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2021年4月の記事

2021年4月30日 (金曜日)

「モンク者」の必聴アルバム

ジャズライフ誌の「2020年度 Disc Grand Prix 年間グランプリ」で、その対象になった好盤を眺めていて、いつの時代にも、内容の優れた「モンクもの」はあるなあ、と妙に感心した。

「モンクもの」とは、ジャズ・ピアノの奇才「セロニアス・モンク(Thelonious Monk)」の楽曲や奏法を研究し、新たな付加価値を付けたり、新たな解釈を付けたりして演奏するものなんだが、これが何時の時代にも必ずある。ジャズの世界で、モンクの存在は「ミュージシャンズ・ミュージシャン」の最右翼に位置する存在なのだなあ、と改めて感じ入る。

John Beasley『MONK’estra Plays John Beasley』。2020年8月のリリース。セロニアス・モンクの楽曲をビッグ・バンドにアレンジしたプロジェクト「モンケストラ」での演奏。パーソネルは以下の通り。

John Beasley (p), John Patitucci (ac-b), Vinnie Colaiuta (ds), Bob Sheppard (ts), Ralph Moore, Danny Janklow (sax), Adam Schroeder (bs), Francisco Torres, Wendell Kelly (tb), Ulysses Owens, Jr., Terreon Gully (ds), Bijon Watson, Kye Palmer Brian Swartz (tp), Benjamin Shepherd (b), Gregoire Maret (harmonica), Joey DeFrancesco (org), Hubert Laws (woodwinds), Jubilant Sykes (vo), Joey De Leon (congas) 。
 

Monkestra-plays-john-beasley_1

 

「モンケストラ」とは錚々たる顔ぶれである。リーダーのジョン・ビーズリーはピアニスト。ベースにジョン・パティトゥッチ、ドラムにビニー・カリウタとは超強力。このピアノ・トリオを核に、現代のメインストリーム系純ジャズの名うてのミュージシャンが集って、とても演奏力の高い、ドライブ感溢れるビッグバンドを形成している。

モンクの楽曲は、そのフレーズが幾何学模様的にあっちこっちに音が飛ぶ。リズム&ビートについては、変則拍子を伴って、絶妙な「間」とユニークなタイム感覚が個性。音があっちこっちに跳んだり、スクエアにスイングしたり、いきなり「間」が訪れ、いきなり高速フレーズが走る。これらをビッグバンドで一糸乱れぬアンサンブルで表現しようって言うんだから、凄いというか「無謀」である(笑)。

しかしこの「モンケストラ」、セロニアス・モンクの楽曲を4曲アレンジし演奏、そして、ビーズリー自身のモンクの音楽の自由なスピリッツと共鳴するヒップな楽曲を8曲、事も無げに、スカッとアンサンブルをかまして、疾走感と爽快感溢れるビッグバンドな演奏を繰り広げている。見事である。

モンク・ミュージックの優秀な即興性と自由なスピリッツをものの見事に「モンケストラ」は表現している。今風のモーダルでネオ・ハードバップな響きも満載、より洗練されより深化したモンク・ミュージックを展開している。聴き応え十分。この盤「モンク者」には必聴アイテムですね。
 
 
 

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2021年4月29日 (木曜日)

トミフラの「ブレない」職人魂

トミー・フラナガン(Tommy Flanagan・以降「トミフラ」)は「ブレない」ジャズ・ピアニストだった。1950年代、ハードバップ期に頭角を現し、以来ずっと、1960年代のジャズの多様化の時代も、1970年代のクロスオーバー〜フュージョンの時代も、メインストリームな純ジャズ路線を踏襲してきた。決して流行に流されない、そんなトミフラの「ブレない」職人魂に僕は感じ入る。

Tommy Flanagan『Eclypso』(写真左)。1977年2月4日の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), George Mraz (b), Elvin Jones (ds)。トミフラお得意のピアノ・トリオ編成。ドラムには、かの1950年代のトリオ名盤『Overseas』でトリオを組んだ、エルヴィン・ジョーンズがドラムを担当している(ちなみにベースはウィルバー・リトルだった)。

エルヴィンがドラムを担当するとなれば、やはり『Overseas』の再演となる4曲目の「Relaxin' at Camarillo」や、6曲目のタイトル曲「Eclypso」に耳がいく。『Overseas』の時より溌剌としていて、コクのあるパフォーマンスは聴き応え十分。ベースのムラーツは『Overseas』のウィルバー・リトルと比肩する腕の持ち主で、この『Overseas』の再演の2曲を聴いて、トミフラは確実に進化していたことを確信する。
 

Eclypso

 
タッド・ダメロンの「A Blue Time」やデンジル・ベストの「Denzil's Best」など、実に小粋な選曲もあって、なかなか楽しめるトリオ盤となっている。やはり、というか、特にというか、ドラムのエルヴィン・ジョーンズとの相性は抜群で、恐らくトミフラとしても、とても弾きやすいドラミングなんだろう、いつになく強力なプレイを繰り広げるトミフラが頼もしい。

ベースのジョージ・ムラーツについては、以降、しばしばトミフラのバックでベースを担当するムラーツである、トミフラとの相性は良好。2曲目の「Denzil's Best」での、ベースで奏でられた切ないテーマ部など、ムラーツの力量の片鱗を聴くようで、凄みすらある。アルバム全体を通じて、ムラーツの演奏をぐいぐい引っ張るベースラインは爽快である。

トミフラのバップ・ピアニストとしての「ハードなタッチがご機嫌なトリオ好盤」です。1970年代後半、フュージョン・ジャズ全盛期に、この様なメインストリームな純ジャズ路線のピアノ・トリオ盤を残しているところなど、トミフラの「ブレない」職人魂の面目躍如だと思います。ほんと、Enjaレーベルって良い仕事したなあ。
 
 
 

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2021年4月28日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・203

ブルーノート・レーベルは、ジャズのメインとなった老舗レーベル。1950年代から1970年代半ばにかけて、ジャズの演奏トレンドをいち早く押さえ、有望なジャズマンを発掘し、いち早くリーダー作を作成させ、ジャズの要となる音をしっかりと音源に残した、ジャズの重要レーベルなのだ。

しかし、1500番台、そして4000番台、4100番台のカタログを見ていると、ジャズの演奏トレンド毎に重要となるジャズマンの秀作かズラリと並ぶ中で、ジャズの演奏自体を楽しむ、ジャズの本質を愛でることを目的としているような、セールスやトレンドを超越した、聴いて楽しい、聴いて心地良い「モダン・ジャズ」盤が幾枚か存在する。

Bennie Green『Walkin' & Talkin'』(写真左)。ブルーノートの4010番。1959年1月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Bennie Green (tb), Eddie Williams (ts), Gildo Mahones (p), George Tucker (b), Al Dreares (ds)。リーダーのベニー・グリーンのトロンボーンとエディ・ウィリアムスのテナー2管がフロントのクインテット構成。

メンバーの名前を見渡すと、リーダーのベニー・グリーンの名前以外、他の盤ではあまり聴かない名前ばかり。演奏を聴くと、それなりのレベルのジャズマンばかりなので、恐らく、ベニー・グリーンの気心知れた仲間で固めたのであろう。スイング・ジャズでも無い、ハードバップでもない、その中間の「モダン・ジャズ」な演奏が実に良い。
 

Walkin-talkin

 
冒頭の「The Shouter」を聴くだけで、この盤の演奏は「絶対に間違い無い」と確信する。ゆったりとしたテンポに乗って、エッジの丸い、ふくよかなトロンボーンとテナーのユニゾン&ハーモニーが長閑に響き、ラフではあるが、グルーヴ感濃厚なリズム&ビートが耳に心地良く響く。

