邦題「フレッド アステアを歌う」
若い頃、ジャズ者初心者の頃、ジャズ・ボーカルが苦手だった僕も、今ではそこそこジャズ・ボーカルは聴くようになった。女性ボーカルは基本的に「コンテンポラリーな」ボーカルを好んで聴く。例えば、ダイアナ・クラールやケイコ・リーなど。男性ボーカルは「正統派な」ボーカル、例えば、フランク・シナトラやメル・トーメを好んで聴く傾向にあるようだ。
『Mel Tormé Sings Fred Astaire』(写真左)。1956年11月10-11日、ロスでの録音。西海岸ジャズに強い「ベツレヘム・レーベル」からのリリース。ちなみにパーソネルは、Mel Tormé (vo), Marty Paich (arr, cond), Herb Geller (as), Jack Montrose (ts), Jack DuLong (bs), Pete Candoli, Don Fagerquist (tp), Max Bennett (b), Alvin Stoller (ds), Bob Enevoldsen (valve-tb), Vince DeRosa (French horn), Albert Pollan (tuba)。
邦題「フレッド アステアを歌う」。ミュージカル映画の大スター、フレッド・アステアが歌った、ガーシュインやアービングバーリン作品を、マーティー・ペイチ楽団のバッキングで、メル・トーメが歌う企画盤。マーティー・ペイチのアレンジが好調で、アルバム全体の音作りは、明らかに米国西海岸ジャズの雰囲気をふんだん湛えている。
メル・トーメについては、一般的な知名度はシナトラに譲るが、ジャジーな歌のうまさは抜群。朗々として健康的な唄声はシナトラの対極に位置して、実に個性的。「ベルベット・ヴォイス」と称されるトーメの唄声は、その卓越した表現力や歌唱力と合わせて、実に魅力的なもの。そんなトーメが、ガーシュイン兄弟5曲、アービング・バーリン4曲を含む12曲を唄いまくる。
白人独自のヴォーカルを洗練させていったトーメの面目躍如である。とにかく「二枚目」な唄声は聴き易く判り易い。もともと、フレッド・アステアのリズム感に溢れ、判り易い歌唱スタイルは、後進のメル・トーメらに多大なる影響を与えた、とされる。そんな話を実感出来るトーメの歌唱である。ポップでソフト&メロウな歌唱はずっと聴いていても飽きない。
バックのマーティー・ペイチ楽団の演奏も名手揃いで、何気に優れていて良い感じ。アレンジも正統派なもので安心して聴ける。グルーヴィー&スウィンギンなバッキングは、この盤の聴きどころのひとつ。ジャケットがかなりレトロなので、なかなか触手が伸びないが、内容はポップで判り易い。ジャズ・ボーカルの好盤の一枚としてお勧め。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
★ AORの風に吹かれて 【久々に更新しました】 2021.01.22 更新。
★ まだまだロックキッズ 【久々に更新しました】 2021.01.22 更新。
★ 松和の「青春のかけら達」 【久々に更新しました】 2021.01.22 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から9年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« ジャズ喫茶で流したい・197 | トップページ | 整然と整ったモブレー=モーガン »
コメント