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2020年12月21日 (月曜日)

ブーム終焉の象徴的なアルバム

フュージョン・ジャズの流行は、1970年代後半から1980年代前半。とにかく、老いも若きもジャズ者総出の大ブームだったように思う。ミュージシャン側だってそうだ。フュージョン・ジャズ御用達のミュージシャンがごまんと出てきた。しかし、その流行も1980年代に入ってからは下降線の一途だった。

Larry Carlton『Friends』(写真)。1983年のリリース。ちなみにパーソネルは、Larry Carlton (g), Abe Laboriel (b), Jeff Porcaro (ds) を核に、曲毎にゲスト・ミュージシャンが参加。

フュージョン・ジャズのブームの後期、流行のほぼ終わりの時期の好盤。タイトル通り、数多くの名プレイヤーがゲスト参加したアルバム。フュージョン・ジャズとしてやることを全てやり尽くしてしまった時期、マンネリズム回避によくやる「企画」である。そのゲストの大凡は以下の通りかと。

B.B. King (g, tracks: A4), Don Freeman (el-p, tracks: A3), Joe Sample (el-p, tracks: A2, A3), Terry Trotter (el-p, tracks: A1, B1 to B4), Brian Mann (org, tracks: A4, B1), Alex Acuna (perc, tracks: B2), Paulinho Da Costa (perc, tracks: A1, A2, A3, B1), Don Freeman (p, tracks: A3), Michael Brecker (ts, tracks: A3, B3, B4), Jim Horn (fl, tracks: B1), Brian Mann (syn, tracks: A1, A3, B1 to B4), Al Jarreau (vo, tracks: A3)。
 
 
Friends-larry-carlton
 
 
BB・キング、マイケル・ブレッカー、アル・ジャロウ、ジョー・サンプル、パウリーニョ・ダ・コスタ等、そうそうたる面子である。重厚なブラス・セクションも従えて、ソフト&メロウな雰囲気濃厚な、フュージョン・ジャズの大仕掛けな一大絵巻が展開されている。

ここまでソフト&メロウな雰囲気を増幅させると、甘々なイージーリスニング・ジャズに陥る危険性があるが、その一歩手前で留まっているところがこの盤の「ミソ」。エイブ・ラボリエルのベースとジェフ・ポーカロのリズム隊が切れ味の良いリズム&ビートを供給して、甘めのフロントのメロディー・ラインに「喝」を入れている。

リズム隊に「喝」を入れられた、リーダーのカールトンのギターが活き活きと切れ味の良いフレーズを連発する。演奏全体のアレンジが大仕掛けで甘いので、カールトンの切れ味の良いギターが余計に目立つ。これがこの盤の好要素として作用している。切れ味の良いカールトンのギターに触発されて、ゲスト・ミュージシャン達の演奏も躍動感溢れるものになっている。

一聴すると、これは甘々なイージーリスニング・ジャズか、と身構えるが、聴き進めるにつれて、意外となかなかの内容にホッとする。甘々のアレンジによる、切れ味の良いフュージョン・ジャズ。後の「スムース・ジャズ」の萌芽ともとれる内容は興味深い。フュージョン・ジャズのブーム終焉の「象徴的な内容の盤」である。
 
 
 

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