パーカーの非凡な才能・その5
ビ・パップと聞くと、ビ・バップが流行した頃、一般の音楽マニアから「うるさくて、騒々しい、ジャズのどんちゃん騒ぎ」に感じた、今の耳にはメリハリの効いた、テクニック優秀な、切れ味抜群な即興演奏を思い浮かべる。丁々発止としたアクロバティックなアドリブ合戦のイメージが強いが、ビ・バップの祖の一人、チャーリー・パーカーのアルト・サックスは歌心も満点なのだ。
『The Genius of Charlie Parker #5 : Charlie Parker Plays Cole Porter』(写真左)。1954年3月31日と12月10日の2セッションで成る。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Roy Haynes, Arthur Taylor (ds), Jerome Darr, Billy Bauer (g), Teddy Kotick (b), Walter Bishop Jr. (p)。
パーカーのアルト・サックスが1管フロントの、ギター入りクインテット編成。メンバーは何れも、ビ・バップで鳴らした、ビ・バップ演奏の「手練」の名手がズラリ。タイトル通り、コール・ポーター楽曲を演奏した「コール・ポーター・ソングブック」である。ビ・バップには珍しく「歌もの」をメインとした企画盤的内容である。
ビ・バップ特有の丁々発止としたアクロバティックなアドリブ合戦がメインでは無く、メンバー的にも、ビ・バップの演奏フォーマットで、コール・ポーターの歌心溢れる楽曲の数々を唄い上げることをメインにした内容。いわゆる「聴かせるビ・バップ」盤である。
コール・ポーターの楽曲をパーカーは唄うが如く、吹き上げていく。ビ・バップの演奏フォーマットなので、明朗に流麗にアドリブ展開がなされると思いきや、抑制が効いていて、少し気怠いアーバンな吹きっぷりは特徴的。それでも、パーカーのアドリブ展開部の歌心満点な吹き回しには惚れ惚れする。
実はこの盤のセカンド録音は、パーカーの最晩年に行われたもので、このセカンド録音の約3ヶ月後、本盤のリリース前に逝去してしまう。いわゆるパーカーの正式録音としての「ラスト・レコーディング」を収めたものして貴重な音源である。
こうやって聴いていると、パーカーは自らの私生活の状態がどうであれ、アルト・サックスを手に録音する時は、最後まで素晴らしいパフォーマンスを発揮した、ということが良く判る。
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