« ECMレーベルの力業的な好盤 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・200 »

2021年3月 7日 (日曜日)

控えめに言っても見事なデュオ

ジャズの演奏フォーマットで、聴き応えのあるフォーマットが「デュオ」。ジャズマンが一対一で、タイマンで対峙して即興演奏を繰り広げるもの。双方の演奏技術の高さは必須条件で、お互いの音を聴きながら、お互いが邪魔すること無く、それぞれがその高度な演奏技術を駆使して、即興演奏を繰り広げる。これが聴き応え十分で、実にスリリングなパフォーマンスなのだ。

George Robert & Kenny Barron『Peace』(写真)。2002年8月、ジュネーヴでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、George Robert (as, ss), Kenny Barron (p)。テナーとピアノのデュオ演奏である。アルト・サックスは、スイス出身のジョルジュ・ロベール。ピアノはデュオ演奏の名手、ケニー・バロン。

このデュオ盤は全くのノーマーク。10年ほど前、当時のiTunes Storeで、ジャズのデュオ盤を探していて引っ掛かってきた。調べてみると、1990年代以降、商業主義に陥ったスウィング・ジャーナル誌のゴールドディスクに選定されているではないか。これは全く期待出来ない(笑)。ハードディスクにキープはしたものの暫く聴くことも無かった。
 
Peace-george-robert-kenny-barron
 
が、5年ほど前、ピアノがケニー・バロンというのが気になった。ケニー・バロンといえば、スタン・ゲッツの歴史的デュオ好盤をものにした「デュオ演奏の名手」。一度聴いてみるか、というノリで聴いてみたら、あらまあ、素晴らしい内容のデュオ演奏ではありませんか。サックスのジョルジュ・ロベールについては全く知らなかったが、なかなか堂々とした吹きっぷりに2度、ビックリ。

ジャケットのイメージそのままの霧が深くかかる森の中に響く、透明度の高い、耽美的でリリカルなクールな演奏。丁々発止とした手に汗握る様な熱い演奏では無い。切れ味の良い伸びやかなサックスに、リリカルでクールなピアノがしっかりと絡む。欧州ジャズらしく、ファンクネスは皆無。それでいて、ジャジーなノリが良く、クールな躍動感がこのデュオ演奏を引き締めている。

そして、要はケニー・バロンのピアノ。デュオ演奏の名手として、そのテクニックを遺憾なく発揮している。なかなかの好演のサックス奏者ジョルジュ・ロベールについては、2016年、56歳の若さで逝去している。残念なことであった。最後に、この盤のフィル・ウッズの解説の一節を。「控えめに言っても実に見事な作品である」。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・Journey『Infinity』1978

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.03.06 更新

  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

« ECMレーベルの力業的な好盤 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・200 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ECMレーベルの力業的な好盤 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・200 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー