1993年の「米国西海岸ジャズ」
この盤は明らかに「ジャケ買い」。ジャジーな雰囲気溢れるイラスト。イラストのテイストは、1960年代の米国西海岸。イラストの二人、双頭リーダーの「ボブ・クーパー」と「コンテ・カンドリ」、どちらも、米国西海岸ジャズ(ウエストコースト・ジャズ)の人気ジャズマン。期待出来るよね、このジャケットだと・・・。
『Bob Cooper Conte Candoli Quintet』(写真左)。1993年6月25日、Newportでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bob Cooper (ts), Conte Candoli (tp), Ross Tompkins (p), John Leitham (b), Paul Kreibich (ds)。テナーのクーパーとトランペットのカンドリは判るが、リズム・セクションの3人は馴染みが無い。
しかし、このジャケットである。期待は全く裏切られない。1993年のライヴ録音に拘わらず、全編、極上の「米国西海岸ジャズ」が展開される。米国西海岸ジャズが下火になったのが、1960年代前半。ボサノバ・ジャズの大ブームと入れ替えに、米国西海岸ジャズは徐々に勢いを失っていった。が、このライヴ盤では「どっこい生きていた」である。
1980年代半ばに始まった、純ジャズ復古のムーヴメント。演奏内容は、米国東海岸のハードバップを焼き直し〜深化させた「ネオ・ハードバップ」がメインで、米国西海岸ジャズは復活することは無かった。純ジャズ復古のムーヴメントは東海岸限定で推し進められた訳だが、どっこい、このライヴ盤を聴けば、しっかりと西海岸ジャズも部分的ではあるが、復活していたことが判る。
この盤を録音した時点で、クーパーは1925年生まれなので68歳。1993年8月5日に亡くなっているので、逝去する1ヶ月ちょっと前の「白鳥の歌」になる。かたや、カンドリは1927年生まれなので66歳。レジェンド級の大ベテランが、実に楽しそうに、実に心地よさそうに演奏している。アレンジも良好、アドリブ展開も小粋なフレーズの連発で、やっぱり西海岸ジャズも良いよな、と感心する。
とはいえ、米国西海岸ジャズが深化した形で、現代のネオ・ハードバップの一角に食い込んだ、ということは無く、米国西海岸ジャズは完全に過去のジャズ・トレンドとなっている。米国西海岸ジャズにはそんなに深化の「糊しろ」は無いのかなあ。優れたアレンジ、聴かせるジャズを現代のトレンドで再現するだけでも価値あるアプローチだと思うのだが。素人考えかな。ともあれ、このライヴ盤、良い感じです。好盤。
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