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2020年12月15日 (火曜日)

John Coltrane『The Believer』

プレスティッジ・レーベルにおける「ジョン・コルトレーン」のリーダー作は、複数セッションの寄せ集め編集盤が多くて困る。しかも、リリース年が録音年よりかなり離れていたりする。コルトレーンは大人気のテナー・マンだっただけに、所有する音源を小出しに小出しにリリースして、金儲けに走ったようである。プレスティッジの総帥、ボブ・ウェインストック(Bob Weinstock)は「せこい」(笑)。

小出し小出しにリリースするのは仕方が無いとして、様々な複数セッションから切り出して、寄せ集め編集して1つのアルバムとしてリリースするのには閉口する。そもそも「寄せ集め」のコンセプトが全く判らない。ウェインストックはプロデューサーとしての才能は全く無かったとみえる。プレスティッジ時代のコルトレーンは、彼のテナー・マンとしての進歩が「日進月歩」だっただけに、寄せ集め盤については、コルトレーンの演奏内容について違和感が付きまとうものが多いから困る。

John Coltrane『The Believer』(写真左)。 1964年4月のリリース。1964年4月のコルトレーンと言えば、インパルス・レーベルからの『Live at Birdland』のリリースと同時期。そんな時期にプレスティッジ・レーベルから、1957年から1958年録音の寄せ集め盤がリリースされた。その寄せ集め状況は以下の通り。

まずは、1957年12月20日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Ray Draper (tuba), Gil Coggins (p), Spanky DeBrest (b), Larry Richie (ds)。演奏曲は、4曲目「Filidé」と5曲目「Paul's Pal」。

チューバのレイ・ドレイパーとの2管フロントのクインテット。もともとチューバでジャズをやるのには無理がある。少し速い演奏になると、運指と息がついていけない。ドレイパーのソロはチューバがゆえ、健闘はしているのだが「たどたどしい」ソロがとても悩ましい。リズム・セクションは無名に近いメンバー。普通レベルのサポートに終始している。

コルトレーンだけがまともに吹いているが、周りのメンバーがこのレベルなので、コルトレーンとしても「普通の演奏」に留まっている。この2曲については、あまり聴きどころは無い。この盤は1964年のリリース。この頃には、もうコルトレーン絡みの音源は底をついていたのかもしれない。
 
 
The-believer  
  
 
次は、1958年1月10日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Donald Byrd (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes (ds)。演奏曲は、1曲目「The Believer」と2曲目「Nakatini Serenade」。

この2曲の演奏が一番充実している。トランペットのドナルド・バードとの2管フロントのクインテット。このセッションでのバードのトランペットが活き活きしていて、アドリブ・フレーズも迫力がある。当然、コルトレーンもこのトランペットに触発されて、素晴らしいブロウを繰り広げる。

シーツ・オブ・サウンドの原型らしき、高速アドリブ・フレーズも連発。この時期のベスト・プレイが展開される。ガーランドのピアノを核とするリズム・セクションも申し分無い。右手のシングルトーンが魅力のガーランドも何時になく、熱いソロを聴かせている。

最後に、1958年12月26日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Freddie Hubbard (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。演奏曲は、3曲目「Do I Love You Because You're Beautiful?」。

トランペットとの2管フロント立てのクインテットは、1958年1月10日の録音と変わらないが、トランペットが若きフレディー・ハバードに代わっている。ハバードのトランペットは高度なテクニックをひけらかす様に、ウケ狙いのフレーズを連発してコルトレーンに対抗しているが、これが「チープで薄っぺら」な印象でいけない。完全にコルトレーンの引き立て役になってしまっている。やはり、自分の「個性と魂」を込めたフレーズで対抗しないとなあ。非常に上手いんだけどなあ。

逆に、コルトレーンのブロウは全く申し分無い。ハバードの「ウケ狙い」のプレイなど気にかけず、ほぼ完成されたバラード・プレイを披露している。

ということで、この寄せ集め盤、譲って冒頭からの3曲が聴きもの。チューバが入る4〜5曲目は平凡。それでも、1958年1月10日録音の、冒頭の2曲のコルトレーン・クインテットの演奏だけでも手に入れる価値はあると思料。プレスティッジ・レーベルも罪作りなことをしてくれたものである。
 
 
 

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