パーカーの非凡な才能・その3
「The Genius Of Charlie Parker」の#1と#2は「ウィズ・ストリングス」。パーカーの考案した、パーカーお気に入りの演奏フォーマットだった。この「ウィズ・ストリングス」はパーカーのアルト・サックスの優秀性、音色の素晴らしさ、アドリブ・フレーズの芸術性を愛でるのに最適なのだが、ビ・バップという演奏フォーマットの中でのパーカーについては良く判らない。
『The Genius Of Charlie Parker #3 : Now’s The Time』(写真左)。1952年から53年にかけての録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Al Haig (p), Percy Heath (b), Max Roach (ds)。チャーリー・パーカーのアルト・サックス1管がフロントの「ワン・ホーン・カルテット」編成。
1952年から53年の頃って、パーカーの生活の状態が最悪の時期で、生涯最後の奥さんとの間に生まれたパーカーが可愛いがりまくった女の子が肺炎で亡くなり、ここからパーカーは人が変わったみたいになる。ステージに行くと言って家を出たままステージに来ない、楽器は無くす、ステージ上で泥酔し演奏出来ず、果ては自殺未遂 等々、ボロボロである。そして、この盤の録音の2年後、1955年に心不全で逝去する。
僕がジャズを聴き始めた頃のジャズ盤紹介本では、そんなこんなで「1950年代のパーカーは駄目」と断言されていた。が、大学近くの「秘密の喫茶店」でこの盤を聴かされて以来、そんなことは一切無い、という思いが強い。それほど、この盤でのパーカーのアルト・サックスは素晴らしい。アルト・サックスの音自体、ブリリアントでブラスがキュインと鳴っているし、アドリブ・フレーズの独創性とテクニックは見事という他ない。
そして、収録曲が良い。「Kim」「 Cosmic Rays」「Chi-Chi」「Now's The Time」「Confirmation」といった、パーカー作のビ・バップの名曲がズラリと並ぶ。その名曲を、1952年から53年という、ハードバップ初期に差し掛かる時期の「充実し成熟した演奏テクニック」を基にした流麗で熱い演奏で唄い上げていく。パーカーの私生活が不調だったなんてとても思えない、素晴らしいパーカーのパフォーマンスである。
ジャケットも雰囲気があるし、録音も1952年から53年にかけての録音としては良好。パーカーだけで無く、ヘイグ〜ヒース〜ローチのリズム・セクションの演奏も優れていて、グループ・サウンドとしても、ビ・バップの演奏ではあるが、「ハードバップっぽく」充実してところが、この盤を聴きやすくしている。パーカーのビ・バップなアルト・サックスを愛でる入門盤として最適な盤です。
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