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2021年9月14日 (火曜日)

ハロルド・ランド再評価である

ジャズ盤の特徴のひとつに「未発表音源」というのがある。「未発表音源」とは、以前、公式な録音はコンプリートしたのだが、何らかの理由で発売に至らず、マスター・テープが倉庫の中に収納されてしまった、いわゆる「お蔵入り」の音源である。

もうひとつは、公式では無く、プライベートにスタジオのオンボード音源、ライヴの隠し撮り、若しくは、許可を取ったプライベート録音などの音源で、非公式音源ながら音もまずまず、内容も充実していた場合、その音源権利を買い取って発売に至るものもある。

そして、この「未発表音源」が、何らかの切っ掛けで倉庫から発見され、聴き直してみたら充実した内容なので、今になって、正式な形で発売に至ったものが「未発表音源」発掘盤である。

以前はジョン・コルトレーンが「未発表音源」発掘のトレンド。ビル・エヴァンスは、人気が根強く、未だに定期的に「未発表音源」発掘盤がリリースされる。マイルス・デイヴィスは、ほんのたまにリリースされるくらいかな。つまり、今でも人気のあるジャズマンをメインに「未発表音源」発掘盤はリリースされる傾向にある。

Harold Land『Westward Bound!』(写真左)。ハロルド・ランドの「未発表音源」発掘盤。クラブが保有していたオリジナル・テープからのリマスタリング音源。1962年12月12日(#1, #2, #3), 1964年9月10〜17日(#4, #5), 1965年8月5日(#6, #7, #8, #9) の3回に録音日は分かれる。ちなみにパーソネルも、リーダーのハロルド・ランドとベースのモンク・モンゴメリー以外、3回の録音日毎に分かれる。

Harold Land (ts), Monk Montgomery (b)は3セッション共通。1962年12月12日(#1, #2, #3)が、Carmell Jones (tp), Buddy Montgomery (p), Jimmy Lovelace (ds)。1964年9月10〜17日(#4, #5)が、Hampton Hawes (p), Mel Lee (ds)。1965年8月5日(#6, #7, #8, #9) が、John Houston (p), Philly Joe Jones (ds)。

1962年12月12日だけが、ハロルド・ランドのテナーとトランペット2管フロントのクインテット編成。他の2セッションは、ハロルド・ランドのテナー1管フロントのワンホーン・カルテットである。録音場所は、いずれも、米ワシントン州シアトルのジャズクラブ「The Penthouse」。
 

Westward-bound

 
ハロルド・ランド(Harold Land)は、米西海岸ジャズのハードバップ系テナー・さっクスのの代表的名手。1928年、米国テキサス州ヒューストン生まれ。2001年、カリフォルニア州ロサンジェルスで逝去。クリフォード・ブラウン~マックス・ローチ・クインテットのメンバーとして、1950年代半ばに名を挙げたが、それ以外、意外と掴みどころの無い、サックス奏者という印象が強い。

なので、このハロルド・ランドの「未発表音源」発掘盤がリリースされたという記事を見た時、正直なところ「?」であった。ハロルド・ランドって、そんなに人気のあるサックス奏者だったっけ。しかも、収録されたセッションは3種類に分かれている。その「とあるセッション」に何か特別なものがあった風でも無い。何とも不思議な「未発表音源」発掘盤という印象があって、恐る恐る聴き始めた。

が、である。この3セッションのハロルド・ランドのテナー・サックスが、溌剌とした安定したプレイをベースに、好調で個性溢れるブロウを繰り広げている。ブラウン〜ローチ・クインテットの時は、何か少しぼんやりとしたテナーやなあ、という印象があったのだが、どうして、この「未発表音源」では溌剌としたエネルギッシュなブロウを繰り広げている。いや〜、これにはビックリした。

ハロルド・ランドのテナー・サックスについては、中高音域は音のエッジは丸みがあって柔らではあるが、しっかりとした弾力感がある。低音部はゴリッとした骨太さと芯の入った堅牢さ特徴。この「未発表音源」発掘盤では、滑らで硬軟自在、緩急自在なフレーズを連発、ハロルド・ランド絶好調である。

特に、1964年9月10〜17日(#4, #5)と、1965年8月5日(#6, #7, #8, #9) の、ハロルド・ランドのテナー1管フロントのワンホーン・カルテットが、バックのリズム・セクションのパフォーマンスを含め、聴きどころ満載。さすがワンホーン・カルテットだけあって、ハロルド・ランドのテナー・サックスの特徴が良く判って聴き応え満点。

なるほど、この「未発表音源」発掘盤のリリースの意義が何となく判った気がする。つまりは、この「未発表音源」発掘盤は、ハロルド・ランド再評価の好ライヴ盤なのだ。確かに、この「未発表音源」発掘盤を聴き終えて、ハロルド・ランドのテナー・サックスを見直した。
 
 
 
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