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2021年7月の記事

2021年7月31日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・215

1970年代は、前半はジャズとロックの融合が主流のクロスオーバー・ジャズが流行、後半はクロスオーバー・ジャズに、ソフト&メロウなAORの要素とソウル・ミュージックからR&Bの要素を加えた、フュージョン・ジャズが流行した。しかし、その傍らで、欧州を中心に、純ジャズは脈々と深化を続け、根強い人気を維持した。米国においても欧州ほどではないにしろ、同様だった記憶がある。

L.A.4『Going Home(家路)』(写真)。1977年9月29, 30日の録音。日本のEast Windレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ray Brown (b), Shelly Manne (ds), Laurindo Almeida (g), Bud Shank (as, fl)。バド・シャンクのアルト・サックス&フルートが1管フロント、ピアノレス、代わりにブラジルのギタリスト、ローリンド・アルメイダが参加している。

L.A.4は、1974年から1982年にかけて、ロサンゼルスを拠点に定期的に活動したカルテット。米国西海岸のレジェンド級のジャズマンが参加。とても優れた演奏テクニックと内容で聴く者を魅了した。活動時期が、ちょうどクロスオーバー・ジャズ〜フュージョン・ジャズの全盛期に被っていたので、かなり損をしているが、玄人好みの小粋でポップな純ジャズは今の耳にも十分に訴求する。
 

Going-home
 

4人のジャズマンの個性が明確で、アレンジも良好、小粋で聴かせるアドリブ・パフォーマンスに、旧来の米国西海岸ジャズらしさをヒシヒシと感じる。レイ・ブラウンのベースは骨太で旋律弾きのテクニックは抜群、シェリー・マンのドラムは卓越したテクニックが凄い。アルメイダのギターは独特の哀愁感を湛え、シャンクのアルト&フルートはブリリアントで流麗で聴き心地満点。

収録曲がバリバリの「どスタンダード曲」ばかりだが、気にすることは無い。アレンジ&演奏テクニックが途方も無く良好なので、陳腐で俗っぽいところは全く無い。冒頭のタイトル曲「Going Home(家路)」など、皆が良く知っている俗っぽいメロディーだけに、平凡で陳腐な演奏になりがちだが、この盤での「家路」はそんなところは全く無い。曲の持つ哀愁感をしっかりとジャジーにポップに聴かせてくれる。

5曲目の「Recipe of Love(恋の料理法)」は、これだけの実績あるメンバーを揃えながら、4人の演奏について、とてもバランスが取れた秀逸な内容。プロデュースがバッチリ填まっている。ラストの有名曲「Django」も良好なアレンジで、俗っぽいところは微塵も無い。LPでのリリース時は、録音当時に流行していた「ダイレクトカッティング盤」である。とにかく音が良い。米国西海岸ジャズの良いところが反映された秀作です。
 
 
 
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2021年7月30日 (金曜日)

カルデラッツォの優れたトリオ作

1965年生まれで今年56歳。1980年代後半に彗星のごとく登場、はやベテランの域に達したジョーイ・カルデラッツォ。セカンド・ネームだけ見ると、イタリアン・ジャズ系のピアニストかと思うのだが、ジョーイ・カルデラッツォは、米国のニューヨーク州ニューロシェル生まれ。生粋の米国人である。

Joey Calderazzo『Going Home』(写真左)。2015年のリリース。ちなみにパーソネルは、Joey Calderazzo (p), Orlando le Fleming (b), Adam Cruz (ds), Branford Marsalis (ts, track2 only)。2曲目の「I never Knew」のみ、ブランフォード・マルサリスのテナー・サックスが入ってクインテット編成になるが、他は基本的にピアノ・トリオ。

カルデラッツォのピアノはどこか欧州の香りがする。言い換えると、ECMレーベルの香り。米国出身ながら、出てくる音にはファンクネスは希薄、タッチは明確でリリカル、フレーズは耽美的でモーダル。チック・コリアとキース・ジャレットとミシェル・ペトルチアーニを足して3で割った様な、いわゆるコンテンポラリーでスタイリッシュなフレーズが「ピアノの個性」。
 

Going-home-joey-calderazzo

 
この2015年作の『Going Home』には、そんなカルデラッツォのピアノの個性が満載。ファンクネスは希薄だが、モーダルでリリカルな弾き回し、どこかアーシーで印象的なフレーズを繰り出し、高速で耽美的なアドリブ展開。

4曲目のスタンダード曲「Stars Fell on Alabama(アラバマに陽が落ちて)」が印象的。ゆったりとしたテンポの中、モーダルで耽美的なアドリブ・フレーズが実に美しい。8曲目の「Mike’s Song」がちょっとユニーク。少し速いテンポの中で、ところどころ、仄かにアーシーでモーダルなメロディが紡ぎだされる。

ラストの「Going Home」は、カルデラッツォのソロ・ピアノ。フォーキーで美しい、郷愁感溢れるフレーズに、思わずセンチメンタルになる。このソロ・ピアノは絶品。カルデラッツォのピアノの本質を強く感じる。

アルバム・ジャケットがシンプル過ぎて平凡で、どこか「パチモン」っぽくて、ちょっと損をしているが、優秀作だと思います。
 
 
 
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2021年7月29日 (木曜日)

パブロのホーキンス晩年の優秀盤

1970年代を中心に、パブロ・レーベルは、レジェンド級のベテラン・ジャズマンを起用し、旧来のハードバップを演奏させるという、明快なコンセプトを持ったレーベルであったが、我が国の評論家の面々からのウケは良く無かった記憶がある。「古いジャズだね、いいんじゃない」という透かした感じで、僕がジャズ者初心者の頃、そんな評論を読んで、あまり良い気持ちはしなかった。

Coleman Hawkins『Sirius』(写真)。1966年12月20日の録音。パブロ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts), Barry Harris (p), Bob Cranshaw (b), Eddie Locke (ds)。テナー・レジェンド、コールマン・ホーキンスの1管フロントの「ワンホーン・カルテット」。ジャケットはLP時代の白黒写真のジャケットが一番良い。

コールマン・ホーキンスは1904年生まれ。スイング期からビ・バップ期に活躍、ハードバップ期にもなかなかの好盤を残している。この『Sirius』を録音した時点では、ホーキンスは62歳。大ベテランである。このアルバムでのホーキンスのテナー・サックスの演奏スタイルは完全に成熟していて、目新しいものは全く無い。しかし、その成熟したテナー・サックスは、ジャズ・テナーのお手本の様なエモーショナルでテクニカルな内容。
 

Sirius

 
パーソネルを見れば、ハードバップ期を活躍したベテラン・ジャズマンばかりで、特にバリー・ハリスをピアノに据えたリズム・セクションはとても味のあるパフォーマンスを聴かせてくれる。そんな素敵なリズム・セクションのバッキングを受けて、ホーキンスが気持ち良くテナー・サックスを吹き上げていく。

速いパッセージがある訳では無い。悠然とミッドテンポで印象的なフレーズを吹き上げていく。コルトレーン至上主義のジャズ者の方々からすると、「フレーズの終わりにビブラートを掛ける」癖が駄目なのだそうだが、これはジャズのサックスの吹き方のスタイルからすると、コルトレーン以前のオールド・スタイルの吹き方で、以前はこれがウケにウケていたのだから、頭ごなしに否定することは無いと思う。

この「悠然とミッドテンポで印象的なフレーズを吹き上げていく」ところがホーキンスの一番良いところ。だからこそ、バラードの吹きっぷりが素晴らしいのだ。バラードの解釈に関しては、他のサックス奏者だけで無く、マイルスやロリンズのような他の器楽奏者にも大きなインパクトを与えている。
 
 
 
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2021年7月27日 (火曜日)

パブロのJ.A.T.Pの極上ライヴ

パブロ・レコード(Pablo Records)は1973年にノーマン・グランツによって設立されたジャズ・レコード・レーベル。グランツは、1956年にヴァーヴ・レコード(Verve Records)も設立している。

グランツは、ジャズ・コンサートの先がけとなるJ.A.T.P(Jazz at the Philharmonic)を開催し、このヴァーヴ・レコードにて実況録音盤を制作。このJ.A.T.P.にはオスカー・ピーターソン、ビリー・ホリデイ、レスター・ヤング、ベン・ウェブスター、エラ・フィッツジェラルド、チャーリー・パーカー、スタン・ゲッツなど数々のビッグ・ネームが参加し、人気の企画盤シリーズとなった。

『The Exciting Battle : J.A.T.P Stockholm '55』(写真)。1955年2月、スウェーデンのストックホルムでのライヴ録音。ノーマン・グランツ率いるJ.A.T.P(Jazz At The Philharmonic)のライヴ音源。パブロ・レーベルからのリリース。

ちなみにパーソネルは、Ray Brown (b), Louis Bellson (ds), Herb Ellis (g), Oscar Peterson (p), Flip Phillips (ts), Bill Harris (tb), Dizzy Gillespie, Roy Eldridge (tp)。ビ・バップのスターから、1940年代終盤に頭角を現したハードバップ初期の人気ジャズマンがずらりと並ぶ。
 

The-exciting-battle
 

1955年の録音ということは、ハードバップど真ん中の時代だが、演奏内容は、スイング・ジャズから、ビ・バップを省略して、ハードバップに行き着いたような、スイング・ジャズのマナーを色濃く残したハードバップ。いわゆる「中間派」な演奏内容である。この「中間派」の音は実にジャズっぽい。ビ・バップの様に瞬間芸的なものでも無く、ハードバップの最先端の様に尖ったものでも無い。聴き易いジャズである。

ルイ・ベルソンのドラム、ビル・ハリスのトロンボーン、デジー・ガレスピー&ロイ・エルドリッジのトランペットが特に元気。冒頭「Little David」での長時間のベルソンのドラム・ソロは充実していて、聴いていて飽きが来ない。ハリスのトロンボーンは、やたらトロンボーンらしい、ブラスのブルブル震える良い音で吹きまくっている。ガレスピー&エルドリッジのトランペットはブリリアントで躍動的。

パブロ・レーベルの総帥プロデューサーのノーマン・グランツ、さすがにJ.A.T.Pは自らが企画〜立ち上げをし、ヴァーヴ・レーベル時代にガンガン録音しただけあって、残った音源はどんな内容で、どんな感じで残っているのか、良く判っていたのだろう。パブロ・レーベルを立ち上げて間もなく、満を持してこのライヴ盤をリリースしている。「したたか」やなあ(笑)。
 
