「荒武裕一朗」のピアノを知る
日本のジャズは未だにそのレベルは高い。1960年代から米国における最新のスタイルを取り込み続け、自分のものにしつつ、日本人としてのオリジナリティーを付加する。そんなレベル向上の努力を絶え間なく進めて来た。21世紀になっても、日本のジャズのレベルは高い。有望な新人も一定数出てくる。皆、生活出来ているんだろうかと心配になるくらいだ。
荒武裕一朗『Constant as The Northern Star』(写真左)。2020年03月のリリース。荒武裕一朗のピアノ・トリオ最新作。ちなみにパーソネルは、荒武裕一朗(p), 三嶋大輝 (b). 今泉総之輔 (ds) のピアノ・トリオがメインで、ゲストに 山田丈造 (tp) が参加している。「ミミズク」(小さいが耳がある)のアップのイラストが凄く趣味良く印象的。
資料にはキャッチ・フレーズとして「ホール録音でのマイク1本でごまかし無しの意欲作」とある。確かに音が良い。楽器の響きがシンプルで、エコーに濁りが無い。そして、何より、楽器の「定位」が良い。ジャズの演奏をバシッと録っている、って感じが凄く良い。この音の良さだけでも、この盤は「買い」である。
冒頭の「Time Remembered」で、ピアノは「エヴァンス派」と聴いた。エヴァンスよりバップ度は控えめ。硬派で耽美的な響きはエヴァンスを踏襲。ファンクネスは希薄。スイング感は適度。聴いていて「ああ、日本人のピアノやなあ」と何故か感心する。端正で適度な硬さのタッチは実に良い感じである。僕は「荒武裕一朗」のピアノを知らない。でも、この1曲で「お気に入り」になった。
選曲を見渡すと、スタンダード曲とポップス曲のカヴァーと自作曲、よいバランスで並んでいる。ポップスのカヴァーに興味がいく。特にお勧めなのが、2曲目「Knocks Me Off My Feet」。邦題「孤独という名の恋人」。スティーヴィー・ワンダーの傑作『Songs in the Key of Life』のLP時代、Side Bの2曲目。これが実に良いアレンジで「ジャズ化」されている。メロディーをなぞるだけでない、しっかりアドリブ展開も織り交ぜた演奏は実に「良い」。
自作曲「閉伊川」も流麗で印象的なフレーズ満載で良い出来。スタンダード曲はどれも堅実、流麗なタッチと心地良いアレンジでジックリと聴かせてくれる。そうそう、ゲストの山田丈造のトランペットも良い感じ。ブリリアントで切れ味の良いトランペットが印象的。「良いジャケットに外れ無し」。この盤、良いですよ。我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』の最近のお気に入り盤になってます。
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