あくせくしない、尖らない、誰よりも自分たちが、一番「モダン・ジャズ」な演奏を楽しんでいる、そんな穏やかであるが、ダンディズム溢れる演奏は魅力満載。特にリズム隊のゆったりとうねるようなグルーヴ感溢れるビートは癖になる。

そんなミッド・テンポがメインの演奏の中で、ベニー・グリーンのトロンボーンが良い雰囲気を醸し出す。決して速いフレーズを吹く訳では無い、ミッド・テンポの中で、ほんわか長閑にトロンボーンのブラスを響かせる。アドリブ・フレーズがどれも印象的で、ベニー・グリーンのベスト・プレイを集めた様な充実したパフォーマンスにしっかり耳を奪われる。

ベニー・グリーンが、ブルーノート・レーベルに残した4枚のリーダー作の中でも、とりわけグルーヴィーでアーシーでスインギーな内容は充実度満点。ブルーノートの4000番台のカタログの中で異彩を放つ、聴いて楽しい、聴いて心地良い「モダン・ジャズ」盤である。
 
 
 

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2021年4月27日 (火曜日)

パウエルのプロ魂と優しさと。

バップ・ピアノの祖、バド・パウエル(Bud Powell)。ビ・バップの祖、チャーリー・パーカーについて「1950年代のパーカーは駄目」と評価されていたが、意外とそうではない。パウエルについても、ブルーノート・レーベルに残したリーダー作については「ピークを過ぎた演奏故、内容はイマイチ」とされている。が、どうして、今の耳で聴くと、なかなか味のあるリーダー作を残してくれている。

『The Scene Changes: The Amazing Bud Powell, Vol.5』(写真左)。ブルーノートの4009番。1958年12月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。パウエルお得意のピアノ・トリオ編成。ビ・バップでならした、パウエル馴染みのリズム隊を採用していない。

ハードバップ畑のファースト・コール・ベーシスト、ポール・チェンバースと、職人技ドラマーのアート・テイラーを当てているところが注目ポイント。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの深慮遠謀が見え隠れする。通常は、馴染みのリズム隊では無いので、へそを曲げて、やりにくそうにピアノを弾きそうなもんだが、パウエルは違った。

明らかに、ポール・チェンバースの先進的なウォーキング・ベースと、アート・テイラーの硬軟自在かつ変幻自在なドラミングに刺激を受けて、気合いを入れてピアノを弾いている様がアルバムから聴こえてくる。バックのリズム隊の供給するリズム&ビートにしっかりと乗って、ドライブ感溢れる、誠実なバップ・ピアノを聴かせてくれる。パウエルの「プロ魂」をビンビンに感じる。総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンとしては「してやったり」である。
 

The-scene-changes-the-amazing-bud-powell

 
冒頭の超有名な「Cleopatra's Dream(クレオパトラの夢)」は、いきなり前奏無しに、印象的でキャッチャーなテーマが入ってくる仕掛けと全編マイナー調で貫く潔さで「日本人受け」がとても良い。が、演奏の展開はシンプルで捻りは無い。人気の秘密は「曲の持つ旋律の良さ」だと思っている。パウエルはサラッと弾き倒して、シンプルに演奏を終える。

僕はそれより、2曲目以降のパウエルのパフォーマンスの方が聴き応えがあると思っている。2曲目の「Duid Deed」から、マイナー調のブルージーな曲が続くが、内容的にはストイックでアーティステックなフレーズと弾き回しが魅力。バリバリ弾き倒すパウエルはここにはいない。バップに流麗にダンディズム溢れるタッチで弾き込む。こんなパウエル、むっちゃ格好良いではないですか。

5曲目の「Borderick」などは、明るいゴスペルチックな旋律を持つ佳曲。冒頭の「Cleopatra's Dream」から、ずっとマイナー調の曲が続いてきたので、出だしの明るい音調のテーマを聴くだけで「おお〜っ」と思ってしまう。ゆったりとしたテンポで明るくハッピーに旋律を紡ぎ上げていくパウエルのピアノはとても優しい。7曲目のカリプソ調の「Comin' Up」のなかなか見事な出来で、思わずノリノリである。

この盤の収録曲は全てパウエルの作曲。コンポーザーとしての才にも長けていたパウエルの片鱗を感じることが出来る。ちなみにジャケットのパウエルの向かって右の子供はパウエルの実子である。優しいお父さんよろしく、レコーディングに連れてきたのだろうか。そう、この盤にはパウエルのプロ魂と優しさが溢れている。
 
 
 

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2021年4月26日 (月曜日)

トミフラの『Super-Session』

トミー・フラナガン(Tommy Flanagan・以降、愛称で「トミフラ」と記す)のピアノが好きだ。初めて聴いたのが、僕がジャズを本格的に聴き始めた1978年だから、以降ずっとトミフラを愛聴して、既に40年以上、経過したことになる。

トミフラのピアノは聴いていて飽きない。タッチが明快でアドリブについては趣味良くメリハリの効いた、程好く心地良い疾走感が素敵。聴いていて難しいことは全く感じ無いが、アドリブ・フレーズに聴き耳を立てていると、意外と手の込んだフレーズを連発している。いわゆる小粋で渋い「職人芸」的なジャズ・ピアノである。

Tommy Flanagan『Super-Session』(写真左)。1980年2月4日、NYでの録音。エンヤ・レーベル(Enja label)からのリリース。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Red Mitchell (b), Elvin Jones (ds)。リーダーはトミフラ、トミフラのピアノが一番愛でることが出来る「トリオ」編成。

共演のベースのレッド・ミッチェル、ドラムのエルヴィン・ジョーンズ共に、トミフラのピアノとの相性はバッチリ。メリハリが効いて疾走感溢れ、トミフラのピアノの「技」にクイックに反応する。この最高のパートナーを得て、トミフラはバリバリ弾きまくっている。
 

Super-session-tommy-flanagan

 
全6曲、トミフラのオリジナルが2曲。他の4曲はスタンダード曲。特に、この多くのジャズマンに演奏された、いわゆる「手垢の付いた」スタンダード曲の解釈とアレンジが素晴らしい。トミフラの叩き出すフレーズは常に「新しい」。何処かで聴いたことがあるフレーズやアレンジがあっても良いもんだが、トミフラの叩き出す音にはそれが皆無。

バックのリズム隊もそうだ。ただ単純にバックでリズム&ビートを叩きだしているのでは無い。トミフラの叩き出す創造性豊かなフレーズに反応して、それを引き立て、その魅力を倍増させる様なリズム&ビートを、自分達の持つ「技」を駆使して叩き出している様が良く判る。素晴らしいインタープレイの応酬。

トミフラは伴奏上手、バッキング上手の「燻し銀」的ピアニストで、バックに回ってこそ、その実力を発揮する、なんていう古い評論を未だに見ることがあるが、それはトミフラの優秀性の「一面」だけを強調しているに過ぎない。この盤を聴いていて、その感を強くする。トミフラはフロントを張る、ドライブ感溢れる、小粋に典雅にバリバリ弾きまくるバップなピアニストである。

しかし、1980年というフュージョン・ジャズ全盛期に、よくこんな小粋で渋い内容のピアノ・トリオ盤を録音し、リリースしたものである。エンヤ・レーベル、良い仕事してます。
 
 
 

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2021年4月25日 (日曜日)

