サヴォイのトランペット愛聴盤
ビ・バップ〜ハードバップ期を中心に好盤を量産した、古参ジャズ・レーベルであるサヴォイ(SAVOY)レーベル。1942年、ルビンスキーとカデーナの2人により、ニューアークにて設立。テディ・リーグをプロデューサーに迎え、ビバップを中心としたレコーディングにシフトし、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーなどのセッションをどんどん録音していった。
1950年代半ばには、名プロデューサーとして知られるオジー・カデナが迎えられ、レーべルはここから大躍進、次々と傑作を発表してゆく。1974年には創設者のルビンスキーが死去し、レーベルはその後、アリスタ等、様々なレーベルへと権利は転々とするが、2017年、アメリカのコンコードに買収され、現在はコンコード・ミュージック・グループ傘下に収まっている。
Joe Wilder『Wilder 'N' Wilder』(写真)。1956年1月19日、Van Gelder Studioでの録音。プロデューサーは「オジー・カデナ」。ちなみにパーソネルは、Joe Wilder (tp), Hank Jones (p), Wendell Marshall (b), Kenny Clarke (ds)。ジョー・ワイルダーのトランペットがフロント1管の「ワンホーン・カルテット」である。
良い音で優しく鳴るトランペットである。テクニックは優秀、ブリリアントで切れ味の良いトランペット。決してハイノートはやらない。堅実な音で穏やかにフレーズを紡ぎ上げていく。ビ・バップ〜ハードバップ期のジャズ・ジャイアンツ達のトランペットの音とはちょっと響きが違う。ジャズっぽく無いかもしれないが、リラックスした正統派のトランペットという趣で、聴いていてとても心地良い。
バックのリズム隊も、そんな優しく穏やかでブリリアントなトランペットを「小粋に渋〜く」サポートする。特に、ピアノのハンク・ジョーンズの典雅で流麗なピアノは聴いていて惚れ惚れする。ウェンデル・マーシャルのベースは堅実に演奏のベースラインをガッチリ支え、ケニー・クラークのドラミングは機微を捉えて硬軟自在。このリズム隊のサポートもこの盤の「聴きどころ」。
ジャケ・デザインは実にサヴォイ・レーベルらしいもの。音はルディ・ヴァン・ゲルダーの手なる録音で良好。ブルーノート盤などの「尖った先進的なハードバップ」な音とは全く異なる、ややリラックスした正統でハードバップな演奏が、この盤にてんこ盛り。いかにもサヴォイ・ジャズのハードバップらしい音世界である。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》
★ AORの風に吹かれて 【更新しました】 2021.06.10 更新。
★ まだまだロックキッズ 【更新しました】 2021.06.10 更新。
★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.06.10 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から10年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« アバークロンビー入門のライヴ盤 | トップページ | レッド・ロドニーの「隠れ名盤」 »
コメント