ソニクラのお蔵入り音源・1
僕のお気に入りのジャズ・ピアニストの1人、ソニー・クラーク(Sonny Clark)。1931年7月、米国ペンシルベニア州生まれ、1963年1月、NYにて死去。31歳での「早逝のピアニスト」。それでも、リーダー作はブルーノート・レーベルを中心に10数枚、サイドマン参加でのアルバムは50数枚とかなりの枚数になる。
1955年から逝去する前年1962年の7年の間に、参加アルバムが60数枚、年平均8枚程度、録音していたのだから、当時の「ファースト・コール」ぶりが偲ばれる。そんな当時の人気ピアニスト、ソニー・クラークのリーダー作の中で、録音されてアルバム番号まで確定していながら、お蔵入りになったアルバムが幾枚かある。
まずは、『Sonny Clark Quintets』(写真左)。1957年12月8日、1958年1月5日の2セッションからの録音。
ちなみにパーソネルは、Sonny Clark (p), Paul Chambers (b) は共通。1957年12月8日のセッションは、Clifford Jordan (ts), Kenny Burrell (g), Pete LaRoca (ds)、1958年1月5日のセッションは、Art Farmer (tp), Jackie McLean (as), Philly Joe Jones (ds) が加わったクインテット編成。
このパーソネルを見て、1958年1月5日の録音(1〜2曲目)って、かの名盤『Cool Struttin'』と同一日、同一メンバーでの録音ではないか、と思われた方は、優れた「ブルーノート者」である。
そう、この1曲目「Royal Flush」と2曲目「Lover」は『Cool Struttin'』と同一日、同一メンバーでの録音である。演奏の雰囲気、音の傾向が『Cool Struttin'』そのもの。名演の類である。この盤、この2曲を聴くだけでも価値がある。
かたや、1957年12月の録音は、質実剛健テナーのジョーダンと、漆黒のアーバン・ギターのバレルがフロントを張る変則クインテットだが、ここでのクラークのピアノも絶好調。
クラークは1956〜57年が絶好調で、その絶好調期の最後を飾ったのが、1958年1月5日のセッション。当時、お蔵入りになって2曲は、『Cool Struttin'』がLPであったが故に、収録時間的にあぶれたと思われる(CDでは『Cool Struttin'』のボートラで追加されている)。
逆に、1957年12月8日のセッションの3曲は、このパーソネルでのセッションが、後にも先にもこの日だけだったので、結果、この3曲はアルバムに収録されないまま、放置されたと思われる。このセッションについては、運がなかった、気の毒な3曲だろう。
それでも、1976年に目出度くリリースされたのだから良かった。ジャケットのデザインも良好だが、ここにクラークの写真が小粋にあしらわれていたらなあ、と思うのは僕だけだろうか。
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