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2021年9月の記事

2021年9月30日 (木曜日)

スタンリー・カウエルのピアノ

ジャズマンの個性については、初めて聴いてスッと、その個性を掴めるジャズマンもあれば、ちょっと聴いただけでは、その個性の全貌が掴めず、しばらくすると存在すら忘れてしまうジャズマンもいる。

しかし、力量のあるジャズマンは長く第一線で活躍し続ける。初めて聴いて、その個性が掴めず、忘れてしまったジャズマンの中にも、10年、20年経った後、そのリーダー作を聴いて、やっと、そのジャズマンの個性を掴む、そんなこともたまにある。

僕にとって、ピアニストのスタンリー・カウエル(Stanley Cowell)が、そんな「その個性の全貌が掴めず、しばらくすると存在すら忘れてしまう」ジャズマンの1人だった。

初めてカウエルのリーダー作を聴いたのは、ECMからリリースされた『Illusion Suite(幻想組曲)』。この盤は、ジャズを聴き始めた、1970年代の新主流派のピアノだったが、ECM独特のニュー・ジャズな雰囲気だけが印象に残り、カウエルのピアノは、と問われれば、後から振り返れば「?」であった。

Stanley Cowell『Angel Eyes』(写真左)。 1993年4月、デンマークのランペンボーでの録音。スティープルチェイス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Stanley Cowell (p)。スタンリー・カウエルのソロ・ピアノ盤である。1989年にスティープルチェイス・レーベルに移籍後、5枚目のリーダー作。
 

Angel-eyes-stanley-cowell

 
カウエルのソロ・ピアノについては、この『Angel Eyes』以前、何枚か出ているみたいだが、今まで耳にしたことが無い。この『Angel Eyes』についても、出会ったのは、21世紀に入ってからである。スティープルチェイス・レーベルのカタログを眺めていて、その存在に気がついて、即入手して聴いたのが、約10年前かと記憶している。

このカウエルのソロ・ピアノを聴いて、カウエルのピアノの個性をやっと掴むことが出来た。確かに紡ぎ出されるフレーズは「新主流派」。モーダルで耽美的なフレーズが出てくる出てくる。そして、意外と多弁である。耽美的なフレーズが得意みたいなのだが、間を活かすよりは、間を音符で埋める「多弁」な個性。例えて言うと、リッチー・バイラークの硬質なタッチを流麗なタッチに変えたようなピアノ、かな。

収録曲は全9曲。4曲が自作曲。4曲がスタンダード曲。セロニアス・モンク作の「Eronel」を選曲しているところがユニーク。モンク独特のフレーズを、モーダルで耽美的なフレーズにアレンジして聴かせてくれる。そして、1曲がポップス曲のカヴァー。ジョン・レノンの「Imagine」。イマジンをモーダルで多弁で耽美的なフレーズで唄い上げるのだ。多弁でモーダルな展開の中に「イマジン」の印象的なフレーズをしっかりと織り込んで聴かせる。絶品である。

このスティープルチェイスのソロ盤で、やっとカウエルのピアノの個性を掴むことが出来た。内容的には、ジャジーでメインストリームなソロ・ピアノで聴き応えがある。そして、カウエルのアレンジの才能もしっかりと感じ取ることが出来た。このソロ盤、なかなかの内容である。
 
 
 

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2021年9月29日 (水曜日)

ブルーノートらしいバード盤。

ブルーノート・レーベルの4000番台を、カタログNo.順に聴き直しているのだが、4000番台のアルバムには、駄盤、凡盤の類が全く無い。どのアルバムも内容充実、個性充実。ブルーノートなので、リハーサルからギャラを払う。当然、本番の演奏は充実の一言。録音はあの伝説のレコーディング・エンジニア「ルディ・ヴァン・ゲルダー」。ブルーノート・サウンドで録音された音は統一されている。

Donald Byrd『The Cat Walk』(写真左)。1961年5月2日の録音。ブルーノートの4075番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Pepper Adams (bs), Duke Pearson (p), Laymon Jackson (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーのドナルド・バードのトランペット、ペッパー・アダムスのバリトン・サックスがフロント2管のクインテット編成。

この盤、ブルーノート・レーベルの有名盤、優秀盤の紹介には殆ど、その名が挙がらない。それなら、内容的に問題があるのか。この盤はブルーノートの4075番。ブルーノートの4000番台には駄盤は無い。この盤、聴いてみると判るのだが、とっても充実した内容のハードバップ、とっても聴き応えのあるファンキー・ジャズなのだ。
 

The-cat-walk-1

 
まず、リーダーのドナルド・バードのトランペットが絶好調。フロント管の相棒、ペッパー・アダムスのバリトン・サックスも絶好調。このトランペットのバリサクのフロント2管がこの盤の一番の魅力。トランペットの切れ味の良い中高音とバリサクの重低音のユニゾン&ハーモニーにはゾクゾクする。そして、このフロント2管のアドリブ・パフォーマンスがこれまた素晴らしい。

バックのリズム・セクションも絶好調。ドラムのフィリージョーが野趣溢れる、ラフではあるがダイナミックで硬軟自在なリズム&ビートを叩き出し、ピアソンのピアノがファンクネスを増幅する。レイモンのベースは質実剛健かつ堅実に、演奏のベースラインをしっかりと支える。この好調なリズム・セクションをバックにしているので、フロント2管は安心して、アドリブ・パフォーマンスに専念出来るのだ。

この盤、ブルーノート・レーベルの有名盤、優秀盤の紹介には殆ど、その名が挙がらないからと言って敬遠することなかれ。この盤には、ブルーノート・ジャズの良い部分が溢れんばかりに収録されている。そういう意味では、この盤「ブルーノートらしいアルバム」の一枚なのかもしれない。成熟した良質なハードバップを体感するにも「うってつけ」のアルバムである。
 
 
 
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2021年9月28日 (火曜日)

ゴルソン・ハーモニーは不滅です

最近のアルバム音源のサブスク・サイトは隅に置けない。CDでリイシューされる音源については、かなりの確率でサブスク・サイトにアップされる。これが実に便利。CDのオンライン・ショップを徘徊する必要も無く、聴こうと思ったらすぐに聴ける。しかも、音質についてはダウンロード音源でありながら、ハイレゾ環境を組めば、CD音源並みの高音質で提供されるのだから、これは本当に便利だ。

Benny Golson Quintet Feat. Curtis Fuller『One More Mem'ry』(写真)。1981年8月19, 20日、ロサンゼルスでの録音。日本の Baystateレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Benny Golson (ts), Curtis Fuller (tb), Bill Mays (p), Bob Magnusson (b), Roy McCurdy (ds)。ジャズテットを組んでいたベニー・ゴルソンとカーティス・フラーが1981年に西海岸で録音した再会セッション。フロント2管のクインテット編成。

この盤は懐かしい。この盤はLPでリアルタイムに聴いている。1981年の『カルフォルニア・メッセージ』の続編で、ゴルソン=フラーの名コンビ復活の第2弾という触れ込みで、リリースされたと記憶している。ロサンゼルスでの録音で、演奏の雰囲気は「米国西海岸ジャズ」。キャッチャーな楽曲を、ポップで洒落たアレンジで「聴かせる」ジャズを展開している。
 

One-more-memry-1

 
全7曲中、6曲がゴルソン作。1曲のみフラーの作となる。1曲目の「One More Mem'ry」は、我が国の童謡「月の砂漠」をモチーフにしたゴルソンのオリジナル曲。ゴルソン作曲の名曲「Five Spot After Dark」も再演されている。ゴルソン=フラーの名コンビ、そして、元ジャズ・テットとくれば、「ゴルソン・ハーモニー」は当然、反映されている。全編、芳しき「ゴルソン・ハーモニー」の調べに酔いしれる。

1981年の録音なので、バックのリズム・セクションの音は、どちらかと言えば「米国西海岸フュージョン」の雰囲気。ボブ・マグナッソンのベースはアタッチメントで電気的に増幅された音だが、ピッチがまずまず合っているので、聴き難くは無い。逆に、1970年代から1980年代前半の「時代のベース音」という観点で懐かしくもあり、今の耳で聴き直すと毛嫌いするほどでは無い。これはこれでアリだと思う。

ビル・メイズのピアノもスウィンギーでよく唄っている。フレーズに翳りが無く、米国西海岸ジャズの爽やかさをしっかりと踏襲している。前作『カルフォルニア・メッセージ』と同様、なかなかの内容だと思います。1980年代初頭、フュージョン全盛時代に爽やかで聴き心地の良いコンテンポラリーな純ジャズ。意外とイケます。そして、ゴルソン・ハーモニーは不滅、です。
 
 
 
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2021年9月27日 (月曜日)

硬派で先進的なスリー・サウンズ

The 3 Sounds(スリー・サウンズ)。1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルの最初の黄金時代に、唯一レーベルで企画されたピアノ・トリオ。人気ピアノ・トリオとなり、ブルーノート・レーベルの「ドル箱」となった訳だが、我が国では何故か人気がイマイチ。

この「企画された」ところが作為的と捉えられたのか、スタンダード曲中心の判り易い演奏が「俗っぽい」捉えられたのか、何故か人気、評価共にあまり高く無い。あろうことか、このピアノ・トリオの持つ個性と先取性を全く確認せずに「聴く価値無し」のレッテルを貼るのにはビックリした。

The 3 Sounds『Feelin' Good』(写真左)。1960年6月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。鉄壁のピアノ・トリオ。収録曲全8曲中、2曲が有名スタンダード曲、1曲がスリー・サウンドのリーダー、ジーン・ハリス作。他の5曲が「ミュージシャンズ・チューン」。
 

Feelin-good

 
この5曲の「ミュージシャンズ・チューン」の演奏が、この盤のハイライト。ジャズマンが作った、ジャズマンが好んで演奏した曲で、映画音楽曲などをスタンダード化した曲よりも、ジャズを知っているジャズマンが書いた曲の方がジャズとして演奏するのに向いている。コードの扱いとか、リズム&ビートの扱いが、ジャズ演奏を前提として書かれているからであろう。

