ラングレンの「欧州紀行」盤
北欧ジャズは耽美的で透明度が高く、テクニックは高度、歌心が豊かで流麗、静謐でクールな音世界が特徴。1950年代から北欧ジャズは発展してきたが、北欧ジャズの凄いところは、この「北欧ジャズならではの特徴」が1950年代に出現して以降、現代まで、ずっと継続され、年を経る毎に「進化」し「深化」していること。特に、ピアノ・トリオにその傾向が顕著である。
Jan Lundgren Trio『European Standards』(写真左)。2008年10月2-7日録音。ちなみにパーソネルは、Jan Lundgren (p, fender rhodes), Mattias Svensson (b), Zoltan Csorsz Jr. (ds, per)。パーソネルを構成する3人は皆、スウェーデン出身。スウェーデン純血のピアノ・トリオ演奏である。
収録曲のタイトルを見れば、ミシェル・ルグランの「風のささやき」、フランシス・レイの「男と女」、レノン&マッカートニーの「ヒア・ゼア・アンド・エブリウェア」そしてハンガリー、スイス、イタリア、スペイン、ポーランドの民謡、フォーク・ソングがズラリと並ぶ。タイトル通り、当盤のテーマは音楽で綴る欧州紀行。
ヤン・ラングレンのピアノは北欧ジャズの特徴をしっかりと引き継いでいて、実に印象的。耽美的で透明度が高いピアノの響き。テクニックは申し分無い。ラングレンのピアノの個性は「トーン」。ピアノのトーンが明るくポジティヴ。北欧ジャズによくある「黄昏時のくすんだ夕陽の輝き」の様なトーンでは無く、「明確に明るい優しい陽射し」の様なトーン。
このトーンがこの盤の「音楽で綴る欧州紀行」の旋律をクッキリ浮き立たせている。この盤では、ラングレンはフェンダー・ローズも弾いている。これがこれまた良い雰囲気。曲によってローズを弾いているのだが、ウォームでクールでバッチリ決まっている。
加えて、このトリオのリズム隊が、意外と北欧ジャズらしくない、躍動感溢れ、メリハリ効いてリズミカル。このポジティヴなリズム隊のサポートを受けて、この盤のトリオ演奏が、健康的な「躍動感」と「メジャー・トーンな響き」に満ちあふれているところが、この盤のトリオ演奏の特徴である。
選曲良し、演奏良し。ヤン・ラングレンのピアノ・トリオは企画ものが多いが、この「音楽で綴るヨーロッパ紀行」企画、じっくり聴くも良し、ながらで聴き流すも良し、なかなかの秀作である。
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昔から謎のままなんですが、この黄色いキャベツの葉っぱみたいなの何でしょうか。気になってるんですけど(笑)
自己紹介入りのCDで
僕は ヤン・ルングレンだと言ってるように聞こえるんですけど。
英語読みだと ラングレンだということなんでしょうかね。
投稿: MRCP | 2021年9月11日 (土曜日) 00時18分