控えめに言っても見事なデュオ
ジャズの演奏フォーマットで、聴き応えのあるフォーマットが「デュオ」。ジャズマンが一対一で、タイマンで対峙して即興演奏を繰り広げるもの。双方の演奏技術の高さは必須条件で、お互いの音を聴きながら、お互いが邪魔すること無く、それぞれがその高度な演奏技術を駆使して、即興演奏を繰り広げる。これが聴き応え十分で、実にスリリングなパフォーマンスなのだ。
George Robert & Kenny Barron『Peace』(写真)。2002年8月、ジュネーヴでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、George Robert (as, ss), Kenny Barron (p)。テナーとピアノのデュオ演奏である。アルト・サックスは、スイス出身のジョルジュ・ロベール。ピアノはデュオ演奏の名手、ケニー・バロン。
このデュオ盤は全くのノーマーク。10年ほど前、当時のiTunes Storeで、ジャズのデュオ盤を探していて引っ掛かってきた。調べてみると、1990年代以降、商業主義に陥ったスウィング・ジャーナル誌のゴールドディスクに選定されているではないか。これは全く期待出来ない(笑)。ハードディスクにキープはしたものの暫く聴くことも無かった。
が、5年ほど前、ピアノがケニー・バロンというのが気になった。ケニー・バロンといえば、スタン・ゲッツの歴史的デュオ好盤をものにした「デュオ演奏の名手」。一度聴いてみるか、というノリで聴いてみたら、あらまあ、素晴らしい内容のデュオ演奏ではありませんか。サックスのジョルジュ・ロベールについては全く知らなかったが、なかなか堂々とした吹きっぷりに2度、ビックリ。
ジャケットのイメージそのままの霧が深くかかる森の中に響く、透明度の高い、耽美的でリリカルなクールな演奏。丁々発止とした手に汗握る様な熱い演奏では無い。切れ味の良い伸びやかなサックスに、リリカルでクールなピアノがしっかりと絡む。欧州ジャズらしく、ファンクネスは皆無。それでいて、ジャジーなノリが良く、クールな躍動感がこのデュオ演奏を引き締めている。
そして、要はケニー・バロンのピアノ。デュオ演奏の名手として、そのテクニックを遺憾なく発揮している。なかなかの好演のサックス奏者ジョルジュ・ロベールについては、2016年、56歳の若さで逝去している。残念なことであった。最後に、この盤のフィル・ウッズの解説の一節を。「控えめに言っても実に見事な作品である」。
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