ジャズ喫茶で流したい・208
一日の終わり、寝る前に聴くジャズ盤を「今日のラスト」と称して、ほぼ毎日、Twitterで呟いている。最近のテーマは「初心にかえってブルーノート4000番台の聴き直し」。
ブルーノートの4000番台のアルバムをカタログ番号順に聴き直しているのだが、ブルーノート・レーベルには、このレーベルに録音を残していなければ、恐らく、ジャズの歴史の中に埋没して、忘れ去られただろうと思われる、玄人好みの「渋いジャズマン」が幾人かいる。
ディジー・リース(Dizzy Reece)も、そんなジャズマンの1人だろう。もともとはジャマイカ出身の英国のジャズマン。リースのマネージャーがマイルスにアルバムを送ったところ、マイルスが感激し一言「英国には俺と同じくらい上手いトランペッターがいる」。それがブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの耳に入り、録音に至ったとのこと。初リーダー作は、録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーが海を渡っての録音。かなりの力の入れようだったようだ。
Dizzy Reece『Soundin' Off』(写真左)。1960年5月12日、NYの「Van Gelder Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Reece (tp), Walter Bishop Jr. (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。当時、ブルーノートで売り出し中だったピアノのビショップ、早逝の職人ベーシストのワトキンス、当時のファースト・コール・ドラマーのテイラーの「ブルーノート」らしいリズム隊をバックに、リースのトランペットがワンホーンのカルテット編成。
この盤が一番、リースの個性を掴みやすい。テクニックはまずまず、当時、最先端のモード奏法をやる訳でも無く、いわんやフリーなんてとんでもない。僕は何故、マイルスが「英国には俺と同じくらい上手いトランペッターがいる」と評価したのか、よく判らないでいたのだが、この盤で合点がいった。
リースのトランペットの音がとても心地良いのだ。リースのアドリブ・フレーズが流麗なのだ。つまりマイルスのいう「クール」なトランペットであり、女性を口説けるトランペットなのだ。テクニックの凄さやジャズの進化の音には全く意に介さず、「音楽」としての、「音を楽しむもの」としての「ジャズ」がこの盤に記録されている。
リースのトランペットで奏でられるスタンダード曲がとても心地良い。バックのリズム隊、ビショップJr.の明るくスインギーなピアノ、ワトキンスの骨太ウォーキング・ベース、そして、テイラーの職人芸ドラミングも実に聴いて心地良いバッキング。この盤には、聴いて心地良い「ハードバップ」な音が充満している。
ジャケットがブルーノートらしくないところが面白い。ブルーノートの「メインのジャズ」とはちょっと雰囲気が違う、そんな差別化をジャケットでも表現したかったのかもしれない。
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