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2020年12月18日 (金曜日)

ニューヨーク・トリオの第一弾

ヴィーナス・レコードは1992年10月に原哲夫プロデューサーによって設立された「日本発のジャズ専門レーベル」。スタンダード曲がメインの選曲で、エコーたっぷり、耽美的でリリカルなフォービートな純ジャズのみを制作するレーベル。しかも、昔の有名ジャズマンを中心に、そのジャズマンの個性やスタイルに合致しなくても、フォービートな純ジャズ、しかも、スタンダード曲ばかりを中心に演奏させるレーベル。

いわゆる「日本人好みの純ジャズ」を供給するレーベルとして活動している訳だが、そのジャズマンの個性やスタイルに合致しなくても、フォービートな純ジャズ、しかも、スタンダード曲を中心に演奏させる強引さについては、あまり評判が良くない。加えて、ジャケット・デザインが「セミヌード」がメインの「エロい」ジャケットで、これまた評判が良く無い(中にはなかなかのデザインのものもあるにはあるのだが)。

しかし、ヴィーナス・レコードの「レコーディングの志向」にピッタリ合ったジャズマンもいて、この場合はその演奏内容について、なかなかの盤が多い。まあ無理矢理、レーベルの「レコーディングの志向」に合わせる訳では無いので、これはこれで「レーベルのあるべき姿」。このケースについては、僕は、ヴィーナス・レコードについては高評価をしている。
 
 
Blues-in-the-night  
 
 
New York Trio『Blues In The Night(夜のブルース)』(写真左)。2001年6月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Bill Charlap (p), Jay Leonhart (b), Bill Stewart (ds)。チャーラップ~レオンハート~スチュワートによるピアノ・トリオ「ニューヨーク・トリオ」の第一弾。耽美的でリリカル、ゆったりとしたフレーズが個性のチャーラップのピアノが実に美しく響いている。

フォービートな純ジャズ、しかも、スタンダード曲が中心の演奏なので、才能ある若手ピアニストの「ありきたり」なトリオ盤と思いきや、レオンハート~スチュワートのリズム隊が新しいイメージのリズム&ビートを駆使して、チャーラップ共々、新しいイメージが散りばめられたインタープレイを繰り広げている。特に、有名「どスタンダード」曲の「My Funny Valentine」や「Don't Explain」でのインタープレイは、新しい響きと展開に満ちていて立派だ。

他のスタンダード曲については、ちょっと耳新しい「小粋な選曲」。まるでキース・ジャレットのスダンダーズ的なアプローチで、これはこれで良い演奏だ。チャーラップのピアノの個性が、ヴィーナス・レコードの「レコーディングの志向」にバッチリ合っていて、素敵なピアノ・トリオ盤に仕上がっている。このトリオ盤については、ヴィーナス・レコードという「色眼鏡」を外して、じっくり味わうべき、現代のピアノ・トリオ演奏のひとつだと評価している。
 
 
 

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