スリー・サウンズによる、この5曲の「ミュージシャンズ・チューン」の演奏は、当時のジャズの演奏スタイル&内容の先端を行くもので、とても聴き応えがある。スタンダード曲中心のコマーシャルな演奏をイメージして聴くと「火傷する」。筋金入りの硬派なハードバップ演奏あり、モーダルな自由度の高い演奏あり。この盤でのスリー・サウンズは、アーティスティックであり、先進的であり、ストイックである。

演奏全体に適度なテンションが漲り、テクニックは高レベル、切れ味の良い端正な、当時の最先端のハードバップ演奏が繰り広げられる。スリー・サウンズに張られた「コマーシャルで判り易い素人向けのピアノ・トリオ」というレッテルを、全面的に払拭する快作である。以前は入手し難い盤だったが、今では、音楽のサブスク・サイトに音源がアップされている。お勧めのピアノ・トリオ盤である。
 
 
 
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2021年9月26日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・95

我が国は「ジャズ先進国」である。太平洋戦争に負けて、米国駐留軍が我が国にやってきて、軍専用のバーやレストラン中心に、米国の音楽文化のひとつである「ジャズ」を我が国で広めた。朝鮮戦争終戦辺りで、そのムーヴメントは頂点に達し、1950年代半ばには、日本人だけで「ビ・バップ」なジャズを演奏し始める。1960年代にはジャズが我が国で定着した。

そのジャズ文化を支えた大きな「柱」がジャズ喫茶。ジャズ喫茶のマスターは、その時代時代のジャズに精通し、客のジャズ者が知らない「小粋なジャズ」を率先してかけていた。このジャズ喫茶のアルバムの選定については、我が国独特の視点があって実にユニーク。我が国では結構メジャーな盤であるものが、本場米国ではそうでもない盤は「ごまん」とある。

Dodo Marmarosa『Dodo's Back!』(写真左)。1961年5月9日~10日の録音。ちなみにパーソネルは、Dodo Marmarosa (p), Richard Evans (b), Marshall Thompson (ds)。伝説のバップ・ピアニスト、ドド・マーマローサのトリオ盤。端正でバップなマーマローサのピアノ。ベース、ドラムはほぼ無名。これがまあ、味わい深い「バップで小粋なトリオ演奏」に仕上がっているのだから、ジャズって面白い。

ドド・マーマローサ(Dodo Marmarosa)は、1925年生まれの米国の白人ピアニスト。1940年代初頭からプロとしての活動を始め、ビ・バップ・ムーヴィメントの中、レスター・ヤングやチャーリー・パーカーとも共演している。
 

Dodos-back

 
だが、1950年以降、麻薬に手を染めジャンキー化。その後、中毒症状の悪化、麻薬からくる精神病の治療の為の電気ショック療法などを経て、1950年代中盤から後半にかけては、心身ともにボロボロ状態。ところが、ドドは10年後にカムバックした。

カムバック後、1961年に吹き込まれたのが、この盤でタイトルが「ドドのカムバック」。そうした経緯を踏まえて聴くと、この盤は更に味わい深い。明らかにビ・バップのマナーに溢れた、マーマローサのゴツゴツとした力感溢れる、それでいて意外と洒脱なタッチは良い意味で「ユニーク」。正統派なビ・バップなピアノの弾き回しはフレーズが明確で、ドライブ感が溢れている。

バリバリ弾きまくる、ビ・バップなピアノなんだが、どこか寂寞感が漂うところが、我が国のジャズ者の方々の「心の吟線」に響くのかもしれない。この寂寞感が漂うアドリブ・フレーズが何ともはや、しみじみと聴き入ってしまうのだ。この「寂寞感」が、本来のビ・バップなピアノには無い要素。この要素だけで、ドドのピアノは記憶に留まっているのだ。

本盤の後、翌年にも2作ほど録音を行っているが、その後は、再びジャズ・シーンから姿を消す。精神的な病は癒えることは無かったのだろう。ドドのトリオ作はこの1作のみ。ドドのピアノの個性はこの盤が一番良く判る。通常のピアノ・トリオ盤としても良好な内容。謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」入りをさせていただきたい。
 
 
 
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2021年9月25日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・219

我が国ではどうにも人気が薄い。ピアニストのHorace Parlan(ホレス・パーラン)。ブロック・コード弾きでグイグイ押しまくる。短い連続フレーズを間を取りながら繋げる独特のアドリブ・フレーズ。右手のリズム・タッチのドライヴ感。これら、パーランの個性の全てが、右手が変形したお陰で身につけた、彼ならではの個性。

ブロックコードでグイグイ引っ張ることで「骨太なファンクネス」を醸し出し、右手のシンプルなリズム・タッチで「繊細なファンクネス」を撒き散らす。このパーランのピアノ、フロント楽器として前面にグイグイ出て、魅力的なアドリブ・フレーズを叩き出すのも見事だが、実は、バックのリズム・セクションに回った時に、このパーランのピアノが更に輝く。所謂、フロントが管楽器の場合の「伴奏上手なピアニスト」なのだ。

Horace Parlan『On the Spur of the Moment』(写真左)。1961年3月18日の録音。ブルーノートの4074番。ちなみにパーソネルは、Horace Parlan (p), Tommy Turrentine (tp), Stanley Turrentine (ts), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。パーランのピアノ、当時、相棒的存在だったタッカーのベース、ヘアウッドのドラム。鉄壁のリズム・セクション。フロント2管は、タレンタイン兄弟のトランオペットとテナー・サックス。クインテット編成である。
 

On-the-spur-of-the-moment

 
この盤、フロント2管のタレンタイン兄弟が絶好調で、まず、このフロント2管のパフォーマンスが耳につく。さすが兄弟だけあって、息はピッタリ、ファンクネスを湛えた、芳しいユニゾン&ハーモニーでテーマ部を印象付け、ファンキーで骨太なソロ・パフォーマンスを展開する。しかし、そのフロント2管のパフォーマンスをガッチリと支えているのが、パーラン率いるリズム・セクションである。

パーランは、ブロックコードでグイグイ引っ張る「骨太なファンクネス」で、演奏全体のリズム&ビートをリードし、右手のシンプルなリズム・タッチの「繊細なファンクネス」で、フロント2管のアドリブ・フレーズを鼓舞し引き立てる。パーランのピアノの伴奏が、フロント2管のパフォーマンスを引き立て、演奏全体のダイナミズムを増幅させているのだ。「伴奏上手なピアニスト」の面目躍如である。

パーランの相棒的存在のタッカーのベース、ヘアウッドのドラムは、パーランのピアノに呼応して、リズム・セクションの叩き出すリズム&ビートを多彩なものにし、バリエーション豊かなものにする。この盤は実は、ホレス・パーラン率いるリズム・セクションを愛でる盤。我が国では入手し難い時期が続いたので、人気薄な盤なのだが内容は超一級品。ハードバップ者の方々には是非一聴をお勧めした「隠れ名盤」だと思います。
 
 
 
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2021年9月24日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・218

ボサノバ&サンバのジャズについては、こってこてにボサノバ、若しくはサンバの要素を前面に押し出して、リズム&ビート、及び即興演奏部分だけが「ジャズ」を踏襲しているものもあれば、演奏全体はフュージョン、若しくはコンテンポラリーな純ジャズで、その中にボサノバ&サンバの要素を織り交ぜているものもある。

どちらもボサノバ&サンバのジャズには違いないのだが、前者は明らかにウケ狙いで、1960年代から1970年代に多く存在する。フュージョン・ジャズの時代から以降は、ジャズに他ジャンルの音楽要素を融合する手法が確立していて、1980年代以降については、コンテンポラリーな純ジャズのカテゴリーに、ボサノバ&サンバの要素を融合したジャズが多く存在する。

Toninho Horta『Moonstone』(写真左)。アメリカとブラジルのミュージシャンの混成メンツによるかなり豪華な顔触れ。特にパット・メセニー・グループ(PMG)関係のミュージシャンが多数参加。ちなみにパーソネルは以下の通り。

Toninho Horta (g, vo), Pat Metheny (g), Eliane Elias (p), Onaje Allan Gumbs, Willa Bassen, Russell Ferrante (key, Syn), Mark Egan, Steve Rodby, Luizão Maia (b), Danny Gottlieb, Paulinho Braga (ds), Randy Brecker (fly), Billy Drewes, Billy Egan (sax), Rudi Berger (vln), Armando Marçal, Robertinho Silva, Steve Thornton (perc), Boca Livre, Lourenco Baeta, Mauricio Maestro, José Renato, David Tygel (vo), Naná Vasconcelos (perc, vo)。
 

Moonstone-toninho-horta

 
Toninho Horta(トニーニョ・オルタ)は1948年ブラジルのミナス・ジェライス州生まれのギタリスト。1960年代後半から現在まで多方面でコンスタントに活躍。初リーダー作が1980年になるので、1960年代の最初のボサノバ&サンバ・ジャズのブームとは無縁。オルタの音世界は「演奏全体はフュージョン、若しくはコンテンポラリーな純ジャズで、その中にボサノバ&サンバの要素を織り交ぜているもの」に近い。

この『Moonstone』だってそうだ。初めて聴いた時「これってパット・メセニーちゃうん」と思った。ただ、良く聴くと主役のオルタのギターがパットとは違う。切れ味の良いアコギ風で、それも弾き込むのでは無い、適度に緩く適度にテンションを張った独特のギターの音色であり、リズム感である。リーダーの名前を確認して、このギターがボサノバ&サンバ系のギターであることで合点がいった。

確かにこの盤、PMG系のミュージシャンが多く参加しているので、PMGの音世界に近づくのも無理は無い。というか、意識してそうしているように感じる。フォーキーでネーチャーなコンテンポラリーなニュー・ジャズ、ワールド・ミュージック志向のコンテンポラリーな純ジャズをバックに、ボサノバ&サンバ系のギターが乱舞する。これがとても心地良い。聴いていて、ストレスがスッと抜けて、大きく深呼吸して大いにリラックス出来る、素敵な内容のネーチャー・ジャズである。

パット・メセニーの音世界の様で、そうではない。オルタのボサノバ&サンバ系のギターが、オルタの音世界のオリジナリティーをしっかりと留めている。しかし、本当に聴いていて心地良い、耳に心地良いボサノバ&サンバ系のギターであることか。好盤である。
 
 
 
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2021年9月21日 (火曜日)

