ジャズ喫茶で流したい・209
このアルバムのジャケットは素晴らしい。ブルーノート・レーベルらしさが溢れている。大胆なタイポグラフィー、大胆なレイアウト。しかも、このジャケットにはリーダーのジャズマンの顔写真が無い。恐らく、当時、必要が無かったんだろう。それだけ、この盤のリーダーはジャズ・ファンの間では顔なじみだったのかもしれない。
Lou Donaldson『Sunny Side Up』(写真左)。ブルーノートの4036番。1960年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Bill Hardman (tp), Horace Parlan (p), Laymon Jackson (b), Sam Jones (b), Al Harewood (ds)。リーダーのルーさんのアルト・サックス、ビル・ハードマンのトランペットのフロント2管。ピアノに新進気鋭のホレス・パーランが座る、新しい響きのリズム隊。クインテットの編成である。
この盤の録音時、ルーさんは34歳。ハードマンは27歳。ホレス・パーランは29歳、サム・ジョーンズは36歳、ヘアウッドは37歳。ルーさんは30歳台メンバーで最若手。ハードマンとパーランはまだ20歳台。ジャズマンの年代レベルからすると「若手中堅」。そんな若手中堅が、「ジャズの多様化」が始まった1960年という時代に、従来からの「ハードバップ」を奏でている。
が、その「ハードバップ」な響きは、新しい雰囲気を宿している。別にモードをやってる訳じゃ無いし、ファンクネス濃厚でポップな「ファンキー・ジャズ」をやっている訳でも無い。それでも、この盤には当時の「ハードバップの新しい響き」が詰まっているし、この盤の演奏の全体的な雰囲気や響きはどこまでも「ブルーノート・レーベルらしい」のだ。
この盤、シュッとしたブルース・フィーリングが横溢していて、結構、硬派でダンディズム溢れる「ハードバップ」な演奏である。ルーさんのアルトは心地良く唄い、ハードマンのペットはマイナー・ムードでリリカルに響く。パーランのピアノは伴奏上手。アーシーな左手のブロックコードが「合いの手」の様に響き、右手の右手のリズム・タッチのドライヴ感は、フロント楽器をサポートし鼓舞する。実に良い感じのクインテットである。
そう、この盤はジャジーとかファンキーというよりは、ブルージーな盤。溢れんばかりのブルース感覚が、意外と「ハードバップ」の演奏フォーマットの中で新しい感覚で響くのだ。単純な「ハードバップ」な演奏では無い。この盤での濃厚なファンクネスは、この「ブルージー」な感覚を増幅させる為にある。もっともっと評価されるべき「ブルーノート」らしい、ルーさんのリーダー作である。
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