英国ジャズマンのブルーノート盤
我が、ヴァーチャル音楽喫茶『松和』の活動の一環として、Twitterに「今日のラスト」として、その当日の最後に聴くジャズ盤についてのツイートをほぼ毎日している。現在のメインテーマは「初心にかえってブルーノート4000番台の聴き直し」なんだが、ブルーノートの4000番台って、意外と当ブログで記事になっていない盤が多々あるのだ。
Dizzy Reece『Blues In Trinity』(写真左)。ブルーノートの4006番。1958年8月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Reece (tp), Donald Byrd (tp), Tubby Hayes (ts), Terry Shannon (p), Lloyd Thompson (b), Art Taylor (ds)。ジャマイカ出身の英国のトランペッター、ディジー・リースのブルーノート・デビュー盤である。
英国のトランペッターがどうして、米国東海岸の代表的ジャズ・レーベル、ブルーノートからアルバムをリリース出来たのか。それは、どうもマイルスが関与しているらしい。
リースのマネージャーがマイルスにアルバムを送ったところ、マイルスが感激し一言「英国には俺と同じくらい上手いトランペッターがいる」。それがブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの耳に入り、録音に至ったとのこと。しかも、録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーが海を渡っての録音。かなりの力の入れようだったようだ。
確かに、ディジー・リースのトランペットは凄く良い音を出している。リースのトランペットは、米国のトランペッターと比べると、音がシュッとしていて、若干細め。それでいて、音のブリリアント度が高く、仄かに粘りがあるが端正な面持ち。アドリブ・フレーズも自由度が高く、聴いていてなかなか興味深い。いかにも、ハードバップらしいトランペットである。
そして、この盤を聴いていて面白いのは、サイドマンの好演。ピアノのテリー・シャノンがまるでモンク風。思わず、パーソネルを確認したくなるほどにユニーク。そして、テナー・サックスのタビー・ヘイズの好演が光る。程良く抑制され、シットリ、ゆったりとバラード演奏する様はなかなかのもの。
この盤は「英国にも優れたジャズマンがいる」ということを教えてくれる。主役のディジー・リースのトランペットもさることながら、ピアノのテリー・シャノン、テナー・サックスのタビー・ヘイズの好演も光る。この3人の英国ジャズマンによるパフォーマンスは、米国にも欧州大陸にも負けずとも劣らない。
アルバム・ジャケットもスッキリしたデザインで好感が持てます。こういう英国のジャズマンにまで焦点を当てるブルーノート・レーベル。ジャズの老舗かつ代表的レーベルの面目躍如。総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼恐るべし、である。
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