エラの聴いて楽しめるライヴ盤

Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)は、女性ジャズ・ボーカリストのレジェンド中のレジェンド。1935年、18歳の若さで、デッカ・レコードより、レコード・デビュー。1956年に、ノーマン・グランツのレコードレーベルであるヴァーヴ・レコードと契約。伝説の「8枚のソングブックアルバム」をリリース。1972年から、パブロ・レーベルに移籍。後期〜晩年の優秀盤を録音している。

僕がジャズを本格的に聴き始めた頃(1970年代後半になるのだが)、エラについては、我が国のジャズ者の方々は手厳しくて、「全盛期は1950年代。全盛期を過ぎた1970年代のエラは大した事は無い。声も出ていない、迫力も無い。パブロから出てるアルバムは皆、懐メロ的なものばかり。あれを聴いて楽しめるのは、ロートルのジャズ爺だけじゃないか」なんて酷い評価を受けていたものだ。

Ella Fitzgerald『Ella In London』(写真左)。1974年4月11日、英国ロンドンのジャズ・スポット「Ronnie Scott's」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Ella Fitzgerald (vo), Tommy Flanagan (p), Joe Pass (g), Keter Betts (b), Bobby Durham (ds)。エラのボーカルがメイン、トミー・フラガナンのトリオ+盟友ジョー・パスのギターがバックに控える。
 

Ella-in-london_ella-fitzgerald

 
冒頭「Sweet Georgia Brown」から、エラは快調に唄いまくる。力が程好く抜けて、リラックスした歌唱は実に良い感じ。しかも、ガーシュイン物、コール・ポーター物はさすがに手慣れたもの。やっぱり上手いよ、エラは。やっぱりスタンダード曲を唄わせたら最高やね。6曲目には、R&Bシンガーにも好んでカバーされるキャロル・キングの名曲「"You've Got a Friend」を唄っている。これも良い味出している。

バックのリズム・セクション+ギターも快調。特に、ピアノのトミー・フラナガンとギターのジョー・パスは「伴奏上手」で鳴らした超一流のジャスマン。機微をシッカリ心得て、エラの歌唱にピッタリと寄り添う。そして、ボビー・ダーハムのドラムが、これだけ繊細に硬軟自在に、ボーカルのバックにしっくりと填まるとは思わなかった。良好なリズム隊に恵まれたボーカリストはその実力を遺憾なく発揮する。

良い女性ボーカル盤です。ジャズ・ボーカルの歴史にその名を留めるような名盤では無いが、聴いていてゆったりと楽しめる、長年に渡ってリピートする「隠れ好盤」だと思います。聴いていて疲れない、心地良くスッと耳に入ってくる。ボーカル物ってそれが一番大切な要素じゃないかなあ、なんて、歳を重ねた結果、思うようになりました。
 
 
 
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2021年9月20日 (月曜日)

ブラジリアンなメロウ・ジャズ

涼しくなった。今年の夏は「酷暑」と「日照不足」の2つが交互にやって来て、日照不足が解消されたと思ったら、外の風は既に「秋の風」になっていた。とにかく朝夕は涼しくなった。我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』では、ボサノバ・ジャズ、ジャズ・サンバ、ネイティヴなボサノバ&サンバのアルバムは、決まって、この「秋風吹き始める頃」に聴くことにしている。

Moacir Santos『Maestro(マエストロ)』(写真左)。1972年9月29日、10月10、 18日の録音。ブルーノート・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Moacir Santos (bs, vo, perc, arr), Oscar Brashear (tp), Frank Rosolino (tb), David Duke (french horn), Ray Pizzi (as, ss), Don Menza (ts, fl), Hymie Lewak (p), Clare Fischer (org), Bill Henderson (el-p), Joe Pass (g), John Heard (b), Sheila Wilkinson (vo), Harvey Mason (ds), Carmelo Garcia (perc)。

Moacir Santos(モアシル・サントス)は、1926年、ブラジル生まれ。生粋のボサノバ&サンバ系のミュージシャンであり、マルチインストゥルメンタリストであり、作曲家&アレンジャーとして才覚を現した。この盤は、サントスが1967年、米国カリフォルニアに移住した後、ブルーノート・レーベルでの初リーダー作になる。米国西海岸ジャズの名手達を参画させた、クロスオーバーな雰囲気漂うボサノバ&サンバ・ジャズ。

 

Maestro_moacir-santos

 
適度に肩の力が抜けたような、それでいて、しっかり一本筋が通っている。なかなか硬派な、それでいて、ゆったりとしたボサノバ&サンバなリズム&ビート、そして、旋律に耳を奪われる。良い意味で適度に「脱力」し、良い意味で「フュージョン・ジャズっぽい」ソフト&メロウな響きが芳しい。とにかくアルバム全体を覆うブラジリアンなグルーヴ感が半端ない。ブラジル系のジャズであるが、どこかファンクネスも漂って来るところがあって、この盤、コンテンポラリーなボサノバ&サンバ・ジャズの好盤として評価することが出来る。

冒頭1曲目、サントス作の名曲「Nana」のセルフカバーが秀逸で、どこかファンクネス溢れるアレンジはユニーク。続く2曲目「Bluishmen」は、ホーン・アンサンブルが見事。コンテンポラリーなブラジリアン・ジャズ・グルーヴが展開。3曲目の「Luanne」は、ストイックではあるが、心地良いグルーヴが魅力の、ソフト&メロウなボサノバ・ジャズ。等々、全編、ブラジリアンかつコンテンポラリーな、後の「フュージョン・ジャズ」ライクな音世界がてんこ盛りである。

こうやって順に聴き進めると、この盤、ソフト&メロウなブラジリアン・ジャズが主流なのに気がつく。後のフュージョン・ジャズの先駆けの様な響きと音を宿した、この『Maestro(マエストロ)』、意外と「隠れ優秀盤」なのではと思うのだ。しばらく入手し難く、後生買うするのが憚られたが、最近、音楽のサブスク・サイトでも聴ける様になった由、ブラジリアン・ミュージック好きには是非お勧めの「隠れ優秀盤」である。
 
 
 
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2021年9月19日 (日曜日)

マクラフリン、5年振りの新作

1975年1月、マイルス・デイヴィスが来日、途方も無いエレクトリック・ジャズを展開。FMでその実況録音を聴いて以来、エレクトリック・ジャズが大のお気に入りである。クロスオーバー&フュージョン、そして、ジャズ・ロックでのエレクトリック・ジャズが大好物。更に、エレクトリックな純ジャズにおいては、もう諸手を挙げて大のお気に入りである。

John McLaughlin『Liberation Time』(写真左)。2021年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g, p), Sam Burgess, Etienne Mbappe, Jerome Regard (b), Vinnie Colaiuta,Nicolas Viccaro (ds), Jean-Michel Aublette (b, ds), Gary Husband (key), Roger Rossignol,Oz Ezzeldin (p), Ranjit Barot (ds, vo), Julian Siegel (ts)。

クロスオーバー&フュージョン、そして、ジャズ・ロックにおけるエレギのレジェンド、ジョン・マクラフリンの5年振りのスタジオ・アルバムになる。ジョン・マクラフリンは、1942年生まれなので、今年で79歳。もう大ベテランの域を過ぎて、レジェンドの域に達している。僕が、ジョン・マクラフリンのエレギに出会ったのは、マイルスの『Bitches Brew』。クロスオーバーでプログレッシヴ、切れ味抜群でパワフルなエレギは聴いて直ぐにお気に入りになった。
 

Liberation-time-ohn-mclaughlin

 
今回の新作も、パワフルなグルーヴ、超絶技巧な弾き回し、適度に捻れて適度にプログレッシヴなマクラフリンのエレギは健在。1曲目の「As the Spirit Sings」から無茶苦茶に格好良いエレギを披露してくれる。うむむ、何時も何時の時代もマクラフリンのエレギは裏切らない。全編に渡って、往年のマクラフリンのエレギが疾走する。これで、今年79歳か。素晴らしいの一言。

今回の新作には、アコースティックなジャズの雰囲気も入っていて「粋」。マクラフリンはピアノを弾いていて、マクラフリンのピアノ・ソロの短曲2曲、4曲目の「Mila Repa」と、6曲目の「Shade of Blue」は、とても余芸とは思えない位に美しい響き。パワフルでグルーヴィー、超絶技巧な弾き回しの曲の合間の「一服の清涼剤」である。

マハヴィシュヌ・オーケストラ、シャクティ、スーパー・ギター・トリオ、ファイヴ・ピース・バンド等々、数々の伝説的グループを生み出してきた、クロスオーバー&フュージョン、そして、ジャズ・ロックにおけるエレギのレジェンド、ジョン・マクラフリン。今回は、ザ・フォース・ディメンションを率いての5年振りのスタジオ盤。傑作である。
 
 
 
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2021年9月18日 (土曜日)

ケイブルスの最新トリオ盤です

ジョージ・ケイブルス(George Cables)は、Art Pepper And George Cables 『Goin' Home』で、初めて知った。1982年のリリースなので、リアルタイムで体験している。ファンキーで多弁で切れ味の良いケイブルスのピアノは、しっかりと印象に残った。以来、ケイブルスのピアノは「お気に入り」である。

George Cables『Too Close for Comfort』(写真左)。2020年9月9日、NYの「Sear Sound」の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Essiet Essiet (b), Victor Lewis (ds)。NYブルックリン出身の大ベテラン・ジャズ・ピアニスト、ジョージ・ケイブルスが、長年活動を共にしているエシェット・エシェット、ビクター・ルイスと組んだピアノ・トリオ作。

ケイブルスのピアノはファンキーで多弁。シーツ・オブ・サウンドの様な多弁さでは無い、アドリブ・フレーズが高速でよ唄う、そんな多弁さである。そんな多弁なフレーズに、ドップリとファンクネスを漂わせて、バリバリ弾きまくる。ケイブルスのピアノは、デビュー当時から現在まで、ずっとブレる事無く、一貫している。弾きっぷりは切れ味良く、多弁なフレーズを弾ききった後の爽快感は抜群。
 

Too-close-for-comfort-george-cables

 
収録曲を見渡すと、全10曲中、ケイブルスのオリジナル曲が4曲、ジャズマンズ・チューン、スタンダード曲のほか、NYで活躍中の日本人ピアニスト、海野雅威の作品も収録されている。ケイブルスは自作曲であれ、スタンダーズ曲であれ、一貫して「多弁でファンキーで切れ味の良い」ピアノで弾きまくる。そう、ケイブルスのピアノは「弾きまくる」のだ。これが意外に耳につかない。優れたテクニックとポジティヴな歌心が成せる技である。

ケイブルスのピアノの弾きっぷりは、この盤の録音時76歳なのだが、円熟の極みというよりは、どこか年齢に似合わず「若く明るい」弾きっぷりなのだ。ただ、じっくり聴いていると、多弁な弾きっぷりではあるが、節回しやチェンジ・オブ・ペースに、どっしりとした「余裕」を感じる。これが、ケイブルスのピアノの良いところ。この「余裕」が、小粋な「タメ」に通じて、多弁なフレーズが「明るくジャジー」に響く。聴き心地がとても良い。

長年活動を共にしてきたエシェットのベース、ルイスのドラムも好調で、ガッチリとケイブルスのピアノをサポートし、引き立たせているのは立派。変に捻ったり、変に革新的に走らない、大ベテランならではの、シンプルで躍動感のあるピアノは安定感と安心感が抜群。最近リリースされたピアノ・トリオ盤の中でも、かなり優秀な内容の「隠れ好盤」です。
 
 
 

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2021年9月17日 (金曜日)

ボサノバ・イージーリスニング

子供の頃からボサノバ、サンバが好きである。何故だか判らない。少なくとも、テレビを見ていて、かの有名なボサノバ曲「イパネマの娘」が流れて来て、この曲が好きになった。では、この曲はどんな類の曲なのか。それは、ピアノの先生が「ボサノバ」だと教えてくれた。そして「男と女」のスコアをくれた。ピアノで初めて弾いたボサノバ曲であった。

ジャズを聴き始めて、ボサノバやサンバがジャズに取り入れられていることを知り、ボサノバ・ジャズが好きになった。ボサノバ・ジャズを通じて、ブラジルのボサノバ&サンバのミュージシャンを知り、純粋なボサノバやサンバのアルバムも聴くようになった。硬派な純ジャズやエレ・ジャズを聴く合間に、耳休めにボサノバ・ジャズなどを聴くのが、我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』の習わし。

Laurindo Almeida『A Man And A Woman』(写真)。1967年の作品。Capitolレーベルからのリリース。ブラジルのボサノバ・ギタリストの至宝、ジャズとブラジル音楽の融合を計った先駆者的ギタリスト、ローリンド・アルメイダのイージー・リスニング盤。どこまでも、ローリンド・アルメイダのボサノバ・ギターをとことん愛でる為のアルバムである。
 

A-man-and-a-woman-1

 
当時としてお金がかかったであろう、実に聴き心地の良い、意外としっかりとアレンジされたストリングスに乗って、切れ味良く温もりのある、流麗なアルメイダのボサノバ・ギターが飛翔する。イージーリスニング調ではあるが、アルメイダのアコギは絶対的存在感を持って、我々の耳に訴求する。ストリングスだけをバックにしているのにも拘わらず、ギターソロにはビートがしっかり効いている。アルメイダのボサノバ・ギター、恐るべしである。

この流麗でビートの効いたアコギで、お馴染みボサノバ曲である、タイトル曲の「男と女」をはじめとした、当時のポップス・チューンのヒット曲集。ビートルズの「Michelle」、トゥーツシールマンスの「Bluesette」、ジョルジベンの「マシュケナダ」等が収録されている。しかし、アルメイダのアコギは決して「甘さ」に流れない。しっかりと芯の通った、聴き応えのあるイージーリスニング・ギターに仕上がっているところはさすがである。

夏が過ぎて、秋の気配が忍び込むこの季節に聴くボサノバ&サンバは格別なものがある。生粋のボサノバ&サンバを聴くも良し、小粋なボサノバ・ジャズを聴くも良し。ゆく夏を想い、仄かな秋風に吹かれて「しみじみ」する。我が我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』では、この初秋の季節に「大ボサノバ&サンバ」大会になる。
 
 
 
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2021年9月16日 (木曜日)

飽きの来ない「隠れた」優秀盤

ジャズの世界では、リーダーの活動のピークが過ぎた後も、内容の充実した小粋で「隠れた」優秀盤がリリースされていることが多い。それぞれのジャズマンが持つ演奏テクニックや個性は、年齢を積み重ねても急激に衰えるものでは無いし、逆に、年齢を重ねることによって、歌心や余裕を持ったフレーズの取り回しなど、充実したりする要素もある。

つまり、それぞれのジャズマンのリーダー作については、優秀盤を連発していた、優れたパフォーマンスを出し続けていた「ピーク期」を過ぎても、なかなかの内容を伴った優秀盤をリリースすることは良くあること。。それぞれのジャズマンのパフォーマンスを評価するには、ピーク期だけでは無く、活動期全般を広く見渡すことが大切で、そうでなければ「偏った」評価をしてしまうことだってある、ということ。

Junior Cook『The Place to Be』(写真左)。1988年11月23日の録音。SteepleChaseのSCS-1240番。ちなみにパーソネルは、Junior Cook (ts), Mickey Tucker (p), Wayne Dockery (b), Leroy Williams (ds)。ファンキーで味のある、小粋なテナー・サックス奏者、ジュニア・クックの晩年の「隠れた」優秀盤である。
 

The-place-to-be_junior-cook

 
ジュニア・クックは、黄金時代のホレス・シルバー・クインテットで大活躍した名フロント・コンビの片割れ。以前は「中庸」だの「B級」だのと気軽に揶揄されていたが、そんなことは無い。ファンキーで黒い、ブルース感溢れるテナー・サックスは意外と癖になる。いかにも「ハードバップ時代」らしい、ファンクネス漂うテナーは、いかにもモダン・ジャズらしい響きである。

ピアノ担当のミッキー・タッカーがオリジナル2曲を提供、他は、シダー・ウォルトンやベニー・ゴルソンなどの「渋めのミュージシャンズ・チューン」を選曲している。バックのリズム・セクションが少し懸かり気味なので、やはり、クックのテナーが最大の聴きもの。硬派でストレートな吹きっぷり。硬質でエッジのほどよく立った、切れ味の良い音色。バリバリ吹き進めるアドリブ・パフォーマンスが秀逸。全曲に渡って、クックのテナーが十分に楽しめる。

何も先進的、先鋭的なテナーだけ全てではない。こういうハードバップなブロウを極めた様な、聴き応えのあるジャジーなテナーも評価に値する。こういうテナーは意外と飽きが来ない。長く聴き続けることの出来る「隠れた」優秀盤。スティープルチェイス・レーベル、良い仕事してますね〜。
 
 
 
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2021年9月15日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・94

ジャズ盤、クラシック盤、ロック盤等々、どの音楽ジャンルの盤でも、最初に聴いて感じたイメージと、しばらく時間を経て聞き直した時のイメージが大きく変わることがある。そして、その場合、最初に聴いたイメージよりも、イメージが良くなるケースが多い。

最初に聴いた時「こりゃアカンなあ」と感じた悪いイメージは、その後、聴き直した時も強く残る。つまり「悪いイメージ」って、初めて聴いた時、直感的に強く感じて残るイメージなんだろう。

逆に聴き直した後、良くなるイメージは、初めて聴いた時、当方の「耳」が成熟していなくて、その盤の持つ「良さ」に気が付かなかった場合が多い。ということで、初めて聴いた時の「良好盤」は、ある程度の時間をおいて、積極的に聴き直すことにしている。

Tete Montoliu『Tete!』(写真左)。1974年5月28日の録音。SteeplechaseのSCS1029番。ちなみにパーソネルは、Tete Montoliu (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Albert 'Tootie' Heath (ds)。この盤でのテテのパートナーは、これまた「超絶技巧」の骨太なレジェンド級ベーシストのペデルセン。そして「職人芸」玄人好みのドラマーのアルバート・ヒース。

この盤を聴き直して、この盤の持つ「本来の素晴らしさ」を改めて知った。というか、素晴らしさの「深度」が更に深まったと言って良いかと思う。こんなところは絶対に聴き逃していたなあ、とか、このポイントは聴き流してしまったなあ、と深く反省する「評価ポイント」が色々出てきたのだ。今回、聴き直して良かったなあ、としみじみ思ってしまった。

テテのピアノは硬質で骨太なタッチ。疾走感溢れる高速フレーズ。ダンディズム溢れるスイング感。圧倒的に優れたテクニック。そして、バラード演奏については透明感溢れる歌心。スペイン出身のピアニストなので、ファンクネスは皆無。切れ味の良い透明感とエッジのほど良く立った硬質なタッチ。こんなピアノは初めて聴いた。とことん欧州的なジャズ・ピアノである。
 

Tete_20210915202001

 
このテテのピアノで、この盤では「コルトレーンのシーツ・オブ・サウンド」をトリビュートしているみたいなのだ。それはテテのピアノの個性に加えて、テテのピアノのベースを支えるペデルセンの骨太&ハイ・テクニックなベースと、変幻自在、硬軟自在な柔軟性と適応力の高いヒースのドラミングに負うところが大きいのだが、とにかくトリオ一体になっての「シーツ・オブ・サウンド」は迫力満点。

冒頭の「Giant Steps」は、コルトレーン独特のテナー吹奏のテクニックである「シーツ・オブ・サウンド」を駆使した決定的名演なんだが、テテは超絶技巧なピアノで、この「シーツ・オブ・サウンド」な名曲を弾き切ってみせる。というか、コルトレーンのオリジナルよりも、豊かなバリエーションでの「シーツ・オブ・サウンド」で弾き回しているのには感動した。

3曲目の超スタンダード曲「Body and Soul」も高速「シーツ・オブ・サウンド」なフレーズの連続。それでいて、高速フレーズが実に「スインギー」。こんなに高速でスクエアにスインギーなアドリブ・フレーズを擁した「Body and Soul」は聴いた事が無い。実にユニーク、かつ圧巻である。

逆に、2曲目の「Theme for Ernie」はバラード曲。さぞかし、高速フレーズの得意なテテには苦手なジャンルでは無いか、と思うのだが、そんなことは全く無い。全くの「杞憂」である。テテの硬質で骨太なタッチ、ダンディズム溢れるスイング感をベースに、クールでドラマチックで切れ味の良いバラード演奏を披露してくれる。このテテのバラード演奏、本当に「聴きもの」である。

