ケイブルスのソロ・ピアノ盤
この人もジャズ・ピアノ好きの我が国で人気が低い、というか、存在感が薄いピアニストである。George Cables(ジョージ・ケイブルス)。1944年生まれなので、確かにハードバップが衰退し、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズが全盛の1975年が初リーダー作なので、恐らく、初リーダー作をリリースしたことは、我が国では気に止められることは無かったと思われる。
それでも、米国では人気が高く、リーダー作は40枚を超える。伴奏上手でもあるため、サイドマンとしての他のリーダー作への参加も多く、アート・ペッパー、ボビー・ハッチャーソン、フランク・モーガン、バド・シャンクなど、1970年代にも生き残ったメインストリーム系の純ジャズの担い手との共演がメイン。ジャズマンからしても、サイドマンに誘いたくなるような「一流ジャズ・ピアニスト」だったみたい。
George Cables『Person to Person』(写真左)。1995年4月5日、デンマークのジーランにある「SteepleChase Digital Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p)。ケイブルスのソロ・ピアノ盤になる。ソロ・ピアノという演奏フォーマットは、そのピアニストの個性と資質が明快に判る演奏フォーマットで、この盤を聴けば、ケイブルスのピアノの個性と資質をしっかりと確認することが出来る。
ケイブルスのピアノは、適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが個性。適度に硬質ではあるが、マッコイ・タイナーの様にガーンゴーンと叩く様な硬質さでは無い。「しなやかな硬質さ」と表現したら良いだろうか。そして、シーツ・オブ・サウンドほど多弁では無いが、モーダル・ジャズほど間を活かすことは無い。
そんなケイブルスのピアノがこのソロ盤に詰まっている。全12曲中、8曲がスタンダード曲なので、特に、このスタンダード曲において、それぞれのスタンダード曲のケイブルスなりの解釈が明快になって、ケイブルスの個性が前面に押し出ている。冒頭の「My Funny Valentine」を聴くとその個性が良く判る。適度に多弁で、適度にしなやかなで硬質なタッチで弾き回す「バレンタイン」は何故か、新しい音の響きがあって面白い。
このソロ・ピアノ盤を聴いて、やはり、何故、我が国で、ケイブルスのピアノは人気が薄いのか、またまた良く判らないなった。若干「黒い」適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが魅力。ケイブルスは1944年生まれなので、今年で77歳。この盤の録音時が51歳。レジェントなジャズマンとして、良質のジャズ・ピアノとして再評価が待たれるピアニストの1人である。
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