アバークロンビー入門のライヴ盤
ジャズのエレクトリック・ギター盤を聴き直し始めて、ジョン・アバークロンビー(John Abercrombie)に再会した。ECMレーベル専属ギタリストに近い位置づけで、アイヒャー主導のECM独特の「ニュー・ジャズ」な雰囲気の中、個性的でストレートなエレクトリック・ギターを聴かせてくれる。特に、その即興演奏が独特な響きで、アバークロンビーの個性を唯一のものにしている。
『John Abercrombie / Marc Johnson / Peter Erskine』(写真左)。1988年4月21日、ボストンでのライヴ録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (g, g-synth), Marc Johnson (b), Peter Erskine (ds)。ジョン・アバークロンビーがリーダーのキーボードれすのトリオ編成。アバークロンビーのギターの個性が良く判る編成である。
リーダー作の半分以上がECMレーベルからのリリースになる。アバークロンビーのギターはECMレーベルの「音のカラー」に一番フィットしている。アバークロンビーはニューヨーク州ポートチェスター出身ながら、彼のギターにはファンクネスは希薄。
初リーダー作がECMからのリリースで、そのまま、彼のギターはECM好みの「欧州ジャズ志向のソリッドでストレートで、プログレッシヴなギター」が個性となったと思われる。それほど、彼のギターは、ECMの音の個性にジャスト・フィットしている。
そんなアバークロンビーのエレギの個性がとても良く判る盤がこの盤である。彼の最大の個性は、その即興演奏にあると思っていて、デリケートでストレートでメロディアスで柔軟性溢れる即興演奏は、彼のエレギの独特の響きと併せて、しばらく聴けば、アバークロンビーのエレギと判る。このアバークロンビーのギター、好きになったらとことん填まること請け合い。
ベースのマーク・ジョンソンとドラムのピーター・アースキンが、これまた、アバークロンビーのギターの個性を引き立たせるのに恰好のリズム隊で、アバークロンビーのギターの様々な表現に的確にレスポンスする。特に、アースキンの変幻自在なドラミングが素晴らしい。特にこの盤、ライヴ録音だけのその柔軟性が良く判る。
ジャズの即興性という切り口を明確に伝えてくれるライヴ盤である。ECMのアルバムとしては、珍しく4ビートの演奏が多く収録されていて、スタンダード曲が4曲も入っている。
そういう意味では、アバークロンビー入門盤としても取っ付き易い盤で、ジャケ・デザインはECMらしくなく「やっつけ」風だが、このジャケ・デザインに怯むこと無く、アバークロンビーのエレギを体験して頂きたい。
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