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2021年1月 2日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・194

明けましておめでとうございます。今年もヴァーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。寒いお正月になりました。皆さんの地方では寒さの影響はいかがでしょうか。関東地方はとにかく「寒い」の一点。

以前から正月だからといって、特別にジャズ盤を選ぶことは無い。そもそも、ジャズ自体が「正月」を全く意識していない。「正月」を題材にした曲は見当たらないし、そもそも正月三が日でリーダー作を録音したりしている。よって「正月」だからといって、この盤をかける、とか、この曲を特別に聴くってことは無いんですよね。

Marc Johnson『The Sound of Summer Running』(写真)。1998年2月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Marc Johnson (b), Bill Frisell, Pat Metheny (g), Joey Baron (ds)。Verveレーベルからのリリース。堅実実直&硬軟自在なベーシスト、マーク・ジョンソンのリーダー作。先鋭的でコンテンポラリーなジャズ・ギタリスト、ビル・フリゼールとパット・メセニーが共演。

キーボードレスのコンテンポラリーなエレ・ジャズ。先鋭的でリリカルでフォーキーで心地良い捻りの効いたギターが2本。そのフロントのギター2本の自由度の高い、創造性溢れるパフォーマンスを、リーダーのマーク・ジョンソンのベースがドラムのバロンと共にガッチリと受け止めてコントロールする。とにかく、2本のギターのコンテンポラリーなインタープレイが見事である。
 
 
The-sound-of-summer-running  
 
 
4曲目「Summer Running」が象徴的な演奏。カントリー色+フォーク色が濃厚な、スピード感溢れる、爽やかで透明度の高い2本のギターの音色が清々しい。僕はこの演奏が大好きだ。この1曲だけでも、この盤は「買い」。

2人のギターの共演について、全体のパフォーマンスを通じて、メセニー色が先行しているが、フリゼールも十分に健闘。両人とも、自らの個性をしっかり維持していて、聴いていて気持ちが良い。ノリの良いカントリー風な曲あり、牧歌的なロック調な曲あり、フォーク・ロックな曲あり。フリゼールお得意のスペイシーで怪しげな曲あり(笑)。

曇りの無い、明らかに健康的で印象的なフレーズ溢れる、聴いていて、気持ちがスッキリする明るいパフォーマンスが見事である。ファクネスは皆無、ブルージーな雰囲気薄め。エレギがメインの曲でも、いわゆる「フュージョン色」は薄く、コンテンポラリーな純ジャズ志向が頼もしい。ありそうで、なかなか無い、健康的でネーチャーでフォーキーなジャズである。

その2人のギターの見事なパフォーマンスを支えまとめているのが、マーク・ジョンソンのベース。ジョーイ・バロンの変幻自在、柔軟度抜群なドラミングの適応力は凄い。この盤の清々しさは「新春」にピッタリ。確かに振り返ってみれば、この盤は正月三が日に聴くことが多いですねえ。この季節にお勧めの好盤です。
 
 
  

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