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2021年6月20日 (日曜日)

近年のロイドの「屈指の好盤」

ジャズの最重要な老舗レーベルである「ブルーノート・レーベル」。1950年代〜1960年代のカタログ番号、1500番台、4000番台、4100番台、4200番台はジャズの進化の歴史が体感できる「モダン・ジャズの宝庫」なんだが、現代の「ブルーノート・レーベル」も、先進的で個性的なジャズをリリースし続ける、ジャズの最重要なレーベルである。

Charles Lloyd & The Marvels『Tone Poem』。2021年のリリース。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, fl), Bill Frisell (g), Greg Leisz (steel-g), Reuben Rogers (b), Eric Harland (ds)。ピアノレス、チャールズ・ロイドのテナー・サックスが1管フロントのクインテット編成。ギターが通常のギターと、ジャズでは珍しいスチール・ギターが参加している。

不思議な響きが詰まったジャズ盤である。1970年代のECMレーベルがお得意の「ニュー・ジャズ」の雰囲気でもあり、現代の静的なスピリチュアル・ジャズの雰囲気もあり、米国ルーツ・ミュージックをベースとした「ネイチャー・ジャズ」の雰囲気もあり、とにかく、今までに無い、ネオ・ハードバップとは全く対極の、クールでスピリチュアルな雰囲気が満載である。
 

Tone-poem

 
この不思議な音の雰囲気に貢献しているのが「選曲」で、オーネット・コールマン作の「Peace」「Ramblin'」(1〜2曲目)、レナード・コーエン作の「Anthem」(3曲目)、セロニアス・モンク作の「Monk's Mood」(6曲目)、ガボール・サボ作の「Lady Gabor」(8曲目)など、一癖も二癖もある「素敵に捻れた楽曲」が選曲されている。これが「ミソ」なのだ。

これらの「素敵に捻れた楽曲」が、ロイドのテナー、フルート、そして、フリゼールの捻れギター、そして、レイズのスチール・ギターのクールでスピリチュアルな音とぴったりマッチして、ニュー・ジャズの様な、スピリチュアル・ジャズの様な、ネイチャー・ジャズの様な、適度に緩い、不思議な雰囲気の響きが充満している。

近年のロイドのリーダー作、充実している。ロイドのテナーは激しく吹きまくる訳でも無く、淡々として落ち着いた語り口だが説得力は抜群。フリーゼルとレイズのギターも全編に渡って効いていて、思いっ切り印象に残る。ロジャースのベースとハーランドのドラムのリズム隊は、そんな自由度溢れるインプロビゼーションを、変幻自在にサポートしている。これ、ロイドのリーダー作として、屈指の好盤ではないかしら。とにかく現代のモダン・ジャズとして一聴すべき好盤だと思います。
 
 
 

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