シルヴァーはブルーノートの音

ブルーノート・レーベルについては、独特の「音と演奏の雰囲気」がある。他のレーベルに無い、というより、ブルーノートだけが持つ独特の「音と演奏」の雰囲気。ブルーノートのアルバムを聴けば、冒頭の1曲を聴くだけで、ほぼブルーノートのアルバムであることが判る位である。

特に、その傾向は、1500番台、4000番台、4100番台という、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンがガッチリと関与しているシリーズに顕著である。録音技師のルディ・ヴァン・ゲルダーいわく「ブルーノート・レーベルだけが具体的に録音する音に関して指定をしてきた。私はそれを録音時に具現化しただけだ」。つまり、ブルーノート独特の「音と演奏の雰囲気」は、レーベルの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンと天才録音技師のルディ・ヴァン・ゲルダーのタッグによって生まれたものなのだ。

Horace Silver『Finger Poppin'』(写真左)。1959年1月31日の録音。ブルーノートの4008番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Louis Hayes (ds)。それまで頻繁にメンバーチェンジしてきたホレス・シルヴァー・クインテットであったが、遂に「ミッチェル~クック」の鉄壁のフロントラインが確立した盤である。
 

Finger-poppin

 
ホレス・シルヴァーの「鉄壁のクインテット」が確立した盤であり、シルヴァーのファンキー・ジャズが成熟した盤でもある。冒頭の表題曲「Finger Poppin'」の充実した内容を聴けば、それが良く判る。しかし、シルヴァーのファンキー・ジャズはただの「脳天気」なファンキー・ジャズでは無い。ヴァラエティに富んだ曲想、そして、理知的で先進的でスッキリとしたグルーヴ感溢れるフレーズと展開。ホレス・シルヴァーの「鉄壁のクインテット」は「アーティスティック」なファンキー・ジャズ集団である。

そして、3曲目の「Swingin' The Samba」は、サンバのリズムを取り入れたファンキー・チューン。ボサノバ・ジャズ誕生以前のこの演奏は、後の「ボサノバ・ジャズ」のブームを先取りして余りあるもの。シルヴァーはポルトガルと黒人の混血である父親とアイルランドとアフリカ系黒人の混血である母親の血を引くピアニスト。その「血」がこのノリノリで爽快感溢れるサンバ・ジャズを生み出したと言えるでしょう。

ホレス・シルヴァーはブルーノート・レーベルのお抱えピアニスト。この盤の音は明らかに「ブルーノート・レーベルの音」。「ミッチェル~クック」の鉄壁のフロントラインのユニゾン&ハーモニーの響き、シルヴァーのファンキーなピアノの響き。テイラー〜ヘインズのリズム隊の臨場感溢れるアタック音。どれもが「ブルーノート・レーベルの音」。良い音してます。惚れ惚れします。
 
 
 

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2021年4月24日 (土曜日)

実にハードバップらしい隠れ好盤

Donald Byrd(ドナルド・バード)は、米国デトロイト出身のトランペッター。1932年12月生まれ、2013年2月、80歳で逝去している。ハードバップ初期、クリフォード・ブラウンの後継として、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースに参加して頭角を現す。とりわけ、ハードバップ期には、ブルーノート・レーベルに優れたリーダー作を多く残している。

音楽の志向としては、ハードバップから、ゴスペル、黒人霊歌、R&B、フォーク、ポップスなどの音の要素を取り入れたクロスオーバー志向への変化している。1960年代の終わりには、エレ・ジャズ、クロスオーバー&ファンク・ジャズに転身。マイゼル兄弟のプロデュースの下、ヒット作を連発した。

ドナルド・バードのトランペットは、正確な音程と張りのある豊かな中音域の響きが特徴。アイデアに富んだソロ・パフォーマンスが独特の個性。一筋縄ではいかないアドリブ・フレーズは思いっ切り個性的。このアドリブ・フレーズがドナルド・バードの音に対する好き嫌いの分かれ目で、一旦填まると「とことん」なところがある。

Donald Byrd『Off to the Races』(写真左)。ブルーノートの4007番。1958年12月21日の録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Jackie McLean (as), Pepper Adams (bs), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。
 

Off-to-the-races

 
ドナルド・バードのトランペット、ジャキー・マクリーンのアルト・サックス、ペッパー・アダムスのバリトン・サックス(略して「バリサク」)がフロント3管のセクステット編成。

ドナルド・バードのブルーノート初リーダー作である。セクステット編成だと、収録した楽曲の「質」と「アレンジ」が重要な要素になるが、この盤ではその、楽曲の「質」と「アレンジ」が抜群に良い。冒頭の「Lover, Come Back to Me(恋人よ我に帰れ)」など、聴き応え抜群。とにかくアレンジが良い。トランペット、アルト・サックス、バリサクの3管によるユニゾン&ハーモニーが思いっ切り心地良い。

ドナルド・バードの自作曲では、バードの個性である「アイデアに富んだソロ・パフォーマンス」が炸裂する。マクリーンのちょっとピッチが外れたアルト・サックスと、アダムスのバリサク独特の重低音と相まって、不思議な捻れ方をするバードの旋律。ほんのりと「理知的な響き」がするところもドナルド・バードのリーダー作の特徴である。

フロント3管が重厚な分、ウィントン・ケリーのピアノをメインとするリズム・セクションが軽妙で、とてもバランスが良い。ジャケットも洒落ていてグッド。あまり話題に上る盤では無いが、思いっ切りハードバップらしい「隠れ好盤」としてお勧め。
 
 
 

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2021年4月23日 (金曜日)

英国ジャズマンのブルーノート盤

我が、ヴァーチャル音楽喫茶『松和』の活動の一環として、Twitterに「今日のラスト」として、その当日の最後に聴くジャズ盤についてのツイートをほぼ毎日している。現在のメインテーマは「初心にかえってブルーノート4000番台の聴き直し」なんだが、ブルーノートの4000番台って、意外と当ブログで記事になっていない盤が多々あるのだ。

Dizzy Reece『Blues In Trinity』(写真左)。ブルーノートの4006番。1958年8月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Reece (tp), Donald Byrd (tp), Tubby Hayes (ts), Terry Shannon (p), Lloyd Thompson (b), Art Taylor (ds)。ジャマイカ出身の英国のトランペッター、ディジー・リースのブルーノート・デビュー盤である。

英国のトランペッターがどうして、米国東海岸の代表的ジャズ・レーベル、ブルーノートからアルバムをリリース出来たのか。それは、どうもマイルスが関与しているらしい。

リースのマネージャーがマイルスにアルバムを送ったところ、マイルスが感激し一言「英国には俺と同じくらい上手いトランペッターがいる」。それがブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの耳に入り、録音に至ったとのこと。しかも、録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーが海を渡っての録音。かなりの力の入れようだったようだ。
 

Blues-in-trinity

 
確かに、ディジー・リースのトランペットは凄く良い音を出している。リースのトランペットは、米国のトランペッターと比べると、音がシュッとしていて、若干細め。それでいて、音のブリリアント度が高く、仄かに粘りがあるが端正な面持ち。アドリブ・フレーズも自由度が高く、聴いていてなかなか興味深い。いかにも、ハードバップらしいトランペットである。

そして、この盤を聴いていて面白いのは、サイドマンの好演。ピアノのテリー・シャノンがまるでモンク風。思わず、パーソネルを確認したくなるほどにユニーク。そして、テナー・サックスのタビー・ヘイズの好演が光る。程良く抑制され、シットリ、ゆったりとバラード演奏する様はなかなかのもの。

