ソニー・クラークの初リーダー作
ジャズを本格的に聴き始めた頃から、このピアニストはずっとお気に入りである。振り返れば、ジャズ者初心者にしてはとても渋いチョイスである。
そもそも、ジャズピアノを聴き始めたら、先ずは「ビル・エヴァンス」から入って、「バド・パウエル」「セロニアス・モンク」に仰け反り、次のお気に入りのピアニストを捜し求めて、ジャズ・ピアノの森を彷徨うものなんだが、例の「秘密の喫茶店」のお陰でそうはならなかった。感謝している。
そのピアニストとは「ソニー・クラーク」。1931年、米国ペンシルベニア生まれ、1961年、31歳の若さで逝去している。ジャズ・ピアノストとしての主な活動期間としては、1954年〜1961年の僅か7年間。それでもブルーノートを中心に、10枚以上のリーダー作をリリースした。サイドマンとしても幾多のセッションに参加している。
彼のピアノは「哀愁の黒いピアノ」。タッチは明確、流麗なフレーズと「間」を上手く織り交ぜ、そこはかとなく哀愁感漂い、仄かに感じるファンクネスが個性。この「哀愁感」と仄かな「ファンクネス」が堪らなく良い。テクニックも確かなもので破綻は全く無い。コンポーザーとしての才能もあり、結構、良い曲を残している。
Sonny Clark『Dial "S" for Sonny』(写真左)。1957年7月21日の録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Clark (p), Art Farmer (tp), Curtis Fuller (tb), Hank Mobley (ts), Wilbur Ware (b), Louis Hayes (ds)。全7曲中、6曲目の「Love Walked In」のみがトリオ演奏。他の6曲は「トランペット+トロンボーン+テナー・サックス」3管フロントのセクステット編成。
この盤はソニー・クラークの初リーダー作。タイトルは、ヒッチコックの映画「ダイアルMを廻せ!」(Dial "M" for Murder)のもじり。なかなかに「粋」なタイトル。ジャケット・デザインにも力が入っている。
さて、この盤の内容であるが、全7曲中、5曲がクラークのオリジナル曲で、彼の作曲の才を確認することが出来る。セクステットの演奏では、クラークの伴奏上手なところと印象的なアドリブ・フレーズが楽しめる。そして、1曲のみのトリオ演奏では、ソニー・クラークのピアノの個性の全てが確認出来る。
サイドマンの演奏も力が入っていて好演に次ぐ好演。上質なハードバップ演奏が心ゆくまで楽しめる。録音も良く、ブルーノート・レーベル独特の「音質」と「響き」がとってもハードバップらしくて良い。ソニー・クラーク入門盤としてお勧めの一枚である。
さて、今年の「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」は今日で最終回。今年も『松和』をご愛顧いただき、ありがとうございました。明日の12月30日から1月1日までの3日間、お休みをいただきます。来年は1月2日より再開予定です。
それでは皆様、良いお年を。
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