ジャズ喫茶で流したい・205
ジャキー・マクリーンはいかにも「ジャズらしい」アルト・サックス奏者である。マクリーンのアルトはピッチが「少しフラット」している。クラシックの世界からすると「論外」。しかし、ジャズの世界ではこれが「味」になり「個性」になる。これがジャズの面白いところ。聴いた時の感覚と雰囲気がジャジーであれば、それは「ジャズ」である。
Jackie McLean『Swing Swang Swingin'』(写真左)。1959年10月20日の録音。ブルーノートの4024番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Walter Bishop Jr. (p), Jimmy Garrison (b), Art Taylor (ds)。なかなか玄人ごのみのリズム・セクションをバックに、マクリーンのアルト・サックス1管のカルテット編成。ブルーノート盤らしく、しっかりリハーサルを積んだようで、演奏について破綻が全く無い。充実のハードバップである。
マクリーンのワンホーン・カルテット。マクリーンの癖のある、ピッチが「少しフラット」したアルト・サックスが心ゆくまで楽しめる。まず、これがこの盤の一番の「売り」ポイント。加えて、収録曲全7曲中、マクリーンの自作曲は1曲のみ。残りの6曲は全てスタンダード曲で、マクリーンのスタンダード曲の解釈が良く判り、個性的なアルトの音色が上手く活かされているのに感心する。
冒頭の「What's New?」を聴けば、それが良く判る。このバラード曲のテーマを朗々とユッタリ情感豊かに吹くと、マクリーンのピッチが「少しフラット」したアルトが「良く無い方向」に目立つ。短くストレートに硬派に吹き上がることにより、マクリーンの個性あるアルトが「良い方向」に作用する。勢いがついて、このスタンダード曲の持つ印象的なフレーズがダイレクトに耳に残る。マクリーンは自分のアルトの音色の長所ち短所を良く把握している。
バックにリズム・セクションも実に良い雰囲気を醸し出す。マクリーンはピッチが「少しフラット」する。吹くだけで「マイナー調」。バックのピアノはハッピー・スインガーが良い。明朗で楽しく元気の良いピアノの方がバランスが良い。そして、ギャリソンの骨太ベースがしっかりと演奏のベースラインを支えていて、安心してアドリブを吹きまくれる。テイラーのドラムは変幻自在、硬軟自在、様々なパターンのリズム対する要求に柔軟に応える。
良きリズム・セクションに恵まれ、好調のマクリーンのアルトは無敵だ。ジャケットのデザインもブルーノートらしく、アーティスティックで実に雰囲気が良い。選曲良し、内容良し、ジャケット良しの「揃いも揃った三拍子」。とてもブルーノートらしい好盤である。
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