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2021年4月 9日 (金曜日)

パーカーの非凡な才能・その4

ビ・バップの祖として有名なのは、アルト・サックス奏者のチャーリー・パーカーと、トランペット奏者のディジー・ガレスピー。まあ、この二人がビ・バップの祖であり、その二人の数々の名演を押さえることで、ビ・バップへの理解は飛躍的に高まる。しかし、である。このビ・バップの祖の二人、パーカーとガレスピーについては意外と共演盤が少ない。

『The Genius Of Charlie Parker #4 : Bird And Diz』(写真)。ビ・バップ晩期、1949ー50年の録音。ビ・バップの祖、Charlie Parker (as), Dizzy Gillespie (tp) の共演盤。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Dizzy Gillespie, Kenny Dorham (tp), Curley Russell, Tommy Potter (b), Buddy Rich, Max Roach (ds), Carlos Vidal (ds, bongo), Thelonious Monk, Al Haig (p), Tommy Turk (tb)。

パーソネルを見渡して、ビ・バップで活躍していたメンバーがズラリ。録音時期はビ・バップ晩期の1949ー50年。ビ・バップが成熟し、演奏テクニックも充実していた時期。演奏テクニック、アドリブ展開のイマージネーション、スタンダード曲のアレンジなど、かなり優秀である。加えて、この頃のアルバムは時代が時代だけに音が悪かったりするが、この盤は音も良く、いずれの演奏も水準以上。ビ・バップの完成形を見る想いのする内容である。
 

Birdanddiz

 
この盤に詰まっている演奏は「典型的なビ・バップ」。ビ・バップの教科書の様な演奏がギッシリ詰まっている。アバンギャルドで躁状態の尖った演奏が主で、ビ・バップが流行した頃、一般の音楽マニアからは「うるさくて、騒々しい、ジャズのどんちゃん騒ぎ」に感じたことが良く判る。今の耳には、メリハリの効いた、テクニック優秀な、切れ味抜群な即興演奏で、アレンジだけ見直せば、現代でも充分に通用するポテンシャルの高い演奏である。

この盤の「ビ・バップ」は聴き易い。パーカーのアルト・サックスは、とりわけ即興演奏のパフォーマンスが。とても「安定」している。ビ・バップなので、アクロバティックにオーバードライブ気味に、前掛かりに即興演奏をかましがちなのだが、この盤では、抑え気味に流麗な吹き回しを心がけている様に感じる。もともと歌心溢れるアドリブ展開が身上のパーカーのアルト・サックス。見事なアドリブ・パフォーマンスに惚れ惚れする。

ビ・バップとは何か、パーカーのアルト・サックスとは何か、これらの問いにズバリ答えるような内容の好盤である。パーカーとガレスピーの顔写真、またはイラストをあしらったジャケットにはちょっと「ひく」が、内容はピカイチ。ビ・バップの教科書の様な内容がギッシリ詰まっています。ジャズ者初心者の方々には是非一度は聴いて頂きたい盤ですね。
 
 
 

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