« 第2期マハヴィシュヌ・オケの傑作 | トップページ | サヴォイのトランペット愛聴盤 »

2021年7月 3日 (土曜日)

アバークロンビー入門のライヴ盤

ジャズのエレクトリック・ギター盤を聴き直し始めて、ジョン・アバークロンビー(John Abercrombie)に再会した。ECMレーベル専属ギタリストに近い位置づけで、アイヒャー主導のECM独特の「ニュー・ジャズ」な雰囲気の中、個性的でストレートなエレクトリック・ギターを聴かせてくれる。特に、その即興演奏が独特な響きで、アバークロンビーの個性を唯一のものにしている。

『John Abercrombie / Marc Johnson / Peter Erskine』(写真左)。1988年4月21日、ボストンでのライヴ録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (g, g-synth), Marc Johnson (b), Peter Erskine (ds)。ジョン・アバークロンビーがリーダーのキーボードれすのトリオ編成。アバークロンビーのギターの個性が良く判る編成である。

リーダー作の半分以上がECMレーベルからのリリースになる。アバークロンビーのギターはECMレーベルの「音のカラー」に一番フィットしている。アバークロンビーはニューヨーク州ポートチェスター出身ながら、彼のギターにはファンクネスは希薄。

初リーダー作がECMからのリリースで、そのまま、彼のギターはECM好みの「欧州ジャズ志向のソリッドでストレートで、プログレッシヴなギター」が個性となったと思われる。それほど、彼のギターは、ECMの音の個性にジャスト・フィットしている。
 

John-abercrombie-marc-johnson-peter-ersk

 
そんなアバークロンビーのエレギの個性がとても良く判る盤がこの盤である。彼の最大の個性は、その即興演奏にあると思っていて、デリケートでストレートでメロディアスで柔軟性溢れる即興演奏は、彼のエレギの独特の響きと併せて、しばらく聴けば、アバークロンビーのエレギと判る。このアバークロンビーのギター、好きになったらとことん填まること請け合い。

ベースのマーク・ジョンソンとドラムのピーター・アースキンが、これまた、アバークロンビーのギターの個性を引き立たせるのに恰好のリズム隊で、アバークロンビーのギターの様々な表現に的確にレスポンスする。特に、アースキンの変幻自在なドラミングが素晴らしい。特にこの盤、ライヴ録音だけのその柔軟性が良く判る。

ジャズの即興性という切り口を明確に伝えてくれるライヴ盤である。ECMのアルバムとしては、珍しく4ビートの演奏が多く収録されていて、スタンダード曲が4曲も入っている。

そういう意味では、アバークロンビー入門盤としても取っ付き易い盤で、ジャケ・デザインはECMらしくなく「やっつけ」風だが、このジャケ・デザインに怯むこと無く、アバークロンビーのエレギを体験して頂きたい。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》

 
 ★ AORの風に吹かれて        
【更新しました】 2021.06.10 更新。

  ・Santana『Inner Secrets』1978

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.06.10 更新。

  ・イエスの原点となるアルバム

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.06.10 更新。

  ・この熱い魂を伝えたいんや

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

« 第2期マハヴィシュヌ・オケの傑作 | トップページ | サヴォイのトランペット愛聴盤 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 第2期マハヴィシュヌ・オケの傑作 | トップページ | サヴォイのトランペット愛聴盤 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー