のエッジは丸い。これが耳にとても心地良い。

演奏については、やはりグリーンの自作曲が好調。5曲中3曲がグリーン作。グリーンは作曲の能力についても長けていたとみえる。そして、面白いのはスタンダード曲の解釈と弾きっぷり。モンク作の「'Round Midnight」は、そもそもユニークな旋律の嵐なのだが、グリーンはパッキパキなシングル・トーンで、モンク独特の旋律を解釈し、自家薬籠中のものとし、ブルージーにファンキーに弾き進める。

このブルージーな弾きっぷりの中に「濃厚なファンクネスを漂わせているところ」がグリーンのギターの特徴。このトリオ盤では、その個性が存分に楽しめる。グリーンの上半身アップの写真をあしらったジャケットも良好。僕にとってこの『Green Street』、グラント・グリーンの愛聴盤の中でもイチ推しの名盤である。
 
 
 
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