 
 
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2021年7月26日 (月曜日)

パブロ・レーベルらしい優秀盤

パブロ・レコード(Pablo Records)は1973年にノーマン・グランツによって設立されたジャズ・レコード・レーベル。ビ・バップ期以降のレジェンド〜ベテラン級のジャズマンをメインにセッションをセットアップし、1970年代、フュージョン・ジャズ全盛時にありながら、純ジャズに特化したアルバムを多数リリースした。

Milt Jackson『The Big 3』(写真)。1975年8月25日の録音。パブロ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Joe Pass (g), Ray Brown (b)。ジャズ・ヴァイブの神様、ミルト・ジャクソンが筆頭リーダーのドラムレス・トリオ。管は全く無し。

ジャケットについては2種類あって、カラー版とモノクロ版。私たち、オールドなジャズ者からすると、LP時代のモノクロ版のジャケットに親近感がある。

フロント楽器の役割は、ミルトのヴァイブとパスのギターが担い、リズム&ビートは、パスのギターとブラウンのベースが担う。このヴァイブ+ギター+ベースのドラムレス・トリオの場合、3人の演奏テクニックについて、相当な力量が必要になる。特に、ギターとベースは大変忙しい。
 

The-big-3_1

 
まず、ミルトのヴァイブが絶好調。奇をてらうこと無く、ハードバップ期の好調時のミルトのヴァイブが帰ってきている。目新しさは全く無いが、品の良いファンクネスを偲ばせた、スインギーでジャジーな、成熟したヴァイブを聴かせてくれる。これが良い。「これぞ、極上のモダン・ジャズ」と思わず感じ入る。

他の2人に目を向けると、旋律楽器とリズム楽器の両方の役割を担うパスのギターは大変で、これをいとも容易い風に弾きこなしていくパスのギターについては「凄いなあ」の一言。レイ・ブラウンのベースも凄い。骨太でソリッドなベースでリズム&ビートをキープするのは当然、ソロ・パフォーマンスもハイ・テクニックを駆使して、唄うが如く、素晴らしい旋律弾きを披露している。

私がジャズを聴き始めたのが1970年代後半。この頃の我が国のパブロ・レーベルの評価は「過去のジャズメンを集めて、懐メロよろしく、旧来のハードバップをやらせてアルバムを量産する、商業ジャズ・レーベル」と揶揄されていた。が、そんなことは全く無い。たまに凡盤はあるが、概ね、良好なハードバップなジャズが記録されている。

パブロ・レーベルのアルバムを初めて聴いて以来40年。そんなパブロ・レーベルを再評価したい、と思っている。
 
 
 
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2021年7月25日 (日曜日)

西海岸のソウルフルなジャズ

ジャズ盤の裾野は広い。ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌に「優秀盤」としてその名前が挙がるジャズ盤ばかりが全てでは無い。特に、インターネットが普及して、海外のジャズ盤の情報が入ってきたり、ジャズ盤の音源が気軽にダウンロードして聴くことが出来る様になって、まだまだ未知の「小粋なジャズ盤」の存在に気がつく様になった。

Curtis Amy & Frank Butler『Groovin' Blue』(写真左)。1960年12月10日と1961年1月10日、ハリウッドの「Pacific Jazz Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Curtis Amy (ts), Frank Butler (ds), Carmell Jones (tp), Bobby Hutcherson (vib), Frank Strazzeri (p), Jimmy Bond (b)。

カーティス・アミー(写真右)のテナー・サックスとカーメル・ジョーンズのトランペットの2管フロント、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブが入った、セクステット(6人)編成。米国西海岸で活躍した黒人テナー奏者カーティス・アミーと名ドラマー、フランク・バトラーの双頭リーダーによる「小粋なジャズ盤」である。

米国西海岸ジャズの範疇なので、馴染みの無い名前であるが、カーティス・アミーは、ファンクネス溢れるブロウが心地良い黒人サックス奏者。フランク・バトラーは西海岸ジャズの中での味のあるドラマー。
 

Groovin-blue
 

演奏全体の雰囲気は、西海岸では珍しいアーシーかつソウルフルなもの。しばらく聴いていると、東海岸のジャズかしら、と思ってしまう。

洒落たヴァイブはボビー・ハッチャーソン。ここでのハッチャーソンは、乾いて洒落たファンクネスを底に忍ばせた、クリアで耽美的なヴァイブ。アミーのこってこてなファンキーなサックスとの好対照な音と相まって、この盤独特の「聴かせるアーシーでソウルフル」なジャズ演奏を創り出している。

バトラーの小粋なドラミングもこの米国西海岸ジャズ独特の「聴かせる」ファンキー・ジャズに貢献していて、この盤を米国西海岸ジャズの中で「独特な音」にしている。

この盤は、米国西海岸ジャズの中での「聴かせる」ファンキー・ジャズ。珍しい存在で、こういう盤があるから、ジャズは面白い。ジャケットと出てくる音で、米国東海岸ジャズの「隠れた秀作」と勘違いしないで下さいね。私は最初聴いた時、完全に勘違いしました(笑)。
 
 
 
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2021年7月24日 (土曜日)

ルーさんのアルトの本質が判る

ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson・愛称「ルーさん」)は、基本的にブルーノート・レーベルのお抱えアルト・サックス奏者。活動期は1950年代〜1970年代に渡るが、主なリーダー作の半数以上が、ブルーノート・レーベルからのリリース。特に、1950年代半ば、ブルーノートの1500番台からリーダー作をリリースする、ブルーノートお抱えジャズマンの「古株」である。

我が国で絶大なる人気を誇るブルーノート・レーベルの「お抱えアルト・サックス奏者」という存在でありながら、ルーさんは我が国のジャズ・シーンの中では、あまり人気は高くない。僕はこの人のアルト・サックスの音、吹きっぷりが大好きで、今でも時々、引っ張り出して来ては聴き直しているんだが、どうも、我が国でも評価は高くない。不思議なことである。

Lou Donaldson『Light-Foot』(写真左)。ブルーノートの4053番。1958年12月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Herman Foster (p), Peck Morrison (b), Jimmy Wormworth (ds), Ray Barretto (congas)。リーダーのルー・ドナルドソンのアルト・サックスがフロント1管のカルテット編成。ワン・ホーン・カルテットに、バレットのコンガが入っている。

タイトルの「Light-Foot」は「軽い足取り[フットワーク]で進む」の意。ルーさんの旧知の気心知れたメンバーとのアルト・サックスの吹きっぷりは、まさに「Light-Foot」。
 

Light_foot

 
フレーズはあくまで明るく、ビ・バップ風の吹き回しは、時に「耳に付く」ほど、ブリリアントで高速な吹き回し。そんなルーさんの「Light-Foot」なアルト・サックスが印象に強く残るアルバムである。

ルーさんは気心知れた旧知のジャズマンをサイドマンに迎えると、もともとのルーさんのアルト・サックスの本質である、とてもハッピーな吹きっぷりで、翳りや哀愁、モーダルで理知的な響きとは全く無縁な「明るくビ・バップ風のブリリアントで高速な吹き回し」が前面に出てくる。しかし、これが実に爽快で、聴いていて気持ちがパッと明るくなる。

明るくブリリアントだが、ファンクネスは十分に備わっていて、ファンキーで明るい「ビ・バップ風」のパフォーマンスは、実にジャジー。そして、この盤にも、ルーさんお気に入りの「コンガ」が入っている。この「コンガ」の存在が、ファンキーでジャジーな演奏にポップな雰囲気を加味していて、アルバム全体を躍動感のあるファンキー・ジャズに仕上げている。

翳りや哀愁、モーダルで理知的な響きとは全く無縁なところ、そして、この「コンガ」の存在が、我が国でのウケの悪さに繋がっているのかなあ。でも、私は、このルーさんのポジティヴなアルト・サックスがお気に入り。とにかく、聴く度に元気が出ます。
 
 
 
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2021年7月23日 (金曜日)

サヴォイのハードバップの秀作

サヴォイ・レーベルのアルバムを聴き返していて、このレーベルも「真摯にジャズを伝える」、正統派ジャズ・レーベルであったと改めて感心する。特に1950年代のアルバムについては、プロデュース・録音共に良好、ブルーノート・レーベルと比肩する位に、ハードバップ期のメインストリーム・ジャズをタイムリーに真摯に記録している。

Kenny Clarke『Bohemia After Dark』(写真左)。1955年6月28日、7月14日、Van Gelder Studio での録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Clarke (ds), Paul Chambers (b), Horace Silver (p, tracks 1-5 and 7), Donald Byrd (tp, tracks 1,2 and 5). Jerome Richardson (ts, fl, tracks 1,2 and 4), Cannonball Adderley - (as, track 3), Nat Adderley (cor, track 7), Hank Jones (p, track 6)。

ハードバップ中期のセッションの記録。モダン・ジャズ・ドラムのレジェンド、ケニー・クラークがリーダー。そのリーダーの下に、全曲通じて、ポール・チェンバースがベースを担当、ピアノの大半をファンキー・ピアノのレジェンド、ホレス・シルヴァーが担当、そして、トランペットはドナルド・バードが3曲参加。テナーサックスはジェローム・リチャードソンが3曲参加。このハードバップの中核ジャズマンの中に、新人のキャノンボール兄弟が1曲ずつ、その腕前を披露している。
 

Bohemia-after-dark
 

内容としては、良質のハードバップな演奏がズラリと並ぶ。まず、リーダーのケニー・クラークのドラミングが絶好調。適度な長さのドラム・ソロを含め、味のある、小粋なドラミングを聴かせてくれる。そして、この小粋なドラミングに乗って、管楽器のフロント隊が気持ちよさそうに、トランペットを、サックスを、フルートを吹き上げていく。

ジャム・セッション風に、順番にソロ回しさせるアレンジがシンプルで聴き易い。当時、注目の新人だったキャノンボール兄弟も、溌剌とした元気なブロウを聴かせてくれる。特に、キャノンボールのアルト・サックスの吹きっぷりは見事。そうそう、ドナルド・バードのトランペットも好調に吹きまくっている。管楽器フロント隊は皆、良い音で出している。

