久々にフリー・ジャズを楽しむ
緊急事態宣言下、巣ごもり生活が日常となって、ジャズをじっくりと聴く機会がまた増えた。しかも寒い。こういう時は、日頃なかなか聴くことの少なかったジャズ、例えばフリー・ジャズなどを聴いてみたりしている。ジャズの最大の特徴を「即興演奏」とするなら、その特徴を一番表現しているのが、このフリー・ジャズだろう。
フリーというから、感情のおもむくまま、好き勝手に吹きまくる印象があるが、どうして、一流のジャズマンのやるフリー・ジャズは、演奏の底にスインギーでジャジーなビートが流れ、必要最低限の決め事の中で自由度溢れるインプロビゼーションを展開する。
クラシックにおける不協和音を前提としたバルトークと同列のジャズがフリー・ジャズ。基本的に「音楽」の範疇にしっかりと軸足を置いている。まあ、メロディアスなフレーズはほとんど無いと思っていいから、こんなの「音楽」じゃない、と切り捨てられるのも判る。聴いて苦痛を感じるなら、このフリー・ジャズ、無理して聴く必要は無い。
Sam Rivers『Ricochet』(写真左)。1978年1月12日、米国サンフランシスコの「Keystone Korner」でのライヴ録音。リトアニアのフリー・ジャズ・レーベル、NoBusiness Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (sax, fl), Dave Holland (b), Barry Altschul (ds)。昨年に発掘リリースされた、そんなフリー・ジャズの好盤である。
CD1枚にタイトル曲「Ricochet」、52分ちょっとのフリーな演奏1曲のみを収録。硬派で硬質で切れ味抜群のサム・リヴァースのサックスが、フルートが吹き抜ける。フリー・ジャズの名手は皆、テクニックが優秀。リヴァースも例に漏れず、凄まじいハイ・テクニックで、アブストラクトでフリーな、それでいて不思議とメロディアスな(不協和音がメインだが)フレーズを吹きまくる。
朗々と響き渡る、意外とメロディアスなホランドのベース、リヴァースのフリーなフレーズを受け止めて、最適なリズム&ビートを供給するアルトシュルのドラム。幾何学模様の様なスイング感、アーシーでスピード感溢れるビート。即興演奏の究極形がこの盤に記録されている。フリー・ジャズも立派なジャズのひとつだと再認識する。
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