1981年の硬派な純ジャズ
ネットの音楽サブスク・サイトを徘徊していて、久し振りに「Mal Waldron(マル・ウォルドロン)」の名前に出くわした。僕はジャズ者初心者の頃から、この人のピアノが意外と好きで、振り返ってみると、マルのリーダー作を結構、所有していたりするから面白い。やはり、ジャズ・ピアニストは「個性派」の方が僕は好きかな。
マル・ウォルドロンはピアニスト。タッチは深く、それでいて流麗。右手の奏でるフレーズの基本はマイナーでブルージー。その左手は印象的な重低音のビートを叩き続ける。つけられたニックネームが「黒い情念」。右手のマイナーフレーズ+左手の重低音ビートが「黒い情念」の核。
Mal Waldron『What it Is』(写真左)。1981年11月15日の録音。Enjaレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Clifford Jordan (ts), Cecil McBee (b), Dannie Richmond (ds)。1981年の録音なので、フュージョン・ジャズの大流行の後半真っ只中の録音。しかし、パーソネルを見渡せば判る。曲者揃いの硬派なメインストリーム・ジャズである。
収録曲は3曲。中身は硬派なモード中心の純ジャズ。クリフォード・ジョーダンのテナー・サックスのフロント1管、ワンホーン・カルテットな編成。何時になく、ジョーダンのテナーが好調である。その好調なモーダルなテナーをフロントに、マルのピアノが絶妙な伴奏を付けている。
マルの右手のタッチは硬質、左手は叩き付ける様なパーカッシヴなブロックコードなので音が派手。下手するとフロントのパフォーマンスの邪魔をしかねないのだが、マルは絶妙の間合いでフロントのテナーをサポートし鼓舞する。マクビーのベースも、リッチモンドのドラムもそんなマルに追従し、マルを支える。癖はあるが、なかなか高度な伴奏をクールに展開するリズム隊である。
パッキパキの硬派なモード中心の純ジャズ。1981年というフュージョン・ジャズの全盛後期、こんな硬派過ぎる内容、Enjaレーベルのメインエリアである欧州でしかウケなかったろうなあ。実はこの盤、僕は今回初めて聴きました。ちょっと調べてみたら「日本初CD化」だそうです。なるほど、LP時代は時期的にこの盤は知らなかっただろうな。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》
★ AORの風に吹かれて 【更新しました】 2021.06.10 更新。
★ まだまだロックキッズ 【更新しました】 2021.06.10 更新。
★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.06.10 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から10年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« オルガン・ジャズの新しい融合 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・208 »
コメント