目新しい音は無いものの、従来のハードバップな音が満載の秀作です。録音もルディ・バン・ゲルダーの手なるもので良い音で録れてます。サヴォイ・レーベルのアルバムは、ジャケット・デザインがコロコロ変わるのだが、写真左が一番オリジナルなジャケット。一番奇抜なのが、写真右のジャケット。これに至っては、何を表しているのか良く判らない(笑)。
 
 
 
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2021年7月22日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・214

各老舗のジャズ・レーベルには「こんなジャズマンいたんや」と思う、知る人ぞ知る玄人好みのジャズマンがいる。最近、サヴォイ・レーベルについては、カタログを眺めながら、これは、と感じる盤を順番に楽しみながら聴き直しているのだが、サヴォイ・レーベルでの「知る人ぞ知る玄人好みのジャズマン」の1人が「レッド・ノーヴォ」。

改めて、レッド・ノーヴォ(Red Norvo)は、米国イリノイ州の出身、1908年の生まれ。スイング期に活躍、ビ・バップ期には40歳を過ぎて、この時点で中堅のジャズマンということになる。但し、リーダー作はハードバップ期に集中していて、幾つかのレーベルになかなかの秀作を残している。1960年代に入って、リーダー作はほとんど途絶え、1999年4月に鬼籍に入っている。

Red Norvo Trio『Move!』(写真左)。1951年の録音。サヴォイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Red Norvo (via), Tal Farlow (g), Charles Mingus (b)。当時として先進的な、ドラムレス、ピアノレスのトリオ編成。録音担当は(マスタリングのみかも)、ルディ・ヴァン・ゲルダー、プロデューサーはオジー・カディナ。録音も良好、内容的にも、ビ・バップを抜けて、ハードバップ風の演奏になっている。
 

Move

 
まず、リーダーのレッド・ノーヴォの品のある、硬質な音ではあるが流麗なヴァイブの弾き回しに耳を奪われる。ファンクネスをドップリ振り撒くのでは無く、スッキリとしたファンクネスを仄かに漂わせながらの、品のある弾きっぷりは聴き応えがある。さすが、スイング期に活躍しただけはある。アドリブ・フレーズはどれもが「スインギー」。

サイドマンの2人のパフォーマンスも素晴らしい。タル・ファーロウのギターは先鋭的。かなり硬質なピッキングでプレグレッシヴに、アグレッシヴに弾きまくる。旋律の弾き回しも素晴らしいが、ドラムレスな分、リズム楽器としてのファーロウのバッキングも見事。チャールズ・ミンガスのベースも骨太でソリッドで、その存在感は頼もしい限り。

LPサイズ単品でのCDリイシューがしばらく途絶えて、入手が難しい時期が続いたが、最近では、音楽のサブスク・サイトなどで、この『Move!』の音源を含んだ『The Savoy Sessions: The Red Norvo Trio』(写真右)がアップされていて(CDでもリリースされている)、やっと気軽に聴くことが出来る環境になった。
 
 
 
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2021年7月21日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・92

ジャズマンの中には、あるタイミングで音の個性がガラリと変わるタイプがいる。ジャズのトレンドに乗るタイミングで変わるジャズマンもいれば、所属レーベルが変わって、そのレーベルのプロデューサーの意向で変わるジャズマンもいる。しかし、いずれの場合も楽器の「音の基本」や「音の響きや癖」は変わらない。

Richard Beirach『Elm』(写真)。1979年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Richard Beirach(p), George Mraz (b), Jack DeJohnette (ds)。 当時は耽美的ピアニストの代表格の1人、リッチー・バイラークがリーダーのトリオ作品。ムラーツのベースとデジョネットのドラムの「リズム隊」が実に強力、かつ、バイラークとの相性が抜群。

バイラークのECMレーベルでの『Eon』『Hubris』『Elm』の耽美系3部作の中の一枚。この3部作は、明らかに「ECMレーベルの音」を具現化しており、ECMレーベルの総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーの自らの監修・判断による強烈な「美意識」を反映した音である。ECMレーベルの個性に照らしあわせて、リリカルで明快、クールで耽美的という、バイラークのピアノの個性を最大限に引き上げた音である。
 

Eim

 
リズム隊がムラーツとデジョネットだからだと思うが、3部作の中でもダイナミックな展開になっている。ただ、ジャジーな雰囲気やファンクネスは希薄で、乾いたクリスタルな4ビートもしくは8ビートで、インプロビゼーションが展開される。このリズム隊が、バイラークのピアノの弾き回し感とピッタリ合っていて、多弁なバイラークが活き活きと弾き回している。

アイヒャーの強烈なプロデュースによって、バイラークのピアノの内面にある哀愁感が増幅されている。モーダルな弾き回しではあるが、決して「間」を活かした弾き回しでは無い。どちらかと言えば、多弁でバップな弾き回しである。が、決してうるさくない。ECM独特の深いエコーも邪魔にならない。ECMレーベルの音をよく理解して、バイラークがそのピアノの音をコントロールしているのだ。

このトリオ演奏はバイラークのキャリアの中でも「白眉の出来」。この後、音楽的意見の相違からマンフレート・アイヒャーと袂を分かつことになるのだが、この盤の優れた内容については揺らぐことは無い。バイラークのこの『Elm』を含む「耽美系3部作」は、アイヒャーの強烈なプロデュースと、それに100%応えたバイラークのパフォーマンスの「賜(たまもの)」である。
 
 
 
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2021年7月20日 (火曜日)

サヴォイ・レーベルのパーカー盤

サヴォイ・レーベルと言えば、1942年に設立以来、ビ・バップ華やかりし1940年代後半から1950年代前半にかけて、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーなどのセッションをどんどん録音していった。が、パーカーについては、アルバムとして今も流通しているものは数少ない。

パーカーのセッションの全てを収録した「パーカー研究者向け」の企画ボックス盤はあるにはあるが、これは明らかに後の「マニア御用達」なもので、CD複数枚の企画ボックス盤は聴き通すのも大変。やはり、当時LPとしてリリースされたものが良い。

『The Charlie Parker Story』(写真)。1945年11月26日の録音。もともとは、パーカーの死後にリリースされたLPレコード。1945年11月26日に録音されたセッション全体を記録した最初のアルバムになる。

ちなみにパーソネルは不確で、恐らくこれが一番正確なのかと。Miles Davis (tp), Charlie Parker (as), Dizzy Gillespie (tp, p), Sadik Hakim (p), Curly Russell (b), Max Roach (ds)。トランペットとピアノについては、どの曲で誰が担当したか、諸説あって良く判らないみたい。

16トラックあるが、収録曲としては実質6曲。この盤はLPとして1956年にリリースされた折から、セッション全体を順番に収録していて、正式なマスター・テイクから、マスター・テイクに比肩する内容のオルタネイト・テイク、途中で終わっちゃうショート・テイク(失敗テイクでしょうね)など、1曲の中で、3〜5パターンの演奏が収録されている。
 

The-charlie-parker-story-1

 
この盤を通して聴くと、1945年当時の「ビ・バップ」の演奏について、ビ・バップ・ムーヴメントの中心となったジャズマンが集った演奏については、素晴らしく内容のある演奏だったことがよく判る。このサヴォイ盤については「現代のジャズの歴史で作られた最高の録音」と評価されている。

「Billie's Bounce」1曲とってみても、オリジナル・テイクのほか、オリジナル・テイクに比肩する内容のオルタネイト・テイクが3曲収録されており、どの演奏をとってみても充実した内容で、オリジナル・テイクと比べても甲乙付けがたい。こういう場合は、どれが一番優れているかと悩むよりは、いずれも素晴らしい演奏であることを確認して楽しむのが良いだろう。

ただ、今でもその存在が良く判らないのが「Short Take(いわゆる「失敗テイク」)」の存在。収録する必要があったのかなあ。ただ、臨場感は伝わるし、即興演奏を旨とするジャズ演奏は、常に成功テイクばかりでは無い、失敗テイクの積み重ねという側面もあるということを我々に教えてはくれる。けど、演奏を鑑賞するという面では「いらない」と思う。

しかし、「Billie's Bounce」をはじめ「Now's the Time」「Warming up a Riff」「Thriving From a Riff」「Meandering」「Koko」については、マスター・テイクもオルタネイト・テイクも、当時としては、素晴らしい演奏レベルである。

CD複数枚の企画ボックス盤は聴き通すのに疲れます。この盤は録音もまずまずで、ビ・バップのパーカーを感じる第一歩として、最適のアルバムだと思います。LP1枚分の収録時間なので、一気に聴き通すことができます。
 
 
 
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2021年7月19日 (月曜日)

パウエル派ピアノの現代深化型

長年、ジャズを聴いていて思うのだが、21世紀に入っても、ジャズは深化しているのだと。本場米国のみならず、欧州各国、南半球の国々においても、ジャズ盤は販売され、ジャズは演奏され続けている。新しい有望、有能なジャズマンも一定数、必ず頭角を現し、一流ジャズマンへの成長している。決して、ジャズは死んでいないし、停滞してもいない。

ジャズ盤鑑賞についても、過去の名盤、好盤の類ばかりを聴いていては、そのジャズの「深化」を感じ取る事が出来ない。それこそ、ジャズをクラシック音楽化させ、過去の音楽としてしまうので、新しくリリースされてくる新盤や、新しくデビューしてくる新人についても情報を得て、該当するアルバムを出来るだけ聴くことにしている。

Rob Schneiderman『Edgewise』(写真左)。2000年の録音。パーソネルは、Rob Schneiderman (p) Ray Drummond (b) Winard Harper (ds)。ロブ・シュナイダーマンがリーダーのピアノ・トリオ。ちなみに僕は、この盤をネットの紹介記事で見るまで、ロブ・シュナイダーマンの名前を知らなかった。

ロブ・シュナイダーマンは、米国マサチューセッツ州ボストン出身で、現在は、NY市立大学リーマンカレッジで数学の准教授を務める異色のジャズ・ピアニスト。1957年生まれなので今年64歳。
 

Edgewise

 
キャリアとしては、純ジャズ系のピアニストだった様だが、20歳台の頃はフュージョン・ジャズ全盛期、全く目立たなかったのだと思う。今までに10枚ほどのリーダー作をリリースしているベテラン・ピアニストである。

