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2021年8月18日 (水曜日)

1970年代ECMの「隠れ名盤」

ECMレーベルの「ハウス・ジャズマン」達は、ECMレーベルの音のカラーにばっちりフィットしていて、ECMレーベルの音の統一感に大きく貢献している。総帥プロデューサーのマンフレート・アイヒャーのプロデュース力が強烈なのと、「ハウス・ジャズマン」達がもともと持っている「自然に発散する音のカラー」がECMレーベル向きなのと、その両方の相互作用の成せる技だろう。

Kenny Wheeler『Deer Wan』(写真)。1977年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Wheeler (tp, flh), Jan Garbarek (ts, ss), John Abercrombie (el-g, el_mandolin), Dave Holland (b), Jack DeJohnette (ds), Ralph Towner (12-string g (track 2))。カナダのトロント出身のフリューゲルホルン&トランペットの名手ケニー・ホイーラーの作品。

ECMレーベルのアルバムは、どれもが「ECMレーベルの音のカラー」が反映されているのだが、この盤は、それらに増して「ECMレーベルの音のカラー」が強烈に濃厚な内容。パーソネルを見渡すと、ギターにアバークロンビー、サックスにガルバレク、ベースにホランド、ドラムにデジョネット、2曲目のみだが12弦ギターのタウナー、という、当時のECMのお抱えジャズマンで占められている。
 

Deer-wan

 
1960年代後半からスタートしたECMレーベル。1970年代中盤にはレーベルのカラーが認知され、セールスも充実して、ECMがジャズ・レーベルとして基盤を確立。この盤が録音された1977年は、ECMレーベルが一番充実した時期。ここに、アイヒャーの強烈なプロデュースが入るのだから、そりゃ〜「ECMレーベルの音のカラー」が思いっ切り充満するよな〜。

ホイーラーの端正な浮遊感溢れるトランペットが幻想的。多重録音がその雰囲気を増幅する。そこに、これまたくすんだ浮遊感溢れるアバークロンビーのエレギが絡む。そこに、クールで硬質なガルバレクのサックスが切れ込む。緩急自在、硬軟自在なベース&ドラムのリズム隊は、ECM独特のニュー・ジャズなリズム&ビートを繰り出していく。

4ビートなど、スインギーなジャズとは全く異なる、ECMレーベルのニュー・ジャズな音世界ではあるが、その音世界の中で展開される即興演奏は、それはそれはアーティスティックで見事なもの。そういう意味でも、この盤にある演奏は立派な「ジャズ」である。この盤、我が国ではあまりそのタイトルが話題に上らないが、ECMレーベルにおける名盤中の名盤の一枚だと思う。
 
 
 
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