この盤は「英国にも優れたジャズマンがいる」ということを教えてくれる。主役のディジー・リースのトランペットもさることながら、ピアノのテリー・シャノン、テナー・サックスのタビー・ヘイズの好演も光る。この3人の英国ジャズマンによるパフォーマンスは、米国にも欧州大陸にも負けずとも劣らない。

アルバム・ジャケットもスッキリしたデザインで好感が持てます。こういう英国のジャズマンにまで焦点を当てるブルーノート・レーベル。ジャズの老舗かつ代表的レーベルの面目躍如。総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼恐るべし、である。
 
 
 

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2021年4月22日 (木曜日)

パーカーの非凡な才能・その8

今でも良く聴くチャーリー・パーカーは、彼の音楽活動の晩年、ヴァーヴ時代のアルバムが聴き易くてお気に入りだ。特に1950年前後以降のセッションは、来るハードバップ時代の演奏トレンドを先取りした様な内容の濃い演奏もあって、聴きどころ満載。ビ・バップからハードバップへの移行は、様々な優秀なジャズメンのセッションを経て、比較的緩やかに実行されたと考えるべきだろう。一夜にして、ビ・バップからハードバップに移行した訳では無い。

『The Genius Of Charlie Parker #8 : Swedish Schnapps』(写真)。ヴァーヴ・レーベルからのリリース。tracks 1-6,13が、1951年8月8日の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Red Rodney (tp), John Lewis (p), Ray Brown (b), Kenny Clarke (ds)。tracks 7-12が、1951年1月17日の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Miles Davis (tp), Walter Bishop Jr. (p). Teddy Kotick (b), Max Roach (ds)。

1951年のセッションのパーソネルが興味深い。いずれのメンバーも、後の「ハードバップ時代」に活躍するジャズマンばかり。あの、後に「ジャズの帝王」と呼ばれるマイルス・デイヴィスも参加して、この時点で既に、いかにも後のマイルスらしいトランペットを披露している。他のメンバーも同様で、パーカー以外、かなりハードバップ的な、アーティスティックで「聴かせる音楽」としてのインプロビゼーションを強く意識して展開している様に感じる。
 

Swedish_schnapps

 
「ビ・バップ」だの「ハードバップ」だの、と言う前に、パーカーはパーカーらしく、ハイテクニックな、力感溢れるブリリアントな音で流麗に吹き進める。とにかく、晩年とは言え、運指のテクニックが素晴らしい。パーカーらしい、しっかりクッキリと硬派なブロウが堪らない。「ビ・バップをしっかり聴かせてくれる」ジャズ盤として、このアルバムの存在は価値がある。

この盤にはブルース曲が多く収録されているところが聴いていて楽しいところ。1曲目 の「Si Si」からブルース曲が炸裂。「Back Home Blues」と「Blues for Alice」も題名を見てのとおり、それぞれ順にCそして、Fのブルース。「Au Privave」はFのブルース。マイルスがなかなか張りのあるソロを披露している。

僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半は、まことしやかに「ヴァーヴのバードは駄目だ」と言われていましたが、とんでもない。この『Swedish Schnapps』は、僕の大好きなバーカー盤。1950年前後の録音なので、録音状態もまずまずで、鑑賞に十分に耐えるレベルであるというのも嬉しいところ。これからバードを聴きたいなあ、と思われているジャズ者初心者の方々に、お薦めの一枚です。
 
 
 

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2021年4月21日 (水曜日)

パーカーの非凡な才能・その7

暖かくなった。ここ千葉県北西部地方は桜のシーズンを過ぎ、藤のシーズンも過ぎ、今は「さつき」のシーズン。これだけ暖かくなると、ジャズ鑑賞についても、どんな種類の、どんなスタイルのジャズもOKになる。寒いと「クール」なジャズはちょっと、だし、暑いと「バップ」なジャズや、フリーなジャズはちょっと、だし。

『The Genius Of Charlie Parker #7 : Jazz Perennial』(写真左)。1949年から1953年にかけてのコンボからオーケストラまでの4種のセッションの寄せ集めで、演奏形式の統一感は無い。よって、パーソネルについては、そういう意味で割愛する。なんせ、様々なセッションのごった煮なので、ほぼ曲毎にパーソネルが変わるイメージ。

詳しくは、1949年2月〜3月、1949年5月、1950年4月、1953年5月のそれぞれのセッションからの選曲になるんだが、この盤、セッションの寄せ集め盤ではあるが、チャーリー・パーカーのアルト・サックスはどのセッションでもブレが無く、複数のセッションからの寄せ集めの選曲でも、意外と統一感がある。そこがパーカーの凄いところである。
 

Jazz_peremmial

 
パーカーのアルト・サックスは切れ味鋭く、訴求力高くかつ流麗。ストリングス入りのものやオーケストラを従えたもの、ヴォーカル等々、ヴァラエティに富んでいて、戸惑う位の「ごった煮」ではあるが、パーカーのアルト・サックスは「ダイヤル・セッション」などでの、息の詰まるような迫力は無い。力強くはあるが、フレーズは優しく、意外とポップなのだ。

1曲目「Cardboard」のアドリブから、しっかりと耳を奪われる。アルト・サックスなので、吹き上げる時に、ちょっと金属的な音が特徴のブロウが耳につくことが多いのだが、このアルバムのパーカーのブロウは比較的穏やか。流麗なアドリブラインが実に魅力的。5曲目の「Star Eyes」は傑作。曲の冒頭から、とにかく、パーカーは淡々と吹き進めていく訳だが、そのアドリブ・フレーズが流麗かつ複雑。簡単そうに聴こえるが、意外と複雑なアドリブラインを吹き上げている。

パーカーの凄みというのは、こういうところにあって、簡単に淡々と吹いている様に聴こえるが、意外と複雑で難しいラインを吹いていることが多い。簡単そうに聴こえるが、実は複雑で難しい。そんなプロフェッショナルなインプロビゼーションが「テンション高い演奏」として聴こえたりするのだ。
 
 
 
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2021年4月20日 (火曜日)

パーカーの非凡な才能・その6

昨日、9日ぶりにブログを再開した訳ですが、チャーリー・パーカーの入門盤に最適なヴァーヴ・レーベルからリリースされた「The Genius Of Charlie Parker」シリーズのご紹介記事が途中で途絶えていたので、あと2枚なんですが、再開させて頂こうかと。

『The Genius Of Charlie Parker #6 : Fiesta』(写真左)。1948〜1952年の間のセッションの寄せ集め。パーソネルは「Charlie Parker And His Orchestra」で、Charlie Parker (as), , Benny Harris (tp), Walter Bishop, Jr. (p), Teddy Kotick (b), Roy Haynes (ds), Max Roach (ds), Jose Mangual (bongos), Luis Miranda (conga)。

チャーリー・パーカーと言えば「ビ・バップ」の祖の一人。「ビ・バップ」の演奏スタイルは後に続く、ジャズ史上最大の演奏スタイル「ハード・バップ」の礎でもある。やはり「ハード・バップ」以降のジャズを聴く場合、たまには「ビ・バップ」の演奏にも耳を傾け、現代ジャズの「礎」の演奏の雰囲気を感じることは大切だと思っています。

ただし、チャーリー・パーカー=「ビ・バップ」といえば、激しいアドリブ合戦や超絶技巧な高速フレーズの連発で、ちょっとジャズ初心者の方は敷居が高く、苦手やなあと感じてしまう気がします。

ジャズ盤の入門盤紹介の記事を見て、『オン・ダイアル』や『オン・サヴォイ』なんてアルバムを入手して聴いた時には、何が何だか判らず、ただ激しく、やかましく、うるさいだけで、きっと、パーカーやビ・バップが嫌いになってしまう危険性大です。
 

