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2021年3月 9日 (火曜日)

ハマシアンの「内なる世界」です

21世紀に入ってから、ジャズマンの出身地がバリエーションに富んできた。20世紀の時代には北欧諸国から自由圏の有力国(英・仏・伊など)が主で、東欧諸国がほんの少し入るくらい。21世紀に入ってからは、イスラエルもそうだが、東欧諸国、そして旧ソ連から独立した国、そして、イスラム圏から続々と優れたジャズマンが現れ出でてきた。

Tigran Hamasyan『The Call Within』(写真左)。2020年4月のリリース。Tigran Hamasyan (p, vo, Whistling, syn, key, el-ds), Evan Marien (el-b), Arthur Hnatek (ds) の3人がメインとなるパーソネル。

ゲスト出演として、Tosin Abasi (g, track8), Arlyom Nanukyan (cello, track2), Areni Agbabian (vo, track2),Varduhi Art School children's (cho, track7), Ruzanna Shahparonyan (cond, track7), Beth and Steve Wood (vo, track9)。

Tigran Hamasyan(ティグラン・ハマシアン)は、アルメニア出身。1987年生まれなので、今年で34歳。若手の時代を経て、いよいよ中堅の時代に入らんとする年頃。今回、ご紹介している最新盤もその充実度は高い。アルバムのプロデュースを手掛けるのは、ハマシアン本人。
 

The-call-within

 
ハマシアンの作曲はアルメニアの民俗伝統に強く影響されており、中東/南西アジアの伝統からのスケールに基づいたインプロビゼーションが特徴。聴けば直ぐに今までのジャズ曲とは全く異なる響きに気がつく。

そして、今回の新盤は、自身の「内なる世界」を探求しているという。インスピレーションの基となっているのは、詩歌、アルメニアの民話や伝説、天文学、何学、古代アルメニアの意匠、ペトログリフ(岩面彫刻)、映画撮影術など、とのこと。

確かに今までのジャズとは全く異なる音世界。ジャズの範疇に留まらず、プログレッシブ・ロック風の楽曲や、メタルやジャズやクラシックといった、現代の西洋音楽の要素をアルメニア民謡に結びつけたような楽曲など、ジャズでしか為し得ない「融合」の即興演奏がこの盤に詰まっている。

ワールド・ミュージック・ジャズとでも名付けようか。現代の最先端のワールド・ミュージックの音を融合し、ハイテクな機材を駆使して紡ぎ出す、ハマシアンならではの音世界。これもジャズである。実に興味深いコンテンポラリー・ジャズである。
 
 
 

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Matsuwa_billboard

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