そして、5曲目の「I Remember Clifford」はアレンジの勝利。テテのピアノの個性を活かしたアレンジは絶品。どちらかと言えば、センチメンタルでスイートなバラード曲であるが、これをダンディズム溢れるスインギーで「シーツ・オブ・サウンド」なテクニックで斬新な解釈をしている。こんなにダンディズム溢れる切れ味の良い、それでいて仄かに温かみのある「I Remember Clifford」は聴いたことが無い。

このアルバムは「カタルーニャの秘めた激情」テテ・モントリューの傑作の一枚。今回、久し振りに聴き直してみて、この盤の持つ「本来の素晴らしさ」を改めて知った。謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」入りをさせていただきたい。
 
 
 
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2021年9月14日 (火曜日)

ハロルド・ランド再評価である

ジャズ盤の特徴のひとつに「未発表音源」というのがある。「未発表音源」とは、以前、公式な録音はコンプリートしたのだが、何らかの理由で発売に至らず、マスター・テープが倉庫の中に収納されてしまった、いわゆる「お蔵入り」の音源である。

もうひとつは、公式では無く、プライベートにスタジオのオンボード音源、ライヴの隠し撮り、若しくは、許可を取ったプライベート録音などの音源で、非公式音源ながら音もまずまず、内容も充実していた場合、その音源権利を買い取って発売に至るものもある。

そして、この「未発表音源」が、何らかの切っ掛けで倉庫から発見され、聴き直してみたら充実した内容なので、今になって、正式な形で発売に至ったものが「未発表音源」発掘盤である。

以前はジョン・コルトレーンが「未発表音源」発掘のトレンド。ビル・エヴァンスは、人気が根強く、未だに定期的に「未発表音源」発掘盤がリリースされる。マイルス・デイヴィスは、ほんのたまにリリースされるくらいかな。つまり、今でも人気のあるジャズマンをメインに「未発表音源」発掘盤はリリースされる傾向にある。

Harold Land『Westward Bound!』(写真左)。ハロルド・ランドの「未発表音源」発掘盤。クラブが保有していたオリジナル・テープからのリマスタリング音源。1962年12月12日(#1, #2, #3), 1964年9月10〜17日(#4, #5), 1965年8月5日(#6, #7, #8, #9) の3回に録音日は分かれる。ちなみにパーソネルも、リーダーのハロルド・ランドとベースのモンク・モンゴメリー以外、3回の録音日毎に分かれる。

Harold Land (ts), Monk Montgomery (b)は3セッション共通。1962年12月12日(#1, #2, #3)が、Carmell Jones (tp), Buddy Montgomery (p), Jimmy Lovelace (ds)。1964年9月10〜17日(#4, #5)が、Hampton Hawes (p), Mel Lee (ds)。1965年8月5日(#6, #7, #8, #9) が、John Houston (p), Philly Joe Jones (ds)。

1962年12月12日だけが、ハロルド・ランドのテナーとトランペット2管フロントのクインテット編成。他の2セッションは、ハロルド・ランドのテナー1管フロントのワンホーン・カルテットである。録音場所は、いずれも、米ワシントン州シアトルのジャズクラブ「The Penthouse」。
 

Westward-bound

 
ハロルド・ランド(Harold Land)は、米西海岸ジャズのハードバップ系テナー・さっクスのの代表的名手。1928年、米国テキサス州ヒューストン生まれ。2001年、カリフォルニア州ロサンジェルスで逝去。クリフォード・ブラウン~マックス・ローチ・クインテットのメンバーとして、1950年代半ばに名を挙げたが、それ以外、意外と掴みどころの無い、サックス奏者という印象が強い。

なので、このハロルド・ランドの「未発表音源」発掘盤がリリースされたという記事を見た時、正直なところ「?」であった。ハロルド・ランドって、そんなに人気のあるサックス奏者だったっけ。しかも、収録されたセッションは3種類に分かれている。その「とあるセッション」に何か特別なものがあった風でも無い。何とも不思議な「未発表音源」発掘盤という印象があって、恐る恐る聴き始めた。

が、である。この3セッションのハロルド・ランドのテナー・サックスが、溌剌とした安定したプレイをベースに、好調で個性溢れるブロウを繰り広げている。ブラウン〜ローチ・クインテットの時は、何か少しぼんやりとしたテナーやなあ、という印象があったのだが、どうして、この「未発表音源」では溌剌としたエネルギッシュなブロウを繰り広げている。いや〜、これにはビックリした。

ハロルド・ランドのテナー・サックスについては、中高音域は音のエッジは丸みがあって柔らではあるが、しっかりとした弾力感がある。低音部はゴリッとした骨太さと芯の入った堅牢さ特徴。この「未発表音源」発掘盤では、滑らで硬軟自在、緩急自在なフレーズを連発、ハロルド・ランド絶好調である。

特に、1964年9月10〜17日(#4, #5)と、1965年8月5日(#6, #7, #8, #9) の、ハロルド・ランドのテナー1管フロントのワンホーン・カルテットが、バックのリズム・セクションのパフォーマンスを含め、聴きどころ満載。さすがワンホーン・カルテットだけあって、ハロルド・ランドのテナー・サックスの特徴が良く判って聴き応え満点。

なるほど、この「未発表音源」発掘盤のリリースの意義が何となく判った気がする。つまりは、この「未発表音源」発掘盤は、ハロルド・ランド再評価の好ライヴ盤なのだ。確かに、この「未発表音源」発掘盤を聴き終えて、ハロルド・ランドのテナー・サックスを見直した。
 
 
 
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2021年9月13日 (月曜日)

アンブロゼッティのテンテット盤

ドイツの名門ジャズ・レーベル、エンヤ・レーベル(Enja Label)。アパレルのバイヤーをしていたドイツの熱心なジャズ・マニア、ホルスト・ウェーバーとミュンヘン大学在学中だったこちらも熱狂的ジャズ・ファン、マティアス・ウィンケルマンによってミュンヘンで1971年に設立されたジャズ・レーベル。

エンヤのカタログを見渡すと、フリー・ジャズ、スピリチュアル・ジャズのアルバムが多くリリースされている。欧州はドイツ出身のジャズ・レーベルなので、とにかく、内容的に硬派でストイックなフリー&スピリチュアル・ジャズな演奏がほとんど。ジャズ者初心者の方が、生半可な気持ちで手を出すと「火傷」するような、シビアな内容のジャズが多い。

Franco Ambrosetti『Tentets』(写真左)。1985年3月13, 14日の録音。エンヤ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Franco Ambrosetti (flh), Lew Soloff, Mike Mossman (tp), Alex Brofsky (french horn), Steve Coleman (as), Mike Brecker (ts), Howard Johnson (bs, tuba), Tommy Flanagan (p), Dave Holland (b), Daniel Humair (ds).。タイトル通り、10人編成の大所帯コンボである。

フランコ・アンブロゼッティは、スイス出身のトランペット&フリューゲルホーン奏者。1941年12月生まれ。録音当時は44歳、ベテランの域に達しつつある、実績バリバリの中堅トランペッター。今年で80歳。1960年代以降は主にイタリアを中心に活動している。
 

Tentets-francoambrosetti

 
アンブロゼッティは、この盤ではフリューゲルホーンに専念している。このアンブロゼッティをリーダーとした10人編成コンボの好パフォーマンスを収めた盤。エンヤ・レーベルからのリリースだが、中身はエンヤ・レーベルで少数派の「メインストリームな純ジャズ」で占められている。エンヤ・レーベルには、こういった「メインストリームな純ジャズ」もあって、どれもが聴き応えのある佳作ばかりである。

名盤請負人+燻し銀なバップ・ピアニストのトミー・フラナガン、明日を担う若きテナーマンのマイケル・ブレッカー、加えて、エモーショナルなコンテンポラリー・トランペッターのルー・ソロフ、モーダルで自由度溢れるテナーのスティーヴ・コールマンらのホーン・セクションを従えた豪華なセッション。このメンバーを見れば、この盤の内容、悪かろうはずが無い。

フランコ・アンブロゼッティのフリューゲルホーンはテクニック優秀、音色とフレーズに癖が無い流麗なもの。決して、前面に出てテクニックをひけらかすことはしない。でも、やっていることは結構高度。聴き応え満点である。アップテンポの4ビート曲、アップテンポでノリの良いサンバ曲、ゴージャスな雰囲気のしっとりとしたバラード曲など、いとも容易く、魅力的なフリューゲルホーンを吹き上げていく。

アンブロゼッティは「スイス出身で欧州を代表するトランペットの巨匠」。マイルス・デイヴィスをしてその「黒さ」を認めさせた、とあるが、確かにこの人のトランペットは欧州らしからぬファンクネスを感じるから不思議な存在だ。それでも、超有名スタンダード曲「枯葉」をユニークなアレンジで解釈するところなどは、まさに「欧州ジャズ的」。隠れた好盤、小粋な好盤として、とても楽しめる内容である。
 
 
 
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2021年9月12日 (日曜日)

スティープルチェイスらしい盤

スティープルチェイス・レーベルのカタログを眺めていると、米国ジャズで忘れ去られたジャズマンを積極的にチョイスしているのが判る。例えば、ジョー・オーバーニー(Joe Albany)。ジョー・オーバニーとは「パウエルに次ぐ名ピアニスト」とパーカーに言わしめた、将来を嘱望されたバップ・ピアニスト。しかし、ジャズメンの性なのか、例によって1950年〜60年代、重度のヤク中&アル中で刑務所や療養所を行ったり来たり。大した成果も残さず、忘れ去られた存在になってしまった。

Joe Albany & Niels-Henning Ørsted Pedersen『Two's Company...』(写真左)。スティープルチェイスのSCS1019番。1974年2月17日、 デンマークはコペンハーゲンの「Rosenberg Studie」での録音。ちなみにパーソネルは、Joe Albany (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b)。忘れ去られたバーチュオーゾ、ジョー・オーバーニーと、デンマーク・ジャズの至宝、骨太ベースのレジェンド、ニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセンとのデュオ。

1970年代になって、ようやく更正してカムバックした「ジョー・オーバーニー」を捉えた、好デュオ盤である。ジョー・オーバーニーのピアノはビ・バップ仕込み、パッキパキ硬質なタッチ、ハイテクニックで手数が多く饒舌。インプロビゼーションの展開の中で、ちょっと捻りを入れたようなユニークな音展開が特徴。
 

Two-company
 

ペデルセンのベースが骨太で堅実。ソリッドで硬質なベースラインで、オーバーニーのリズム&ビートに対するケアを軽減させて、オーバーニーに、旋律楽器としてのパフォーマンスに専念させている。このデュオ盤では、オーバーニーは遠慮すること無く、のびのびと自然体で、バップなパフォーマンスを繰り広げている。ペデルセンとの相性も良いみたいで、音がぶつかることも無く、聴いていて心地良い、上質のデュオ演奏が詰まっている。

オーバーニーは、ビ・バップ仕込みなピアノながら、繰り出すフレーズがメロディアスで親しみ易く聴き易いのが特徴なのだが、その特徴がこのデュオ盤でとても良く判る。硬質なタッチに歌心がしっかり入って、結構、ハイテクニックなフレーズを連発するのだが、それが意外と耳に付かない。ファンクネスには全く無縁なピアノだが、ちょっと捻りの効いた適度なスイング感は「癖になる」。

欧州に移住した元米国の優秀なジャズマンをピックアップし、セッションをブッキング、米国ジャズに無い、欧州ジャズ気質な、アーティスティックでメインストリームな純ジャズを記録したスティープルチェイス・レーベルの面目躍如。こういうデュオ盤はスティープルチェイスならでは。よくこの組合せを考えて録音したものだ、と聴く度に感心する。スティープルチェイスの総帥プロデューサー、ニルス・ウインターの慧眼恐るべし、である。
 
 
 

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2021年9月11日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・218

純ジャズ系のジャズ・ギタリストについては、意外と数が少ないと思っている。それも、自己のスタイルを確立して、優れたリーダー作を残した一流のジャズ・ギタリストは数十人のレベルだろう。例えば、ブルーノート・レーベルについては、お抱えのジャズ・ギタリストとして、ケニー・バレル、グラント・グリーンの2人だけが、一流ギタリストとして名を残しているのみ。

Grant Green『Green Street』(写真左)。1961年4月1日の録音。ブルーノートの4071番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Ben Tucker (b), Dave Bailey (ds)。ブルーノートのお抱えギタリスト、グラント・グリーンのリーダー作第2弾である。ブルーノートには珍しく、グラント・グリーンのギターをメインとした、シンプルなトリオ編成である。

このシンプルなトリオ編成について、グラント・グリーンのギターの様子がとても良く判る。まず、リズム隊を務めるベン・タッカーのベースとディヴ・ベイリーのドラムとの相性が抜群に良い。グラント・グリーンのギターの最大の個性である「シングル・トーン」。そのシングル・トーンを弾き進める時、タッカーのベースが演奏のベースラインをしっかり押さえ、ベイリーのドラムがリズム&ビートをしっかりキープする。
 

Green-street

 
この盤、もともと音の良いブルーノート・レーベルの盤の中でも特別に音が良い。グラント・グリーンの「パッキパキのシングルトーンが個性のブルージーでファンキーなギター」が手に取るように判る。グリーンはシングルトーンの旋律をとても気持ちよさそうに弾き進めている。流麗と言うよりは無骨でスクエア。切れ味はほどほどに、意外と音のエッジは丸い。これが耳にとても心地良い。

演奏については、やはりグリーンの自作曲が好調。5曲中3曲がグリーン作。グリーンは作曲の能力についても長けていたとみえる。そして、面白いのはスタンダード曲の解釈と弾きっぷり。モンク作の「'Round Midnight」は、そもそもユニークな旋律の嵐なのだが、グリーンはパッキパキなシングル・トーンで、モンク独特の旋律を解釈し、自家薬籠中のものとし、ブルージーにファンキーに弾き進める。

このブルージーな弾きっぷりの中に「濃厚なファンクネスを漂わせているところ」がグリーンのギターの特徴。このトリオ盤では、その個性が存分に楽しめる。グリーンの上半身アップの写真をあしらったジャケットも良好。僕にとってこの『Green Street』、グラント・グリーンの愛聴盤の中でもイチ推しの名盤である。
 
 
 
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2021年9月10日 (金曜日)

スピリチュアルなタイナー

マッコイ・タイナーは「コルトレーン・ジャズの継承者の1人」として認知されている。1970年代は、しっかりとコルトレーン・ミュージックを継承。フリー&アブストラクトなジャズには傾倒しなかったが、モーダルで、アフリカン・ネイティヴなコルトレーンの音世界をピアノ中心のジャズに置き換えて、1970年代を走り抜けた。

Mccoy Tyner『Inner Voices』(写真左)。1977年9月の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p, arr), Cecil Bridgewater, Jon Faddis, Eddie Preston:, Ernie Royal (tp), Dick Griffin, Janice Robinson, Charles Stephens, Earl McIntyre (tb), Joe Ford (as), Jerry Dodgion (as, fl), Alex Foster (ts), Ed Xiques (bs, as), Earl Klugh (g), Ron Carter (b), Eric Gravatt, Jack DeJohnette (ds), :Guilherme Franco (perc)。加えて、男女混声コーラスが参加している。

何ともはや、複雑な編成である。トランペットが4本、トロンボーンが4本、サックスが4本。アコギが入って、ドラムは2人を使い分けている。男女混声コーラスの参加がこの盤の特徴で、聴いてみると、この盤では明らかに「スピリチュアル・ジャズ」へのチャレンジが聴いて取れる。

いわゆる「内面の精神世界」をジャズで表現するのだが、タイナーは「コルトレーン・ジャズの継承者の1人」として、スピリチュアル・ジャズにも決着を付けておきたかったのかもしれない。
 

Innervoices

 
ジャズ・オーケストラでは無いのだが、管楽器が計12本のユニゾン&ハーモニーが迫力である。が、大胆に男女混声コーラスを導入しているにも拘わらず、あまりスピリチュアル・ジャズの雰囲気がしないのが面白い。

タイナーのピアノをメインとするリズム・セクションは、明らかにモード・ジャズをベースに当時最先端を行く、メインストリームなパフォーマンスで、男女混声コーラスと重厚な管楽器のユニゾン&ハーモニーをサポートするのだが、実はこのリズム・セクションのパフォーマンスが突出している。

スピリチュアル・ジャズって、僕は「思い込み」と「陶酔」、そして「自己満足」が基本だと思っているが、この盤でのタイナーは至って冷静。モーダルなジャズの下、アレンジされたスピリチュアル・ジャズという雰囲気で、他のスピリチュアル・ジャズのパフォーマンスとは一線を画している。実はこれがタイナーの狙いだったのかもしれない。

男女混声コーラスですら、モーダルなフレーズを唄い上げているところなんか、実にユニーク。スピリチュアル・ジャズとして成功しているとは思わないが、タイナーの考える「アレンジされたモーダルなスピリチュアル・ジャズ」として聴く分には、意外と面白い発見がここかしこにある。まあ、いわゆる「問題作」の一枚ではある。
 
 
 
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2021年9月 9日 (木曜日)

ラングレンの「欧州紀行」盤

北欧ジャズは耽美的で透明度が高く、テクニックは高度、歌心が豊かで流麗、静謐でクールな音世界が特徴。1950年代から北欧ジャズは発展してきたが、北欧ジャズの凄いところは、この「北欧ジャズならではの特徴」が1950年代に出現して以降、現代まで、ずっと継続され、年を経る毎に「進化」し「深化」していること。特に、ピアノ・トリオにその傾向が顕著である。

Jan Lundgren Trio『European Standards』(写真左)。2008年10月2-7日録音。ちなみにパーソネルは、Jan Lundgren (p, fender rhodes), Mattias Svensson (b), Zoltan Csorsz Jr. (ds, per)。パーソネルを構成する3人は皆、スウェーデン出身。スウェーデン純血のピアノ・トリオ演奏である。

収録曲のタイトルを見れば、ミシェル・ルグランの「風のささやき」、フランシス・レイの「男と女」、レノン&マッカートニーの「ヒア・ゼア・アンド・エブリウェア」そしてハンガリー、スイス、イタリア、スペイン、ポーランドの民謡、フォーク・ソングがズラリと並ぶ。タイトル通り、当盤のテーマは音楽で綴る欧州紀行。
 

European-standards

 
ヤン・ラングレンのピアノは北欧ジャズの特徴をしっかりと引き継いでいて、実に印象的。耽美的で透明度が高いピアノの響き。テクニックは申し分無い。ラングレンのピアノの個性は「トーン」。ピアノのトーンが明るくポジティヴ。北欧ジャズによくある「黄昏時のくすんだ夕陽の輝き」の様なトーンでは無く、「明確に明るい優しい陽射し」の様なトーン。

このトーンがこの盤の「音楽で綴る欧州紀行」の旋律をクッキリ浮き立たせている。この盤では、ラングレンはフェンダー・ローズも弾いている。これがこれまた良い雰囲気。曲によってローズを弾いているのだが、ウォームでクールでバッチリ決まっている。

加えて、このトリオのリズム隊が、意外と北欧ジャズらしくない、躍動感溢れ、メリハリ効いてリズミカル。このポジティヴなリズム隊のサポートを受けて、この盤のトリオ演奏が、健康的な「躍動感」と「メジャー・トーンな響き」に満ちあふれているところが、この盤のトリオ演奏の特徴である。

選曲良し、演奏良し。ヤン・ラングレンのピアノ・トリオは企画ものが多いが、この「音楽で綴るヨーロッパ紀行」企画、じっくり聴くも良し、ながらで聴き流すも良し、なかなかの秀作である。
 
 
 
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2021年9月 8日 (水曜日)

マクリーンの隠れ名盤の一枚

一流ジャズマンを俯瞰して見ると、その演奏スタイルが生涯、基本的に変わらないジャズマンと、時代毎のジャズの演奏スタイルのトレンドに合わせて、変化していくジャズマンと、ふた通りある。例えば、テナー・タイタン、ソニー・ロリンズは、その演奏スタイルはデビュー当時から基本的に変わらない。しかし、コルトレーンなどは、ハードバップからモード、フリー、スピリチュアルと変化していった。

