素晴らしいデュオ演奏の一枚
Lee Konitz(リー・コニッツ)。1927年10月13日、米国シカゴ生まれ。2020年4月15日、米国NYにて逝去。享年92歳。コロナ感染が起因の合併症での逝去であった。今回のコロナ禍では幾人からレジェンド級のジャズマンが犠牲になっているが、コニッツもその1人になってしまった。92歳当時、まだまだ現役で活躍していただけに実に残念なことであった。
Lee Konitz & Hein Van De Geyn『Meeting Again』(写真左)。2006年4月8日、仏アウステルリッツの「Beauforthuis」でのライヴ録音。オランダの名門タイムレス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Lee Konita (as), Hein Van de Geyn (b) のデュオ。リー・コニッツが78歳の時のパフォーマンスになる。
1950年代前半、トリスターノ派のクール・ジャズの主要メンバーの1人として名乗りを上げ、以来、切れ味の良い抑制されたエモーショナルなブロウで思索的なフレーズを聴かせてくれたリー・コニッツが、オランダのベーシスト、ハイン・ヴァン・デ・ゲインと、徹底的にクールにブロウしたデュオ・パフォーマンスの記録である。
全11曲であるが、その全てが有名スタンダード曲。これだと「今まで何処かで聴いたことがある」イメージが強く出て、俗っぽくて飽きの来る演奏になるような危惧があるのだが、どうして、コニッツはそうはならない。創造力豊かに、今までに聴いたことが無いイメージで、クールにモーダルなインプロビゼーションを繰り広げるのだから、もはや「脱帽」である。
ベーシストは「ハイン・ヴァン・デ・ゲイン」。1956年7月生まれのオランダ出身のベーシストである。録音当時は49歳。1980年から82年まで米国で活動、1983年にオランダに戻って、以降、欧州での人気ベーシストとして活躍している。が、僕はこの盤まで、このベーシストのことは知らなかった。派手さはないが,コニッツのアルトに絡んでいく美しいメロディーを持ったラインは魅力的で、低音の締まった質感も良い感じ。
コニッツはこの優秀なベーシストを得て、全11曲、1時間に渡るデュオ・パフォーマンスを一気に吹き切っていく。アルト・サックスとベースのダイアローグも好調、全編に渡り、程良いテンションを維持しつつ、時に濃密に絡み合い、時に間を活かしたクールな展開でじっくり聴かせてくれる。素晴らしいデュオ・パフォーマンスの一枚である。
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