Fiesta-charlie-parker

 
盤によっては、別テイク(本収録されたテイクと内容に遜色ない出来だが、アルバムの収録時間の制約上、やむなく不採用となったテイク)やアウトテイク(演奏は完結したが不採用となったテイク)、失敗テイク(何らかのトラブルが生じて完結しなかったテイク)が入り混じって収録されて、何が何だか判らなくなります。

やはり、聴き易く馴染み易いセッションで固めたアルバムが良いと思う訳で、そう言う意味では、このパーカーの『The Genius Of Charlie Parker #6 : Fiesta』はなかなか良い感じの盤かと思っています。

この盤は、チャーリー・パーカーが吹き込んだ唯一のラテン・ジャズ盤。通常のコンボに2名のラテン・パーカッション(コンガ&ボンゴ)を加えた編成で、めくるめくラテン・ジャズの祭典(Fiesta)。エネルギッシュなパーカーのアルト・サックス。

1948〜1952年の間のセッションなんですが、既にジャズとラテン音楽は融合していたんですね。アレンジも良好、しっかりとラテン音楽の要素がジャズに融合していて、取って付けたような違和感は全くありません。演奏する方も手慣れた感が感じられて、皆、エネルギッシュに吹き上げ、叩きまくる。

特にパーカーの「ビ・バップ」マナーの、エネルギッシュでテクニカルなアルト・サックスが、ラテン音楽の旋律を吹き上げるのにピッタリ。ポップで聴き易い「ビ・バップ」マナーのアルバムに仕上がっていて素晴らしい出来です。ポップで聴き易い内容なので「ながら聴き」なジャズにも最適かと。好盤です。
 
 
 

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2021年4月19日 (月曜日)

9日ぶりのブログになります。

11日の日曜日から昨日の日曜日まで8日間、ブログを急遽、お休みさせていただきました。本日、9日ぶりのブログになります。やっと戻ってきました。

この8日間、大変な日々でした。始まりは、4月9日の義弟の手術。S字結腸膀胱瘻により、手術を余儀なくされた訳ですが、この手術については、通算7時間の長時間(スタートが2時間半遅れた)立ち会いましたが、順調に終わりました。

翌日、吐き気が治まらないというアクシデントはありましたが、11日の日曜日の午前中は歩行練習を始めたとの連絡があり、一旦、義弟の実家、栃木の鹿沼の山裾から、我が家のある千葉県北西部地方まで、車で一旦、帰宅しました。

昼過ぎに帰宅し、食料の買い出しに行き、帰ってきて昼寝でもするか、とベットに横になった瞬間に、義弟の入院している病院より緊急コール。昼過ぎにいきなり発熱し、激痛が走る由、縫合不全による腹膜炎を発症したとのこと。緊急手術になるが最悪の覚悟もして欲しい、といわれて大慌て。19時、緊急手術に間に合わすべく、とんぼ返りで車で栃木の鹿沼の山裾へ。

手術スタートの19時には間に合い、執刀医の説明を聞いて、さあ19時から緊急手術がスタート、と思いきや30分も経たないうちに、執刀医が戻ってきて「血圧が低くて麻酔が出来ない」。このままだと手術が出来ない、何とか努力するが最悪の覚悟をしてくれ、と言われ、これまた大慌て。といっても何もやることは無く、ただただ、姪っ子が信州から駆けつけるのを待ち、ただただ手術の遂行を祈るのみ。

で、2時間半の手術の後、何とか一命は取り留めたのですが、当然のことながら、ICU(集中治療室)行きとなり、状況が状況だけに、何があるか判らないので、いざという時のスタンバイはしておいて欲しいと執刀医に言われ、84歳の義母が1人でいてショックを受けているので放っておけない、ということもあって、そのまま、栃木の鹿沼の山裾へ滞在することに。
 

California_shower_20210419174701

 
そして、一昨日の土曜日の朝にICUから出ることが出来て、一般病棟に。それでも、いろいろ後遺症、合併症はあって、まだまだ先は長いのですが、義母も落ち着いて、2〜3日は1人で生活出来る程度に回復し、何とか本日、千葉県北西部の自宅に一時帰宅することが出来ました。いやはや、ハラハラどきどきの8日間でした。思いっ切り精神的に疲れました。

この8日間はジャズを聴くどころの騒ぎでは無く、ひたすら病院との往復、自分たちの食料の調達、義弟の実家での日常の家事、をこなす毎日でした。今日、自宅に帰り着いて、やっとジャズが聴ける。9日ぶりのジャズ。元気が出る、爽快感溢れるジャズが聴きたい。ということで選んだ盤がこれ。

渡辺貞夫『California Shower』(写真左)。1978年の録音。ちなみにパーソネルは、渡辺貞夫 (as,fl,sn) , Dave Grusin (p, el-p) , Lee Ritenour (g) , Chuck Rainey (el-b) , Harvey Mason (ds) , Paulinho Da Costa (per) , Oscar Brashear (tp) , Geroge Bohanon (tb) , Ernie Watts (ts)。見渡すと、米国西海岸フュージョン・ジャズの猛者揃い。

アルバムで表現される季節は、米国西海岸の夏、アーバンな夏。決してリゾートではない。アーバンなカリフォルニアの夏、時間帯はそれぞれ朝、昼、夕方、夜、そして深夜。収録されている曲毎に、カリフォルニアの夏の「アーバンな風景」は変わる。どの曲も素晴らしい演奏ばかり。聴いていて、思わず元気が出ます。

フュージョン・ジャズの古典的名盤。日本フュージョン界に留まらず、世界のフュージョン界の中で、十分に古典的名盤で通用する、素晴らしいアルバムです。なんせ、このバックです。このバックの面々を眺めながら、これが「世界の渡辺貞夫」で無くてなんなのか。日本が世界に誇る「渡辺貞夫フュージョン」。このアルバムはいつ聴いても良い。

今日は貞夫さんの『California Shower』で、元気を貰いました。まだまだ予断を許さない日々は続きますが、何となく気持ちがポジティヴになった感があります。音楽の力って凄いですね。心から感謝感謝です。
 
 
 

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2021年4月10日 (土曜日)

パーカーの非凡な才能・その5

ビ・パップと聞くと、ビ・バップが流行した頃、一般の音楽マニアから「うるさくて、騒々しい、ジャズのどんちゃん騒ぎ」に感じた、今の耳にはメリハリの効いた、テクニック優秀な、切れ味抜群な即興演奏を思い浮かべる。丁々発止としたアクロバティックなアドリブ合戦のイメージが強いが、ビ・バップの祖の一人、チャーリー・パーカーのアルト・サックスは歌心も満点なのだ。

『The Genius of Charlie Parker #5 : Charlie Parker Plays Cole Porter』(写真左)。1954年3月31日と12月10日の2セッションで成る。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Roy Haynes, Arthur Taylor (ds), Jerome Darr, Billy Bauer (g), Teddy Kotick (b), Walter Bishop Jr. (p)。

パーカーのアルト・サックスが1管フロントの、ギター入りクインテット編成。メンバーは何れも、ビ・バップで鳴らした、ビ・バップ演奏の「手練」の名手がズラリ。タイトル通り、コール・ポーター楽曲を演奏した「コール・ポーター・ソングブック」である。ビ・バップには珍しく「歌もの」をメインとした企画盤的内容である。
 

