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2021年6月26日 (土曜日)

テイラーのドラミングを愛でる

僕はこの人のドラミングを聴く度に、何も強烈な個性の持ち主でなくても、自己主張が希薄でも、ジャズという演奏には絶対必要なものがある、と思い直す。

例えば、アート・ブレイキーやエルヴィン・ジョーンズの様に、そのドラミングに強烈な個性があるドラマー、そして、マックス・ローチやトニー・ウィリアムスの様に、基本的に前面に出たがるドラマーなど、ジャズ・ドラマーは癖が強い人が多いが、この人のドラミングは違う。

アート・テイラー(Art Taylor)。ハードバップ時代のファースト・コール・ドラマー1人。ハードバップの数多くのセッションのドラマーを担当していて、ハードバップ時代のジャズ名盤を聴き進めて行くと、必ず、このドラマーの名前に目にすることになる。

Art Taylor『A.T.'s Delight』(写真左)。1960年8月6日の録音。ブルーノートの4047番。ちなみにパーソネルは、Art Taylor (ds), Dave Burns (tp), Stanley Turrentine (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Carlos "Patato" Valdes (conga)。ディヴ・バーンズのトランペットとスタンリー・タレンタインのテナーが2管フロントのクインテット編成にコンガが客演する。
 

Ats-delight

 
アート・テイラーって、一言で言うと、地味ではあるがテクニックは確か、フロントのジャズマンを引き立てる、地道に汗をかくことが出来るドラマーである。基本的に目立たない。リーダー然としてフロントを鼓舞する訳でも無い。ドラミングは整然として堅実。大向こうを張るプレイはしない。つまりはリズム隊の一員として、リーダーを引き立て、フロント楽器を引き立てる、玄人好みの粋で安定したドラミングを供給するのだ。

そんなテイラーである。リーダー作は非常に少ない。この『A.T.'s Delight』はブルーノート・レーベルに残した、数少ないリーダー作の中の一枚。1曲目のコルトレーンの「Syeeda's Song Flute」が来て、2曲目にモンクの「Epistrophy」が来る。こういうところに、ブルーノートの総帥プロデューサーのライオンの、このメンバーでもコルトレーンやモンクを内容良く演奏出来るんだよ、という矜持を感じる。

テイラーはリーダーでありながら、時折、長めのドラム・ソロが入るところに「あぁ、この盤のリーダーはドラマーなのだ」ということを感じるのだが、あくまでフロント楽器を引き立てる役に徹している。これがテイラーのドラミングの個性なのだから、この盤の内容は正解なんだろう。曲によってはコンガも入って、実に聴きやすく判り易いハードバップな演奏が、この盤にぎっしり詰まっている。
 
 
 

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