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2021年3月 5日 (金曜日)

ECMのタウナーの兄弟盤を聴く

ジャズの有名レーベルには、必ず、そのレーベルならではの「レーベルお抱えの」ジャズマンがいる。そのジャズマンの出す音そのものが、所属するレーベルの個性的な音と合致していて、その「お抱えの」ジャズマンの音を聴けば、その所属するレーベルの音の傾向が判る。

ブルーノートに「レーベルお抱えの」ジャズマンが多いが、ECMレーベルにも「レーベルお抱えの」ジャズマンが多い。ブルーノートの場合は、ブルーノートで一人前になって他の大手レーベルに移るというケースが多いが、ECMレーベルの場合は、ずっとECMレーベルに留まるジャズマンが多くいる。

それだけECMに合致した音を出している訳で、他のレーベルに移るには、ECM色が強くて、移籍するにも移籍できない、というところが本音かもしれない。

Ralph Towner『Solstice』(写真)。1974年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Ralph Towner (12-string and classical g, p), Jan Garbarek (ts, ss, fl), Eberhard Weber (b, cello), Jon Christensen (ds, perc)。パーソネルを見渡すと、いずれも「ECMレーベルお抱えの」ジャズマンで固めたカルテット編成。
 
Solstice  
 
今回の『Solstice』が先行して出た盤で、3月1日のブログでご紹介した、Ralph Towner『Solstice/Sound and Shadows』が続編。この2枚は兄弟盤の位置づけであるが、『Solstice/Sound and Shadows』は「静」、今回の『Solstice』が「動」なパフォーマンスで、正反対の音の個性を持つ兄弟盤である。

ただし、パフォーマンスの内容は「静」も「動」も同じで、タウナーの、鋭いアタックではあるが、どこか幻想的なアコギが「ECM」らしい。凛とした透明度の高い、深いエコーを湛えた切れ味の良い音。お得意の12弦ギターのストロークはエッジが立ってクリスタルな雰囲気。この盤では躍動感を前面に押し出しているギターが聴きどころ。

ガルバレクのサックス、フルートは北欧の「風」を感じさせ、ウェーバーのベースとクリステンセンのドラムのリズム隊は、即興演奏をメインとした現代音楽風の無調音な展開に見事に適応した「変幻自在、硬軟自在のリズム&ビート」でフロント楽器のパフォーマンスを支える。これは兄弟盤共通。

たった4人で奏でる奥行きのある透明度の高い動的なパフォーマンス。明らかにECMレーベルらしい音世界。見事である。
 
 
 

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