どちらが良いか、という様な優劣を語っているのでは無い。それぞれ、一流ジャズマン、いわゆるプロ中のプロのジャズ演奏家については、各々の信念の下に、演奏スタイルを維持したり、変化させたりする。その演奏スタイルに対する拘りは、我々、聴き手であるアマチュアがその良し悪しを議論するものでは無いだろう。出てくる音を楽しむか否か、それだけである。

Jackie McLean『Bluesnik』(写真左)。1961年1月8日の録音。ブルーノートの4067番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Freddie Hubbard (tp), Kenny Drew (p), Doug Watkins (b), Pete La Roca (ds)。リーダーのマクリーンのアルト・サックスと若きハバードのトランペットの2管フロントのクインテット編成である。
 

Bluesnik

 
ジャキー・マクリーンは、時代毎のジャズの演奏スタイルのトレンドに合わせて、変化していくジャズマンであった。ハードバップ期初期にデビューして、ちょっとピッチの外れたユニークな音色と卓越したテクニック&歌心で、第一線のアルト・サックス奏者として活躍した。この盤では、まだハードバップには留まっているが、モード・ジャズ直前の成熟したコード・ベースのハードバップ演奏を聴くことが出来る。

コルトレーンを意識してなのか、シーツ・オブ・サウンドにも似た高速アドリブ・フレーズ。しかし、まだモードやフリーには傾倒しない。1961年の録音なので、コマーシャルなファンキー・ジャズやソウルフルなジャズに変化しても良さそうなものだが、マクリーンはあくまで、メインストリームな純ジャズを突き進む。そう、マクリーンは硬派なジャズマンだった。決して、ジャズにコマーシャルを求めない。

この盤、結構、内容の濃い演奏が詰まっていて、ハードバップの成熟した高度な演奏を聴くことが出来る。我が国ではあまり名前が挙がる盤では無いのだが、マクリーンの名盤群の1枚であり、ハードバップの傑作の一枚として評価して良い。この後、マクリーンは、モード・ジャズ、そして、フリー・ジャズに接近していく。これがまた「聴きもの」なのだ。
 
 
 
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2021年9月 7日 (火曜日)

テテの秀作「カタロニアの火」

Tete Montoliu(テテ・モントリュー)。スペインのカタロニア生まれの盲目のピアニスト。1933年3月生まれ。1997年8月に64歳で逝去している。僕がテテを初めて聴いたのは1990年代。紙ジャケ・ブームに乗って、スティープルチェイス・レーベルの名盤が一斉にリリースされた時に、テテのリーダー作を何枚か手に入れた。

テテのピアノにはビックリした。硬質で骨太なタッチ。疾走感溢れる高速フレーズ。ダンディズム溢れるスイング感。圧倒的に優れたテクニック。そして、バラード演奏については透明感溢れる歌心。スペイン出身のピアニストなので、ファンクネスは皆無。切れ味の良い透明感とエッジのほど良く立った硬質なタッチ。こんなピアノは初めて聴いた。とことん欧州的なジャズ・ピアノである。

Tete Montoliu『Catalonian Fire』(写真左)。Steeplechaseレーベルからのリリース。SCS1017番。1974年5月26日、コペンハーゲンの「Rosenberg Studie」での録音。ちなみにパーソネルは、Tete Montoliu (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Albert Heath (ds)。テテのteeplechaseレーベルの第一弾。テテのピアノの個性が良く判る、シンプルなトリオ編成である。
 

Catalonian-fire

 
アルバムタイトルが「カタロニアの火」。テテのピアノに対する比喩であろう。トリオ演奏であるが故、テテのピアノの個性が良く判る。テクニックはオスカー・ピーターソンに引けを取らない。速いフレーズはバリバリ弾きまくる。バラード曲はダンディズム溢れる歌心。モーダルで陰影のハッキリしたフレーズ表現。左での打鍵は重いが切れ味良くパッキパキに硬質。テテの唯一無二の個性だろう。

特にスタンダード曲の解釈がユニークだ。「Sweet Georgia Fame」「A Nightingale Sang in Berkeley Square」「Falling in Love With Love」「Old Folks」そして「Body and Soul」、それぞれ、米国ハードバップの数ある先達の演奏イメージに全く無い、テテならではの独特の解釈とアレンジがこの盤に詰まっている。聴けば「なるほど」と感心する正統なアレンジで、このアレンジ能力もテテの才能のひとつだと言える。

我が国では人気は芳しく無いが(これが不思議なんだが)、これだけの個性とパフォーマンスを発揮するジャズ・ピアニストはそうそういない。スティープルチェイスの総帥プロデューサー、ニルス・ウィンターに可愛がられ、スティープルチェイスに膨大なアルバムを残しているのは有り難いことである。
 
 
 
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2021年9月 6日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・217

Dizzy Gillespie『Dizzy's Big 4』(写真)。1974年9月 17&19日の録音。パブロ・レーベルの2310-719番。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp), Joe Pass (g), Ray Brown (b), Mickey Roker (ds)。ピアノレスの、代わりにギターが入った、トランペット1管フロントの「ワンホーン・カルテット」。

それまでにありそうで無かった、というか、1950〜60年代では無かったであろうカルテット編成。リーダーのディジー・ガレスピーはビ・バップの生みの親の1人。テクニック&歌心に秀でたレジェンド級のトランペッター。1950〜60年代は、主力レーベルのハードバップのセッションに顔を出すことは殆ど無く、ビッグバンドの主宰など、我が道を往く活動だった。

職人ギターのジョー・パスと職人ベーシストのレイ・ブラウンは、米国西海岸ジャズの範疇での活動がメイン。東海岸ジャズのメンバーが西海岸にやって来れば、他流試合セッションを繰り広げたりするが、基本、東海岸ジャズとのメンバーの恒常的な交流は無かった。職人ドラマーのミッキー・ローカーは、東海岸ジャズのサイドマン活動がメイン。当然、西海岸ジャズとの交流は無い。

この盤のパーソネル、パブロ・レーベルならではのブッキングと言える。ノーマン・グランツに対する信頼とグランツ自身の卓越したプロデュース能力の賜だろう。ビ・バップの生みの親、レジェンドのトランペッターをフロントに、バックにギター・トリオを配置した、極上のハードバップ・セッションが繰り広げられている。
 

Dizzys-big-4

 
録音当時、ガレスピーは57歳。ブラウンは48歳、パスは45歳、ロッカーは42歳。ガレスピーは年齢的に充実のベテラン、バックのギター・トリオは、働き盛りの中堅。メンバーの年齢的にも「油が乗りきって充実した」、今を振り返ると、いずれも「レジェンド級」のジャズマンが集まっているのだ。平凡な演奏になる訳がない。

ガレスピーのトランペットは緩急自在、硬軟自在。つぶやくようなブロウ、一転して火を吹くようなブロウ、強烈にダイナミックに吹き上げるトランペットはガレスピーならでは個性。それでいて、出てくるフレーズはコッテコテにジャジーでブルージー。耳にもたれることは無いし、マンネリに陥ることも無い。さすが「レジェンド級」のトランペッター。

バックを司るギター・トリオも実に味がある。一言で言うと「職人芸」。高度なテクニックを駆使しつつ、流麗で味のある「粋な」フレーズを積み重ねて、とっても小粋なバッキングを繰り広げる。ガレスピーのトランペットを引き立てることはもとより、このバックのギター・トリオの妙技だけでも、とことん楽しむことが出来る。聴き応えのあるギター・トリオ。

ブルース・フィーリング溢れる「ガレスピーのベテラン期の佳作」。この盤の演奏には「ジャズとしての新しさが皆無」と揶揄する向きもあるが、21世紀の今の耳で聴き直すと、熟練、成熟のハードバップ、正統なモダン・ジャズな演奏がこの盤に詰まっていると思う。隠れ名盤の一枚として再評価したい。
 
 
 
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2021年9月 5日 (日曜日)

タイナー独自の音世界の確立

1970年代、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)はジャズ界のヒーローだった。1960年代、伝説のジョン・コルトレーンのカルテットのピアノ担当として知名度が増し、コルトレーン亡き後、コルトレーン・ミュージックの正統な継承者として、タイナーはジャズ界の希望であり、指針であった。

確かに、1970年代のタイナーの快進撃は見事であった。しっかりとコルトレーン・ミュージックを継承。フリー&アブストラクトなジャズには傾倒しなかったが、モーダルで、アフリカン・ネイティヴなコルトレーンの音世界をピアノ中心のジャズに置き換えて、1970年代を走り抜けた印象が強い。

McCoy Tyner『The Greeting』(写真)。1978年3月17&18日、米国サンフランシスコの「The Great American Music Hall」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Joe Ford (as, fl), George Adams (ts, ss, fl), Charles Fambrough (b), Woody "Sonship" Theus (ds, bells), Guilherme Franco (conga, berimbau, perc)。
 

The-greeting

 
収録曲全5曲を見渡すと、コルトレーンの名曲「Naima」以外、残りの4曲はタイナーの作。この頃のタイナーは、決して、スタンダード曲に頼ることをしない、実に潔く、コルトレーン・ミュージックをメインにしたモード・ジャズを展開していた。この頃のタイナーのピアノは、そのスタイルを完全に確立していて、左手のパーカッシヴな「ハンマー打法」で、ビートの底を揺るぎないものとしつつ、流麗で多弁な右手で、モーダルなフレーズを延々と展開していく。それはそれは見事な「モード・ジャズ」。

テナー・サックスに若きジョージ・アダムスが参加しているのが目を引く。フリー&アブストラクトなブロウを封印し、コルトレーンとは響きが異なった、アダムス独自のアフリカン・ネイティヴなモーダルなフレーズを連発する。そして、コンガやベル、ビリンバウなどのパーカッションが、アフリカン・ネイティヴな響きを増幅する。

このライヴ盤を聴く度に、この時点で、タイナーの音世界が完全に確立されていることが再確認出来る。コルトレーン・ミュージックのアフリカン・ネイティヴな部分を継承し、深化させたタイナー独特のモーダルな音世界。ジャズの起源となるアフリカン・アメリカンの音の原風景を垣間見る様なタイナーの音世界。僕は当時から今まで、このタイナーの音世界が大のお気に入りである。
 
 
 
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2021年9月 4日 (土曜日)