The-genius-of-charlie-parker-5

 
ビ・バップ特有の丁々発止としたアクロバティックなアドリブ合戦がメインでは無く、メンバー的にも、ビ・バップの演奏フォーマットで、コール・ポーターの歌心溢れる楽曲の数々を唄い上げることをメインにした内容。いわゆる「聴かせるビ・バップ」盤である。

コール・ポーターの楽曲をパーカーは唄うが如く、吹き上げていく。ビ・バップの演奏フォーマットなので、明朗に流麗にアドリブ展開がなされると思いきや、抑制が効いていて、少し気怠いアーバンな吹きっぷりは特徴的。それでも、パーカーのアドリブ展開部の歌心満点な吹き回しには惚れ惚れする。

実はこの盤のセカンド録音は、パーカーの最晩年に行われたもので、このセカンド録音の約3ヶ月後、本盤のリリース前に逝去してしまう。いわゆるパーカーの正式録音としての「ラスト・レコーディング」を収めたものして貴重な音源である。

こうやって聴いていると、パーカーは自らの私生活の状態がどうであれ、アルト・サックスを手に録音する時は、最後まで素晴らしいパフォーマンスを発揮した、ということが良く判る。
 
 
 

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2021年4月 9日 (金曜日)

パーカーの非凡な才能・その4

ビ・バップの祖として有名なのは、アルト・サックス奏者のチャーリー・パーカーと、トランペット奏者のディジー・ガレスピー。まあ、この二人がビ・バップの祖であり、その二人の数々の名演を押さえることで、ビ・バップへの理解は飛躍的に高まる。しかし、である。このビ・バップの祖の二人、パーカーとガレスピーについては意外と共演盤が少ない。

『The Genius Of Charlie Parker #4 : Bird And Diz』(写真)。ビ・バップ晩期、1949ー50年の録音。ビ・バップの祖、Charlie Parker (as), Dizzy Gillespie (tp) の共演盤。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Dizzy Gillespie, Kenny Dorham (tp), Curley Russell, Tommy Potter (b), Buddy Rich, Max Roach (ds), Carlos Vidal (ds, bongo), Thelonious Monk, Al Haig (p), Tommy Turk (tb)。

パーソネルを見渡して、ビ・バップで活躍していたメンバーがズラリ。録音時期はビ・バップ晩期の1949ー50年。ビ・バップが成熟し、演奏テクニックも充実していた時期。演奏テクニック、アドリブ展開のイマージネーション、スタンダード曲のアレンジなど、かなり優秀である。加えて、この頃のアルバムは時代が時代だけに音が悪かったりするが、この盤は音も良く、いずれの演奏も水準以上。ビ・バップの完成形を見る想いのする内容である。
 

Birdanddiz

 
この盤に詰まっている演奏は「典型的なビ・バップ」。ビ・バップの教科書の様な演奏がギッシリ詰まっている。アバンギャルドで躁状態の尖った演奏が主で、ビ・バップが流行した頃、一般の音楽マニアからは「うるさくて、騒々しい、ジャズのどんちゃん騒ぎ」に感じたことが良く判る。今の耳には、メリハリの効いた、テクニック優秀な、切れ味抜群な即興演奏で、アレンジだけ見直せば、現代でも充分に通用するポテンシャルの高い演奏である。

この盤の「ビ・バップ」は聴き易い。パーカーのアルト・サックスは、とりわけ即興演奏のパフォーマンスが。とても「安定」している。ビ・バップなので、アクロバティックにオーバードライブ気味に、前掛かりに即興演奏をかましがちなのだが、この盤では、抑え気味に流麗な吹き回しを心がけている様に感じる。もともと歌心溢れるアドリブ展開が身上のパーカーのアルト・サックス。見事なアドリブ・パフォーマンスに惚れ惚れする。

ビ・バップとは何か、パーカーのアルト・サックスとは何か、これらの問いにズバリ答えるような内容の好盤である。パーカーとガレスピーの顔写真、またはイラストをあしらったジャケットにはちょっと「ひく」が、内容はピカイチ。ビ・バップの教科書の様な内容がギッシリ詰まっています。ジャズ者初心者の方々には是非一度は聴いて頂きたい盤ですね。
 
 
 

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2021年4月 8日 (木曜日)

パーカーの非凡な才能・その3

「The Genius Of Charlie Parker」の#1と#2は「ウィズ・ストリングス」。パーカーの考案した、パーカーお気に入りの演奏フォーマットだった。この「ウィズ・ストリングス」はパーカーのアルト・サックスの優秀性、音色の素晴らしさ、アドリブ・フレーズの芸術性を愛でるのに最適なのだが、ビ・バップという演奏フォーマットの中でのパーカーについては良く判らない。

『The Genius Of Charlie Parker #3 : Now’s The Time』(写真左)。1952年から53年にかけての録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Al Haig (p), Percy Heath (b), Max Roach (ds)。チャーリー・パーカーのアルト・サックス1管がフロントの「ワン・ホーン・カルテット」編成。

1952年から53年の頃って、パーカーの生活の状態が最悪の時期で、生涯最後の奥さんとの間に生まれたパーカーが可愛いがりまくった女の子が肺炎で亡くなり、ここからパーカーは人が変わったみたいになる。ステージに行くと言って家を出たままステージに来ない、楽器は無くす、ステージ上で泥酔し演奏出来ず、果ては自殺未遂 等々、ボロボロである。そして、この盤の録音の2年後、1955年に心不全で逝去する。
 

The-genius-of-charlie-parker-3

 
僕がジャズを聴き始めた頃のジャズ盤紹介本では、そんなこんなで「1950年代のパーカーは駄目」と断言されていた。が、大学近くの「秘密の喫茶店」でこの盤を聴かされて以来、そんなことは一切無い、という思いが強い。それほど、この盤でのパーカーのアルト・サックスは素晴らしい。アルト・サックスの音自体、ブリリアントでブラスがキュインと鳴っているし、アドリブ・フレーズの独創性とテクニックは見事という他ない。

そして、収録曲が良い。「Kim」「 Cosmic Rays」「Chi-Chi」「Now's The Time」「Confirmation」といった、パーカー作のビ・バップの名曲がズラリと並ぶ。その名曲を、1952年から53年という、ハードバップ初期に差し掛かる時期の「充実し成熟した演奏テクニック」を基にした流麗で熱い演奏で唄い上げていく。パーカーの私生活が不調だったなんてとても思えない、素晴らしいパーカーのパフォーマンスである。

ジャケットも雰囲気があるし、録音も1952年から53年にかけての録音としては良好。パーカーだけで無く、ヘイグ〜ヒース〜ローチのリズム・セクションの演奏も優れていて、グループ・サウンドとしても、ビ・バップの演奏ではあるが、「ハードバップっぽく」充実してところが、この盤を聴きやすくしている。パーカーのビ・バップなアルト・サックスを愛でる入門盤として最適な盤です。
 
 
 

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2021年4月 7日 (水曜日)

パーカーの非凡な才能・その2

今から70年ほど前のジャズの演奏トレンド「ビ・バップ」。そのビ・バップの祖の一人、アルト・サックスのチャーリー・パーカー。パーカーの好盤を聴けば、その「ビ・バップ」が判る。僕は「パーカーを最初に体感するアルバム」については、ヴァーヴ・レーベルの「The Genius Of Charlie Parker(パーカーの非凡な才能)」シリーズをお勧めすることにしている。

『The Genius of Charlie Parker #2 : April In Paris』(写真左)。1949年11月30日、1950年7月5日、1952年1月22日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Stan Freeman (p), Ray Brown (b), Buddy Rich (ds), Mitch Miller(oboe, English Horn) に with Strings。アレンジはジミー・キャロル。

