ECMのタウナーの兄弟盤を聴く
ジャズの有名レーベルには、必ず、そのレーベルならではの「レーベルお抱えの」ジャズマンがいる。そのジャズマンの出す音そのものが、所属するレーベルの個性的な音と合致していて、その「お抱えの」ジャズマンの音を聴けば、その所属するレーベルの音の傾向が判る。
ブルーノートに「レーベルお抱えの」ジャズマンが多いが、ECMレーベルにも「レーベルお抱えの」ジャズマンが多い。ブルーノートの場合は、ブルーノートで一人前になって他の大手レーベルに移るというケースが多いが、ECMレーベルの場合は、ずっとECMレーベルに留まるジャズマンが多くいる。
それだけECMに合致した音を出している訳で、他のレーベルに移るには、ECM色が強くて、移籍するにも移籍できない、というところが本音かもしれない。
Ralph Towner『Solstice』(写真)。1974年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Ralph Towner (12-string and classical g, p), Jan Garbarek (ts, ss, fl), Eberhard Weber (b, cello), Jon Christensen (ds, perc)。パーソネルを見渡すと、いずれも「ECMレーベルお抱えの」ジャズマンで固めたカルテット編成。
今回の『Solstice』が先行して出た盤で、3月1日のブログでご紹介した、Ralph Towner『Solstice/Sound and Shadows』が続編。この2枚は兄弟盤の位置づけであるが、『Solstice/Sound and Shadows』は「静」、今回の『Solstice』が「動」なパフォーマンスで、正反対の音の個性を持つ兄弟盤である。
ただし、パフォーマンスの内容は「静」も「動」も同じで、タウナーの、鋭いアタックではあるが、どこか幻想的なアコギが「ECM」らしい。凛とした透明度の高い、深いエコーを湛えた切れ味の良い音。お得意の12弦ギターのストロークはエッジが立ってクリスタルな雰囲気。この盤では躍動感を前面に押し出しているギターが聴きどころ。
ガルバレクのサックス、フルートは北欧の「風」を感じさせ、ウェーバーのベースとクリステンセンのドラムのリズム隊は、即興演奏をメインとした現代音楽風の無調音な展開に見事に適応した「変幻自在、硬軟自在のリズム&ビート」でフロント楽器のパフォーマンスを支える。これは兄弟盤共通。
たった4人で奏でる奥行きのある透明度の高い動的なパフォーマンス。明らかにECMレーベルらしい音世界。見事である。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
★ AORの風に吹かれて 【更新しました】 2021.02.09 更新。
★ まだまだロックキッズ 【更新しました】 2021.02.09 更新
★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.02.09 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から9年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« ブルーノート色満載のバップ好盤 | トップページ | ECMレーベルの力業的な好盤 »
コメント