ジャン=リュック・ポンティの好盤
僕がジャズを本格的に聴き始めたのが、1970年代後半。ジャズ・シーンは、フュージョン・ジャズの大流行真っ只中で、ジャズ者については「猫も杓子も」フュージョン・ジャズ。純ジャズについては、以前のハードバップ時代などの「ジャズ・レジェンド」の名盤を聴き直す、が主流で、純ジャズが特別に話題になることは無かったように思う。
そんなフュージョン・ジャズの大流行真っ只中、もともと、プログレッシブ・ロックが大好きだった「プログレ小僧」だったこともあって、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズより、クロスオーバー・ジャズ志向のインスト・フュージョンが真っ先にお気に入りになった。そんな中で、このクロスオーバーなジャズ・ヴァイオリニストに出会う。
Jean-Luc Ponty『Enigmatic Ocean』(写真)。邦題「秘なる海」。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、Jean-Luc Ponty (el-vln, violectra, bells), Allan Holdsworth, Daryl Stuermer (el-g), Allan Zavod (org, syn, el-p, ac-p, clavinet), Ralphe Armstrong (el-b, fretless-b), Steve Smith (ds, perc)。ジャズ・ヴァイオリンの貴公子、ジャン=リュック・ポンティの好盤。
これがジャズか、と思うばかりの、プログレッシブ・ロックのテイストがプンプン漂う、ところどころに「ラテン」の響きが漂うエレクトリック・ヴァイオリンとエレギが乱舞する「クロスオーバー・ジャズ」。明らかに「ロックとジャズ」の融合。エレ・ジャズの1つの到達点。チック・コリアの「リターン・トゥー・フォーエヴァー」を聴き易く軽やかにした様な音世界。マハヴィッシュヌ・オーケストラ的な音世界とも言える。4部構成からなるタイトル曲は、明らかに「プログレ・テイスト」。
邦題「秘なる海」が示すとおり、海をテーマにした壮大で宇宙的なファンタジー、とでも形容したいサウンド。エレギのホールズワース、ステューマー、そして、ドラムのスティーヴ・スミスといったクロスオーバー畑のロック志向のミュージシャンが、この盤のサウンドを決定付けている。そして、ポンティのエレ・ヴァイオリンは、彼らを向こうに回して、彼らを凌駕するばかりのダイナミズムを発揮している。
ポンティのヴァイオリンは、高いレベルのテクニックに裏打ちされた、ロック~フュージョン感覚のダイナミックなプレイが「ウリ」。この盤では、その個性を遺憾なく発揮している。ポンティを愛でるには、まずこの盤が好適だろう。
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