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2021年2月21日 (日曜日)

ブルーベック者、溜飲を下げる

ディブ・ブルーベック(Dave Brubeck)は、ジャズ史上にその名が残るジャズ・ピアノのレジェンドの1人である。しかし、僕がジャズを聴き始めた1970年代後半、我が国におけるブルーベックの評価は甚だ悪かった。やれスイングしないだの、やれ歌心が無いだの、そして、酷いなあと思ったのは「下手くそ」という評論。これはあまりに失礼ではないか。

そんな酷い評論がまかり通った1970年代、そして1980年代、純ジャズ復古がなって、メインストリーム・ジャズが、ジャズの真ん中に戻ってきたのだが、ブルーベックの評価は以前のまま。再評価されることなく、現在に至っている。ちなみに米国ジャズでのブルーベックの評価は高く、亡くなった後も、不世出の音楽家の1人としてリスペクトされている。

Dave Brubeck『Lullabies』 (写真左)。2011年の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Brubeck (p)。ブルーベックがソロ・ピアノで孫のために収録した、ブルーベックの生涯最後のスタジオ録音とのこと。パッキパキ、前衛的にスクエアにスイングするブルーベックが「子守唄」集をソロ・ピアノでやるとは。興味津々のアルバムである。
 
 
Lullabies_dave-brubeck    
 
 
昨年の2020年は、ブルーベックの生誕100年の記念の年。2012年12月、ブルーベックが亡くなってから8年が経過した2020年12月にリリースされたのが、生涯最後のレコ―ディングとなったという、このソロ・ピアノ盤である。当時、孫への贈り物として録音されたこの盤。数々の子守唄を題材に、ブルーベックの特徴的な即興演奏てんこ盛り。

ジャズ・スタンダードはもちろん、クラシック、ディズニー、トラッド、そしてオリジナル曲まで様々な楽曲を取り上げ、アレンジはシンプルの一言、パッキパキ、前衛的にスクエアにスイングする、味のあるソロ・ピアノで、数々の子守唄を唄い上げていく。テクニックも上々、歌心溢れ、彼の独特の個性である「スクエアなスイング」が耳に心地良い。

1曲目の「ブラームスの子守唄」の優しい心安らぐフレーズ、その雰囲気そのままに、全15曲のショートピースが続く。奇をてらわない真摯で誠実な、創造力溢れる弾きっぷり。このソロ・ピアノを聴いていて、我が国でのブルーベックのピアノに対する厳しい批評がいかに的外れであったかが良く判る。ブルーベック者として溜飲の下がるソロ・ピアノ盤である。
 
 
 

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