パーカーは「ウィズ・ストリングス」がお気に入りだったとみえる。この盤でも、パーカーは喜々として、切なさと優雅さを併せ持った流麗かつエモーショナルなブロウを繰り広げている。ちなみに、この「ウィズ・ストリングス」を積極的に録音したのは、パーカー自身で、パーカーのアイデアだったそうである。なるほど合点がいった。喜々として気合いを入れて吹く訳である。
 

The-genius-of-charlie-parker-2

 
しかし、パーカーのアルト・サックスは良く鳴る。ブリリアントでブラスの音の輝きがダイレクトに伝わってくる。しかも、パーカーの演奏テクニックは超優秀。頭の中に閃いたアドリブ・フレーズを、いともたやすく音にしていく。加えて、ここまでバリエーション豊かなアドリブ・フレーズが閃くもんだなあ、と感心する。とにかく彩り豊かなパーカーのアルト・サックスである。

この『#2 : April In Paris』はバックのリズム・セクションも優秀。骨太な職人ベーシスト、レイ・ブラウンと、明快なバップなドラマー、バディ・リッチのプレイが突出している。この2人の叩き出すリズム&ビートがあってこそ、この「ウィズ・ストリングス」盤を、甘さ控えめ、クールでビターでビ・バップな純ジャズとして成立させているのだ。

「ウィズ・ストリングス」は、カルテットやクインテットな演奏に比べて、演奏の自由度が飛躍的高く、アドリブ・ソロを取るのが基本的にパーカーだけなので、パーカーのアルト・サックスだけが目立つことこの上無い。パーカーが「ウィズ・ストリングス」をお気に入りだったのは、昨日ご紹介した『#1 : Night And Day』や、この『#2 : April In Paris』を聴けばその理由が良く判る。
  
 
 

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2021年4月 6日 (火曜日)

パーカーの非凡な才能・その1

なんだかんだと言っても、ジャズの基本を学ぶ上で、チャーリー・パーカーは避けて通れないと思うのだ。ジャズの真髄は「即興演奏」とするところで、パーカーのアルト・サックスの即興演奏、つまりアドリブ・プレイは、そのアーティステックなフレーズ、その高度な演奏テクニック、どれをとっても、現代ジャズにおいても最高峰に位置づけられると思うのだ。

ただ、パーカーの残した音源は意外と雑然としている。ダイアル・セッション、サボイ・セッションが最高とする向きもあるが、マスターテイク、別テイク、同一曲の演奏が混然と収録されていて、しかも、失敗した演奏もそのまま収録されていたりで、ジャズ者初心者からすると判り難い。パーカーを聴き、理解するには、まずはマスターテイクのみを聴くべきかと思う。

そういう点からすると、僕は、パーカーについては、ヴァーヴ・レーベルの「The Genius Of Charlie Parker(パーカーの非凡な才能)」シリーズをお勧めすることにしている。別テイクも入ってはいるが、マスターテイクと遜色ない内容のものばかりだし、失敗テイクは一切収録されていない。#1〜#8まであって、どれもがパーカーの素晴らしさを体感できる内容になっている。
 

The-genius-of-charlie-parker-1

 
『The Genius Of Charlie Parker #1 : Night And Day』(写真左)。1950年7月、1952年1月、1952年3月の3つのセッションの寄せ集め。別名『Charlie Parker - Big Band』(写真右)としてもリリースされている。ジョー・リップマンの素晴らしいアレンジによる、弦も入った「ビッグバンドもの」。お馴染みのスタンダード曲がズラリと並ぶ。

硬派なビ・バップでは無く、ポピュラー・ミュージック風の作りになっている。それでも、弦入りビッグバンドの演奏をバックに、パーカーの甘くもクールで切れ味の良いアルト・サックスが鳴り響く。テーマ部では、テーマの持つ美しいフレーズをクッキリ浮き立たせ、アドリブ部に入ると、短くはあるがハッと目が覚めるような、切れ味の良い流麗なアドリブ・フレーズが湧き出るが如く次々と出てくる。思わず「ふへ〜っ」と溜息をつく。

CDによっては、ボートラとして、アルトテイク、失敗テイクが追加収録されているものもあるが、パーカーのアルト・サックスを愛でるには、マスターテイクのみの鑑賞で留めて頂きたい。このマスターテイクのパーカーのアドリブ・プレイを次々と聴くことによって、ジャズにおける即興演奏の一端が体感出来るのだ。
 
 
 

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2021年4月 5日 (月曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・90

Enja(エンヤ)レーベルも、今や欧州を代表するジャズ・レーベルである。1971年、マティアス・ヴィンケルマンとホルスト・ウェーバーによって設立。拠点はミュンヘン。ドイツ発のジャズ・レーベルである。得意ジャンルは、メインストリームな純ジャズ、それもモーダルなジャズをベースとした硬派で尖った純ジャズ。そして、フリー・ジャズをメインとした前衛ジャズ。

Junior Mance Trio『Softly As In A Morning Sunrise』(写真)。1994年7月21日、ミュンヘンの Trixi Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), Jimmy Woode (b), Bob Durham (ds)。総合力勝負のファンキー・ピアニスト、ジュニア・マンスがリーダーのピアノ・トリオである。

もともとエンヤ・レーベルは、設立者のマティアス・ヴィンケルマンとホルスト・ウェーバーの2人が、マル・ウォルドロンの大ファンで、当時ヨーロッパで活動していたマルの作品を自分達の手でリリースしたいという情熱から誕生した経緯がある。よって、ジャズ・ピアノの演奏については、意外と造詣が深い。
 

Softly-as-a-morning-sunrise-junior-mance

 
で、このジュニア・マンスのピアノ・トリオである。マンスのピアノは、ファンキーなノリとグルーヴィなフレーズが持ち味の「総合力で勝負する」タイプのピアニストである。独特の癖や奏法がある訳では無い。端正で明確なタッチ。堅実かつリズミカルな左手。とても整った弾きっぷりで、聴いていて爽快な気分になる。欧州系のレーベルでの録音で、ファンクネスは抑え気味でタッチが硬質。

バックのリズム隊がこれまた優秀。硬質でしなやかに響く低音が魅力のジミー・ウッドのベース。変幻自在、硬軟自在、堅実で質実剛健なボブ・ダーハムのドラム。欧州系のレーベルでの録音らしく、ファンクネスは希薄、粘らずタイトでソリッドなリズム&ビートは聴き応え十分。真摯で堅実な欧州ジャズのリズム&ビートである。

1994年の録音らしく、ネオ・ハードバップな香りのする、新しい音が響きが宿る素敵なピアノ・トリオの演奏である。選曲も小粋なスタンダード曲が中心で趣味が良い。ジャケットだけが、どうにもこうにも平凡なのだが、中身は「太鼓判」。ネオ・ハードバップ志向の素敵なピアノ・トリオ盤である。
 
 
 

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2021年4月 4日 (日曜日)

ワールド・ミュージックとの融合

ジャズは懐が深い「融合」上手な音楽ジャンルである。1940年代後半から1950年代初頭のジャズの最大のトレンド「ビ・バップ」が純粋ジャズだった様な気がするが、希にラテン音楽との融合があったり、クラシックの引用があったり、「融合」の兆しは既にあった。

1950年代のハードバップでは、ラテン音楽の融合やクラシックの引用が「アレンジの常用手段」になり、1960年代前半にはジャズ界最大の「融合」、ボサノバとの「融合」があった。1960年代終盤から、ロックとの「融合」としてクロスオーバー・ジャズが出現し、そこに、R&BやAORの要素との「融合」が進み、フュージョン・ジャズが大流行した。

