バレルを心ゆくまで愛でる盤
ケニー・バレルというギタリスト、僕は大好きである。最初に彼のギターを聴いたのは、1980年頃、『Guiter Forms(ケニー・バレルの肖像)』だったと思う。邦題通り、様々な編成でバレルのギターの魅力を引き出した好盤なのだが、このバレルのギターが良かった。僕は「漆黒ファンキーなアーバン・ギター」と形容している。
Kenny Burrell With Art Blakey『On View At The Five Spot Cafe』。1959年8月25日、NYの「Five Spot Cafe」でのライヴ録音。ブルーノートの4021番。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Art Blakey (ds), Bobby Timmons (p), Roland Hanna (p), Tina Brooks (ts), Ben Tucker (b)。 リーダーはギターのバレルとドラムのブレイキーの双頭リーダー盤。バレルのギター、ブルックスのテナーの2人がフロントのクインテット編成。
パーソネルを見渡すと、とても個性の強いメンバーが集められている。漆黒ファンキーなアーバン・ギターのバレルに、大胆かつ繊細なドラマーのブレイキー、どっぷりとブルージーなテナーのブルックス、ハードバップ・ベースの名手のタッカー。そして、ピアノは、明快なファンキー・ピアニストのティモンズと、典雅なピアノ職人のハナの2人を使い分けている。
このメンバーはとってもブルーノートらしいラインナップ。そして、ブルーノートらしいブルースなサウンドが充満している。バレルのギターはファンネス溢れ、滴るようにブルージー。どのソロ・パフォーマンスも申し分無し。ピアノが明快なファンキー・ピアニストのティモンズだと、バレルの「ファンクネス」が強調され、ピアノが典雅なピアノ職人のハナだと、バレルの「アーバン」な雰囲気が強調されるのが面白い。
双頭リーダーのブレイキーについては、その「ドラミングの妙」に感心する。このライブでのバンド・サウンドの要である「ファンクネス」と「アーバン」そして「ブルージー」をしっかり踏まえて、ドラミングを最適化している。決して仰々しくフロントを鼓舞することは無い。逆に趣味良く粋なドラミングで、バンド・サウンド全体をしっかりとコントロールしているように感じる。
「Birk's Works」におけるバレルのギターとティモンズのピアノの「ファンクネス」な絡み、バレルの自作曲「36-23-36」のアーバンでブルージーな展開が良い感じ。テナーのブルックスも好調で、タッカーのベースは盤石。ジャケット・デザインも、バレルの横顔のアップを半分切り取った印象的なもので「グッド」。バレルの「漆黒ファンキーなアーバン・ギター」を心ゆくまで愛でることが出来る好ライヴ盤です。
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