収録された曲名を見れば感じる、この盤は「バド・パウエル」を扱ったトリビュート盤。パウエルの様に、バリバリ弾きまくる訳ではないが基本的には多弁。スインギーで明確なクッキリとしたタッチ。変にモーダルにクールに展開せず、それでいて古さを感じない弾き回しは、今までにありそうで「無い」。

タッチは明快、ゆったりとしたバップ風に弾き回すピアノは聴き心地がとても良い。パウエル派ピアノの現代版というか、パウエル派ピアノの現代深化型と形容しても良いかと思う。ほんのり、新しい響きが漂うジャズ・ピアノである。

このシュナイダーマンって、日本では知名度が今ひとつ。それは「Reservoir」 という日本のレコード会社と提携関係の無いレーベルのみに吹き込みを行っているのが、主な理由かと。しかし、この盤を聴いて判る様に、実力は相当なものでもっとメジャーになって当然の逸材だと思います。

この『Edgewise』という盤、「小粋なジャズ盤」として、我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』でちょくちょくかかる盤でもあります。
 
 
 
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2021年7月18日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・213

ティナ・ブルックス(Tina Brooks)の少し気怠い感じのファンクネス溢れるテナー・サックスの音は、録音当時はそういう意識は無かったのだろうが、正に「ブルーノート・レーベル」らしい音がする。哀愁とファンクネスが色濃く漂うティナのテナー・サックスは一度「填まる」と病みつきになる。

Tina Brooks『Back to the Tracks』(写真左)。1960年9月1日と10月20日の録音。しかし、録音当時はリリースされず、1998年1月にようやくリリースされた、ブルーノート・レーベルお得意の「何故か判らないお蔵入り音源」。一応、カタログ番号は与えられてて、ブルーノートの4052番になる。ちなみにパーソネルは、Tina Brooks (ts), Jackie McLean (as, track 2 only),Blue Mitchell (tp), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。

基本編成は、リーダーのティナ・ブルックスのテナー・サックスとブルー・ミッチェルのトランペットの2管フロントのクインテット編成。2曲目の「Street Singer」のみ、マクリーンのアルト・サックスが入る3管フロント。この2曲目だけが「1960年9月1日」の録音になる。2曲目の「Street Singer」の存在と曲順がちょっと中途半端でセッションの統一感が少し崩れていて、それがこの何故か判らないお蔵入り音源」のお蔵入りの理由かもしれない。
 

Back-to-the-tracks

 
録音当時、お蔵入りになった音源とは言え、まず、リーダーのティナ・ブルックスのテナー・サックスについては申し分無い。哀愁とファンクネスが色濃く漂う「個性」をどの曲でも色濃く出しつつ、ブルージーでジャジーなフレーズを吹き上げている。1960年の録音とは言え、ブルックスのテナー・サックスは明らかに「正統派なハードバップ」。安心して聴くことが出来る。

サイドマンに目を転じると、ブルー・ミッチェルのトランペットが絶好調。ブルックスの哀愁とファンクネスが色濃く漂うテナー・サックスに呼応するように、負けずに哀愁感漂うファンキーなトランペットを吹き上げていく。ドリューのピアノのバッキングについてもブルージーなマイナーな響きが堪らない。メンバー全員、息の合った好演を展開していて、聴いていて気持ちが良い。

この盤、発掘リリースされて良かった。ジャズの歴史に名を残す「名盤」では無いが、いかにもハードバップらしい、いかにもブルーノートらしい、ブルージーでジャジーな演奏の数々は「愛聴盤」の類として、しっかりと聴き込まれている。ジャズ者初心者の方々に是非とも、という盤では無いが、ジャズが好きになって、ブルーノート4000番台が好きになったジャズ者の方々には是非聴いて頂きたい「隠れ優秀盤」である。
 
 
 
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2021年7月17日 (土曜日)

「進取の気性」のマクリーン

ブルーノートの1500番台から、4000〜4300番台については、ハードバップ期からメインストリーム・ジャズの衰退期まで、カタログに挙がったアルバムを聴き進めるだけで、ジャズの歴史、ジャズの演奏スタイルの変遷が良く判る、と言われる。確かに、ブルーノートのアルバムは「売り上げ」よりも、売り上げを度外視した「ジャズの芸術としての側面」を記録し続けている。

Jackie Mclean『Jackie's Bag』(写真左)。ブルーノートの4051番。1959年1月18日、1960年9月1日の録音。ちなみにパーソネルは、1959年1月18日の録音、Track1-3について、Jackie McLean (as), Donald Byrd (tp), Sonny Clark (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。1960年9月1日の録音、Track4-6について、Jackie McLean (as), Tina Brooks (ts), Blue Mitchell (tp), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。

マクリーンのプレステッジからブルーノートに移籍した初リーダー・セッションの記録。全く異なる編成で、LP時代のA面とB面を分け合っている。しかし、それぞれのパーソネルを見ると、とりわけハードバップ期と変わった、新しいトレンドを担うメンバーが入っている訳では無い。この異なる編成の、異なる録音時期のセッションをひとつのアルバムに収録した、アルフレッド・ライオンの意図が最初は全く判らなかった。


Jackies-bag
 

 
1959年1月18日の録音、冒頭の「Quadrangle」を聴くと面白い。マクリーンは、既に、当時の新しいジャズの演奏トレンドに対峙した、フリー・ジャズ的なフレーズにチャレンジしている様子が窺えるが、他のメンバーについては、従来のハードバップな演奏に終始している。マクリーンのチャレンジなどには無関心。ちょっとバランスの悪いセッションになっているのだが、マクリーンの先取性を感じ取る事が出来る。

1960年9月1日の録音もメンバーは異なるが(ベースのポルチェンだけ一緒)、マクリーンの先取性が耳に残る。従来のハードバップな吹き方とはちょっと工夫して、新しい響きにチャレンジしている様に聴こえる。「Appointment in Ghana」など、テーマが意外と先進的。といっても、他のメンバーは1959年1月18日の録音と同様、従来のハードバップな演奏に終始しているが、皆、絶好調。演奏内容として上質の出来。

この盤を聴くと、マクリーンは「進歩するジャズマン」だったことが良く判る。それが、アルフレッド・ライオンの狙いだったのかもしれない。当時の新しいジャズの演奏トレンドにいち早く対峙して、自分なりに工夫して、新しい響きを獲得しようと努力する。そんなマクリーンの先取性がこの盤から聴いて取れる。この後、マクリーンは、ブルーノート・レーベルの録音の中で、新しいジャズの演奏トレンドに積極果敢に挑戦していくのだ。
 
 
 
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2021年7月16日 (金曜日)

ECMお抱えベーシストの秀作

欧州ジャズは、米国ジャズと全く異なる音作り、全く異なる進化を遂げ、21世紀に入っては、更なる深化が進んでいる。一番顕著な例が「ECMレーベル」の存在。ECMレーベルは、米国ジャズの影響を殆ど受けず、どちらかと言えば、北欧ジャズ、独ジャズの影響を参考にしつつ、即興演奏を前面に押し出した、独自の「ニュー・ジャズ」という音世界を創造していった。

Eberhard Weber『The Following Morning』(写真)。1976年8月の録音。ECMの1084番。ちなみにパーソネルは、Eberhard Weber (b), Rainer Brüninghaus (p, key), Oslo Philharmonic Orchestra (cello, French-horn, oboe)。ECMレーベルお抱えのベーシスト、エバーハルト・ウェーバーの3枚目のリーダー作になる。ジャケットは、ウェーバーの奥様マヤさんのペインティング。この盤の音世界をよく表している。

リーダーのベーシスト、エバーハルト・ウェーバーが我が国で話題になることは殆ど無かった様に思う。単にコマーシャルなジャズマンでは無かったので、我が国のレコード会社、ジャズ評論家が取り扱わなかっただけだろう。ウェーバー自身は優秀なベーシストであり、現代音楽をベースとした即興芸術としてのジャズの優秀な作曲家でもある。この盤以外にも、優れたリーダー作やサイドマンとして参加した音源を沢山残している。
 

The-following-morning  

 
構成楽器はベースとピアノ、キーボード、そして、チェロ、フレンチホルン、オーボエの3種のクラシック楽器のみ。打楽器を外したこのシンプルな構成で、この盤の様に「幽玄でフォーキーで耽美的、時折フリーキー」な音世界を創り出している。シンプルな構成ながら、音の厚み、広がりが効果的。間と音の広がりを上手く調和させた音世界は、まさに「現代音楽をベースとした即興芸術としてのジャズ」である。

調性と無調を効果的にミックスさせた即興演奏は傾聴に値する。「調性部分」の旋律は主にウェーバーのベースがソロ弾きで担当する。ピアノ、キーボードは優れた伴奏とサポートを提供し、ウェーバーのベースとのユニゾン&ハーモニーは耽美的でリリカル。そして、チェロ、フレンチホルン、オーボエの3種のクラシック楽器が「音の厚みと広がり」を創り出すのに貢献している。

従来のジャズと呼ぶにはビート感が希薄で優しく柔らかい。クラシックと呼ぶには、即興性が高く、あまりにモダン。ポップスと呼ぶには妖しく幽玄。当時は「ニュー・ジャズ」と呼ばれたが、今の耳には、洗練されたフュージョン(融合)・ミュージックに響く。即興性が高く、アブストラクトな面も垣間見え、現代の「静的なスピリチュアル・ジャズ」として、再評価しても良い内容である。
 
 
 
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2021年7月15日 (木曜日)

スーパーギタリスト3人の協演盤

1970年代中盤から1980年代前半のフュージョン・ジャズ全盛時代、我が国でも、玉石混交ではあるが、フュージョン・ジャズのアルバムを日本のレーベルが企画〜リリースしていた。基本的に日本のレーベルの企図した企画盤はイマイチの内容が多いのだが、中には今の耳にも十分耐える秀作もある。これがCDリイシューされるのだから、コレクターは止められない(笑)。

大村憲司 & 渡辺香津美 & Lee Ritenour『Concierto De Aranjuez(アランフェス協奏曲)』(写真)。1978年9月の録音。日本のアルファ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Kazumi Watanabe, Kenji Omura, Lee Ritenour (g), Ernie Watts (sax, fl), Dave Grusin, Don Grusin (key), Jun Fukamachi (syn, tracks-1), Abe Laboriel (el-b), Alex Acuna (ds), Steve Forman (perc)。

