パーカーの非凡な才能・その8
今でも良く聴くチャーリー・パーカーは、彼の音楽活動の晩年、ヴァーヴ時代のアルバムが聴き易くてお気に入りだ。特に1950年前後以降のセッションは、来るハードバップ時代の演奏トレンドを先取りした様な内容の濃い演奏もあって、聴きどころ満載。ビ・バップからハードバップへの移行は、様々な優秀なジャズメンのセッションを経て、比較的緩やかに実行されたと考えるべきだろう。一夜にして、ビ・バップからハードバップに移行した訳では無い。
『The Genius Of Charlie Parker #8 : Swedish Schnapps』(写真)。ヴァーヴ・レーベルからのリリース。tracks 1-6,13が、1951年8月8日の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Red Rodney (tp), John Lewis (p), Ray Brown (b), Kenny Clarke (ds)。tracks 7-12が、1951年1月17日の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Miles Davis (tp), Walter Bishop Jr. (p). Teddy Kotick (b), Max Roach (ds)。
1951年のセッションのパーソネルが興味深い。いずれのメンバーも、後の「ハードバップ時代」に活躍するジャズマンばかり。あの、後に「ジャズの帝王」と呼ばれるマイルス・デイヴィスも参加して、この時点で既に、いかにも後のマイルスらしいトランペットを披露している。他のメンバーも同様で、パーカー以外、かなりハードバップ的な、アーティスティックで「聴かせる音楽」としてのインプロビゼーションを強く意識して展開している様に感じる。
「ビ・バップ」だの「ハードバップ」だの、と言う前に、パーカーはパーカーらしく、ハイテクニックな、力感溢れるブリリアントな音で流麗に吹き進める。とにかく、晩年とは言え、運指のテクニックが素晴らしい。パーカーらしい、しっかりクッキリと硬派なブロウが堪らない。「ビ・バップをしっかり聴かせてくれる」ジャズ盤として、このアルバムの存在は価値がある。
この盤にはブルース曲が多く収録されているところが聴いていて楽しいところ。1曲目 の「Si Si」からブルース曲が炸裂。「Back Home Blues」と「Blues for Alice」も題名を見てのとおり、それぞれ順にCそして、Fのブルース。「Au Privave」はFのブルース。マイルスがなかなか張りのあるソロを披露している。
僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半は、まことしやかに「ヴァーヴのバードは駄目だ」と言われていましたが、とんでもない。この『Swedish Schnapps』は、僕の大好きなバーカー盤。1950年前後の録音なので、録音状態もまずまずで、鑑賞に十分に耐えるレベルであるというのも嬉しいところ。これからバードを聴きたいなあ、と思われているジャズ者初心者の方々に、お薦めの一枚です。
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