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2021年6月27日 (日曜日)

ヴィンセント・ハーリングの快作

Nat Adderley Quintet『The Old Country』というアルバムで、この人のアルト・サックスを耳にして以来、ずっとお気に入りのアルト・サックス奏者として、パーソネルにその名前を見る度に、そのアルト・サックスのプレイを楽しんでいる。そのアルト・サックス奏者とは、ヴィンセント・ハーリング(Vincent Herring)。

ヴィンセント・ハーリングは、1964年、ケンタッキー州生まれ。今年で57歳になる。そうか、もうヴィンセントも57歳になるのか。聴き始めた時は、まだまだ若手。威勢が良くて、ダイナミック&スピーディーな展開、仄かにファンクネス漂い、ソウルフルに吹き上げる「鯔背な」アルト・サックス奏者だった。歳を重ねる毎に「深み」と「コク」が備わって、ハッピー・スウィンガーなアルト・サックス奏者として、いよいよベテランの域に達している。

Vincent Herring『Preaching to the Choir』(写真左)。2021年4月のリリース。リリースしたてのホヤホヤである。ちなみにパーソネルは、Vincent Herring (as), Cyrus Chestnut (p), Yasushi Nakamura(中村恭士) (b), Johnathan Blake (ds)。リーダーのヴィンセント・ハーリングのアルト・サックスが一管フロントのカルテット編成。いわゆるヴィンセント・ハーリングの「ワン・ホーン・カルテット」である。
 

Preaching-to-the-choir

 
サックスの「ワン・ホーン・カルテット」は、そのサックス奏者の「個性」と「録音時の状態」が良く判る。このヴィンセントの新盤、とにかくヴィンセントが吹きまくっている。ヴィンセントのアルト・サックスが「鯔背」に「小粋」に唄いまくっている。ほんと、現在の状態の良さがとても良く判る、年齢の深みを備えたハッピー・スウィンガーなヴィンセントがこの盤にどっしりと腰を据えている。

ヴィンセントのアルト・サックスと同傾向のピアノがこれまた良い。誰だろうと思ってパーソネルを見たら、あぁやっぱり「サイラス・チェスナット」でした。テクニック申し分無く、ソロを取らせればダイナミック、歌心溢れ、オーソドックスではあるが、その溌剌とした弾きっぷりは、ヴィンセントのアルト・サックスとの相性は抜群。中村恭士のベース、ジョナサン・ブレイクのドラムの「リズム隊」の好調を維持。ヴィンセントとチェスナットを、硬軟自在、変幻自在に支え、鼓舞する。

ヴィンセント・ハーリングって、コロナウィルスに感染して、後遺症(関節リウマチ)に悩まされつつ、この盤の録音に臨んだそうだ。この録音以来、幸いにもハーリングは専門家の助けを借りて、痛みをかなり抑えることが出来たそうで、良かった。この盤が最後になるかも、とヴィンセントは思ったそうだが、いやいや、まだ57歳。これからも、良好なネオ・ハードバップ盤を出し続けて欲しい。
 
 

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