そうそうたるメンバーである。キーボード担当のグルーシン兄弟とギター担当のリー・リトナーは、親日の「フュージョン・ジャズの名手」。このパーソネルの構成は、大村憲司と渡辺香津美はアルファ・レコードからの人選、リー・リトナー以下、ドン・グルーシンとリズム隊は当時「リー・リトナー&フレンドシップ」として活動していたメンバーである。ディヴ・グルーシンは弟のドン・グルーシン繋がりかな。
 

Concierto-de-aranjuez_20210715201401

 
大村憲司、渡辺香津美、リーリトナー、個性の強い3人のギターが楽しめる秀作。3人のフュージョン・ギターの名手達がお互いの音を聴きつつ、お互いが技を尽くして弾きまくっている。冒頭の深町純が編曲を担当した「Concierto De Aranjuez(アランフェス協奏曲)」が売りなんだろうが、これはこれで、まあ「ええかな」という感じ。

聴きものは2曲目以下のナンバー。3者のギターのハイレベルな掛け合いが聴きもの。良い音で録れている。加えて、アーニー・ワッツのサックス&フルートが良いアクセントになっていて素敵だ。

そして、この盤の演奏をグッと引き締めているのが、ラボリエルのベース、アカーニャのドラム、フォアマンのパーカッションの「フレンドシップ・リズム隊」。このリズム隊のリズム&ビートが実に良い。

この盤、リリース当時、貸レコード屋で借りて、カセットに落として聴きまくった一枚で、今の耳で聴くと「懐かしい」の一言。それぞれのメンバーのテクニックも優秀、パフォーマンスも極上。「寄せ集めの企画盤」風で、ジャケットも凡百なものだが、内容はかなり充実している秀作。フュージョン者には一聴の価値あり、です。
 
 
 
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2021年7月14日 (水曜日)

聴かせるオルガン・ジャズ盤

ジャズ・オルガンと言えば、まずは「ジミー・スミス(Jimmy Smith)」だろう。1956年、バブス・ゴンザレスに「絶対に見るべきだ」と言われ、老舗ジャズ・クラブ「スモールズ・パラダイス」に赴いた、ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンと共同経営者のフランク・ウルフ。

確かなテクニックで、電気ハモンド・オルガンを用いることでアンプを通したパワフルな音楽を展開するジミー・スミス。2人は即座に彼と契約。以降、ジミー・スミスはブルーノート・レーベルでデビュー。以降、1962年初、大手のヴァーヴ・レーベルに移籍するまで、ブルーノート・レーベルの「ドル箱」スターとして、多くの秀作を残した。

Jimmy Smith『Home Cookin'』(写真左)。ブルーノートの4050番。1958年7月15日と1959年5月24日、そして、7月16日の録音の寄せ集め。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Kenny Burrell (g), Donald Bailey (ds), Percy France (ts, tracks 1, 4-6)。ベースレス・トリオ(ベースはオルガンが兼ねる)をメインに、全7曲中、4曲にテナー・サックスが加わる(1959年7月16日の録音)。
 

Home-cookin

 
ブルーノートからデビューして2年以上が経過し、当初は電気オルガンをガンガン弾きまくって、とにかく五月蠅い位に前面で出張って目立っていたジミー・スミスが、ブルージーでアーバンな雰囲気のもと、聴かせるオルガン・ジャズに落ち着いた頃の秀作である。しっくり落ち着いていて、大人の渋くて粋なオルガン・ジャズがこの盤に蔓延している。

気負いの無い、リラックスしたジミー・スミスのオルガンがとてもジャジー。ファンクネスもコッテリ効いていて、まさに「大人のジャズ」である。ミッドナイトでアーバンな雰囲気を増幅するのは、ケニー・バレルのギター。落ち着いたスミスのオルガンとアーバンなバレルのギターが絡んで、ブルージーな雰囲気が蔓延する。この盤では、レイ・チャールズ・ナンバー「I Got a Woman」をカヴァーしていて、R&Bなフィーリングがいつも以上に色濃くて、実に素敵だ。

ジミー・スミスのブルーノート盤は、ジャケットがカラー写真なものが殆ど。当時、コストがかかったと思うのだが、それだけ、ブルーノートは、総帥のアルフレッド・ライオンは、ジミー・スミスのオルガン・ジャズを最大限に評価し、その音楽性に惚れていたのだと思う。落ち着いたスミスのアーバンでブルージーなオルガンが詰まったこの盤など、何度、聴き直しても、聴き終えて「あ〜、ジャズっていいなあ」と必ず呟いてしまうのだ。
 
 
 
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2021年7月13日 (火曜日)

ラムゼイの異色フュージョン盤

ジャズ盤には、ジャズ盤紹介本を賑わす「歴史にその名を留める名盤」もあるが、逆にジャズ盤紹介本にその名が挙がることは少ないが、ジャズ者ベテランの方々を中心に愛聴される「小粋なジャズ盤」というのもある。

意外とこの「小粋なジャズ盤」って、隠れた人気盤だったりする。公に「この盤好きだ」というと、硬派なジャズ者としてちょっと差し障りのある「曰く付き」のリーダーだったり内容だったりするのだが、この「小粋なジャズ盤」って、とてもジャズとして「愛らしい」内容で、皆、密かに愛聴していたりする。

Ramsey Lewis『Love Notes』(写真左)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、Ramsey Lewis (key), Stevie Wonder (syn, key), Jimmy Bryant (key, vo, clarinet), Michael Davis (tp, vo), Rahmlee Michael Davis (horn), Terry Fryer (sun, key), Byron Gregory (g), Ron Harris (b), Keith Howard (ds), Zuri Raheem (vo), Derf Reklaw-Raheem (fl, perc, bongos, conga, el-p, as, vo)。
 

Love-notes

 
なんとこの盤、スティーヴィー・ワンダーが参加している。このアルバムのために2曲、書き下ろしをしていて、しかもレコーディングに参加している。この盤、このスティーヴィー・ワンダーをフィーチャーした、内容的にはジャズ・ファンク、若しくは、フュージョン・ラテン&ファンク。

冒頭のスティーヴィー書き下ろしの1曲「Spring High」が、この盤の象徴的な1曲。ラムゼイのピアノとスティーヴィーのシンセが上品に絡み合うテーマを聴くだけで、思わずウットリしてしまいます。もう1曲は「Love Notes」。スティーヴィー独特の極上のメロディーが素敵すぎる。このスティーヴィー書き下ろしの2曲で、この盤全体の雰囲気がグッと締まっています。

他の曲も良い曲ばかりで、どファンキーな曲あり、ラテンのリズムが素敵な曲あり、ラムゼイ・ルイスのクロスオーバーでファンクな音世界がてんこ盛り。それでもこの盤、意外とシュッとしていて、ジャズ・ファンク独特の下世話な粘りが希薄な分、どこかポップでエレガントな、極上のフュージョン・ファンクなアルバムに仕上がっています。
 
 
 
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2021年7月12日 (月曜日)

ビル・ハードマンの初リーダー作

サヴォイ・レーベルのカタログを見渡していると、有名な一流ジャズマンの名前も多々あるが、その中に、地味な存在ではあるが、個性的なパフォーマンスを繰り広げる「山椒は小粒でもピリリと辛い」的ジャズマンの名前が結構、確認出来る。中には「これ誰?」という名前もあるが、当時、サヴォイ・レーベルはR&Bのレコードの好セールスに支えられていて、このR&B系のメンバーの名前なんだろう。これは仕方が無い。

Bill Hardman『Saying Something』(写真左)。1961年10月18日、ニューアークのMedallion Studiosでの録音。プロデューサーはTom Wilson。ちなみにパーソネルは、Bill Hardman(tp), Sonny Red(as), Ronnie Mathews(p), Doug Watkins(b), or Bob Cunningham(b), Jimmy Cobb(ds)。リーダーのハードマンのトランペットとレッドのアルト・サックスの2管フロントのクインテット編成。ベースは2人で分担している。

パーソネルを見渡すと、メンバー全員、地味な存在ではあるが、個性的なパフォーマンスを繰り広げる「山椒は小粒でもピリリと辛い」的ジャズマンである。人気の一流ジャズマンの名前は1人としていない。しかも、プロデューサーについては、有名敏腕プロデューサーのオジー・カディナが去って、トム・ウィルソン。これだけの事前情報を見れば、この盤の内容にはあまり期待出来ないな、と思いつつ、CDプレイヤーの再生スイッチを押す。
 

Saying-something

 
出てくる音は、とてもしっかりした骨太なハードバップな音。録音もルディ・バン・ゲルダーでは無いのだが、とてもジャズを感じる素敵な録音である。どの楽器もしっかり鳴って、アドリブ・フレーズには揺らぎも無い。キラキラ輝かんばかりのポジティヴな音で、アドリブ・フレーズが展開される。1961年は「ジャズの多様化」真っ只中。それでも、この盤にはハードバップ真っ只中、1950年代半ばの音がグッと詰まっている。

リーダーのビル・ハードマンは、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズで、マクリーンやグリフィンと絶妙なコンビネーションを演じたトランペット奏者。翳りの無い、明るくブリリアントでスッと抜ける、真っ直ぐなトランペットが個性。翳りが無い分、脳天気な感じが付きまといますが、この明るいトランペットは聴いていて「元気が出る」。トランペットはこうでなくっちゃ、と改めて思わせてくれるポジティヴなブロウが魅力的。

この盤、ビル・ハードマンの初リーダー作なんですね。それまでは、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのフロント管を担っていたからなあ。ジャジーでハードバップど真ん中な良い音を出すトランペッターで、リーダー作に恵まれなかったこと、人気盤のサイドマンにも恵まれなかったことが実に残念に思います。
 
 
 
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2021年7月11日 (日曜日)

「One For All」というグループ

我が国の場合、日本のレコード会社が提携している海外レーベルのアルバムについては、優秀なもの、売れ筋なものは、日本のレコード会社の販売戦略に乗って、日本の中でも人気盤になったり、話題盤になったりするのだが、全く提携関係の無い海外レーベルのアルバムについては、内容が優秀だろうが、我が国の中ではその情報が流通することが無かった。

しかし、1990年代終わり辺りから、インターネットの普及によって、日本のレコード会社が全く関係しない海外のジャズ・レーベルのアルバムについての情報が、リアルタイムに近い形で入手出来る様になった。そして、音楽音源のサブスク・サイトにその音源がアップされる様になって、海外レーベルの優秀盤を比較的容易に愛でることが出来る様になった。

One For All『What's Going On?』(写真左)。2007年5月29日、NYでの録音。Venus Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、Elic Alexander (ts), Jim Rotondi (tp), Steve Davis (tb), David Hazeltine (p), John Webber(b), Joe Farnsworth (ds)。

エリック・アレキサンダーのテナー・サックス、ジム・ロトンダディのトランペット、スティーヴ・デイヴィスのトロンボーンが3管フロントのセクセット編成。録音時点で、メンバーは皆、30歳台の若手バリバリで、ネオ・ハードバップな演奏ながら、演奏の展開としては新しい響きをこれでもか、という感じで繰り出していて爽快感抜群。昔のハードバップの音の響きを懐かしむこと無く、21世紀のハードバップな演奏・解釈は一聴に値する。
 

Whats-going-on-one-for-all

 
One For Allは、1997年にこのパーソネルのメンバーで結成された「ネオ・ハードバップ」専門のグループ。大変優れたメンインストリーム志向の純ジャズ・グループなんだが、我が国ではあまり馴染みが無い。日本のレコード会社の販売戦略に乗らなかったことが主原因なのだが、この大変優れたメンストリーム志向の純ジャズ軍団の音に触れていないのは、ちょっと残念なのことだと僕は思う。

あのヴィーナス・レコードからのリリースとなる『What's Going On?』であるが、従来のヴィーナス・レコードの音傾向を全く無視して、しっかりと One Fot Allの音を前面に押し出している。構成メンバー全員が当時にして「一国一城の主」的存在の若手中堅がメインで、テクニック優秀、ハードバップ的な音を意図的に出しつつ、スマートなオリジナリティーを発揮している様は頼もしい。

アレンジが実に良い。アレンジが良いから、メンバー各々のハイテクニックも活きる。タイトル曲の「What's Going On?」は、ソウル・ミュージックの雄、マーヴィン・ゲイの名曲なのだが、このソウルフルな名曲が、スインギーで4ビートなハードバップな演奏でカヴァーされるなんて思ってもみなかった。思わず「降参」。むっちゃ格好いいアレンジ。

ヴィーナス・レコードの音志向とはちょっと異なるのだが、そんなことお構いなしに、ひたすらネオ・ハードバップな演奏を繰り広げていく。あのヴィーナス・レコードでのアルバムからして、この新しくてコッテコテ「ネオ・ハードバップ」な内容は、メンバー相互の相性の良さと、お互いに切磋琢磨する前向きなスタンス、そして、メンバー全員の自信の賜だろう。
 
 
 
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2021年7月10日 (土曜日)

モーダルなメッセンジャーズ

伝説のジャズ・ドラマー、アート・ブレイキー率いる「ジャズ・メッセンジャーズ」。数々の有望な若手ジャズマンの登竜門的バンドで、ブレイキーにスカウトされ、このバンドで活躍したジャズマンは、このバンドを離れた後、ほとんどのジャズマンがジャズ・シーンの中核を担う存在になっていった。

Art Blakey and The Jazz Messengers『A Night in Tunisia』(写真)。1960年8月の録音。ブルーノートの4049番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。鯔背なトランペッター、モーガンと、モーダルなテナー・タイタン、ショーターとの2管フロント。クインテット編成になる。

あのファンキー・ジャズの大名盤『Moanin'』から、メンバーはテナー・サックス担当 & バンドの音楽監督のベニー・ゴルソンから、ウェイン・ショーターに代わっただけ。しかし、前作『The Big Beat』で、テナー・サックスがショーターに代わった途端、ジャズ・メッセンジャーズの音はガラリと変わる。明らかに「モード」の雰囲気が色濃くなっていた。
 

A-night-in-tunisia

 
そして、この『A Night in Tunisia』である。タイトル曲はビ・バップ時代の名曲。しかし、演奏内容は明らかに「モード」。この盤から、ショーターはバンドの音楽監督としての役割を100%果たし始めた。ファンキー・ジャズ一色だったメッセンジャーズを一気に「モード色」に塗り替えたのだ。ショーターのテナー・サックスは徹頭徹尾「モーダルな」フレーズで埋め尽くされている。

で、他のメンバーである。スタジオ録音2作前にはコッテコテのファンキー・ジャズをやっていたメンバーである。モードに適応せず、バンドを離れて行くのかと思いきや、意外や意外、コッテコテのファンキー・ピアノのティモンズも窮屈そうだが、モーガン、メリット、皆、モードに填まっている。もとより、リーダーのブレイキー御大がモーダルな演奏を牽引している。いやはや、凄いポテンシャルを持ったバンドである。

モードって何、と聞かれたら、この盤と『Moanin'』を聴き比べてもらうのが一番かな。それほど、このアルバムはモード・ジャズの音が詰まっていて、その響きは独特なもの。ショーターが音楽監督として、バンドに持ち込んだ「モード・ジャズ」。ショーターがマイルス・バンドに引き抜かれた後も、1960年代のメッセンジャーズの音として定着していくのだ。
 
 
 
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2021年7月 9日 (金曜日)

「小粋なジャズ」を聴き直す。

以前より「小粋なジャズ」をテーマにジャズ盤を集めていたのだが、その集めた「小粋なジャズ」盤を順番に聴き直し始めた。

小粋とは「どことなく、さっぱりした気立てで垢抜けがし、仄かに色気も漂うさま。洗練されていること」。つまり「小粋なジャズ」盤とは、ハードバップな演奏をメインに「どことなく垢抜けて洗練されていて、仄かに健全な色気も感じる」ジャズを聴くことが出来る盤ということになる。

George Wallington『Complete Live At The Café Bohemia』(写真左)。1955年9月9日、The Cafe Bohemia でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Donald Byrd (tp), George Wallington (p), Paul Chambers (b), Arthur Taylor (ds)。

ピアニストのジョージ・ウォリントンがリーダー、ジャキー・マクリーンのアルト・サックスとドナルド・バードのトランペットが2管フロントのクインテット編成。もともとは、プレスティッジ・レーベルからリリースされた、George Wallington『Live At The Café Bohemia』(写真右)のコンプリート盤になる。

このライヴ盤の目玉は、ジャキー・マクリーンのアルト・サックスとドナルド・バードのトランペットが2管フロント。このライヴ盤では、マクリーンのアルト・サックス、バードのトランペットのベストに近いパフォーマンスが確認出来る。
 

Complete-live-at-the-cafe-bohemia-1

 
ジョージ・ウォリントンのピアノは、ビ・バップ調でありながら、優雅な響きが特徴。決して下品に弾かない。決してテクニックをひけらかさない。優雅な響きと確かなテクニックでしっかりとしたハードバップなピアノなんだが、如何せんちょっと地味で目立たない。

ただ、リーダーとしての統制力は優れていたとみえて、このライヴ盤でのパフォーマンスは、ウォリントンの統制力をしっかりと確認することが出来る。このライヴ盤で、ウォリントンのピアノが大々的にフィーチャーされているかと言えば、そうでは無い。如何せん地味なのだ。

ライヴ当日、この2管フロントは終日絶好調だった様で、今回のコンプリート盤以前の通常盤でのパフォーマンスも凄かったが、これがコンプリート盤で追加された演奏でも漏れなく素晴らしい。つまり、ライヴ収録されたパフォーマンスのほぼ全てが素晴らしいパフォーマンスで埋め尽くされていたということになる。

演奏の内容は「完璧なハードバップ」。2管フロントのアドリブ・パフォーマンスは、効果的な「引用」も含めて、小粋なものばかり。そういう意味で、このライヴ盤は「小粋なジャズ」盤の一枚にノミネートしました。ハイ。
 
 
 
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2021年7月 8日 (木曜日)

「ビ・バップ」なディズを聴く

ビ・バップの祖の一人、ジャズ・トランペッターのレジェンド「ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie・愛称「ディズ」)」。マイルスを以てして「ディズの様に吹きたかったが、どうしても吹けなかった。ディズは俺のアイドルだった」と言わしめた伝説のトランペッターだが、ビ・バップ期においては、意外とリーダー作に恵まれていない。

ハードバップ期以降については、要所要所で名盤を「ものにしている」のだが、ビ・バップ期には意外とデイズの代表盤というのがあまり見当たらない。

もう1人の「ビ・バップの祖」チャーリー・パーカーは失敗テイクを含め、各々のセッションの全てをアルバムにされたりしているが、ディズにはそれが無い。ディズのビ・バップなトランペットは、それはそれは素晴らしいものにも関わらず、である。

ビ・バップなディズを感じたいのなら、サヴォイ・レーベルの諸作だろう。お勧めは『Groovin' High』と『The Champ』の2枚。今日は後者をご紹介したい。

Dizzy Gillespie『The Champ』(写真左)。ディジー・ガレスピーの1951年から1952年までの小グループでのレコーディングを集めた、サヴォイ初期のオムニバス形式のアルバムである。
 

The-champ-dizzy-gillespie

 
主だったパーソネルは次の通り。Dizzy Gillespie (tp), Bill Graham (as), Budd Johnson, John Coltrane (ts), Bill Graham (bs), Bernie Griggs, Percy Heath (b), Al Jones, Art Blakey, Kansas Fields (ds), Kenny Burrell (g), Milt Jackson (org), Milt Jackson, Wynton Kelly (p), J.J. Johnson (tb), Milt Jackson (vib), Stuff Smith (vln), Dizzy Gillespie, Melvin Moore, Milt Jackson (vo) 等々。

演奏内容は明らかに「ビ・バップ」。録音年が1951〜52年なので、ビ・バップは最終期で、ハードバップへの移行期にあたるので、ビ・バップとしての演奏内容は、十分に洗練されていて「聴かせる」ビ・バップになっている。