Richard Bona『Scenes from My Life』(写真左)。1998年11月〜1999年1月の録音。パーソネルについては、曲毎に様々な「最適な」ミュージシャンをチョイスしているので、ここでは割愛する。リーダーのリチャード・ボナ(Richard Bona)はベーシスト & ヴォーカリスト。ベーシストのリーダー作らしく、自らの志向する音世界をプロデュースするタイプ。

ボナはザビヌル・シンジケートなどで活躍していたカメルーン出身の天才ベーシスト。1967年10月28日生まれなので、今年で54歳。ジャズマンとして油の乗りきったベテラン中堅的存在である。
 

Scenes-from-my-life_richard-bona

 
1995年にはジョー・ザヴィヌルと共演するようになり、恐らく、ボナの「ワールド・ミュージック志向」はこの時代に育まれたと推測している。ポスト・ジャコ・パストリアス的ベーシストの1人。

そんなボナのワールド・ミュージック志向ジャズの素敵な初リーダー作がこの『Scenes from My Life』。まず、ボナのベースに耳を奪われる。天才的なテクニックに裏付けされた深みのある、しなやかなベースライン。ジャコは「鋭角的」だったが、ボナはほど良く「丸み」がある。それでも明らかにジャコの影響が聴いて取れる。

様々な音の要素が「融合」している。演奏のベースは明らかにジャズだが、R&B的要素も見え隠れし、アフリカン・ネイティヴな音の響きもあれば、ジャマイカンな音の響きも顔を出す。ラテンな雰囲気も出てくれば、ボサノバ風のフレーズも漂う。フュージョン・ジャズ的な雰囲気もあるが、基本はメインストリームなエレ・ジャズ。

全曲ヴォーカル入りだが、全く気にならない。このヴォーカルも楽器の1つの様な、ワールド・ミュージック的な響きを湛えて、アルバム全体の雰囲気を補強する。このアルバム、ボナのセルフ・プロデュースなんだが、そのセンスの良いプロデュースが見事。ワールド・ミュージック志向のコンテンポラリーなエレ・ジャズとして優れた内容の好盤である。
 
 
 

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2021年4月 2日 (金曜日)

ランディとマリエンサルの新盤

21世紀に入っても、ジャズの世界で「ハードバップ」は無敵だと思うのだ。かのマイルス・ディヴィスに「60年も前に流行ったハードバップをやって何が面白いんだ?」と怒られそうだが、一応、帝王に言い訳させて貰えるならば、現代のハードバップは「ネオ・ハードバップ」と呼ばれていて、60年前のハードバップの焼き直し(深化)ではあるが、物真似ではないんですよ、これが。

Randy Brecker & Eric Marienthal『Double Dealin'』(写真左)。2020年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Randy Brecker (tp, flh), Eric Marienthal (sax), George Whitty (key), John Patitucci (b), Dave Weckl (ds)。チック・コリアのバンドやザ・リッピントンズでも活躍したサックス奏者のエリック・マリエンサルと、ブレッカー・ブラザースで有名なランディ・ブレッカーによる双頭リーダー作品。

Randy Brecker(ランディ・ブレッカー)は、1945年11月、米国ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。ランディのトランペットは、ジャズ〜R&B〜ロックを縦横無尽に吹き分ける、フュージョンを地で行くトランペット。凄いなあと思うのは、ジャズでもR&Bでもロックでも、ランディのトランペットの音は変わらない。

 
Double-dealin

 
Eric Marienthal(エリック・マリエンサル)は、1957年12月、カリフォルニア州サクラメント生まれ。僕はチック・コリアのエレクトリック・バンドでのプレイをよく覚えている。切れ味良く明るいトーン、クールで流麗なフレーズ、それでいて、音に芯があるので、マリエンサルのフレーズはしっかりと耳に残る。どちらかと言えば、フュージョン・ジャズ向きのサックスである。

この盤、ランディとマリエンサルの2管のプレイが素晴らしいのは当たり前として、リズム&ビートが明らかに60年前のハードバップとは違う。実際に演奏しているものとそれを基にプログラミングされているものと混在しているみたいだが、明らかに現代のリズム&ビート。切れ味良く端正、ファンクネスは適度、決してオーバー・ファンクにならない。そして、そこはかとなく「人の温もり」が感じられるリズム&ビート。いわゆる「ネオ・ハードバップ」向けのリズム&ビート。

ランディとマリエンサルのフロント2管は、そんな現代のリズム&ビートに乗って、爽やかファンキーでご機嫌なブロウを繰り広げる。ユニゾン&ハーモニーもバッチリ合って、この2管の相性は抜群に良い。聴き味良く、聴き味爽やか。こんな「聴き応え」のあるネオ・ハードバップな盤がリリースされるなんて、まだまだジャズは捨てたもんじゃ無い(笑)。ジャケがイマイチだけど気にしない気にしない(笑)。
 
 
 

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2021年4月 1日 (木曜日)

ECMジャズの「音の懐の深さ」

1960年代から70年代にかけて設立された欧州系のジャズ・レーベルについては、半世紀経った今でも、新盤をリリースし続ける「老舗」ジャズ・レーベルが幾つかある。パッと思いつくレベルで言うと、ECMレーベル、enjaレーベル、Steeplechaseレーベル。この老舗3レーベルの中でも、ECMレーベルは一番活発に新盤をリリースしている。

Anja Lechner, Francois Couturier『Lontano』(写真左)。2020年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、François Couturier (p), Anja Lechner (cello)。フランソワ・クチュリエのピアノとアニャ・レヒナーのチェロのデュオ。このデュオの組合せからして、いかにも「ECMレーベルらしい」。

フランソワ・クチュリエは、フランスのジャズ・ピアニストで作曲家。1950年、フランスのオルレアン生まれ。今年で71歳になる「ジャズ・レジェンド」級。1970年代にフランスのフリー・ジャズ・シーンで頭角を顕したピアニスト。かたや、アニャ・レヒナーはチェリスト。1961年生まれのドイツ、カッセル生まれ。今年で60歳。クラシック音楽の技術を基本にしながら、ジャズやタンゴ、即興演奏などジャンルを超えた活動で知られる。
 

Lontano

 
ジャズとクラシックのクロスオーバー・ジャズ。雰囲気は明快に「ピアノとチェロのクラシック風+現代音楽的な即興音楽」。しかし、即興のリズム&ビートは「ジャジー」もしくは「無調」。音の響きは明確に「ECMの美学」。チェロの響きがジャズのベースには無い、クラシック風な音使いと音の響きで、21世紀の「ニュー・ジャズ」な雰囲気を増幅させる。

ユニークなデュオ演奏である。ジャジーなピアノとチェロのインタープレイの応酬の中に、アルゼンチン・サンバ、カンタータから想起された演奏、ジョージア風の映画音楽、ブラヒムの楽曲などが散りばめられていて、意外と「多国籍な」音の要素のバリエーションに耳を奪われる。意外とワールド・ミュージック的な音の響きが実にユニーク。

新しい、まさに現代の即興演奏、まさにワールド・ミュージック風のジャジーなデュオ演奏である。フランスとドイツのミュージシャンによるデュオ演奏の音の響きはまさに「ECMレーベル」。背後に強烈なプロデュース力を感じる。ジャズとクラシックのクロスオーバー、そして、ワールド・ミュージック的な音世界の融合。ここでも「ジャズの懐の深さ」を強烈に感じる。
 
 
 

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