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2021年5月 5日 (水曜日)

ポルチェンの最後のリーダー作

ポール・チェンバース(Paul Chambers・1935年~1969年・以降、僕の付けたニックネーム「ポルチェン」と呼ばせていただく)は、短い活動期間に数多くの録音を残した、ハードバップ時代のファースト・コール・ベーシストである。大酒飲みでジャンキーだった為、33歳の若さで鬼籍に入っている。

初リーダー作が1956年。ベーシストながら、21歳にして初リーダー作をものにしている。いかにポルチェンのテクニックが「聴き映え」するものだったかが良く判る。ピチカートは当然のこと、アルコ(弓弾き)の名手でもあり、ポルチェンのベースのパフォーマンスは「新しさ」に満ちており、実に「モダン」なものだった。

Paul Chambers『1st Bassman』(写真左)。1960年5月12日の録音・Vee-Jayレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Paul Chambers (b), Tommy Turrentine (tp), Curtis Fuller (tb), Yusef Lateef (ts, fl), Wynton Kelly (p), Lex Humphries (ds)。トミタレ、フラー、ラティーフの3管フロントのセクステット編成。

全6曲中、ラストの「Who's Blues」がキャノンボール・アダレイ作で、残りの5曲は、テナー&フルート担当のユセフ・ラティーフの作になる。録音された1960年は「ジャズの多様化」の初期。このラティーフ作の曲を採用したのが当たっていて、当時として「モーダルな新しい響き」に溢れている。演奏それぞれが自由度が高く、独特な響きが良い。
 

1st-bassman
 

ポルチェンはベーシストであるが、リーダー作では常に「プロデューサー」的立場に立ったアルバムを制作している。この『1st Bassman』では、モーダルで「クールでヒップ」で、どこかエキゾチックなジャズを志向していたのだろう。時代のトレンドの先頭を走る様な内容に、ポルチェンの矜持を強く感じる。

そんな時代のトレンドの先頭を走る様なジャズの中で、ポルチェンは自らの持つ技の有らん限りを尽くして、高度でハイテクニックなベースラインを弾き倒していく。フロント3管を鼓舞し牽引する、鋼の様にしなやかで力感溢れるベースラインに思わず「聴き惚れる」。

こんなに素晴らしい内容のアルバムを企図し、そんな時代のトレンドの先頭を走る様なジャズを志向し、こんなに素晴らしいベースのパフォーマンスを披露しているのに、実はこの盤が、ポルチェンの生涯における「最後のリーダー作」なのだ。その事実を知った時、僕は唖然とした。

この盤が1960年の作品。ポルチェンが亡くなるのが1969年。サイドマンとしての他の盤への参加も、1960年以降に激減し、1967年が最終。1968年の終わりにインフルエンザの重症状態で入院、実は結核を患っており、ヘロインとアルコールの中毒状態が症状を悪化させ、1969年1月4日、NYにて帰らぬ人となる。享年、33歳の若さであった。
 
 
 

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