当然、リーダーのディズのトランペットは強烈なハイノート、見事な運指を含め、申し分無い。明るく陽気なディズの「ビ・バップ」なトランペットが心ゆくまで楽しめる。

ビ・バップの「アーティスティックな最終形」を聴く様な充実した演奏ばかりなのだが、これはディズを含め、演奏するジャズマンが皆、後のハードバップ期以降、活躍するジャズマンばかりなのだから当然と言えば当然。若かりし頃のコルトレーンやウィントン・ケリー、ケニー・バレルらの名前が実に頼もしい。

ボーカル入りの曲があったり、思い切りラテン調の曲があったり、明るく陽気なディズのトランペットを含め、我が国の硬派なジャズ者の方々にはウケが悪い盤であるが、ビ・バップの祖としてのディズの才能を感じるのに、最適なアルバムの一枚である。ビ・バップの「アーティスティックな最終形」は素敵です。
 
 
 
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2021年7月 7日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・212

昨日、サヴォイ・レーベルの代表的なヒット作の一枚として、Milt Jackson『Opus De Jazz』をご紹介した。が、サヴォイ・レーベルの代表的なヒット作はまだまだある。

例えば、昨日の『Opus De Jazz』の名が挙がれば、必ず、続いてそのタイトルが挙がるアルバムがある。このアルバムも、サヴォイ・レーベルお得意の音「リラックスした正統でハードバップな演奏」がしっかり記録されている「サヴォイ名盤」の一枚。

Curtis Fuller『Blues-ette』(写真左)。1959年5月21日、NJのVan Gelder Studio での録音。プロデューサーはオジー・カディナ。ちなみにパーソネルは、Curtis Fuller (tb), Benny Golson (ts), Tommy Flanagan (p), Jimmy Garrison (b), Al Harewood (ds)。カーティス・フラーのトロンボーンとベニー・ゴルソンのテナー・サックス、2管フロントのクインテット編成。

この盤、冒頭の名曲「Five Spot After Dark」にとどめを刺す。ベニー・ゴルソン作曲の名曲で、ジャジーでブルージーでアーバンな雰囲気がたまらない。そんな名曲に、これまたベニー・ゴルソンの専売特許である「ゴルソン・ハーモニー」のアレンジを施していて、これがまた、この名曲の底に流れるファンクネスを強調して、それはそれは、実にジャズらしい音の響きを提供してくれる。
 

Blues_ette

 
この「ゴルソン・ハーモニー」って、トロンボーンとテナー・サックスのユニゾン&ハーモニーが一番フィットしていて、そのアレンジの効果を一番発揮した楽曲がこの「Five Spot After Dark」だと思っている。とにかく、この曲の持つ「メロディー・ラインとハーモニーの美しさ」は特筆もの。不思議と「都会の夜の雰囲気」をビンビンに感じる楽曲で、僕はこの曲が大のお気に入りです。

そして、名盤には必ず優れた「リズム隊」がバックに控えている。この盤のリズム隊は、トミフラのピアノ、ギャリソンのベース、ヘアウッドのドラムなのだが、これが実に「良い」。

トミフラの落ち着いていて小粋なピアノのバッキングは、まるで「スパイス」のよう。演奏の中でキラリと光るフレーズを供給していて、これが良いアクセントとなっている。ギャリソンの骨太ベースは演奏の安定感に大いに貢献しているし、ヘアウッドのドラムは、決してフロントの邪魔をしないが、小粋なビートでしっかりとフロントを支え、鼓舞する職人芸的ドラミングが良い感じ。

ルディ・ヴァン・ゲルダーの録音で、実に「ハードバップらしい」音をしている。ジャケもサヴォイらしいもの。この盤も、初めて聴いて良し、聴き直して良しと、この盤もジャズ者全ての方にお勧めの名盤です。
 
 
 
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2021年7月 6日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・211

最近、サヴォイ・レーベルの優秀盤を聴き直している。こうやって聴き直してみると、サヴォイ・レーベルもブルーノート・レーベルと同様に、音の響きとアルバム制作の基本ポリシーの個性がハッキリしていて、聴いていて気持ちが良い。

特に、1950年代半ば、オジー・カディナがプロデューサーとして迎えられ、このカディナのプロデュースの下,1954年から1959年にかけて制作されたアルバムは内容の優れたもの、内容の濃いものが多い。

Milt Jackson『Opus De Jazz』(写真左)。1955年10月28日、NJのVan Gelder Studio での録音。プロデューサーはオジー・カディナ。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Frank Wess (fl, ts), Hank Jones (p), Eddie Jones (b), Kenny Clarke (ds)。ハードバップ初期の秀作。ミルト・ジャクソンのヴァイブ、フランク・ウエスのフルートがフロントのクインテット編成。

タイトルの「オパス(Opus)」とは、ラテン語で「作品」の意味で、直訳すると「ジャズの作品」という意味になる。ちなみに、冒頭の「Opus de Funk」は「ファンクの曲」。「Opus Pocus」は「呪文の曲」になる。この盤にはハードバップのお手本の様な演奏が詰まっている。
 

Opas-de-jazz

 
ミルトのヴァイブとウエスのフルートが実に良く効いている。サヴォイ・レーベルお得意の音「リラックスした正統でハードバップな演奏」が、このヴァイブとフルートの音色で明快に表現されている。しかも、このヴァイブとフルートのフレーズは明らかに「ファンキー」。マイナー調でブルージーなアドリブ・フレーズは、聴いていてドップリと浸り切ってしまいたい位の心地良さ。

全編に渡って、このヴァイブの音とフルートの音が思いっ切り印象に残る盤である。このヴァイブとフルートの持つ音の響きが、マイナー調でブルージーな雰囲気を増幅させ、「ファンキー」を具体的な音として僕達に聴かせてくれる。この盤でこの音で、僕はヴァイブの音の虜となって、その最初のアイドルが「ミルト・ジャクソン」だったことを思い出した。

リズム隊も実に良い感じ。フロントのヴァイブとフルートのお陰で、どっぷりと「ジャジーでブルージーでファンキー」な音世界なんだが、その音の雰囲気に「典雅さ」を加味して、小粋でファンキーなハンク・ジョーンズのピアノが要所要所でアクセントを付け、チェンジ・オブ・ペースを促す。ケニー・クラークのドラムは切れ味良く硬軟自在。エディー・ジョーンズのベースは堅実だ。

サヴォイ・レーベルの代表的なヒット作の一枚。ジャケットもサヴォイ・レーベルらしいもの。音はルディ・ヴァン・ゲルダーの手になるもので、音の良さは「折り紙付き」。初めて聴いて良し、聴き直して良しと、ジャズ者全ての方にお勧め。
 
 
 
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2021年7月 5日 (月曜日)

レッド・ロドニーの「隠れ名盤」

サヴォイ・レーベルのハードバップらしい音世界は、一度聴き出すとしばらく聴き続けてしまうくらい、魅力的なもの。ブルーノート盤などの「尖った先進的なハードバップ」な音とは全く異なる、ややリラックスした正統でハードバップな演奏なのだが、これが意外と癖になる。

Red Rodney『Fiery』(写真左)。1957年11月、New JerseyのVan Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Red Rodney (tp), Ira Sullivan (ts), Tommy Flanagan (p), Oscar Pettiford (b), Philly Joe Jones (ds : 1to 3 ), Elvin Jones (ds : 4 to 6)。

リーダーのレッド・ロドニーのトランペットと、アイラ・サリヴァンのテナー・サックスの2管フロントのクインテット編成。ドラムはフィリージョーとエルヴィン・ジョーンズを使い分けている。

リーダーのレッド・ロドニーは「1949年〜50年の短い期間であったが、パーカーのもとで、相棒として活躍していた白人トランペッター」として紹介されている。かなり素性の良い、魅力的なトランペットなんだが、ドラッグの悪癖のためにチャンスを逃し、ロドニーのリーダー作やサイドマンとしての参加作品はかなり少ない。
 

Fiery-red-dodney

 
バッパーらしい切れ味の良いブリリアントな音色で、しっかりと気持ちの入った「入魂トランペット」だが、そのフレーズにはどこかクールな雰囲気が流れていて、全体的に「硬軟のバランスが良い演奏」を聴かせてくれる。テクニックも良好、オリジナリティー豊かで、当時の誰のトランペットにも似ていない。独特の個性を持ったトランペットだけに寡作なのが惜しまれる。

そんなロドニーのトランペットを心ゆくまで楽しむことが出来る。難解なところとか、変に癖のあるところは全く無い、ストレートの素性の良いトランペット。スタンダード曲も自作曲も、どちらも良い感じで吹き上げている。

バックのリズム隊が好調で、トミー・フラナガンのピアノの参加が効いている。トミフラのピアノは相変わらず「小粋でバップ」で、好調なバッキングを繰り広げる。「2人のジョーンズ」のドラムは切れ味良く、骨太なペティフォードのウォーキング・ベースが心地良く響く。この良い感じのリズム隊、聴きものです。

シグナル・レーベルの『Rodney 1957』(写真右)が原盤で、後にサヴォイ・レーベルからリリースされた盤だが、音的には「サヴォイの音」としてまとまっていて、サヴォイ・レーベルのオリジナル盤としても違和感が無い。レッド・ロドニーの代表作として一聴に値する「隠れた名盤」である。
 
 
 

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2021年7月 4日 (日曜日)

サヴォイのトランペット愛聴盤

ビ・バップ〜ハードバップ期を中心に好盤を量産した、古参ジャズ・レーベルであるサヴォイ(SAVOY)レーベル。1942年、ルビンスキーとカデーナの2人により、ニューアークにて設立。テディ・リーグをプロデューサーに迎え、ビバップを中心としたレコーディングにシフトし、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーなどのセッションをどんどん録音していった。

1950年代半ばには、名プロデューサーとして知られるオジー・カデナが迎えられ、レーべルはここから大躍進、次々と傑作を発表してゆく。1974年には創設者のルビンスキーが死去し、レーベルはその後、アリスタ等、様々なレーベルへと権利は転々とするが、2017年、アメリカのコンコードに買収され、現在はコンコード・ミュージック・グループ傘下に収まっている。

Joe Wilder『Wilder 'N' Wilder』(写真)。1956年1月19日、Van Gelder Studioでの録音。プロデューサーは「オジー・カデナ」。ちなみにパーソネルは、Joe Wilder (tp), Hank Jones (p), Wendell Marshall (b), Kenny Clarke (ds)。ジョー・ワイルダーのトランペットがフロント1管の「ワンホーン・カルテット」である。
 

