グラント・グリーンの初リーダー作
グラント・グリーン(Grant Green)。基本的にブルーノートお抱えのギタリストで、1970年代から80年代にかけて、彼のリーダー作が入手し難かったこともあって、我が国ではマイナーな存在であった。1970年代後半、僕がジャズを本格的に聴き始めた頃、レコード屋やFM放送で、グラント・グリーンの名に触れることは全く無かった。その名を初めて知ったのは、ジャズ盤の紹介本を読んだ時だったなあ。それでも現物のLPを見ることは無かった。
でも、このギタリストの音と雰囲気が大好きなんだなあ。パッキパキ硬質なシングル・ノート奏法。シングル・ノートから滲み出るファンクネス。これが何とも、自分の心に吟線に触れるのだ。アドリブ・フレーズの弾き回しは「流麗で骨太でファンキー」。オルガンが入ると、そのブルージーさファンキーさが増幅される、ある種、不思議なシングル・ノートである。
Grant Green『Grant's First Stand』(写真左)。1961年1月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Baby Face Willette (org), Ben Dixon (ds)。グラント・グリーンの初リーダー作になる。初セッションは1960年11月であったがお蔵入りになっている(2001年に突如『First Session』としてリリースされた)。こちらはピアノ・トリオをバックにしたもの。当盤はオルガン+ドラムをバックにしたもの。
グラント・グリーンのギターが持つ圧倒的な個性「こってこてなファンクネス」を引き立てるには、当盤の様なオルガン・トリオが正解だろう。ピアノ・トリオがバックでは上品過ぎる。そういう面では『First Session』をお蔵入りにしたのは正解と言えば正解。ブルノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼、恐るべしである。
この初リーダー作において、パッキパキ硬質なグリーンのシングル・ノート奏法は既に確立されている。ブルージーでファンキー漂う、シングル・トーンが基本のギター・フレーズはとても個性的。一聴すれば直ぐに「グラント・グリーン」と判るほどの判り易さ。グリーンのギターの持つ「こってこてなファンクネス」が、ファンキーなオルガンの伴奏で増幅されている。
初リーダー作なので、グラント・グリーンのギターがちょっと「神妙」になっているところが微笑ましい。グリーンのギターって意外とアグレッシヴ。しかし、負けずにウィレットのオルガンがアグレッシヴかつプログレッシヴで、全編に渡ってかなり硬派でアグレッシヴな、加えて、無骨で先進的な響きを宿しているところがこの盤の特徴。ソフト&メロウな俗っぽいファンキー・ジャズでは決して無い。
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