バーツとメイシャとの化学反応
エレクトリック・マイルスは衝撃的だった。それまでジャズはアコースティックなもの。しかし、1960年代、ロックの台頭により、電気楽器が使われるようになる。音が大きい、電気的にエフェクトをかませる、そして、電気楽器ならではの奏法というものが現れ出でた。
そこにジャズの世界の中でいち早く着目したのが「マイルス・デイヴィス」。ハービーにローズを弾かせ、ロンにエレベを持たせた。バンドの中にエレキキターを導入し、「ジミヘンの様に弾け」と命令した。そして、マイルス・バンドは、アコースティックの時代とは全く違う、エレクトリックならではのメンバー構成になった。
Gary Bartz & Maisha『Night Dreamer Direct-To-Disc Sessions』(写真左)。2019年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Bartz (ss,as), Jake Long (ds), Shirley Tetteh (g), Al MacSween (key), Twm Dylan (b), Axel Kaner-Lidstrom (tp), Tim Doyle (per)。ゲーリー・バーツと英国のスピリチュアル・ジャズ・アンサンブル、メイシャとのセッション。優れた新旧アーティストの共演である。
ゲイリー・バーツは特に1970年代以降、ちょっとアウトローな存在。エレ・マイルスとは半分だけ方向性が合致した様な、バーツならではのエレクトリック&ジャズ・ファンク。マイルスとはビート感が異なり、バーツの方がファンクネスが「ディープ」。ちょっと危ない暗さを伴うファンクネス漂うエレ&ジャズ・ファンク。この盤でもその個性は溢れんばかり。
かたや、UKジャズ注目のグループの一つ、ドラマーでリーダーのジェイク・ロング、女性版カマシ・ワシントンとして新世代ジャズ・シーンをリードするサックス奏者、ヌビア・ガルシアを中心に率いる「メイシャ」は、アフロビートやブロークンビートからペルシャ音楽までを融合したスピリチュアルな音が個性。バーツのエレ&ジャズ・ファンクにピッタリと合うのだから、音楽って面白い。
現代のエレクトリック・ジャズがこの盤に詰まっている。バーツをメインとする「温故知新」的なエレ&ジャズ・ファンクと現代最先端の多国籍なワールド・ミュージック的なスピリチュアル・ジャズとの邂逅。バーツとメイシャとの素晴らしい邂逅が、こんなに「こってこて」な現代最先端のスピリチュアル・ジャズを生み出したと言える。現代のスピリチュアル・ジャズの好盤です。
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