スタンリー・タレンタインの本質

スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)は、漆黒ファンキーなソウルフル・テナー奏者。「漆黒ファンキーでソウルフル」なテナーと言えば、オールド・スタイルのヴィブラートの効いたテナーを想起するのだが、タレンタインのテナーはストレート。コルトレーンと同じカテゴリーの、当時として新しいジャズ・テナーのカテゴリーなのだが、何故か、我が国では人気が低い。

タレンタインのテナーは「漆黒ファンキーでソウルフル」なテナー。スタジオ録音のテナーについては、歌心満点の判り易い、情緒溢れるテナーを吹く。ちょっとポップでコマーシャルな響きがするので「ストレート・アヘッドでない」と評価されたのか、タレンタインのテナーは俗っぽくて濃い、などと揶揄されることもあった。

Stanley Turrentine『Up at "Minton's", Vol. 1&2』(写真)。 ブルーノートの4049&4070番。1961年2月23日、NYの「Minton's Playhouse」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Grant Green (g), Horace Parlan (p), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。タレンタインのテナー1ホーンがフロント。バックのリズム隊は、ギター入りのピアノ・トリオ。
 

Up-at-mintons_20210904173701

 
このライヴ盤を聴けば、スタンリー・タレンタインのテナーの印象がガラリと変わる。どこまでもストレート・アヘッドな吹きっぷり。ストレートで力感溢れる骨太な音色。コードにもモードにも楽々適応する優れたテクニック。そんなアーティスティックでストレート・アヘッドなテナーに、もともとの個性である「漆黒ファンキーでソウルフル」な味わいが加味される、それはそれは聴き応えのある、ダンディズム溢れるテナー・サックスである。

加えて、バックのギター入りのピアノ・トリオが凄く良い。間を活かしたシングル・トーンがファンキーなパーランのピアノ。硬派でパッキパキ・ファンキーなグリーンのギター。モーダルで新しい響きを宿したタッカーのベース&ヘアウッドのドラム。ストレート・アヘッドなリズム&ビートの中に、強烈に漂うファンクネス。タレンタインの個性である「漆黒ファンキーでソウルフル」をしっかりと支える。

この「ミントンズのタレンタイン」を聴けば、タレンタインのテナーの印象はガラリと変わる。タレンタインのテナーの本質は「ストレート・アヘッドでダンディー」。そこに「漆黒ファンキーでソウルフル」な個性が加味される。タレンタインの本質を記録したライヴ盤。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼、恐るべし、である。
 
 
 
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2021年9月 3日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・138

昨日から、いきなり気温がグッと下がった千葉県北西部地方。最高気温が20℃前後ともう9月下旬か、10月上旬の気温になるのだからたまらない。それまで酷暑で最高気温が33℃前後と一気に10℃以上も下がるのだから、体調が一気に不安定になる。体調が不安定になってくると、シビアでアーティスティックな純ジャズはしんどくなる。

そうすると、耳当たりの良い、フュージョン・ジャズなんかが良いんだが、あまり集中して聴く、ハードなものは辛い。ふんわり聴き流すレベルのアルバムが良い。それも陽気なものが良い。ということで、気軽に聴き流すことの出来る、バリバリのフュージョン・ミュージックを選択する。

『Havana Jam』(写真左)。1979年、キューバのハバナでに行われた野外イベントの模様を収録した、リリース当時はLP2枚組のライヴ盤。参加したバンド&メンバーは、Weather Report, Irakele(写真右), Stephen Stills, Sara Gonzáles, CBS Jazz All-Stars, Bonnie Bramlett & Mike Finnigan, Cuban Percussion Ensemble 等々。当時、CBSに所属していたジャズ、ロックの一流どころが終結、聴いて心地良いフュージョン・ミュージックを演奏していく。
 

Habana-jam

 
冒頭、Weather Report「Black Market」で幕を開ける。ちょっと荒めだが、さすがWRな演奏で一気に盛り上がる。続いて、Irakere「Concerto Para Flaut Adagio De Mozart」。キューバン・フュージョンがあっけらかんとして気持ちが明るくなる。続いて、Stephen Stills「Cuba Al Fin」。西海岸ロックのベテランによるフュージョン・ロック、等々。

聴いていて「これは」と思ったのが、CBS Jazz All-Stars「Black Stockings」。Stan Getz、Dexter Gordon、Tony Willams、John Mclaughlin、Wille Bobo、Bobby Hutxherson等、往年のメインストリーム・ジャズ系の一流ジャズマンが参加。軽快なリズムと開放的なメロディが素敵なカリビアン・フュージョンが展開されている。このパーソネルでこの音。フュージョン時代ならでは、である。

CDでは紙ジャケの中古のみ、恐らく音楽のサブスク・サイトには音源はアップされていないと思うが、1970年代後半の「ごった煮のフュージョン・ミュージック」が好きなジャズ者の方には一聴をお勧めしたい。特に、イラケレを始めとする、キューバン・ジャズ、カリビアン・フュージョンが聴きものである。
 
 
 
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2021年9月 2日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・93

昨日も書いたが、パブロ・レーベルには、ハードバップ時代には無かった編成やメンバーのカップリングが多数ある。加わて、この人がこんな編成の演奏するの、とビックリする企画ものもある。昨日のデューク・エリントンのピアニストとしての個性に焦点を当てたアルバムもそのひとつ。で、今日は「カウント・ベイシー」である。

The Count Basie Trio『For the First Time』(写真)。1974年5月22日の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Ray Brown (b), Louie Bellson (ds)。パーソネルをよくよく見れば、昨日のデューク・エリントンのピアノ・トリオ+ギターのベースとドラムがそのままスライドして採用されている。パブロの総帥プロデューサーのノーマン・グランツのプロデュースの観点が何となく見て取れる。

カウント・ベイシーは、ご存じ、伝説のビッグバンド「カウント・ベイシー楽団」の総帥リーダー。ダイナミックで分厚いアンサンブルが身上のビッグバンドだが、このビッグバンドのリーダーのカウント・ベイシーのピアノが、音数の少ない、間を最大限に活かした、まるで「侘び寂び」を反映した様な、ビッグバンドの音は正反対の音世界になっているのだから、ジャズは面白い。
 

For-the-first-time

 
本当に音数の少ないピアノである。間を最大限活かしているが、大丈夫か、と心配になるくらいに音数が少ないフレーズが出てくる。そのフレーズは「スイング」が基調。独特なスイング感とリズム感は、カウント・ベイシーのワン・アンド・オンリーなもの。これだけ音数の少ないピアノは他に無い。マイルスがその音数の少なさとクールな使い回しで着目した「アーマッド・ジャマル」よりも音数が少ないから凄い。

そして、ベイシーのオルガンがクールで粋。ファッツ・ウォーラーに教わったというスタイルらしいのだが、ロングトーンを活かした、ディープで、ブルージーな雰囲気を増幅して聴かせるスタイル。実に味わい深く、従来のジャズ・オルガンとは全く違うスタイルで最初は戸惑うが、何回も聴き重ねるにうちに、その味わいがジンワリと染みてきて癖になる。

録音年の1974年と言えば、ジャズの世界ではフュージョン全盛期に向かう頃。そんな電気楽器&8ビートなジャズが台頭する中、こんなに玄人好みの渋いピアノ・トリオがリリースされていたことに、パブロ・レーベルの企画力と懐の深さ、そして、メインストリームなジャズ・レーベルとしての矜持をビンビンに感じる。ピアノ・トリオの隠れ名盤だと思います。
 
 
 
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2021年9月 1日 (水曜日)

デューク・エリントンのピアノ

パブロ・レーベル。「昔の名前で出ています」的だの、昔の終わったジャズマンを集めた「懐メロジャズ」だの、我が国ではあまり評判は良くなかった。が、アルバムをちゃんと聴けば判るが「そんなことは無い」。平均的に「内容の整ったメインストリームな純ジャズ」のオンパレードで、聴いていて楽しいジャズばかりである。

しかも、ハードバップ時代には無かった編成やメンバーのカップリングが多数あって、パブロ・レーベルの諸作については、1970年代の「ネオ・ハードバップ」的な優秀作の宝庫と言えるでは無いか、と思っているくらいだ。21世紀になった今、パブロ・レーベルについては再評価をすべきだろう。聴いて楽しい録音が多数、存在する。

Duke Ellington『Duke's Big Four』(写真左)。1973年1月8日の録音。パーソネルは、Duke Ellington (p), Joe Pass (g), Ray Brown (b), Louie Bellson (ds)。ビッグバンドの総帥レジェンド、デューク・エリントンがピアニストとしてリーダーを張り、ギター入りのカルテット編成での録音。ピアノのエリントン、ベースのブラウン、ギターのパス、ドラムのベルソン、いずれもレジェンド級のビッグネーム。
 

Dukes-big-four_1

 
ビッグバンドの総帥かつ作曲家のエリントンのピアノは流麗でメロディアスなピアノを想起するのだが、どうして、そんな流麗なイメージとは正反対。硬質なタッチでアグレッシブ。フレーズも先進的で時に前衛的。あくまでコードがベースの旧来のスタイルだが、間を活かした、音を選んだ右手のシングル・トーンは典雅。左手のブロックコードが穏やかでは無い、硬質な打ち下ろす様な、少し不協和音な響きを宿したマイナーなブロックコード。

エリントンはジャズ界最大のレジェンドの1人。そんなエリントンがピアノを弾くのだ。それをサポートするベース、ギター、ドラムは、それはそれは神妙に慎重にサポートしている様が良く判る。ブラウンのベースは往年の骨太でソリッドで歌心溢れるベースだが、エリントンの邪魔は絶対にしない。エリントンのピアノのイメージと被ることは全く無い、パスのギターは力強く流麗。ベルソンは洒脱なドラミングでエリントンのピアノにピッタリ寄り添う。

滋味溢れる、他に無い、エリントン独特のジャズ・ピアノ演奏がこの盤に記録されている。ハードバップ期のファンクネスを漂わせた、躍動感溢れるインタープレイとは一線を画した、ファンクネスを奥にしまい込みつつ、コードの妙によって「黒い情念」を表現し、間を活かした演奏で、そのイメージを増幅するという、意外ととんでもないピアノ・トリオ+ギターの演奏がここにある。1970年代のパブロ・レーベルを侮ってはならない。
 
 
 
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