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2021年9月30日 (木曜日)

スタンリー・カウエルのピアノ

ジャズマンの個性については、初めて聴いてスッと、その個性を掴めるジャズマンもあれば、ちょっと聴いただけでは、その個性の全貌が掴めず、しばらくすると存在すら忘れてしまうジャズマンもいる。

しかし、力量のあるジャズマンは長く第一線で活躍し続ける。初めて聴いて、その個性が掴めず、忘れてしまったジャズマンの中にも、10年、20年経った後、そのリーダー作を聴いて、やっと、そのジャズマンの個性を掴む、そんなこともたまにある。

僕にとって、ピアニストのスタンリー・カウエル(Stanley Cowell)が、そんな「その個性の全貌が掴めず、しばらくすると存在すら忘れてしまう」ジャズマンの1人だった。

初めてカウエルのリーダー作を聴いたのは、ECMからリリースされた『Illusion Suite(幻想組曲)』。この盤は、ジャズを聴き始めた、1970年代の新主流派のピアノだったが、ECM独特のニュー・ジャズな雰囲気だけが印象に残り、カウエルのピアノは、と問われれば、後から振り返れば「?」であった。

Stanley Cowell『Angel Eyes』(写真左)。 1993年4月、デンマークのランペンボーでの録音。スティープルチェイス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Stanley Cowell (p)。スタンリー・カウエルのソロ・ピアノ盤である。1989年にスティープルチェイス・レーベルに移籍後、5枚目のリーダー作。
 

Angel-eyes-stanley-cowell

 
カウエルのソロ・ピアノについては、この『Angel Eyes』以前、何枚か出ているみたいだが、今まで耳にしたことが無い。この『Angel Eyes』についても、出会ったのは、21世紀に入ってからである。スティープルチェイス・レーベルのカタログを眺めていて、その存在に気がついて、即入手して聴いたのが、約10年前かと記憶している。

このカウエルのソロ・ピアノを聴いて、カウエルのピアノの個性をやっと掴むことが出来た。確かに紡ぎ出されるフレーズは「新主流派」。モーダルで耽美的なフレーズが出てくる出てくる。そして、意外と多弁である。耽美的なフレーズが得意みたいなのだが、間を活かすよりは、間を音符で埋める「多弁」な個性。例えて言うと、リッチー・バイラークの硬質なタッチを流麗なタッチに変えたようなピアノ、かな。

収録曲は全9曲。4曲が自作曲。4曲がスタンダード曲。セロニアス・モンク作の「Eronel」を選曲しているところがユニーク。モンク独特のフレーズを、モーダルで耽美的なフレーズにアレンジして聴かせてくれる。そして、1曲がポップス曲のカヴァー。ジョン・レノンの「Imagine」。イマジンをモーダルで多弁で耽美的なフレーズで唄い上げるのだ。多弁でモーダルな展開の中に「イマジン」の印象的なフレーズをしっかりと織り込んで聴かせる。絶品である。

このスティープルチェイスのソロ盤で、やっとカウエルのピアノの個性を掴むことが出来た。内容的には、ジャジーでメインストリームなソロ・ピアノで聴き応えがある。そして、カウエルのアレンジの才能もしっかりと感じ取ることが出来た。このソロ盤、なかなかの内容である。
 
 
 

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