Wilder-n-wilder

 
良い音で優しく鳴るトランペットである。テクニックは優秀、ブリリアントで切れ味の良いトランペット。決してハイノートはやらない。堅実な音で穏やかにフレーズを紡ぎ上げていく。ビ・バップ〜ハードバップ期のジャズ・ジャイアンツ達のトランペットの音とはちょっと響きが違う。ジャズっぽく無いかもしれないが、リラックスした正統派のトランペットという趣で、聴いていてとても心地良い。

バックのリズム隊も、そんな優しく穏やかでブリリアントなトランペットを「小粋に渋〜く」サポートする。特に、ピアノのハンク・ジョーンズの典雅で流麗なピアノは聴いていて惚れ惚れする。ウェンデル・マーシャルのベースは堅実に演奏のベースラインをガッチリ支え、ケニー・クラークのドラミングは機微を捉えて硬軟自在。このリズム隊のサポートもこの盤の「聴きどころ」。

ジャケ・デザインは実にサヴォイ・レーベルらしいもの。音はルディ・ヴァン・ゲルダーの手なる録音で良好。ブルーノート盤などの「尖った先進的なハードバップ」な音とは全く異なる、ややリラックスした正統でハードバップな演奏が、この盤にてんこ盛り。いかにもサヴォイ・ジャズのハードバップらしい音世界である。
 
 
 

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2021年7月 3日 (土曜日)

アバークロンビー入門のライヴ盤

ジャズのエレクトリック・ギター盤を聴き直し始めて、ジョン・アバークロンビー(John Abercrombie)に再会した。ECMレーベル専属ギタリストに近い位置づけで、アイヒャー主導のECM独特の「ニュー・ジャズ」な雰囲気の中、個性的でストレートなエレクトリック・ギターを聴かせてくれる。特に、その即興演奏が独特な響きで、アバークロンビーの個性を唯一のものにしている。

『John Abercrombie / Marc Johnson / Peter Erskine』(写真左)。1988年4月21日、ボストンでのライヴ録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (g, g-synth), Marc Johnson (b), Peter Erskine (ds)。ジョン・アバークロンビーがリーダーのキーボードれすのトリオ編成。アバークロンビーのギターの個性が良く判る編成である。

リーダー作の半分以上がECMレーベルからのリリースになる。アバークロンビーのギターはECMレーベルの「音のカラー」に一番フィットしている。アバークロンビーはニューヨーク州ポートチェスター出身ながら、彼のギターにはファンクネスは希薄。

初リーダー作がECMからのリリースで、そのまま、彼のギターはECM好みの「欧州ジャズ志向のソリッドでストレートで、プログレッシヴなギター」が個性となったと思われる。それほど、彼のギターは、ECMの音の個性にジャスト・フィットしている。
 

John-abercrombie-marc-johnson-peter-ersk

 
そんなアバークロンビーのエレギの個性がとても良く判る盤がこの盤である。彼の最大の個性は、その即興演奏にあると思っていて、デリケートでストレートでメロディアスで柔軟性溢れる即興演奏は、彼のエレギの独特の響きと併せて、しばらく聴けば、アバークロンビーのエレギと判る。このアバークロンビーのギター、好きになったらとことん填まること請け合い。

ベースのマーク・ジョンソンとドラムのピーター・アースキンが、これまた、アバークロンビーのギターの個性を引き立たせるのに恰好のリズム隊で、アバークロンビーのギターの様々な表現に的確にレスポンスする。特に、アースキンの変幻自在なドラミングが素晴らしい。特にこの盤、ライヴ録音だけのその柔軟性が良く判る。

ジャズの即興性という切り口を明確に伝えてくれるライヴ盤である。ECMのアルバムとしては、珍しく4ビートの演奏が多く収録されていて、スタンダード曲が4曲も入っている。

そういう意味では、アバークロンビー入門盤としても取っ付き易い盤で、ジャケ・デザインはECMらしくなく「やっつけ」風だが、このジャケ・デザインに怯むこと無く、アバークロンビーのエレギを体験して頂きたい。
 
 
 
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2021年7月 2日 (金曜日)

第2期マハヴィシュヌ・オケの傑作

マクラフリン率いる「マハヴィシュヌ・オーケストラ」。今の耳で聴けば、これはジャズロックの体をした「プログレッシヴ・ロック(略して「プログレ」)」である。マハヴィシュヌ・オーケストラのメンバー自体、ジャズ畑からの参入なので、クロスオーバー・ジャズのジャンルに留め置いたが、どうも最近の「今の耳」で聴き直すと、どうもこれは「プログレ」ではないかと(笑)。

John McLaughlin with Mahavishnu Orchestra『Apocalypse』(写真)。邦題『黙示録』。1974年3月の録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Gayle Moran (key, vo), Jean-Luc Ponty (el-vln), Ralphe Armstrong (b, vo), Narada Michael Walden (ds, perc, vo)。

ギターのジョン・マクラフリンを除くメンバーががらりと変わった、マハヴィシュヌ・オーケストラの第2期の作品になる。プロデューサーが「ジョージ・マーティン (George Martin)」。これが大正解だった。エレ・ジャズとプログレとクラシックの「融合音楽」をものの見事にプロデュースしている。

ロンドン・シンフォニー・オーケストラとの共演が興味深い。ジャズのバンドや演奏者がムーディーな雰囲気を増幅するのに、オーケストラとの共演をするのはたまにある。が、ジャズロック、クロスオーバー・ジャズがオーケストラと共演するのは、ロックバンドがオーケストラと共演する様なもので、あまり例が無く、成功例は少ない。
 

Apocalypse

 
しかし、このマハヴィシュヌ・オーケストラとオーケストラの共演、よく練られていて、ジャズとロックとオーケストラの融合。つまり、クロスオーバー・ジャズの真骨頂とでも言いたくなる、素晴らしい「融合」音楽が成立している。

電気楽器の音がジャジーな分、オーケストラの音と良く馴染む。マクラフリンのクロスオーバーなエレ・ギターと、ジャズロック側のジャン=リュックポンティの電気バイオリンとが、オーケストラの弦との間の「橋渡しの役割」を担って、違和感無く融合していて違和感が無い。オーケストラの音が、静的なスピリチュアル・ジャズに通じる響きを供給していて、マハヴィシュヌ・オーケストラの「プログレ」な音を増幅している。

ゲイル・モランのボーカルも幻想的でスピリチュアル、ドラムはなんと、ジェフ・ベック「WIRED」でのドラマー、マイケル・ウォールデンで、乾いたファンクネスが漂うロックビートなドラミングがユニーク。

音的には、第1期マハヴィシュヌ・オーケストラの様な、切れ味良くテンション溢れ、畳みかけるような展開は影を潜め、代わって、叙情的でシンフォニックな展開がメインになっている。エレ・ジャズとプログレとクラシックの「クロスオーバー・ミュージック」。そんな魅力的な音世界がこのアルバムに詰まっている。
 
 
 

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2021年7月 1日 (木曜日)

マハヴィシュヌ・オケのライブ盤

もともと自分は「ロック・キッズ」出身。中学時代には、深夜放送を中心に「ロック&ポップス」のシングル曲をせっせと聴いていた。高校時代に入って、本格的に「ロック・キッズ」の仲間入り。高校一年生の頃、プログレッシヴ・ロック(略して「プログレ」)にドップリ填まった。いわゆる「プログレ小僧」化し、あれから50年経った今でも「プログレ盤」は大好きで、ジャズの合間の耳休めにちょくちょく聴いている。

このプログレであるが、英国においてはロックとジャズの境界線が曖昧。クロスオーバー・ジャズの中で、ロックからジャズへ、ジャズからロックへ、双方向からのアプローチがあって混沌としている。判別のポイントは、ロックからジャズへのアプローチは「シンプルでポップで判り易い」、言い換えれば「単純」。ジャズからロックへのアプローチは「テクニカルで複雑」、言い換えれば「判り難い」。

ロックからジャズへのアプローチの代表例が「プログレ」で、ロックにジャズの要素を混ぜ込むことで、ちょっとアカデミックな雰囲気が漂い、その辺のやんちゃなロックとは一線を画すことが出来る。「プログレ」は演奏テクニックが優秀で、ジャズの要素を取り込み事が出来たのだ。

逆に、ジャズにロックの要素を混ぜ込むことで、アコースティック一辺倒だったジャズの「音の表現」に、電気楽器の新たな「音の表現」が加わり、新しいジャズの響きが生まれる。特に「エレ楽器や8ビート」の導入は、それまでに無い、全く新しいジャズの表現方法を生み出した。
 

Between-nothingness-eternity

 
John McLaughlin with Mahavishnu Orchestra『Between Nothingness & Eternity』(写真左)。1973年8月18日、NYのセントラルパークで行われた「Schaefer Music Festival」でのライブ録音。リリース当時の邦題は「虚無からの飛翔」。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Jan Hammer (key), Jerry Goodman (vln), Rick Laird (b), Billy Cobham (ds, perc)。

クロスオーバー・ジャズの代表格、ジャズ畑のエレ・ギターの雄、ジョン・マクラフリンがリーダーのマハヴィシュヌ・オーケストラのライヴ盤。聴けば良く判るが、演奏のベースはジャズである。そこにロックの要素(エレ楽器や8ビート)をタップリ注入し、ジャズの即興演奏の要素を前面に押し出す。

しかしながら、エレ・マイルスとは異なり、このマハヴィシュヌ・オケの音に「ファンクネス」は希薄。ファンクネスを極力抑えることによって、ロックとの融合の印象をより強くする作戦。ライヴ音源だとそれが良く判るし、その作戦は成功している。マハヴィシュヌ・オケの音は、驚異的なハイ・テクニックの下、リズム&ビート、およびアドリブ・フレーズは「捻れていて複雑」かつ「ストイックでアーティスティック」。

恐らく、マハヴィシュヌ・オケは英国をはじめ欧州でウケたのではないか。演奏内容が「テクニカルで複雑」なので米国では、欧州ほどにはウケなかったと思われる。我が国では、当時、エレ・ジャズは異端とされていたので論外(笑)。元「プログレ小僧」だったジャズ者の方々に是非お勧めの「マハヴィシュヌ・オケ」である。
 
 
 

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