硬派で先進的なスリー・サウンズ
The 3 Sounds(スリー・サウンズ)。1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルの最初の黄金時代に、唯一レーベルで企画されたピアノ・トリオ。人気ピアノ・トリオとなり、ブルーノート・レーベルの「ドル箱」となった訳だが、我が国では何故か人気がイマイチ。
この「企画された」ところが作為的と捉えられたのか、スタンダード曲中心の判り易い演奏が「俗っぽい」捉えられたのか、何故か人気、評価共にあまり高く無い。あろうことか、このピアノ・トリオの持つ個性と先取性を全く確認せずに「聴く価値無し」のレッテルを貼るのにはビックリした。
The 3 Sounds『Feelin' Good』(写真左)。1960年6月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。鉄壁のピアノ・トリオ。収録曲全8曲中、2曲が有名スタンダード曲、1曲がスリー・サウンドのリーダー、ジーン・ハリス作。他の5曲が「ミュージシャンズ・チューン」。
この5曲の「ミュージシャンズ・チューン」の演奏が、この盤のハイライト。ジャズマンが作った、ジャズマンが好んで演奏した曲で、映画音楽曲などをスタンダード化した曲よりも、ジャズを知っているジャズマンが書いた曲の方がジャズとして演奏するのに向いている。コードの扱いとか、リズム&ビートの扱いが、ジャズ演奏を前提として書かれているからであろう。
スリー・サウンズによる、この5曲の「ミュージシャンズ・チューン」の演奏は、当時のジャズの演奏スタイル&内容の先端を行くもので、とても聴き応えがある。スタンダード曲中心のコマーシャルな演奏をイメージして聴くと「火傷する」。筋金入りの硬派なハードバップ演奏あり、モーダルな自由度の高い演奏あり。この盤でのスリー・サウンズは、アーティスティックであり、先進的であり、ストイックである。
演奏全体に適度なテンションが漲り、テクニックは高レベル、切れ味の良い端正な、当時の最先端のハードバップ演奏が繰り広げられる。スリー・サウンズに張られた「コマーシャルで判り易い素人向けのピアノ・トリオ」というレッテルを、全面的に払拭する快作である。以前は入手し難い盤だったが、今では、音楽のサブスク・サイトに音源がアップされている。お勧めのピアノ・トリオ盤である。
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